彼女に振られ、試験にも落ちた僕は、きっと日本で5本の指に入る冴えない男。
そんな日に限って、今日は地元の縁日と来たものだ。
祭日でもないのに、温度差が悔しい。
むしゃくしゃしながら銭湯に入ったが気持ちは変わらない。気分を何とか一新させようと---
普段通らない脇道から行こうと思ったのが、全ての始まりか。

「おや?」

普段注意しなければ気付かないところはあったが---見たことも無い店が一軒


「香霖堂」


と看板にはある。
はて、と入ってしまった。こんな所にあったかなあ?
中にはまだ若い主人が一人。古道具屋のようだ。トランスタラジオに、FC,、ゲームボーイの初代まで。
最新のものがこれで、後は文化遺産クラスだ。


「いらっしゃい。珍しいお客さんだ」


珍しいって?
と、目に付いたのは-----


「おお!!!」


「かっこいいまりさ」と「かわいいれいむ」じゃないか!!!今じゃ、東南アジアか、ロシアンマフィアが好み
過ぎて、裏でしか販売されていないという・・・・・・!
あまりかわいくない上に、乱暴者で知られる「かわいいれいむ」は十分に可愛かった。


「こちらは・・・・?」
「一体5000円だよ」


むう・・・・・これも伝説どおり。 このお店は一体・・・・


「どちらにします?」
「かっこいいまりさ で」


うちにいるのはれいむなのだ。喜ぶ姿が目に浮かぶ


「よろしくなのぜ」
「ああ、よろしく」


と、主は弁当箱のようなものにかっこいいまりさを詰めると、綺麗な包み紙もつけて、紐で梱包してくれた。


「おまけもこっそりつけておいた」
「あ。ども」
「またおいで・・・・・」


何やら典型的な漫画の酔っ払いのようになって、おみやげを持って帰ると、玄関ではれいむが待ち構えていた。


「おかえり!!!」
「ただいまー」
「ゆっ!!!おみやげだね!!!」


ちゃぶ台の所まで行き、2人でワクワクしながらあらためてあけると---


「ゆっくりしてるね!!!」
「あ、ああ・・・・・・・・?」
「ゆっくりしすぎてない!!?」


入っていたのは、チルノフだった。
おかしい・・・・・購入したのは確かに「かっこいいまりさ」だったはず・・・・・・・
いつまでも起きないチルノフ(明日には、マトリョーシカのように6対くらいに連なっているだろう)を無視して、包み紙を
探ったが、あるはずもなく----


「奇妙な店だったな・・・・・・」


翌日、「香霖堂」を探したが、あの脇道をどれだけ散策しても見つからなかった





「かっこいいまりさ」は、蓋の内側に貼りついていた。

  • チルノフに笑いましたww -- ひなたきのこ (2011-05-19 19:11:30)
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最終更新:2011年05月19日 19:11