美味しくも高糖のオカシ

【バレン夕イン企画】


「なん…だと…!?」

お風呂上り、体重計が示した数値を見て私は愕然とした。
増えている。
前回見たときよりも明らかに増えている。誤差で済まされる範囲ではない。
目の錯覚かと思って20回ほど量りなおしたが結果は同じ。
増えている。
増加している。
上昇傾向にある。
つまり…

太 っ た 。

なんということだ…絶望した!変に燃費のいい自分の体に絶望した!
などと真実を受け止めきれずにこんな → OTZ  格好で固まっていると、
こちらに跳ねてくる丸いのがひとつ。

「おねえさん!おふろあがったの?」

ウチで飼っているゆっくりれいむだ。
いいな、あんたは。悩みなさそうで。

「おふろあがりに…さあ!おたべなさい!」

そう言ってれいむは腹…だか顎だか、とにかくそのあたりをこちらにずずいと突き出してきた。
…そういえばここんとこずっと言われるがまま食べてたっけ。
この子、けっこう飽きないおいしい味してるし、「おいしい」って言うと得意げな顔で
「ゆふふふ」なんて笑うもんだから、それがかわいくて毎日のように…つまり…

お ま え か 。 原 因 は 。

れいむはさっきの体勢のまま「たべてもいいのよ?」と言った視線をちらちらこっちに向けている。

「あー…その、れいむさんや。今日はいいわ、うん」
「ゆ?どうして?」

理由?ははっ、言えるか。

「そこはまぁ乙女の秘密ってことで…とにかく今日はいいから!提供、御馳走、一切無用!」
「ゆぅぅ~ん…えんりょしなくてもいいよ?」

ゆんゆん言いながらたべてたべてと擦り寄ってくる。ああもう、かわいいなこやつめ、フハハ。
しかし私の脳裏にはさっきの数字が焼きついて離れない。食べるわけにはいかない。

「こうなったら、いじでもたべさせるよ!じつりょくこうしだよ!」

なにがれいむをそこまでさせるのか、大見得を切った。

「実力行使って…何するつもりよ?」

頭だけで動きもゆっくりなれいむにはたして何が出来ると言うのか…
そう思っていると、れいむは30°くらいまでうつ伏せに頭をかたむけ、リボンをこちらに突き出してきた。

「ふぁんぐ!」

れいむのその叫びとともに、リボンの中から一口サイズの饅頭が10個くらい飛び出し…

「…って嘘ぉ!?」

飛び出した饅頭は自由自在に宙を舞い、様々な角度から私の口目掛けて飛来する。

「何この能力!?」

この子らの大抵の理不尽には慣れたと思っていたが、甘かった。(饅頭だけに)
私は四方八方から飛来するプチ饅頭を必死でよける。
…この饅頭、よく見ると何か粉のようなもの(小麦粉かなにかだ)を噴出しながら飛んでいるらしく、
床がどんどん白く染まっていく。
掃除するの私だぞ。ちくしょう。

「うわっ!?」

…などと余計なことを考えていると、いつのまにか足元に潜り込んでいた白玉を踏んづけてしまった。

(白玉!そういうのもあるのか…)

などと考えるヒマも無く私は盛大にずっこけた。饅頭が下に先回りしてクッション代わりになったおかげで
どこも痛くはならなかったが、

「もふ…」

私の口には饅頭ひとつ、すっぽりと。
れいむは仰向けに倒れている私の胸の上にぴょいと飛び乗り、得意げな笑みを浮かべる。

「ゆふふふ…………さあ、おたべなさい!」

わかりましたよ。食べりゃあいいんでしょ、食べりゃ。
観念して饅頭をもそもそ食べながら、頭を動かして壁にかけてあるカレンダーを見た。

(2月か…)

まだ寒いけどダイエット、がんばろう。
明日から。

―End―













































書いた人:えーきさまはヤマカワイイ


バレン『タ』イン?作者当て?なんのことです?



  • ふぁんぐ吹いたwww -- 名無しさん (2009-05-29 15:02:56)
  • 孤独のグルメパロワロタw -- 名無しさん (2009-06-04 11:49:27)
  • 今更ながらタイトルの意味を理解した、ふぁんぐが出る訳だ(笑) -- 名無しさん (2010-05-25 14:15:59)
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最終更新:2010年05月25日 14:15