「ゆっくりキューピット略してゆーピット!」
「ゆっ!ゆっ!」
れいむは行き勇んでピョンピョンと飛び跳ねている。その後ろをゆっくりと俺は歩く
今回、れいむは『ゆっくりできるばしょ』に招待してくれるそうだ
何故に、と最初考えたがなんでも今までのお礼にだそうだ。可愛い奴め。
……に、してもこんな草木が青々と茂った森にゆっくりできる所などあるのだろうか
まぁ元々野生だったコイツだ、前の住処かなんかかもしれんが。
その事を聞くと俺の方を向き
「だいじょうぶだよ!!お兄さんもぜったいゆっくりできるからね!!!」
フン、と自信に満ち溢れた顔と共に鼻息が出る。
「そうか。で、後どれくらいで着くんだ?」
「んー……わかんない!」
「……はぁ。」
俺のため息と同時に、れいむは前へ向き直り弾み始めていた
「ここだよ!!!!!」
れいむは俺の方を見てそう言った。目の前にあるのは質素な家
ボロボロと言う事も無いし、無人と言う訳でもなさそうだ。
……まてよ?
「お前まさか『ここはれいむの家だよ!!!ゆっくり出てってね!!!』って……」
れいむを持ち上げて頬を引っ張る。俺の家に出現した時もそうだった
俺が文句を言う前に『ここはれいむの家だよ(ry』と自分の家宣言を選手宣誓のように
爽やか且高らかに言い放ってくれた。
だがこのれいむは素直な奴で、俺の説得で自分の家では無いと分かってくれた。
だがおかしい、普段なら家を乗っ取るのは群を組むゆっくりだ、コイツは一人(?)。理由を聞くと
俺の家に来る前に、れみりゃに襲われてしまったらしい。……ふむ
「だったら俺と一緒に暮らさないか?」
そして俺とゆっくりの同棲生活が始まった。どーせ一緒に暮らしてくれる女なんていないだろうしさっヘンッ!
「……ん、……おに……おーにーいーさーん!」
声と共にハッと我に返る。生暖かい汁が手にかかっていたが、れいむの涙だとわかった
「悪かった悪かった」
ぱっと手を離し、れいむは地面に着地する。同時にぷくーっと頬が膨れあげさせている
「あの?」
いきなりかかった声に振り返ると、開いた戸の前に女性が居た。その足元にはゆっくりまりさが
何事かと不思議そうにこちらを見ている
「ゆ?まりさーっ!」
さっきまでのふくれっ面はどこへやら、れいむはまりさの元へ駆け寄る
その姿はものの見事にゆっくりしていない。
「こられいむ!」
俺はれいむに一喝するが、こうかはないみたいだ……
「れいむー!」
女性の足元にいたまりさは先ほどのれいむの様に駆け寄る
まるで生き別れの親と子が、恋人同士が久しぶりに会ったかのような感動の再開だった。
ん?恋人同士……生き別れ……
「ゆっ!おにーさん紹介するね!れいむの恋人のまりさだよ!!!」
いきなりの恋人宣言に驚いたのか、まりさは赤くなり、帽子を深く被りながら
「ゆー……ゆっはじめまして!!……ゆっー!れいむ!
今度はお姉さんに挨拶してもらうからね!」
俺の返事を聞かず、まりさは戸の前でにこにこしながら立っているお姉さんとやらの
方へ向かい、同じような挨拶をする。
なるほど、大体理解『可能』。れいむはれみりゃに襲われたとはいったが群を組んでいたとは
言っていない。まりさと二人だけ、番だ。れみりゃに襲われた際にわかれ、恋人のまりさは
女性と暮らしていた、と言う事だ。
「ゆっきゃゆっきゃ!」
挨拶の終わったれいむとまりさは、庭でかけっこをしている。そんな様子を俺と女性は縁側で見ていた
「楽しそうですね」
女性はどうぞ、と茶の入った碗を俺の近くに置き座る
「ええ、今までれいむの色々な笑顔をみてきましたが……ここまで幸せそうな顔は見た事ありませんよ」
失礼します、とその茶を飲む、少し苦いがみょんに甘みのある美味しい茶だった
「ところで、どうやってれいむと貴女のまりさは会ったんです?」
「えっと……彼方のれいむちゃんが森の中に迷っちゃったみたいで、迷ってる中まりさが
れいむちゃんを連れて、私の家に帰ってきたんです。」
そういえば少し前帰りが遅かったことがあったが……まさかそんな理由が会ったとは思わなんだ
「じゃ、何かお礼を……」
言い掛けた時、れいむとまりさは俺と女性の前で
「ゆ!お兄さんとお姉さん恋人どうしみたいだね!!!」
「本当だ!ひゅーひゅー!」
れいむが言い、まりさが囃し立てる
「もう!何言ってるの!す、すみません」
俺の方を向き、女性は仄かに顔を赤くして謝る。
……なんだかオラワクワクしてきたぞ
「あ、いえ俺の方こそ!……それじゃ、そろそろ帰りますね」
「ゆー?れいむもっとゆっくりしていきたいよ!」
ぶーたれているれいむだが、まりさは
「おにいさんもれいむもまたゆっくりきてね!」
良く育てられているのか、れいむとの別れを少し惜しみながらも挨拶をしてくれている
「はい、よかったらまた来てください。美味しいお茶受け用意しますね」
遠巻きに手をふる女性を見ながら、俺は家を後にした
「…………れいむ、よくやった。」
夕日の映える中、俺はれいむの頭を撫でる
「ゆ?お兄さんゆっくりできたの?」
「ああ、すっごくゆっくりできた。ありがとうな。今日はご馳走だ!」
「ゆっーごちそー!」
本当に、れいむも俺も、ゆっくりできそうだ。
ゆっくりキューピット、略してユーピット!
おわれ
- これはいいゆっくりの仕方 -- 名無しさん (2008-07-29 09:45:16)
- ゆーピット…。いいですねぇ -- 名無しさん (2009-03-18 15:06:06)
- うふふ -- 名無しさん (2010-11-28 01:53:50)
- このあとの展開、 オラワクワクすっぞ!! -- 名無しさん (2012-12-13 21:41:36)
最終更新:2012年12月13日 21:41