*注意*
以上に気を付けてください
~この手に掴むまで~
「ゆっしょ!・・・ゆっしょ!」
彼女は重大な使命を胸に秘め、跳びはねていた
『ちょっと出掛けてくるけど、リビングのテーブルの上にあるクッキーには手を出すなよ!絶対に手を出すなよ!』
と、おにーさんが言って出かけたのが30分前の事
やっちゃダメ、と言われるとやりたくなるのは人もゆっくりも同じらしい
「クッキーさんはゆっくりいただくよ♪」
しかし彼女がいるのは床の上、テーブルには遠く及ばない
ここから彼女の挑戦が始まった
MissionStart
Case.1 『跳躍』
「ゆっ! ゆっ!」
取り敢えずひたすらその場で跳んで椅子の上を目指す
「ゆん! ゆん! ゆゆー!」
しかし何度やっても届かない
跳ぶのは疲れたらしく、今は椅子の周りをウロウロしながら策を練っていた
「とどかないよ・・・いすさんはもうちょっとひくくなってね!」
とは言うものの椅子が低くなるわけもなくまたウロウロし始める
「そうだよ! いきおいをつけてとべば、きっととどくよ!!」
その案を実行するため椅子から距離をとり、準備体操を始める
伸びたり体を反らしたり、捻ったりして準備体操は終了
「いくよ!! おもいっきりはしるよ!!!」
そのままグングン加速していく
きっと頭の中は理想的な軌道で椅子に乗り、テーブルの上で誇らしげにクッキーを食べる自分の姿で一杯だろう
「いまだよ! ゆっくりとぶよ!!!」
しかし勢いをつけすぎたのか、跳ぶ力が強すぎたのかそのまま椅子を飛び越えてしまう
「ゆゆ~♪ いすさんよりもたかいよ!! おそらをとんでっ!?ゆべし」
そのまま床とキス、回転しながらさらに壁ともキス
「ゆ゙っ!・・・ゆ゙っ!」
予想以上にダメージが大きかったらしく、仰向けになりぶつけた顔を真っ赤にしてしばらく痙攣していた
Case.2 『階段』
「も゙うおごっだよ!!ほんぎだじぢゃうよ!!」
半べそをかきながらものを集めていく
「じゃんぷがだめなら、かいだんさんをつくるよ!」
ということで椅子に乗るためにありあわせのもので階段を作っている
「ゆん♪ ゆん♪ つぎはうまくいくよ!!」
この階段が完成した暁には、クッキーを思いっきり『むーしゃ♪むーしゃ♪』してやろうと考えていた
「ゆゆっ!? はこさんうごいてね!!」
「おしてもだめならひっぱるよ!!」
そこで事件が起きた
足場に使うための一番大きな箱が押しても動かなくなったために引っ張ろうと考えたのだ
「ゆんしょ! ゆんしょ! ゆっくりうごいて・・・」
だが、引っ張った瞬間に箱がバランスを崩して自分に倒れてきてしまった
「ゆゆっ!? たおれないでゆっくりしでっ!? ぶぎゅ!?・・・」
次は自分の上に箱が乗ってしまい、重さに耐えられず気絶して痙攣するゆっくり
5分後、痙攣から回復したゆっくりは怒りに燃えていた
「ゆ゙るざないよ゙!! ごごまで『残機』をへらざれで、ひぎざがるわげにはいがないよ!!!」
目に溢れんばかりの涙をため、なんとか完成した階段から椅子の上にたどり着いたゆっくり
あとここからテーブルに跳び移ればクッキーに勝てるはずだった
「クッキーさんはやっつけちゃうよ!! ゆっくりさせてあげな・・・」
しかしまたもやピンチが襲う
半分身を乗せたテーブルの縁から、バランスを崩して床に向けてまっしぐらに落ちてしまう
「かんたんには、やられないよ!! いくよ!!くらいぼっ!? でじゃぶ!!」
衝撃に備えて頬に空気を貯めようとした瞬間に再び床とキスしてしまう
「ゆ゙っ・・・」
今回は高さが高さだったためにぴくっと動いたきり動かなくなってしまった
こんな調子で本当にクッキーを食べられるのだろか・・・
Case.3 『孤島』
「こんどこそおいつめたよ!! かんねんしてね!!」
幾多の失敗にもめげず彼女は今クッキーの前にいた
「もう『残機』のこってないからおとなしくしてね!!」
数々の失敗のせいで心身共にボロボロだった
「ゆっくりたべるよ!! むーしゃ♪ むーしゃ♪ えくすてんどー・・・」
「ゆあぁぁぁぁん!! やっどゆっぐじでぎだよぉぉぉ!!」
ついに夢みたクッキーを食べることができた
その事が彼女の傷ついた体と心を満たしていった
「ゆっくりたべて、ねたからすっきりー♪」
置いてあったクッキーを全て食べ仮眠をとった後、下に戻ることにした
「ゆっ? ゆゆっ!?」
しかし最後の壁が立ちはだかる
テーブルから降りれないのだ
降りるには自ら身を乗り出して椅子の上に落ちる必要がある
だが何度も床に落ちたことがトラウマになってしまっていた
「ゆー・・・どうしよう・・・」
LastCase 『帰途』
「ゆっくりしてってねー、っと」
ついに家主が帰宅
いつめの出迎えにゆっくりが居ない
「ゆっ・・・して おに・・・」
リビングから声がするのでそちらに向かう
「おにーざんたすげでねぇぇぇ!! おりれなぐなっだぁぁぁ!!」
目と同じ幅の涙を流しながらゆっくりが泣いていた
「何でそんなに泣いているんだ? そこにいるってことはクッキー食べれたんだろ?」
「だべれだげど・・・ぴぢゅっで・・・おがおいだいじ・・・ごわぐ・・・おりれないのぉぉぉ!!!」
「ほれほれ、そんなに泣くな。もう大丈夫だろう?」
泣きじゃくりすぎて何を言っているのかは分からなかったがゆっくりが怖い思いをしたであろうことは伝わったらしい
何も言わず頭を撫でながら普段の寝床である段ボールに入れてやる
「ゆん・・・ゆん・・・おにーざん?」
「ん、どうした?」
「おねがいごとひとつきいてくれる?」
「良いぞ、なんだ?」
「あのね、こんどからあまいものはひくいとこにおいてね・・・」
それだけ言うと眠ってしまった
独りで家に残すとき位は考えてもいいだろう
「ゆう・・・ゆう・・・ゆっくりたべるよ・・・」
何を食べている夢かは分からないが明日はちゃんと怖い思いをさせたお詫びをしよう
MissionComplete!
おわり
以下チラ裏
前にチル裏で「何をしても死なないゆっくり」って話題からインスピレーションを受けて制作
あんまりこっち向けじゃなかったかも少し反省
チラ裏ここまで
最終更新:2009年03月31日 09:21