ゆっくり愛で小ネタ162 満員電車

私とれーむは満員電車に乗り込みます、朝の満員電車は特に思い遣りが無いから嫌なんだよなぁ…。

「ゆっ、おねーさん! 大丈夫、れーむがついてるよ!」

何がどう大丈夫かはわかりかねますが、れーむが言うのなら百人力です。と、電車が止まりこの駅に降りる人がいるみたいです。
私のいる場所はちょうどドアが開く付近ですので一回降りた方が賢明ですね。
私は電車を降りてドアの左端に止まり、もう一度電車に乗り込もうとしました。その時!

(え、乗るスペース無いじゃん!)

「ゆう、これじゃあ乗れないよ!」

なんと、先程まで僅かに確保していたスペースが埋まっているでは無いですか!
いや、埋まったという表現は適当では無いですね。ドア中央の親父の所だけ妙に余裕があります。その親父の前にはぺちゃくちゃ喋っている男子高校生二人が!
詰めろよ! この野郎!

私は泣く泣くきつきつな事この上無い電車のドア上に片手で捕まりつつにさらに車内を押して電車に乗り込みます、そんな白い目で見ないで…!
なんとかれーむと共に押し乗り安心した、やはりその時でした。

ガシャン、とやや物騒な音を立ててドアが閉まります。
すると、どう考えてもれーむが車内に収まっていない事に気付き、このままでは挟まってしまうでは無いですか!

ゴス! プシュー…。と、嫌な音がしました。
同時に、れーむを持つ左手の感触が引っ張られるような、なんとも言えない感触になんとも言い難い気持ちにせめぎられます。
ついでに『ゆ゛、゛ゆ゛っ゛く゛り゛!゛』と心がえぐられる様な声も聞こえた様な気がします。

恐る恐る目線を下に向けてれーむを確認してみると、そこには案の定鞄が、いや。
頬がドアに挟まっているれーむの姿がありました。

挟まれてもいつもの得意気な表情を崩さずにいられるのは凄いと思いますが、れーむの頬がドアに引っ張られ寄っていて、非常にシュールです。
ふと、電車がガタンと揺れて思わずれーむを支えていた左手を離してしまったのですが、れーむは頬が挟まったままぴくりとも動かずにそこに挟まったままでした。表情も変えないままです。
ゆっくりの皮って、丈夫なんだなあ。

ようやく次の駅に着き、ドアから解放されたれーむですが『う゛え゛え゛え゛!゛!゛!゛ お゛う゛ち゛帰゛ゆ゛!゛!゛!゛』ととたんに泣き出してしまいました。
一旦駅を降りて震えるれーむをあやしながら降りた駅にあった喫茶店に入り、一緒にパフェを食べてゆっくりしたのはまた別のお話。

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最終更新:2009年03月09日 16:46