『夕闇の宴』

黄昏に満ちる黒い光と山をなぞる様に染まる怪しく鋭い赤い光の中、ゆっくりれみりゃが空を飛ぶ。

「うーうー!!」

ゆっくりれいむも空を飛ぶ。れみりゃに頭を鷲掴みにされて。

「がくがくぶるぶる・・・」

今日の獲物は見た目に美しく、何より活きがいい。とても元気に飛び跳ねていた。
今宵は妹と共に長く楽しめそうだと、れみりゃはとても楽しげに笑っている。

「い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あああああぁぁぁぁ!!!だ~ず~げ~で~!!!」

物を掴む時に出す足の下より聞こえる、震え泣き叫ぶ声になど耳に入ってはいない。
ただただ笑顔で獲物を我が家へ運ぶ、その姿は実に非常にして非情。
生と死の具現たる野生の情景だと自らの言葉に酔う滑稽な人間が叫び、
自然における弱肉強食の縮図と知識で妄想に溺れる人間が言う、この光景はれみりゃ自身にとって何も思うものなど無い。
ただ、彼女は人間が息をする事のように自然と行う事を何時どおりに行っているだけだ。

「うー!!!」
「ゆっ・・・ゆぅうぅぅぅぅ!!だ・・・だめだめ!!いやいやいやああああああああああああああ!!!」

しばらくの飛行ののち、目の前には岩肌にぽっかりと一つ、どこまでも深い黒が今宵も住人と共に獲物を喰らわんと口を開けている。
歓喜の声を一鳴きあげるれみりゃと対照的にその頭だけの身体を振りあらん限りの声を振り絞り、激しい抵抗を始めるれいむ。
足元でいっそう暴れ始めたのは、その黒が自分の終着駅だと気付いたからだろうか。
だがそんなことにかまいなどしない。れみりゃの足に捕まったものが容易に抜け出す事など出来ないのだ。
その上、この空中で彼女を邪魔する事はそう出来るものではないし、さらには出来ないように場所を吟味した上であの穴を選んだのだから。

さあ、もうすぐ楽しい楽しい宴の時間だ。そうだ、家臣もその場に同席させよう。間違いなく宴にさらなる華を咲かせるはずだ。

「♪~」

感情と共にその場景への展望が膨らめば膨らむほどにれみりゃの口から自然と歌という形で流れ出る。

「・・・」

そんなれみりゃとは反対に、もはやれいむからは泣き叫ぶ声も暴れる動きすらも無くなった。
これから自身に降りかかるであろう、夜の饗宴を想像してしまいあげく思考を捨てた木偶となってしまったのかもしれない。
しかし、れみりゃは笑顔のままそんな浅はかな逃避さえも許さないとばかりに勢い良く足を振って瞬間、れいむを離した。

「ゆ゛っ!!!」

黒い黒い深淵の中に投げ込まれ、顔から地面に叩きつけられ、跳ね、転がり、岩盤にぶつかる事でようやく止まることができたれいむ。
怪しげに灯火が揺らめく穴の奥、突然の衝撃に今における事態が何事かを忘れられていたであろうれいむの顔は普段の強気の表情を見せていたが、
そんなれいむの前に三つの頭だけでありながら、いや、頭だけでも十分にその威容を感じさせる影が迫ってきた!!

「「うーうー!!」」「こーまかんにいらっしゃいませ~!!ゆっくりしてくださいまし!!!」
「ぷっくうううううぅぅぅ!!!ぷんぷん!!!もう!!れみりゃ!!もっとひくくとんでね!!!あとおうちになげこまないでね!!!」
「うー・・・。」
「ゆ!!はんせいしてね!!でもれみりゃ!!きょうもゆっくりしていくね!!!すりすり~!!」
「う・・・?うっう~~~!!!」

妹のゆっくりふらんと、何時も一緒のゆっくりさくやと共に大大大好きで、とっても仲良しなれいむと遊ぶれみりゃの楽しい楽しい時間が始まった。
れいむもれみりゃとすりすりし終えると改めて皆に何時ものご挨拶をし、信頼の証であるすりすりでふらんとさくやにも親愛を表してから楽しく遊び始めたのだった。
れいむが怯えていたのは単に高所恐怖症気味なのと、このれみりゃは何時も最後に乱暴に投げ込む癖があるのでそれが嫌なだけでしたとさ。
ちゃんちゃん♪                                                      即興の人

  • ゆがーん!!
    また、騙されましたーww
    即興の人さんのお話は、楽しくて大好きですよー!
    今度は、長いお話も読んでみたいです♪ -- ゆっけの人 (2009-01-17 11:37:19)
  • れいむ食われろよWw -- 虐殺だぁ (2009-11-02 07:45:55)
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最終更新:2009年11月02日 07:45