知ってるか?マゾは三つに分かれる
相手の尻に敷かれることに充実感を覚える奴
被害妄想に酔いしれる奴
普段はサドを装っている奴
この三つだ、あいつは……
ここは紅魔館門前、そこでは門番である紅美鈴が何者かと対峙していた
周りにはわざわざ見に来たゆっくりや暇を持て余したメイド妖精等が集まっていた
「これより、紅魔館門前での試合を始めます」
そう宣言するは紅魔館のメイド長、十六夜咲夜
「よろしくお願いします!」
「あなたは通過点、私はここの館長に用があるの!」
青いロングヘアーに桃が飾られた帽子、そして手に持ったバールのようなもの
そう、この物語の主人公、比那名居天子だ
「その台詞、私を倒してからですよ!」
天子に向かってくる美鈴、気迫は十分すぎる
「行きますッ!」
美鈴の紅魔館殺法だ、天人相手故いきなり奥の手らしいがこれではただのかませ犬だ
天子は避けるなんて事は全く考えずに全てその身で受け止める
「あふん…ゴフッ…もっと…もっと来なさゲフッ……」
悩みの種だった胸部へのショックも今は脂肪という名の断衝材が守ってくれる
「そんな…これを喰らって…悦んでるっていうの!?」
美鈴も自分の奥の手が全く通用していないのを悟ったのか顔面蒼白になる
「ならば…こいつでッ!」
美鈴がさらに奥の手を出してきた、これなら主役のピンチに駆けつけるライバルでも通用する
「どこから……どこからくあうッ!……」
天子は四方からの衝撃と胸に響く鈍い音に己の感覚を疑った
美鈴は四方からほぼ同時に天子の体に回し蹴りを打ち込んだ
これもいつも咲夜にいぢられ続けた際に咲夜の特技を美鈴なりに真似た結果なのだ
崩れ落ちる天子、この物語の主人公と書いてしまった俺は反省中
「比那名居天子、戦闘続行不可能と」
「いや…待って……まだ私の負けじゃない……」
それでこそ主人公だ天子!不屈の闘志を見せてやれ!
「どうだろ…今ので肋骨数本イっちゃったかなぁ……」
前言撤回、ちょっと待て天子、それは主人公の台詞には相応しくないぞ!
「胸が痛くてズキズキしちゃう……あはっ、アハハハハ!!」
どう見ても主人公ではありません、本当にありがとうございました
そしてまるで糸に吊られているかのようにゆらりと立ち上がる天子
その様子に観客も美鈴も恐怖を隠せない
「ちょ…ちょっと待って…いくらラスボスだからって…その反応はないでしょ!?」
「美鈴ちゃ~ん…あなたの回し蹴り…4ボス程度なら倒せちゃうかもしれないよ?」
立ち直った天子はバールのようなものを掲げる
「でも…ラスボスである私と闘ったのが運の尽きよ!とっとと跪きなさい!」
突然バールのようなものが黒くなり、尖った部分が増えた
それを幻想郷の住民に例えるなら無限の胃袋を持つ西行寺幽々子嬢だろう
「行くわ、グラットンスウィフト!!!」
歓声が滝の様に流れる、もう滝というより大瀑布だ
「え……そんなぁ!!!」
ただ一人、服をズタズタに切り刻まれた美鈴が悲鳴をあげるが歓声にかき消されてしまった
「紅美鈴、戦闘続行不可能と判定、勝者、比那名居天子!」
「どう?3ボス相手なら遊びも同然よ」
「ちょっと…私は何処に行けば良いんですかぁ!」
結局天子は紅魔館に入ることが出来ず、近くの森をうろついていた
「ったく…勝ったんだから入れてくれても良いのに……」
そんなとき、天子の目に止まったのはとあるゆっくりの一家
れいむにまりさで構成されたよく見るゆっくりの一家だ
「ふふん…良いこと考えちゃった!そこのゆっくりたち!」
「ゆ?ゆっくりしていってね!!!」
「君、美味しいご飯食べたいと思わない?」
「まりさたちはべつにいまのごはんでじゅうぶんだぜ?」
そういえばそうだ、最近のゆっくりはどんなものでも美味しいと
ゆっくりできるようになってしまった、ちょうど子供が食べた料理を
とりあえず美味しいと言っておく感覚に近いだろう
もしかしたら近いうちに…いや既に激辛カレーでも美味しいと言ってのけるだろう
それくらいゆっくりの味覚はどうでも良くなってしまっていたのだ
「ああ…もう…とりあえず、そこの大きな家に行けばゆっくりできるの!」
「でも…どうやってはいるの?いりぐちでやさしいおねえさんにおいかえされるよ?」
「まあ…そうね……」
天子の作戦はこうだ、まず、裏の塀にゆっくりが通れるだけの穴を発見した天子は
そこからゆっくりの家族を通す、空から対空防御をかいくぐり覗いた見たが
そこには菜園があった、ゆっくりなら菜園を自分の物にするはずだ
ゆっくりが陽動している間に自分は他の方向から門を突破または塀を破壊
警備隊を蹴散らしそのままメイド長も蹴散らし、最後には吸血鬼も蹴散らす
正直こちらから見れば天子の行動の方がどう見ても陽動に向いている
それに今時そこまで強情なゆっくりも珍しいのだが
その辺りはご愛敬だ、頭が回らなかったのか派手に暴れたかったのか……
「ここからはいればゆっくりできるの?」
「そう言うこと、その時に出来るだけ暴れてくれるとお姉さん嬉しいなぁ」
「おねーさん、かんしゃするぜ!!!」
「まあ良いって事、せいぜい頑張ってゆっくりしてね!」
穴をくぐって行くゆっくり達、それを見送った天子は近くに用意しておいた
ここに来る際に衣玖から盗んだ河童特製バイクに乗り込む、森林、岩場での走破性もばっちりだ
長い塀もひとっ走りすればあっという間に門に辿り着く
「退きなさい!私に轢かれたいの!?」
「またですか!通しませゴフッ!……」
美鈴はバイクを止めようとしたが先に天子が飛ばした要石が胸に直撃
あっさりと天子の侵入を許してしまった
「あぅ…ゲホッゲホッ…今ので咲夜さん怒っちゃうだろな……」
「また…お仕置きされちゃおっかな……あの暗い地下室に連れ込まれて…あんなことや(ry」
美鈴も天子の変態属性が移ったのかそれとも元からあったのか……そこはあなたにお任せする
「え?メイド長って生乳だったの!?」
「私見ちゃったのよ!メイド長が着替えているところ!」
「嘘!メイド長ってPA(ry」
数人のメイド達が話す中、ドアを突き破って館内に躍り出る天子
「あー…吸血鬼は何処にいるんだっけ……まあいいや!」
突然の事態に固まるメイド達を放っておき
とりあえずドアをぶち壊しながら館内を暴走することにしたようだ
それを見ていたメイド達の中に先程話をしていたメイドの内の一人が消えていた事に気付く者はいなかった
「ちょっと…何処まで続くのよこの廊下!」
館内のドアを破壊しつつ進んでいたが廊下が終わる気配が無い
天子は変化の無い状況に少々苛立っていた
「あ~もう怒った!こうなったら!」
天子は壁に向かって勢いよく要石を投げつけた
すると壁は木っ端みじんになり、廊下とは違った部屋が姿を現した
「お?これは新たな出会いの予感!天子、行きまーす!」
出来た穴に向かってバイクを走らせた天子が見たのは恐ろしい程の本の山だった
見渡す限りの本、本棚も信じられないくらい大きい
「ここは…図書館って所かしら……」
すると部屋のどこからか声がしてきた
「誰ですか?図書室では静かにしてください!」
「誰よ!ラスボスであるこの私にそんな口きくの!」
「4面中ボスの小悪魔です!」
律儀にも自己紹介をするのはこの図書室の司書である小悪魔
最近は不思議な箱を手に入れたパチュリーの遊び心が働いたのか
幻想郷に似つかわしくない装甲や武器を装備しての登場だ
「まずはバイクから降りて貰います!」
その声が聞こえた途端、天子を狙った弾幕が降り注ぐ
極端に伸びた鱗型と天子を狙って移動する米粒形だ
その速度はとても東方STGの物とは思えない
もう4面ボスに昇格してもおかしくないのでは?
「何よ、そんなチャチな弾幕でやり合おうっての?」
天子とバイクは弾幕で破損するどころか弾幕を弾き飛ばす始末
「えぇ!?」
この東方STGでは考えられないような異常事態に小悪魔も驚きを隠せない
「今度はこちらの番よ!」
天子も負けじと弾幕を放つ、要石を通して放射状にレーザーをまき散らす
「この服を舐めて貰っては困りますよ!」
小悪魔は装甲に多数装着されている噴射機を用いて
瞬間的に魔理沙並の加速を付け、弾幕を大きくかわす
いくつかレーザーが当たりそうになるがかする所か
見えない何かに遮られて弾かれるさまだ
「ちょっと!なんなのそれ?いくら何でもずるいキャァ!?」
文句を言おうとした所突然バイクが止まり、天子は空中に放り出されてしまった
「ちょっと…どういう事痛ッ!?」
豪快に顔から床に激突する天子、さんざん暴れた罰が当たったな?
「何でよ?何でバイクが止ま…嘘ぉん……」
「どうも、木吉さん!!!」
天子が見た先には何かもの凄い筋肉?を持つゆっくりがいた
そして天子の目の前に降りてくる小悪魔
近くで見てみると何だか格好いいぞ?
「紹介しましょう、私の相談相手のぱちゅりー・ヘリントンです」
「パチュリー、ウッ!!!」
正確に言うとこのぱちゅりーは通称「森の妖精」と呼ばれる種類
肉?と肉?のぶつかり合い、つまりパンツレスリングを好む
「そんな怪しい奴を相談相手にするなよ!」
「だって…パチュリー様との事だし…他の人におおっぴらに話せないし……」
「話してるじゃないの!」
そんな芝居はともかく、天子は衝動がすっかり収まってしまったようだ
「あ~あ、もう興冷めよ、もう帰ろうかしら」
「せっかく来たんですから、とりあえず私のゆっくり見ていきませんか?」
「え~あんな筋肉?ゆっくり見たくないわ!」
「あぁん、ひどぅい!!!」
天子は小悪魔がそういった物をさらに持っていると思ったのだろう、明らかな嫌悪感を示している
「まあまあ、とりあえずこっちへ」
「鎌田!鎌田!」
「だから行かないってあぁん、ひどぅい!」
半ば無理矢理連れて行かれる天子、本人としては溜まった物ではないだろう
「ここですよ、ほらっ」
小悪魔が本棚をどかした先に扉があった
「隠し扉って奴ね?探求心が湧いて来るじゃない!」
早速扉を開けてみるとそこには小悪魔をモデルにしたゆっくりがいた
「ここは……」
「ゲイ♂パレス!!!」
「違います!」
ここは小悪魔の部屋、空きスペースを勝手に借りている様だ
まあパチュリーも問題無さそうだったので良いらしい
「ゆっくり小悪魔もといゆっくりこぁですね、ゆっくりしていってね!」
「ゆっくりしていってください!!!」
返事を返すゆっくりこぁ、元気な返事に小悪魔も嬉しそうだ
「どうですか?」
「普通に可愛いじゃない、何処で見つけたの?」
「ぱちゅりー種の里です、そこにはこの子の様なのもいるんですよ」
小悪魔の話によると紅魔館の近辺に小悪魔しか知らないらしい
ゆっくりの里があるらしく、そこに生息していたゆっくりこぁを一匹分けて貰ったとのこと
まだゆっくりこぁ自体最近出始めたゆっくりらしく、そんなに個体数も無いのが現状だ
その里についての話はまた別の機会にしておきたい
部屋を出た天子達、それなりに面白い体験もできたようで満足はしたようだ
「こんどはここの実力者とも闘って見たいわね」
「そうですか、総領娘様、お遊びの時間は終わりです」
「もう本当に楽しそうでって……ああっ!!!」
突然天子は何かに巻き込まれる感覚に襲われた、慣れたこの感覚、間違いない!
「衣玖!ちょっと……アンッ!…壊れちゃう!……」
「おぉ~激しい!!!」
「あっ、お客様の保護者様ですか、お茶でもお出ししましょうか?」
「いいえ、お気持ちだけで結構です」
衣玖が天子にお仕置きを加えているのに平然としている小悪魔
何か聞くことは無いのか!?
「あ、そうだ…どこから入ってきました?」
「私のバイクの後を追いかけたので見つけるのは簡単でした」
「門番については事情を話したらあっさりと通してくれましたよ」
まあそんな所、衣玖はバイクと天子を持っていき、さっさと天界に帰った訳です
後書き
もうバレバレですね、仕方ないね
実は前半が書きたかっただけだったり
イッちゃった天子を書くのが楽しかったり
最終更新:2009年01月03日 09:51