(この話は甘甘イジメです。ガチ甘好きな方はご遠慮ください)
ほんめーりんのひそかな楽しみ その2
ほんめーりん×ゆっちゅりー 甘甘時計責め
「んっきゅ、んっきゅ」
庭木の木陰で、ゆっちゅりーことゆっくりぱちゅりーが動いている。
「んっきゅ、んっきゅ」
その場にとどまったまま、のけぞったり、低く潰れたり、のけぞったり、潰れたり。
かけ声に合わせて、しきりに上下している。
何をやっているのかわからないが、紫色のぽわんとした形の彼女が、いっしょうけ
んめい動いているのは、なかなか可愛い。
その有様を、門外で立哨している美鈴が肩越しにちらちらと見ている。その顔はて
れーんとした幸せ顔だ。いささか職務怠慢である。
「んっきゅ、んっきゅ」
ゆっちゅりーは熱心に動き続けている。一人で集中しているふりをしているが、本
当にそうだったら小屋の中でやるはずだ。
これは声をかけてもらいたがっているのである。美鈴はそれがわかっているのでて
ろてろ顔なのである。
「パチェさまパチェさま」
「きゅっ? いまっ、わたしは、いそがしいのだけどっ」
さもうっとうしいとばかりに返事をする。しかし声をかけなければそのうち怒り出
すことを美鈴は経験から知っている。
美鈴は続ける。
「何をなさっているんですか?」
「うんどうよ!」
んっきゅ、んっきゅと伸び縮みしながら、ゆっちゅりーはもっともらしく言う。
「わたしはしょこにこもりきりだから、いささかびょうじゃくなのよ! たまにはこ
うして、体力をつけるひつようがあるの!」
ゆっちゅりーのいう書庫とは、門番小屋の押入れのことである。そこに彼女は、美
鈴が与えた童話やら子供向けの図鑑やらを、後生大事に溜め込んでいる。
「なんという運動ですか?」
「これはっ、んっきゅ、くっしんよ! きゅっ」
「くっしんというとどんな運動ですか?」
「そんなこともしらないの? まったく、めーりんはものをしらないわね!」
「すみません、不勉強で」
「いいわ、おしえてあげる。くっしんというのは、あしを伸び縮みさせることよ!」
どう見ても顔である。
足ではなく顔だ、伸び縮みしているのは。
びにょんぽにょん、びにょんぽにょん。
本人は大真面目である。美鈴は笑いをこらえて続ける。
「はぁー、そうですか。それが屈伸なんですねぇ」
「そうよ! んっきゅ、んっきゅっきゅ」
ゆっちゅりーは今まで自分から運動などしたことは、ただの一度もない。
またぞろ子供向けの雑誌か何かで、無用な知識をつけたのだろう。
かと思うと、五分もしないうちに動きを止めて、はぁはぁと荒い息をし始めた。
所詮ゆっくりだから、スタミナもたかが知れているのだ。しかも彼女は喘息持ちの
生クリーム饅頭なのだから、まともに運動などできるわけがない。
だが美鈴はそんな情けないゆっちゅりーが大好きだった。
「朝のうんどうがすんだわ! これで血のめぐりがよくなったわ!」
「そうですねえ、お疲れ様でした」
「うんどうのあとには、あまいものをたべるといいというわ」
ゆっちゅりーは美鈴を見て、わざとらしく言う。
「ねえめーりん、ひょっとして、何かあまいものがなかったりしない?」
なかったりしないどころではない。門番小屋の台所に、昨日買ったお菓子が置いて
ある。
「そうですねえ、あったような気もしますけど」
「あらあらおぼえていないの? おしえてあげるわ、お台所にマシュマロがあるのよ!
わたし、あれをゆっくりとたべたいわ!」
「でも、パチェさまの分は昨日もう差し上げたと思うんですけど」
「むきゅっ!? そ、そうだったかしら?」
あわてたように小さく飛び上がって、しらじらしく目をそらす。
「よくおぼえていないわ! だって、あれはもうきのうのことなんだもの!」
ついさっき人の記憶力にけちをつけたかと思えば、もうこの言い様である。しらばっ
くれるにもほどがある。
ゆっちゅりーは何かを期待するようにちらりと美鈴を見て、言う。
「めーりんだって、わすれたのでしょ? あてずっぽうで言ってるのじゃない?」
美鈴の笑みが深くなる。握り締めたこぶしの周りで、気が陽炎を作る。
その手を広げて、ふっと肩をすくめてから、美鈴は言った。
「もう十時を回ってますしね。おやつにしましょうか」
「そうね、ゆっくりとやすむことにするわ!」
美鈴は手近の妖精に、休憩に入ることを告げると、ゆっちゅりーを抱き上げた。
「おやつ♪ おやつ♪ たのしみねっ♪ きゅっ!」
紫髪のゆっくりが、腕の中でぽよんぽよんと体を揺らす。それにつれて美鈴のふく
よかな胸も、ぽよんぽよんと持ち上げられる。
美鈴はにこにこしながら門番小屋にあがり、居間の卓袱台にゆっちゅりーを置いた。
そして、台所から菓子箱を持ってきた。
中には指先ほどの大きさのマシュマロが数十個。
二人はうっとりとそれに見入る。
「おいしそうですねえ」
「そうね、ふんわりぷにぷにね! おくちに入れたら、甘ぁくとろりととけてしまう
のよね!」
つかの間、宙を見上げてうっとりとしてから、美鈴は我に返って箱に手をつけた。
「ええと、三十個ありますね。パチェさまは昨日二十個も食べちゃったから、今日は
五個だけです」
「きゅっ!?」
鋭い動きでゆっちゅりーが振り向く。こういうときだけは、ゆっくりとは思えない
ほど速い。
「それはおかしいわ! こんなにたくさんあるのに、五こしかもらえないなんて!」
「でもパチェさま――」
「いえ、ダメ。ダメよ! わたしはもっともっと、もらえるはずなのよ!」
激しく頭を振って否定する。さすがゆっくり、食い意地の張りっぷりは人後に落ち
ない。
もちろん美鈴は笑顔でイラッと来たが、ゆっちゅりーの性格はよくわかっている。
すぐにいい手を思いついた。
壁を見上げて時計を確かめてから、何食わぬ顔で箸を取って、ゆっちゅりーの前に
取り皿を置く。
「じゃあ半分の十五個ずつです。ひとつずつ数えますね」
「むきゅ、はやくしてね!」
「いいですか? ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ、いつつ、むっつ、いま何時です
か?」
唐突に顔を上げて聞く。面食らいつつもゆっちゅりーが時計を見上げる。
「むきゅっ? う、ううんと、あれは……とおよ! じゅうだわ! じゅう時!」
「十ですね。十一、十二、十三、十四、十五、と」
箸を置き、組んだ指にあごを乗せて、美鈴はにこにことゆっちゅりーを眺めた。
「さ、どうぞ。十五個です」
「じゅうごこ……といえば……」
「三十個の半分です」
「いわないでちょうだい! ゆっくりとかんがえていたのだから!」
ほっぺたをぷっくりと膨らませ、もちもちとした体を震わせて、ゆっちゅりーが怒
る。あらすみません、と美鈴は謝る。
「とりけして、もういっかいよ!」
「はいはい。さあ、十五個ですよ」
「じゅうごこといえば……三十個のはんぶんね!」
「おっしゃるとおりですパチェさま」
「ふふん、それぐらいのことはかんたんにわかるのよ! だってわたしは、とてもち
てきなのだから!」
そう言って、上機嫌でゆっちゅりーは十二個のマシュマロをはむはむと食べにかかっ
た。その有様を、美鈴は赤ん坊を見るような優しい目で見ている。
しかしゆっちゅりーは全部食べてしまわず、途中でふと口を止めて、箱の中を見た。
「あら?」
「なんでしょうパチェさま」
「のこっているほうが、おおいのじゃなくて?」
「そんなことはありませんパチェさま」
「そうかしら……ううん、ううん、おおいわ! あなたのほうがおおいわよ! めー
りん、どういうことかしら!」
笑いをかみ殺しながら、美鈴は箸を取る。
「多くありませんってば。じゃあこれからひとつずつ数えますからね?」
「ええ、そうしてちょうだい! これじゃあゆっくりできないわ!」
「じゃ、行きますよー」
箱の中のマシュマロを、美鈴はひとつずつ皿にとっていく。
「ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ、いつつ、むっつ、ななつ、やっつ、ここのつ、
いま何分ですっけ?」
「きゅっ!」
ゆっちゅりーはまたもうろたえつつ、時計を見る。が、ここでも彼女はゆっくり
のおろかしさを露呈した。
「ながいはりが……ななだわ。ななふんよ!」
三十五分を差す時計を見て、勝ち誇ったようにゆっちゅりーは言った。
もちろん美鈴は訂正しないし、種明かしもしない。
「七ですね。八、九、十、十一、十二、十三、十四、十五、と」
十八個のマシュマロを並べ終えて、美鈴は箸を置いた。
「ね」
「むきゅっ?」
「十五個です」
「む……むきゅ……」
「パチェさまと同じですね?」
ゆっちゅりーは答えない。自分と美鈴のマシュマロを忙しく見比べている。
だが自分のほうはすでにいくつか食べてしまったし、美鈴の皿に乗っているのは十
八個ものマシュマロだ。それはゆっくりにとって、天文学的に大きな数である。
「いち、にい、さん……いち、にい、さん……し……きゅう、きゅむぅぅん」
見る間にゆっちゅりーの顔が真っ赤になった。ゆっくりの能力を超える問題にぶつ
かってしまい、知恵熱が出てきたのだ。
「あっちが……じゅうごこで……わたしのも……じゅうご……あぁん、あきゅっ、あ
きゅうん、きゅぅうぅん!」
震えながら必死に思考していたが、限界を超えてしまったらしく、ついにぐるぐる
と目を回してしまった。大きすぎるバケツプリンのように斜めに崩れて、口の端から
てろんと生クリームを漏らす。
それを見つめていた美鈴は、肩を抱きしめてぶるっと震える。
「ああん、パチェさま、またこんなに簡単に逝っちゃって……♪」
オーバーヒートしたゆっちゅりーを抱き上げて、冷蔵庫に入れてやる。しょせん生
クリームの生き物なので、冷やせば簡単に生き返るのだ。
やがて冷蔵庫がごとごとと揺れ始めた。美鈴はその前にしゃがんで、扉を開けてやっ
た。
「大丈夫ですか、パチェさま」
「……ゆっくりとなおったわ!」
いささか不機嫌そうな顔で、ぽよんっ、とゆっちゅりーは出てきた。むきゅむきゅ
はいずって卓袱台へ向かう。
「もう、めーりんはつかえないんだから! わたしがむずかしいもんだいを かんが
えてあげたのだから、かんしゃしてね!」
「あいすみませんパチェさま。それで、検算はお済みになったんですか?」
「え、ええ、まあね! もんだいはなかったようよ!」
きゅっ! とふんぞり返るゆっちゅりーを、再び卓袱台の上に戻してやると、美鈴
は自分のマシュマロを三つばかり、ゆっちゅりーの皿に移してやった。
「ほんと、パチェさまがいると助かります」
「む、むきゅっ? これは、くれるのかしら?」
「ええ、少ないですけど」
美鈴がそういうと、ゆっちゅりーはにこっと笑顔になって言った。
「ゆっくりしてってね!!!」
「えええ、それはもぉ……ゆっくりしてますとも」
美鈴はぽわぽわにとろけて、膝をぎゅっとすり合わせたりなんかする。
当のゆっちゅりーは、思わず本能の叫びが出てしまったことに気づいて、そっけな
く顔を背けるのだった。
「い、いまのはなんでもないのよ! いみのないこえでしかないの!」
「はいはい、心得てます」
赤いほっぺのゆっちゅりーを、こちょこちょ撫でる美鈴だった。
fin.
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最終更新:2012年07月25日 20:16