少年は何日もまともな食事にありつけていなかった。
何とかなけなしに購入できたパンを大事に抱えて家路についてた時、そのゆっくりと出合った。
人間に迫害されたのか、自然の脅威に晒されたものか、道端で傷だらけになりながら、ゆっくりは誰が見ても虫の息だった。
情けや同情で、無責任に生物に手を差し伸べるべきではない―――
しかし、少年は見捨てることなどできなかった。所々破れて薄っすら餡子の出た皮に、自分を重ねてしまったのかもしれない
無言で差し出したパンを、「むーしゃむーしゃ」も「しあわせー」の一言もなく、もくもくとゆっくりは全部をたいらげ―――起き上がると、無言で横の林へと逃げていった。
その次の日の明け方。
戸を叩くものがある。出てみると、昼間の傷だらけのゆっくりだった。どうやってここにたどり着いたのだろう
「きのうはありがとうね!!!」
それだけ聞くと、そのまま戸を閉じようとしたが、ゆっくりは無理やり中に入ってきた。
「何かお手伝いさせてね!!!お礼をしたいよ!!!」
少年は笑って頭を振った。その気持ちだけで十分だと月並みに断った。それは―――頭だけのゆっくりに、貢献できる事など殆ど無いという事。少年はそれを直接は言わなかったが、ゆっくりは自分でもよく理解していた。
彼が何を欲しているのかは、絶えず鳴っている腹の音を聞いて解っていた。ボロボロのややグロテスクな自分の姿と、容赦なく叩きつける寒波。目の前でぱちぱちと燃え爆ぜる囲炉裏。空腹の少年
ゆっくりは意を決した。
「――――暖かい内に食べてね。残さず食べてね。焼き饅頭だよ!!!」
少年が止める間もなく――――その小さな体は炎の中へ――――
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____」____ゝ'´/':\ /| ゆっくり昔話 ver.1007
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<Y---r二二二二ハ.フ. |
,.L__:::::|::::i::::L-」::l::7> | 少年はその後村の長者になったとさ
/  ̄' 'ー---─' `ヽ. | ―――というお話があるんだよ
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i i !/ア!-;!、ハ:::::::ハ-!、.i . i. |
| ハ .! (ヒ_]' レ'ヒ_ン;!、i i | |
| i レ' !"" ,___, ""/レ'ヽ! <
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.レ\ ,.イ`ヽ:::::::::::::ハ::::::::::::ハ、 |ノ }>!|,イ〒イヽ! |<{
―――というお話を、車内で盗み聞きしていた僕は、早速実践してみる事にした。
何、実際に食うわけじゃ無し。
しかし、ゆっくりが家に恩返しに来てくれるなら、やってみる価値はあるだろう。
何だってしよう。
しかし、腹を空かせたり迫害されたり、自然にいじめられて息絶えそうな野良ゆっくりなど、探す方が難しいだろうというこのご時世。おまけに季節は春。
仕方無しに公園に行ってみたら、いるわいるわ。子どもと戯れるゆっくり達が。波長があうためか、全力で人間の赤子と遊んで転がりまくっている中に、虐げられ救助を要する固体などどこにも――――と思っていたら、ほっぺを両方つねられ、本気で泣いているれみりゃがいた。
「これこれ、嫌がっているからやめなさい」
ちょっと昔話のようにはいかなかったけれど―――
その日の夜。就寝2時間後―――人間が一番起きるのが苦痛な頃に、それは訪れた。
「こんばんは」
いつの間にか、机に蝋燭を灯し、見た目の年齢からは想像もつかない程のカリスマと色香を持った少女が、両手で顎杖をついていた。
「昼間はしつこい赤ちゃん達から話してくれてありがとう」
「い、いえいえ………」
昼間聞いた仏教系説話のパターンではない―――どちらかというとジャパンの民話に似た話があったぞ?と、するとこれは―――
「見た目は違うけど、私は昼間のれみりゃよ」
「は、はあ…………」
「それじゃあ、優しい人間のあなたに敬意を表して―――」
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rー-、,.'" `ヽ、. いないいない・・・
_」::::::i _ゝへ__rへ__ ノ__ `l
く::::::::::`i ,へ-'‐' ̄ ̄`,へ ト-、__rイ、
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ハ〈{_ ノ } _」i_ { ! _ } )> i
ノ /⌒Y⌒Y´ `⌒Y⌒Y´, i ヽ
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⌒Y⌒Y´ノ /l ハノ i ヽ⌒Y⌒Y´
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ノ レ^ゝi>.、.,_____,,...ィ´//レ'ヽハヘノ
―――完―――
- ゆっくりまねした結果がこれだよ‼ -- 名無しさん (2009-02-16 18:00:22)
- dokoga
色香じゃああああああ!!!!
-- 名無しさん (2011-05-04 10:00:16)
- よいぞ!! -- 名無しさん (2012-06-12 21:24:46)
最終更新:2012年06月12日 21:24