私の家にはまりさがいる。
家に来たばかりの頃は手の平に乗るサイズだったが、今や1・5メートルほどの大きさに成長したため、
庭に仮設小屋を建てて、そこに住まわせている。
床暖房完備だ。なにぶんゆっくりは寒さに弱いのだ。防寒対策はしておかなければならない。
そのため、電気代はバカにならない。
「おはようまりさ」
「「ゆっくりしていってね!!」」
実を言うと、巨大まりさの他にもう一人体付きまりさがこの小屋で一緒にすんでいる。
「いや、これから学校だからゆっくりもできん、これがな」
「「ゆがぁぁぁん!!」」
しかし、片方(体付きゆっくりまりさ)が途中からやってきたのに、見事にハモるコイツ等って相変わらず凄いな。
「まぁ、放課後になったらすぐに帰ってくるからさ? 夕方ぐらいまで我慢してくれ!
って、もうこんな時間!? 行ってきまぁす!!」
「「ゆっくりいってきてね!」
という声を聞きながら」
「ゆっくりできねぇ!!」
と返答をかえし、学校へと私は一路走っていった。
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「おにぃさんもたいへんみたいだね、まりさ」
『そぉだね、まりさ』
お兄さんの父母も仕事場に言ってしまい、プレハブ小屋に残った二人。
なんというか、判りにくいとお思いだが、前者は巨大まりさ、後者は体付きまりさである。
『あれ? なにかふくろさんがおちてるね』
「おちてるねぇ……、たいへんだよまりさ! これはたいいくぶくろだよ!!」
『たいいくぶくろ?』
「これをきないとにんげんさんはうんどうができないんだよ!
このふくろさんをもっているということはにんげんさんたちのうんどうのひなんだよ!!」
かなり語弊があるが学校の体育だけを考えると間違えてはいない考察をする巨大まりさ。
『ゆゆっ!それはたいへんだねまりさ! このままじゃうんどうできなくなっちゃうよ!!』
「とどけにいかないといけないね!」
『そうだね!』
二人ともお散歩の途中で学校は何度も通っているから行く事自体はお手の物だ。しかし、問題があった。
巨大まりさが持って行こうとすると袋はベトベトになってしまう。口で咥えざるを得ないから当たり前である。
『べとべとじゃふくさんをきるきにはなれないよ、まりさ!』
「それはこまるね!」
一方体付きまりさが持って行くにも問題があった。今度はまりさにとっては重すぎたのだ。
引きずっていくしかないのだが、それでは袋が破れてしまう。
『なにかかたいものがはいっているよ!』
「たぶんひつようなんだよ! どうしようまりさ!!」
『どうしようまりさ!!』
しばらく二人とも黙り込み
『そうだ!!』
と、体付きまりさは巨大まりさの頭によじ登り、袋をまりさの上に引き上げた。
「ゆっ?」
『こうすれば、ふたりでいっしょにおにぃさんのところにもっていけるよ!』
「あたまいいね、まりさ! じゃぁ、とどけにいこうね!!」
巨大になってもティンティンと軽い足音を弾ませ、まりさ達は学校へと跳ねていった。
(戸締りは体付きまりさが責任をもって行いました)
それにしてもこの箒を持っている体付きまりさがのった巨大まりさ、実にスライムナイトである。
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場面変わってとある高校。
「ヤバッ……」
本人はとてもとても困っていた。
「どうしたんだ?」
騒いでいる張本人を見てその友人は怪訝な顔をする。
「体育着……忘れた」
「今日テストだぜ?おめでとう、補習だな」
「うわぁぁぁぁ!! それはイヤだぁぁぁぁぁぁ!!」
「さぁてあと三時限後だなぁ体育………」
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
ということをやっていた。
ふと窓の方で何か騒いでる声がする。
「「ゆっくりしていってね!!」」
「おい見ろよ校庭に何かいる……ってゆっくりだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「デカッ!!めっちゃデカッ!! 何食わせりゃあんな大きさになるんだよ!?」
「頭に子供が乗ってるぞ!?」
「バカ、アレもゆっくりだ! なんというゆっくりナイト……」
「うん?運動着の袋持ってるぞ?」
それを聞いて、合点がいったのか、校庭へと走っていく影が一人。
「あぁっ! おにぃさんだよ!」
『そうだねおにぃさんだね!』
「よぉっし、まりさズ(複数形)! グッジョブ!!」
「「ゆっへん!!」」
二人して実に誇らしげそうであった。そして、また乗ったまま帰っていった。
まりさ達が帰った後、お兄さんが先生に少しばかり説教されたのは別の話である。
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「ただいまぁ」
「「ゆっくりおかえり!」」
帰ってきたら体つきまりさはまだ巨大まりさの上に乗っていた。よほどこのポジションが気に入ったらしい。
「良いのかまりさ」
「まりさのひとりやふたりもんだいないよ!!」
『もんだいないよ!』
「…飯の時はどうするんだ?」
『もちろん降りるよ!』
「それなら良し!」
このお兄さんも結構アレな人である。
「じゃぁ、散歩に行こうか」
「「ゆっ!!」」
今日も平和な光景だった。明らかに一部のゆっくりの大きさに違和感があるが。
「・・・・・・やっぱまりさ降りなさい。運動にならないでしょ」
『ゆがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!』
終わり
- ゆっくりないと が あらわれた! -- 名無しさん (2009-07-16 15:11:47)
最終更新:2009年07月16日 15:11