【作者当て】ぷれじゃー・とらいぶ

 目的であったインディアンの里を堪能し、一休みにと入った公園では、ゆっくり達が野球をし
ていた。
 ちぇんとまりさと一緒にベンチに腰掛け、眺めているとバッターボックスに体つきのぱちゅりー
が立つ。
 ピッチャーはえーりんである。共に結構な大人だ。相手を確認すると、えーりんは後方の守備に
向かって、ぱちりと指を鳴らした


「―――Yukkuri shift!!!」


 よく見ると、守備は9人いるはずの所がえーりんを含め5人しかいなかった。ショートとライトの
きめえ丸2名が少し前進すると、塁の間を高速で残像が出るほど高速で反復し始め、センターの位置で
は、何故か秋姉妹が肩車をしている。


「ゆっ!!!凄い!!!」
「あれならほぼ完璧にどの位置につ打たれても守るれる事ができるね!!!」
「――――ゴロだったらな…」


 ぱちゅりーは思い切り打ち上げた。当然きめえ丸二人は反復横とびから反応する事ができず、場外
へとボールは流れる。
 秋姉妹が、軽く放り投げられたが、もしかしてそのままキャッチするつもりだったのだろうか?
 とりあえずホームランとなったが、次にボックスに立った―――いや、横たわっているのは、チル
ノフだった。


「アメリカって怖いところだねえ」
「ああ……あんな日本の野球漫画を真似ようとするところなんてな……」


 それに加え、昼間町で見たきめら丸のゴルフ教室の広告が忘れられなかった。
 きめえ丸ではなく、きめら丸の、である。
 最初はイメージキャラクターか何かかと思っていたが、どうやら素できめら丸が教えているらしい。


「帰ろうか」
「うん」


 寒空の下、予約していたホテルへと向かう。
 こうして海外でゆっくり達とクリスマスから年末を過ごせるとは思わなかった。何かを忘れている
気持ちになったが、この州の冬は存外寒かった。
 ホテルのドアを開けると、すかさずいつもの声がかかる


「「「 Take it easy!!! 」」」
「Take it easy」
「ゆっくりしていってね!!!」
「てーく いっと いーじー!!!」


 郷に入らば、という言葉がある。
 無神経に日本語で通すちぇんとは対照的に、まりさは唯一話せる英語を使った。大体、これで事は
すんでしまうのだった……
 しかし、


 「「「CHEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEENNNN!!!」」」


 店員は全員らんしゃまだった
 その数、40人は下らないだろう


 「う、うわあああああああ!!!」
 「CHEEEENN!!!」
 「Take it easy!!!」
 「Oh……cute,cute」
 「え?何々?」
 「らんしゃま、やめてあげてね!!!ちぇんは怖がってるよ!!!」


 尻尾まみれにされて、まんざらでも無さそうなちぇんだったが、とっさに抱き上げてらんしゃま達から
離してしまう


 「Booooom!!! Boooom!!!」
 「何だよ、いい年したらんしゃまがちぇん一人に……」
 「Silly JAAAAP msut deeaaaaaaaad!!!」
 「F○CK Human」
 「何だよ汚いなあんたら。大人気ないぞ?」
 「そうダネ………チョトあせってしまてタヨ」


 ブーイングを飛ばしつつ、ちぇんに少しでも近づこうとびょんびょん飛び跳ねる多数のらんしゃまを尻目
に、前に進み出て謝るらんしゃまが一人いた。


 「I'm sorry ニンゲンさん」
 「いや………」
 「ゆっくりちぇんから離れてね!!!」
 「別に離れないでもいいよ~」
 「調子に乗るなちぇん。40人いるんだぞ」


 日本語を喋れる、リーダー格らしいらんしゃまは、他の面々に英語で諭し、全員整列すると、ぺこりと頭
を下げた。


 「It's ”DOGEZA”」
 「かえって嫌味っぽいぞ………?」


 とりあえずチェックインすると、部屋に荷物を置き、小腹が空いたので、レストランへと入った。
 先程の謝ってくれたらんしゃまが、頼まれもしないのにケーキを3人分を、器用に頭と尻尾にに盆を載せて
運んでくれた。


 「さっきハ、もうしワケ なかたョ」
 「いや、もういいですよ」
 「もふもふ気持ちよかったよ」
 「ちょうどムカシ、ワタシたちのイエにはCHENがひとりイマシタ。CHENのお客さんはひさしぶりだたから、
 なつかしくテ つい………」


 この人数のらんしゃまに対して、一人のちぇん?それはあまりに比率が悪すぎる気がする。今はいないそう
だが………


 「そのちぇんはどこにいったの?」
 「ここをトビダシテ、ニホンへ行ってしまたヨ…………」
 「無理もねえ………」
 「らんしゃまだけでここに住んでるの?ちょっと寂しいね……」
 「Yukkarinサマもいたんデスが、イッショにニホンへいってしまいマシタ………」
 「寂しいね………さっきは離れてなんて言ってワルカタヨ……」


 相手は日本語なのに、まりさまでなまっている。


 「会いにいけばいいじゃない」
 「イエ…………CHENからは、コッチがいくらテガミヲ書いてもかえしてクレマセン」
 「Christ'mas card一つ、トドイタことがアリマセン……」
 「きっと、Ranshamaタチのことなんかキライニなってしまったんダヨー!!!」


 他の給仕や掃除をしていた、日本語を喋れるらんしゃま達までもらい泣きを始めた
 頼まれもしないのに、どこからか段ボール箱を引っさげて中の大量のカードや手紙を見せられた


 「Yukkarinサマは、コンナに送ってくれるのにiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii!!!」
 「―――ちょっと待った……隣に人間の女と一緒に映ってるけど、どういう関係なんだ?何か色々あるぞ?友達って
  ワケじゃないだろうが何なんだこの2人?」
 「Cheeeeeeeeeeeeeeeeeen…………come back……」
 「Why……why……?」


 クリスマスは明日だというのに、湿っぽい。
 元気付けるつもり3人は明るく言った。


 「わかる……わかるよ~その気持ち」
 「らんしゃまをきらいなちぇんなんていないよ!!!きっとちぇんも忙しいんだよ!!!」
 「まあ……その内ひょっこり帰ってくるかもしれないし」


 そう、今日はクリスマスだ。


 「明るく行こうじゃないの」
 「そデスね……ドモ サーセン」
 「サーセン」
 「クリスマスには奇跡が起こる、っていうしね!!!」


 彼は軽くまりさを小突いた


 「そうしたあやふやな希望をもたせるんじゃない」
 「クリスマスには奇跡は起こるっていうよ!!!」
 「この本に描いてあったよ!!!」


 取り出したのは、この前園にもやってきた勧誘のおばさんが残していった絵本。表紙にはさとれいむ様の
絵が描かれている。バリエーションもいくつかあるらしく、この前は「わがままなおじさん」というタイト
ルだった


 「ホナウド教って仏教系列のはずなのに………いい加減な……」
 「ソデスね………奇跡をシンジルのも、タマにはいいカモ………」


 しかし、これで何も起こらなかったら……?クリスマスは、それだけでかなり楽しいものではあるが…… 
 らんしゃま達には悪いが、とても食事ができる気分ではなかったので、外でとることにした。


 「もういい加減、ホナウド教の本なんて捨てろよ」
 「だっておもしろいんだよ!!!」
 「それにしても奇跡か………………」


 思えば、ゆっくり達に関わってから沢山のことがあったものだ。
 もっとも、この国に旅行できてからはその「奇跡」とやらに驚かされっぱなしなのだが


 「どこで食べるかねえ………」
 「そういえば、なにか忘れてるようなきがするよ………」
 「りょこうにくると、食べてばっかりになるよねえ……………」


 と、前方から来る、同じ日本人らしき旅行者とすれ違った。
 何やらあのたくさんの送られてきたカードに映っていた女性と同一人物と思えたが、それはゆかりんを連れ
て歩いていたからだろう。
 もう一度、先程の野球場の前に来た辺りで、3人は同時に声を上げた。



 「「「う、うわあああああああああああああああああああああああ!!!」」」


 思わず手提げかばんを落とす


 「て、ててて……」
 「てんこを忘れてきたああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
 「わからない、わからないよー!!!」


 昼食に、よせばいいのにうっかり入ってしまった本場のバニーゆっくり系列のレストランであった。
 あまりの量に息苦しさを覚え、すこし外の空気を吸ってくる、と出てしまったきりだった。
 本当に悪意なく忘れていた


 「どうする………どうするよ…………?」
 「いまから戻るしかないよ!!!」
 「怖いよう…………」


 とりあえず店の前まで急いでやってきた。
 窓があまり無い店なので、中の様子は不明だ。
 てんこはどうしているだろうか……?


 「お金はあるんだし………」
 「まりさ、入ってみる?」
 「い、いやだよ………2人で入った方がいいよ……」
 「様子見としてだな……・・・それとも何か、てんこを見捨てちまうか?」
 「そ、そんなことないよー!!!」


 入り口から中を覗きつつ、彼はぼそりと言った


 「そうして、赤ん坊の頃託児所のおばあさんを退職に追いやった時みたいに俺達も見捨てるんだな……
  さもしい。さすがさもしい」
 「―――――――っ!!!」


 まりさは目を剥いてがたがたと震え始めた。ゆっくり特有の激しい感情表現の一つである


 「あああああ………………」
 「ごめん、流石に今のはなかったわ。言い過ぎた」
 「まりさは、もうあれから10年以上自分のやったことを後悔してるんだよ!!!これいじょう広げないでね!!!」


 いや、お前もその時「本当は保育者は子どもは立場上殴れないからもっとやっちまえ」と片棒を担いだ
らしいじゃないか、と言うのはやめておいた。
 こいつもこいつで、たまにその時居合わせた保育所のお兄さんを助けたりしているらしいから、ある程
度の罪悪感は感じているのだろうが……
 とりあえず、まりさは自分から店へと直行して行った。


 「大丈夫かな?」


 入り口には、ゆっくりうどんげが立っていた。


 「また来たの?」


 流暢な日本語である。
 西日暮里のバニーゆっくりにも似たような奴がいたが、別人であろう。
 とりあえず、責任者らしきゆっくりてゐが立って、まりさを帽子ごとつまみ上げていた。


 「ちょ………何するのおおおおおおおおおおお!!?」
 「いや、ちゃんと金は払いに来たんですよ………って英語で何ていえば……」
 「ふん、これだからニホン人は」


 これもまた流暢にてゐは返して来た。


 「え……何々?」
 「金も払わないで外に出るって馬鹿なの?カスなの?クズなの?」
 「ムカつく外人だなあ………って日本人か?」
 「とりあえずお前等の仲間は、向こうの冷凍庫に入れされてもらった!!!」
 「――――はあ?」


 調理場のほうへと向かうが、店員(主にうどんげ)は誰も止めない
 重々しい扉を開けると、冷風が吹き抜ける
 あまりの冷たさに顔を背けると、思い切り3人ごと蹴り飛ばされた


 「どぼじでごんなことずるのおおおおおおおおおお!!?」
 「金を払わない奴は何されてもしかたないんだよ!!!」
 「ひどいよひどいよ!!!」


 3人で出ようとすると、さらにてゐはとび蹴りを一人一人に食らわせて奥へと押しやった。


 「ゆぎゃああ!!!」
 「しばらく、この極寒の地で食い逃げしようとした分働いてね!!!」
 「だから、金は払うって……!!」


 言った途端に、扉が閉ざされた




 ――――てゐも中に残して




 「うわあああああああああああああああああ!!!」
 「馬鹿なの?本当に店長なの?」


 とりあえず扉を全力で中から叩いたが、誰も応じない。聞こえないのか、とりあえず誰かが用途が
あって外から開くのを待つしかないことがわかった。
 しかし、僅かな時間差で先に入ったまりさはかなり衰弱していた。


 「しっかりしろ!大丈夫か?」
 「ごっかんの地でゆっくりしたくなかったよ……」
 「大丈夫だよ!!!助けが来るよー!!!」


 しかし、全員の体温が下がるが止められない。いずれはまりさの様に衰弱しきって、下手をすれば
意識も失う。
 何とかしなければ


 「こ、こんな時は………」



 すりすり である


 冷たい床に胸をつけるのは嫌だったが、腹ばいになると、彼はまりさとちぇんに目線をあわせ、思い切り
押し付けあいあった。


 「すーりすーり」
 「すり……すり」
 「しゅーりしゅーり」



 そして、悲劇は起こった



 「「「やべ!!!くっついた!!!!」



 日本の昔話に、「こぶとり爺さん」という話があるが、まさに今の彼がそれ。
 理屈は解らなかったが、両頬にゆっくりをぶら下げた形―――というか、大昔に流行った「だんご3兄弟」
という串団子を擬人化したキャラクターの逆。もしくは信号機に近い。
 ふりおとせないものかと立ってみたが、ぴったりとくっついている


 「どうする……_?」
 「どどどどうしよう!!!」
 「わからないよ~!!!」


 と、先程からすりすりにも参加しなかったてゐが呟く


 「だから、お前等駄目なんだ」
 「何だとー?!!」
 「てゐ。あんたには何か秘策があるのか?」
 「すりすりなんて生ぬるいよ!!!」
 「じゃあ、何がいいの?」
 「格闘技だよ!!!」


 胸を張って応えた


 「ゆ!! ゆっくり相撲だね!!!」
 「ばか、それじゃまたこいつまでくっついちまうだろ!!!」
 「それじゃあ…『かくとうぎっぽいなにか』は?」
 「あれ、思ってたより異常に疲れるけど、あんまり体動かさないんだよなあ」
 「『ゆっくり残像拳』!!!」
 「軍人くらいしか今はもうできないよ」


 と、なると


 「『むげん』でもやる?」
 「あれの方がむずかしいよ~」
 「本当にだめだめだね、あんた達は!!!」


 てゐはごそごそと自前のポケットをまさぐっている。


 「『むげん』なんて、差別主義者のスポーツなんてやるの?鬼なの?悪魔なの?」
 「そうかなあ…………」
 「これからのトレンドは、これだよ!!!」


 取り出したのは、2本のチャッカマン


 「それは………」
 「私は、その昔胴体がほかのてゐよりも小さかったから、顎の下に収納して、首だけのゆっくりの振りをすることが
  できたんだよ」
 「はあ………」
 「周りは首だけの奴等ばかりだったから、かえって苛められるのが怖くて、私も首だけのふりを貫き通してたいたよ!!!」
 「―――自分語りっすか」
 「その反動で、もやしっ子のぱちゅりーを虐めまくっていたんだけど、そのぱちゅりーが大人になって、私より強く
  なってしまった…………!!!」
 「あんたに同情できる余地って全く無いんですけど?」
 「あいつ………あのぱちゅりー『むげん』でチャンピオンになったからって私を『きもいおもにからだがきもい』って…」


 あの史上初の王者の知り合いか。
 詳しく聞きたかったが、それどころではない


 「とりあえず、そのチャッカマンを……」
 「ほれ」


 まずは一本、手渡される。
 続いて、蝋燭も…………


 「え?」
 「体の無いゆっくりにはこんな芸当はできないね!!!」


 てゐは電光石火で、まるで紙のように彼の上着を剥ぎ取り、ついでいそいそと自分も服を脱いだ。
 そこには…………


 「うわっ!!?乳首に何塗りやがった?」
 「こっちも条件は同じだよ!!!」
 「あれ?ゆっくりに乳首って必要なくない?―――あんたも無いじゃないか」




+++++++++++++++



 「あ、ウインナーきれた」
 「取ってきて!!!」


 うどんげ達が冷凍庫をあけたのは、15分後―――――

 そこには

 そこには



 「う、うわああああああああああ……………」
 「これ、フェンシングと違って射程距離が短すぎる………」
 「だから、絶対に懐に入れられないようにしないといけないんだよ!!!海外の選手は皆手の平を火傷してるの!!!」
 「がんばってね!!!」
 「まけるなー!!!」


 裸で、全力で新しい競技に挑む人間とゆっくり(うち体つき一人 首だけ2人)がいたのだった


 「あ、開いたじゃないか!!!」
 「店長ー!!?何してるの?変態なの?極限状態だったの?」
 「後で説明するよ」


 と、ドアから出ようとした彼だったが、両頬に付着したままのちぇんとまりさが壁にぶつかり、ドアから出られないまま
後方へ転倒して後頭部をしたたかに打ってしばらく気絶した


+++++++++++++++












 ――――その頃、てんこは……… 



 「何だあ?これは放置か?放置プレイか?あざとい。流石兄さん方、あざとい」


 既に、独自にデザートのマンゴーアイスに手を出していたが、自分の置かれた状況を再確認し、ぷるぷると指先が震え、
スプーンを落としてしまった。


 「――― 気持ちいい、 主に 私が 気持ちいい ―――」


 日付は、そろそろ聖夜に変わろうとしていた。





                          了


名前:
コメント:

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2009年01月03日 09:50