SOAN_Engineering
助手席フロア修理
最終更新:
soankougyou
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フィアット500 フロア修理
実施日:2011,10,29~
旧車の泣き所、それはサビです。
車の寿命はエンジンで決まる、そう思っている方も多いと思いますが、実は車の寿命はボディの状態で決まります。
エンジンならば交換すれば済みます。しかしボディはそう簡単にはいきません。特に、フィアットのようにボディ自体がフレームの役割を果たすモノコックボディの場合は特にそうです。ボディが腐ると車体全体の剛性が低下し、最終的には走行不能に陥ります。
さらに、サビというのは厄介なものなのです。地球上のほとんどのところに酸素があります。また、水もいたるところにあります。目に見えなくても空気中に水分が含まれているからです。酸素と水があれば鉄はサビびます。
さらに、サビ自体に水分が含まれています。これによりサビた部分がさらにサビます。いわゆるサビがサビを呼ぶ状態です。
そのため、車体の鉄には塗装やメッキ処理が施されています。地金をコーティングして酸素及び水を地金から隔離します。しかし、塗膜にも目に見えない孔が存在します。特に古い塗膜は空気と地金との隔離が不十分です。また、当時の鉄は現在の鉄よりも品質が落ちます。さらに製造されてからの現在までの経過時間が長いこともあいまって旧車はサビやすいのです。そして一度サビた場合、サビがサビを呼びます。よって、旧車はよりサビやすくなっています。
車の寿命はエンジンで決まる、そう思っている方も多いと思いますが、実は車の寿命はボディの状態で決まります。
エンジンならば交換すれば済みます。しかしボディはそう簡単にはいきません。特に、フィアットのようにボディ自体がフレームの役割を果たすモノコックボディの場合は特にそうです。ボディが腐ると車体全体の剛性が低下し、最終的には走行不能に陥ります。
さらに、サビというのは厄介なものなのです。地球上のほとんどのところに酸素があります。また、水もいたるところにあります。目に見えなくても空気中に水分が含まれているからです。酸素と水があれば鉄はサビびます。
さらに、サビ自体に水分が含まれています。これによりサビた部分がさらにサビます。いわゆるサビがサビを呼ぶ状態です。
そのため、車体の鉄には塗装やメッキ処理が施されています。地金をコーティングして酸素及び水を地金から隔離します。しかし、塗膜にも目に見えない孔が存在します。特に古い塗膜は空気と地金との隔離が不十分です。また、当時の鉄は現在の鉄よりも品質が落ちます。さらに製造されてからの現在までの経過時間が長いこともあいまって旧車はサビやすいのです。そして一度サビた場合、サビがサビを呼びます。よって、旧車はよりサビやすくなっています。
サビへの対処は、サビの除去がまず第一です。これが一番大変な作業でもあります。軽微なサビは削り落とします。サビがひどい場合は、サビた部分を切除して新たな鉄板を設けるしか有りません。次に、塗装でコーティングです。しかし、サビを削り落とす時に地金が出ます。地金が空気に露出すると、サビはものの一時間で発生します。よって、可能な限り素早く塗装する必要があります。
以上のことからご理解いただけると思いますが、サビが一度発生してしまった車両を完璧に修復することは困難なのです。サビを除去しても空気に露出してしまっているため、必ず微笑なサビが塗膜と地金との間に隠れていることになります。このサビがサビを呼ぶため、完全にサビの発生を予防することはまず不可能です。
しかしながら、この修復をすることで、サビの信仰を大幅に遅らせることができます。旧車を愛するということは、一生このサビと共存することと言っても過言ではありません。
しかしながら、この修復をすることで、サビの信仰を大幅に遅らせることができます。旧車を愛するということは、一生このサビと共存することと言っても過言ではありません。

↑シートをレールから外し、フロアマットをはぎ取ります

↑茶色い部分がサビです。コート材料の上まで浮き出てしまっています。想像はしていましたが、実際に目で確認すると辛いものがあります。
黒い部分はコート材料ですが、おそらくコート材料の下は錆びています。
黒い部分はコート材料ですが、おそらくコート材料の下は錆びています。

↑拡大するともっと辛い気持ちになります。

↑さらに拡大してみました。お分かりになるでしょうか?画像中央部、腐って底が抜けています。いわゆる底抜けです。目を覆いたい気分になります。

↑この部分はシート下です。直接負荷がかかる部分でもないですし、割りと平面です。ここはおもいっきり大きく切除してしまいます。切除部分をマーキングします。

↑切除しました。作業場の地面が見えます。普通では見れない光景です。

↑開けた穴はまだ塞ぎません。サビを除去する際に大量のゴミが出ます。開けた穴は、ゴミを車内から排出する際に便利だからです。
まずは、画像の工具を使ってコート材料を剥ぎます。土?と思わせるような材料でした。この作業が実に手間です。トーチ(バーナー)で炙って熱を加えると剥ぎやすくなります。が、気を付けなければならないことがあります。センタートンネルには、フュエルラインが通っています。下手をするとフィアットもろとも。。。ですので、ラインにガソリンが残っている場合、センタートンネル付近を炙るのは大変危険です。センタートンネル付近は炙らない方が無難です。なお、センタートンネル付近を溶接する際も気をつけます。
また、このコート材料、トーチで炙るとガスを発生するようです。ガスマスクを着用しないと健康に害を及ぼすおそれがあります。さらに、このガス、おそらく若干の可燃性を有しています。トーチで炙っていると、たまに炎の挙動がおかしくなります。炙りすぎるとコート材料も燃えますので細心の注意を払います。私は、念のため濡れたウエスを用意しておきました。
まずは、画像の工具を使ってコート材料を剥ぎます。土?と思わせるような材料でした。この作業が実に手間です。トーチ(バーナー)で炙って熱を加えると剥ぎやすくなります。が、気を付けなければならないことがあります。センタートンネルには、フュエルラインが通っています。下手をするとフィアットもろとも。。。ですので、ラインにガソリンが残っている場合、センタートンネル付近を炙るのは大変危険です。センタートンネル付近は炙らない方が無難です。なお、センタートンネル付近を溶接する際も気をつけます。
また、このコート材料、トーチで炙るとガスを発生するようです。ガスマスクを着用しないと健康に害を及ぼすおそれがあります。さらに、このガス、おそらく若干の可燃性を有しています。トーチで炙っていると、たまに炎の挙動がおかしくなります。炙りすぎるとコート材料も燃えますので細心の注意を払います。私は、念のため濡れたウエスを用意しておきました。

↑コート材料を剥ぎ落とし、ヤスリがけして大まかなサビを落としたところです。3MのCNSベベルを使いました。高価ですが、効果はテキメンです。細かい部分はワイヤーブラシでサビとりします。

↑タイヤハウジングに怪しい部分を見つけました。

↑重度の腐食です。この部分、2枚の鉄板が重なっています。おそらくその隙間からサビが発生したと思われます。

↑
車室側の一枚目のみを切除してしまいます。間違っても外側は切除しないように慎重に作業をします。タイヤハウスにそこまで大きな負荷がかかるのかは強度検討しないとわかりませんが、鉄板を2枚重ねているということは負荷がかかる部分である可能性があります。できる限り、切除する部分は小さくします。切除したらCNSベベルやワイヤブラシでサビを除去します。
車室側の一枚目のみを切除してしまいます。間違っても外側は切除しないように慎重に作業をします。タイヤハウスにそこまで大きな負荷がかかるのかは強度検討しないとわかりませんが、鉄板を2枚重ねているということは負荷がかかる部分である可能性があります。できる限り、切除する部分は小さくします。切除したらCNSベベルやワイヤブラシでサビを除去します。

↑切除した部分を埋めます。今回は、構造用接着剤であるGM-8300を使います。金属粉が含まれており、驚愕の強度を実現できる接着剤です。

↑この接着剤はパテ状接着剤です。今回は一枚目の金属と二枚目の金属の隙間を埋めるように盛りました。
この接着剤で開口部分を全て埋めてもよいのですが、いくら超協力な接着剤といえども、接着力はあっても材料自体の強度は鉄に劣るはずです。ですので、今回は二枚の境目をGM-8300で覆い、さらにその上からFRPもしくはパテで開口を埋めることにしました。
この接着剤で開口部分を全て埋めてもよいのですが、いくら超協力な接着剤といえども、接着力はあっても材料自体の強度は鉄に劣るはずです。ですので、今回は二枚の境目をGM-8300で覆い、さらにその上からFRPもしくはパテで開口を埋めることにしました。

↑もう一度ヤスリをかけて目に見えないサビを除去します。
次にエスコを塗ります
次にエスコを塗ります

↑GM-8300を盛った部分で地金が出ている部分にも塗ります。ここは見えない部分ですのでハケ塗りで十分です。
ガン吹きもできますが、ミストが他の部分についてしまいます。
ガン吹きもできますが、ミストが他の部分についてしまいます。

↑エスコはエポキシ系防錆塗料です。普通の防錆塗料よりも防錆効果は高いと言われています。
密着力が強く、目視できないような小さい孔も発生しにくいため、空気と地金との隔離効果が高いです。
また、水分と結合して閉じ込める機能もあるらしいです。これにより、すでにサビている部分に塗っても、ある程度の効果が期待できます。
ただし、サビの進行を抑える機能についてはオマケ程度に考えています。エスコを塗布する前にできる限りサビは除去しておきます。
注意事項としては、エスコは地金に塗布しないと効果が低下すること。
すでに塗装されたところに塗膜の上から塗っても、塗膜下にサビがあれば、時間の経過と共に塗膜が浮き出します。最終的には、塗膜ごとエスコも脱落します。
こうなると古い塗膜を全て剥がして、エスコで塗り替えたくなるのが心情ですが、、、これは推奨できません。
なぜかというと、塗膜を剥がすというのは地金を空気に晒すため大変危険だからです。
先にも書いたように、鉄は空気に触れた瞬間に目視できないサビが発生します。塗膜を剥いだ時点でサビが発生するということです。
ですので、サビていない部分は塗膜を剥がない方が懸命です。
しかし塗膜を剥がないと錆びているかどうかはわかりません。
ではどうすればよいのか。勘に頼るしかないです。厳密に言うとダメージゲージなど、塗膜下のサビの状況を測る手段もあります。
しかし、塗膜の厚さが一定でないと正確な計測は不可能ですし、微細なサビは見抜けません。
車にはサビやすい部分とサビにくい部分とがあります。また、サビが発生していた部分の付近は、サビがサビを呼んでいる可能性があります。
そこらへんを参考にして判断するしかありません。
密着力が強く、目視できないような小さい孔も発生しにくいため、空気と地金との隔離効果が高いです。
また、水分と結合して閉じ込める機能もあるらしいです。これにより、すでにサビている部分に塗っても、ある程度の効果が期待できます。
ただし、サビの進行を抑える機能についてはオマケ程度に考えています。エスコを塗布する前にできる限りサビは除去しておきます。
注意事項としては、エスコは地金に塗布しないと効果が低下すること。
すでに塗装されたところに塗膜の上から塗っても、塗膜下にサビがあれば、時間の経過と共に塗膜が浮き出します。最終的には、塗膜ごとエスコも脱落します。
こうなると古い塗膜を全て剥がして、エスコで塗り替えたくなるのが心情ですが、、、これは推奨できません。
なぜかというと、塗膜を剥がすというのは地金を空気に晒すため大変危険だからです。
先にも書いたように、鉄は空気に触れた瞬間に目視できないサビが発生します。塗膜を剥いだ時点でサビが発生するということです。
ですので、サビていない部分は塗膜を剥がない方が懸命です。
しかし塗膜を剥がないと錆びているかどうかはわかりません。
ではどうすればよいのか。勘に頼るしかないです。厳密に言うとダメージゲージなど、塗膜下のサビの状況を測る手段もあります。
しかし、塗膜の厚さが一定でないと正確な計測は不可能ですし、微細なサビは見抜けません。
車にはサビやすい部分とサビにくい部分とがあります。また、サビが発生していた部分の付近は、サビがサビを呼んでいる可能性があります。
そこらへんを参考にして判断するしかありません。
このような処置をしても、サビは必ず発生します。サビは鉄にとってまさにキャンサーです。そして多くの旧車は癌患者です。手術したところで転移のおそれは常につきまといます。
旧車の悪いことばかりを書きましたが、ハッキリ申し上げます。旧車には癌がもたらす不安を遥かに上回る魅力があります。
私が考える魅力、それは時間の経過のみが作り出せる芸術です。
カッコいいデザインの車、かわいいデザインの車、それらはデザイナーの腕次第で創りだすことができます。
しかし、時間が経過することで作り出される「味」だけは、狙って作り出せるものではありません。待つしかないのです。
現在技術が進んで人間は自然を支配しつつあります。それでも不可能なこと。それは時間の操作なんです。
旧車とは、「人間が作り出せない創作物」。そう考えるとなんとも魅力的じゃないですか?
旧車の悪いことばかりを書きましたが、ハッキリ申し上げます。旧車には癌がもたらす不安を遥かに上回る魅力があります。
私が考える魅力、それは時間の経過のみが作り出せる芸術です。
カッコいいデザインの車、かわいいデザインの車、それらはデザイナーの腕次第で創りだすことができます。
しかし、時間が経過することで作り出される「味」だけは、狙って作り出せるものではありません。待つしかないのです。
現在技術が進んで人間は自然を支配しつつあります。それでも不可能なこと。それは時間の操作なんです。
旧車とは、「人間が作り出せない創作物」。そう考えるとなんとも魅力的じゃないですか?