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「おう! おれっちの名前は燃堂力!! 好きな授業は『放課後』だぜ!!」


 ……あ、いけね。声に出ちまった。
よし、仕切り直しだ!


 おう! おれっちの名前は燃堂力!! 好きな授業は給食だぜ!
さんすーも、あいうえおも、全部わかんねーバカなおれっちだけどよ〜……。
この前チビ(海藤)の家でテレビ見てたら、とんでもねぇ話が流れてきたんだ!!
いいか? びっくらこくなよ?
──この世には『心を読める』やつがいるんだってな!
コメンテーーターーが言ってたんだけどよぉ! まじすげーよな!

だからおれっちもそいつに気を使って、今、心のなかでお喋りしてやってるわけ。
でもよ、そうなると……『問題』が一つあるよな?

まず一つ目に、心読むやつがアメリカ人なら、言葉通じねーだろ?
次に一つ目に、そうなると翻訳アプリを脳みそにブチ込まねーといけねーだろ?
そして最後に一つ目に、英語ってグニャグニャしてて大っ嫌いなわけ!!
……この一つ一つの問題は、おれっちの脳みそを確実にぶっ殺しにきてるわけだぜ……。
これもう『蟻が象を倒す』って感じだよな? ジャイアンキリンだぜ!!


「おれっちもマジでどーぶつえん作ろっかな? とりあえず檻にラーメン入れときゃ、みんな集まるだろ!──」

「──お前もそう思うよな!! 『シン・相棒』!!」

「…………?」


 おっと、忘れてたぜ。
おれっちはこのバトロロロロロで、『なんか面白い女のチビ』を捕まえたんだ。
お互い自己紹介はまだだけど、要するに疑心暗鬼ってのをすりゃいいんだろ?
おれっちは頭いいからよ〜。
偽名使って、正体を隠すことにしたぜ!


「おう! おれっちの名前は燃堂力!! お前、女だろ?」


………
……




 吾輩は『カオダニ』である。名付け親などは無論おらぬ。
前世において吾輩は、昭和一と謳われた大怪盗として、晴れて市中に吊るし上げられた身であった。
それが今生では、微塵たるダニ。神とは存外にも慈悲深いものである。
もっとも、その慈悲も『生誕場所の選定』にまでは及ばなかったと見えるが。


「おいチビ! いつまでダンマリしてる気だ?」

「……〜〜〜っ!? 〜〜〜〜??」

「腹から声を出せ! お前はいっこく堂かっ!」

「…………(いっこくどう、むしろ、おしゃべり……)」


 吾輩はこのアホの皮ふに産まれ、今まさに、天寿を全うせんとしている。
惜別の念はない。されど充足もまたない。
ただ、学食の定食にも似た満足度の──我が虫生は、案外に腹を満たしてくれるものであった。

さて、今世における昆虫の総数は、億をもってなお尽きぬと聞く。
小虫は塵に紛れ、大虫は人を驚かす。まこと、宇宙にも比すべき多様の相を呈している。
その浩瀚なる種族のなかにあって、あえて一事、吾輩は声を張り上げて申し上げたい。

────我輩は、この世の虫類のうち、最も高き知能を有する存在である。
────証左は単純明快だ。我輩は『人の心』を読むことができる。

そこで、僭越ながら我輩を狂言回しとして、
この皮膚の主たる『アホ』について、些か筆を執らせていただこう。
諸君、しばしの間、清聴を願いたい。



「おれっちの身体は人肉100%でできてるぜ!」

「…………(そりゃ、そうだ)」


 吾輩が仮寓を許されているこのケツアゴ男。
名前は嘘偽りなく、燃堂力である。
そもそもこいつは嘘などつけない。何故なら馬鹿だからだ。
彼の知己にして、吾輩と同様に精神の襞を覗き見る術を持つ斉木楠雄は、かつて断じた。
「燃堂は何も考えていないから、心が読めない」──と。

──……甘い。
甘味料に浸した観察である。
小僧よ、前世において大怪盗であった吾輩と、温室育ちの超能力者との間には、やはり歴然たる差異があるのだ。

厳密に言えば、この燃堂もまた思考しておる。
ただしそれは、哲学者の定義する『思惟』とは似ても似つかぬ代物である。
斉木楠雄には、いずれ忠告してやりたい。
目を凝らし、耳を澄まし、さらに嗅覚までも動員せよと。
この男はいま確かに、考えてはいるのだ。


「(ジャムパン……。──)」

「(──筋子丼……。──)」

「(──あ! ラーメン一蘭の赤いソース!──)」

「(──メシの紅白三種の神器決まったぜ!! となると、明日の飯はラーメンだ!!)」


……この通りである。
かつてのネット黎明期、脳内メーカーなるものが流行っていたが、
燃堂の脳を図示するならば、『ひらがな五十音』が床一面に散乱した光景である。
しかもそれらひらがなは、脳髄という名の塩酸により、次々溶解していく。
ゆえに彼の精神を読むことは、砂浜に記された童書を高潮の中で解読するに等しいのだ。
以上が、このケツアゴの真実だ。



「おいチビ! おれっちの好きな食いもん当ててみろ! 正解したらラーメンおごるぜ」

「え……?──」


「(──……らーめんのにおい、つよい。──)」

「(──でも……す、すじこどん……?──)

「(──いくらどんじゃないの?──)」


「──…………(このひと……よめない……)」


 ……おや。
ふむ、どうやらこの子供にも、わずかながら『力』の兆しが見えるようだ。
折角である。
この燃堂のアホに絡まれている少女についても、解説を試みるとしよう。

桃色の髪。端正な顔立ち。清潔な学生服。
──推定小学生の、少女。
かの少女には、誰にも明かせぬ『隠し事』がある。
その隠し事とは『力』のことであり、そしてその力こそが、吾輩と『共通』しているのであるから──、
──さしずめ、運命に引き合わされたとでも言うべきか。


「…〜〜っ! 〜〜!」

「おっ? おれっちの顔にはヒント書いてねーぜ? 書いてあるとしたら頭のなかだ!」

「…………(そのあたまがよめない。ホワイトボード)」


明言しよう。
彼女の秘めたる力とは『人の心が読める』ことである。
頭の出来は4.5燃堂ほどではあるが、少女の異能はもはや比較対象なき域。
彼女の目を細め、あるいは見開き、耳を澄まして、──燃堂の心を読もうと足掻く姿は、実に健気なものである。
ただ断っておくが、彼女は決して答えラーメンクイズに切望しているのではない。
この『心が読めぬ不気味な虚無』を、どうにかして解読せんとしておるだけなのだ。


「正解はラーメンでした〜〜!チビ、惜しかったな!」

「……(なにもいってない)」


 さて、吾輩の語りはここまでだ。
……寿命とは儚きものである。
せめてこの二人には、吾輩の分まで、この不毛な遊戯を生き長らえることを願うまでだ。


「つかお前、名前なに? おれは燃堂力だぜ!!」

「え?(……さっきもきいた。このひと、きおく、よわい?)」


ちなみに、かの少女の『名』については、──……吾輩が代弁するのは野暮というものだ。
自らの口から発せられてこそ、名は名となる。
物語が次の頁へと移る──その彼女の答えを聞き届けて、吾輩は旅立つこととしよう────。


「……なまえ、なまえは……─」

「あ! わかったぜ! お前『アーニャ』って名前だろ?」

「……!(こんな、どうでもいいトコで、きせきつかってる……)」


ポロッ──。


【アーニャ・フォージャー@SPY×FAMILY】
[状態]:健康
[装備]:不明
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×1〜3
[思考]:ねんどうと、こうどう。
1:なんか、すごいのきた。……アーニャ、よゆうのえみ(ひきつり)。
2:なぜ、こころがよめない。……ちちでも、こんな『しろ』ない。
3:このひと、ばか。ばかだけど、ちょっとつよい。ワクワク……すこしだけ。

【燃堂力@斉木楠雄のΨ難】
[状態]:健康
[装備]:不明
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×1〜3
[思考]:仲間たくさん集めてラーメン食いに行く!!!!
1:……おっ? 今、鼻からダニみてーなの落ちたか?
2:バトロロロ? よくわかんねぇけど、倒れてる奴には人工呼吸すりゃ全員助かるだろ!!
3:相棒がいるなら会うぜ! あいつならバトロロ攻略本とか持ってそうだもんな!
4:シン・相棒(ピンクのチビ)には、おれっちとどーぶつえん経営させる!!
5:シン・シン・相棒つくって、飼育員やらせる!!!
5:シン・シン・シン・相棒には給料払って、絶対どーぶつえん成功させるぜ!!!!!
最終更新:2026年02月18日 22:05