『海水浴』
『お兄ちゃーん、私の水着知らなーい?』
リビングでまりさと寝っ転がっていると、2階から妹の声がした。明日の海水浴の準備をしているのだろう。
「宇宙のハテを知らねーようにお前の水着なんざ知らねー」
『ホントー?洗う前のをこっそり盗んで匂い嗅いだり舐めまわしたりしてないー?』
「してねえよ!どんな変態だ!」
というか、そんな発想を平気な声で(しかも大声で)話すのはどうかと思うぞ…
まりさは「?」といった顔をしている。いいんだ知らなくて。お前は純粋なまま育ってくれ。
『あー、あった。あったよー。お兄ちゃんの部屋にあったよー』
「嘘つけ!」
少しして、「うそウサ☆」などと言いながら降りてきた。
何がウサだ。うっさい。ウサなだけに(あれ?俺いま上手いこと言った?)
「なにしてたの?」
「水着探してたんだよー。明日の海水浴の準備♪」
「かいすいよく?」
「海行くんだよ。明日。お前も聞いてたろ。忘れたのか?」
まりさはしばらくぽーーー…っとした顔をして、
「知ってたよ!」
と言った。絶対忘れてたなコイツ。
「あれ?でもそういえばゆっくりって水に入ると溶けちゃうんじゃなかったっけ?」
「そういう迷信を信じちゃダメだよ!」
あったな、そんな噂。やれ辛いものを食うと死んじまうとか水に長時間浸かると溶けちまうだとか。
…ん?でも待てよ
「溶けないのはまぁいいとして、お前のタッパじゃすぐ溺れちまうんじゃないか?」
言われてまりさははっとなった。
そう、頭だけのコイツは20センチも水深があれば完全に口がふさがる。
鼻は…あるのかどうかすらわからんが、それでもそんなに差は無いだろう。
「ゆー…」
「水に浮かんだり出来ないのか?」
「できないよ!」(ゆっへん!)
「威張んな」
浮き輪を使うのも考えたが、やめた。ひっくり返ったら即おぼれる。
「あ、そうだ。たしか物置にちっちゃい酸素ボンベがあったよね」
………あったな。うん。そういえば、あった。なんであるんだろ。そんなの。
「そんなモン使うのか?いくらなんでも…」
「でも、まりさだって海入りたいよねー?」
「ゆー♪」
…まぁ、確かに入れないまりさほったらかして自分達だけ遊ぶってのも面白くないな。
「しょーがねえな…じゃあ俺はゴーグル探してくる」
「うん、頼むねー。私はボンベ取ってくるよ」
…とは言ったものの、ゴーグルが見当たらない。あるにはあるが、あの頭でっかちが付けられるような
代物じゃあない。ん?なんかデジャヴュを感じる。
「あれ?ゴーグルは?」
「いい大きさのが無くてなぁ…」
そう言いながら妹の出てきた物置に目をやる。
と、『あるもの』が目に入った。
「これって確か、なんだったかのイベントで親父が着てた…」
「あぁ、ロボットの着ぐるみ?そういえばお母さんが次のゴミの日に捨てるって言ってたね」
「ちょっと加工すりゃ使えるかもな…よし。やってみるか」
やってみた。
がんばった。
で
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::::::rー''7コ-‐'"´ ; ', `ヽ/`7
r-'ァ'"´/ /! ハ ハ ! iヾ_ノ
!イ´ ,' | /__,.!/ V 、!__ハ ,' ,ゝ
`! !/レi'■■■【 】■■ レ'i ノ
,' ノ !' ' i .レ'
( ,ハ工工工〔|三|〕工人!
,.ヘ,)、 )>,、 _____, ,.イ ハ
こうなった。
「…」
「…」
「…」
ビキュゥゥゥゥン…という音を立て、モノアイが発光する。
…光るギミックなんか仕込んでないぞ、俺は。
「……………………お兄ちゃん」
デジャヴュ。
「私たち、間違ってないよね…………………?」
「…………いや、今度ばかりはどうかと思う…………」
『………次のニュースです。
[ゆっくり達に次なるブーム!?ロボットコスプレが大流行]
アニメに出てくるロボットの格好を真似たゆっくりが最近増えています。中でも人気なのは
モビルスーツと呼ばれる種類のロボットで、コスプレ用の衣装を商品として売り出す動きも見られるようです。
以前の強盗ルックといい、本当にゆっくりの考えることはわかりませんね…。続いて株価の値動きです』
-End-
- 光るモノアイで笑った。何気にこのシリーズ大好きです -- 名無しさん (2009-09-28 00:57:19)
- ゆっくりの脳内を調べてみたい -- 名無しさん (2010-06-13 19:21:54)
最終更新:2010年06月13日 19:21