ボクサーのような装備と赤いニンジャ装束という、
一見せずとも不揃いな格好をした男が息を荒げる。
名をテンカウント。ソウカイヤのニンジャではあるが、
ソウカイヤに対して不満を持ち、ほかのニンジャ共々とクーデターを目論むニンジャだ。
先に言っておくと、テンカウントはさほど弱いニンジャかというとそうでもない。
カナリ・シツレイではあった連中が多かったし、そもそも四対一で挑んでいたものの、
ビーハイヴのような卑劣な手段を使わず、ニンジャスレイヤー相手に正面からもある程度は戦えた。
この頃のニンジャスレイヤーはナラクの暴走を抜きにソウカイ・シックスゲイツを屠れる実力者だ。
負けてしまったとはいえそれとある程度の競り合うことができたのは末期のシックスゲイツと比べても十分な強さを誇る。
───そんな彼ではあるが、彼の身体は既に傷だらけだった。
一体何発の弾丸をその身に受ければそれだけの傷になるのだろうか。
同時に、それだけ受けてもなおテンカウントは倒れることはないのはニンジャ耐久力ゆえか。
何故こんなことになっているのか。
テンカウントの始まりはそうおかしいものでもなかった。
ソウカイヤのニンジャであり、その立場に不満があったのも事実。
優勝してその足掛かり、もといラオモトもザイバツも超える存在になる。
そう願うのは決しておかしい話ではないし、ソウカイヤは世間的な観点で言えば悪側だ。
なので優勝を狙うという行動をとるのは、ソウカイヤのニンジャのほとんどが考えるだろう。
そうして出会ったのは一人の男だ。
堅気とは思えない、典型的なヤクザのような黒い服に身を包む中年男性。
クローンヤクザが導入され、下火になっていった取るに足らない存在。
ニンジャではない以上、アイサツも不要。アンブッシュで一撃でノックアウト。
そのはずだったのだ。
彼は足を撃ち抜かれた。無手の相手に。
何が起きたか暗がりで分からなかったが、撃たれたのだけは事実だ。
ニンジャスレイヤーとの戦いの敗北でも同じだ。脚部のダメージは深刻で、
ワン・インチでの戦いを重きを置くボックス・カラテでは致命的な傷になる。
どれだけ強いカラテを持とうとも、距離を詰めなければ意味がないのだ。
それでも立ち上がれるのは流石のニンジャ耐久力といったところだろうか。
だが、立てども立てどもかれは無手の相手に撃たれる、撃たれる、撃たれ続ける。
もう立ち上がらない方がいいだろうというレベルで、彼はこうなってしまっていた。
仮にここで生き延びたとしてももう優勝どうこうできるものではないのも察している。
それでもなおテンカウントは立ち上がる。ドゲザという恥辱をしてまで生き延びるのではない。
目の前のビーハイヴのような銃弾を使う相手には負けられない、プライドが許さなかった。
(なお彼の世界におけるドゲザとは母親とのファック行為を強いられ記憶素子に保管されることと同義の屈辱的行為)
けれども叶わない。
ワン・インチどころかまともに近づくこともできない。
飛んでくる銃弾が一発や二発程度なら怪我があっても受け流せた。
だが飛んでくる数が銃や二十となってはボックス・カラテでも限度がある。
飛んでくる弾丸は何度もかすめていき、最終的にこのような体になったわけだ。
「グ、ワ……」
もはや悲鳴を上げることすら満足にできない。
まだ死なないのかと頭の片隅にすら思えてしまうほど撃たれている。
相手はいったいどれだけの弾丸を持っているのかを気にするところだが、
それ以上の思考をする前に、頭をヘッドギアごと撃ち抜かれて、
「サ……サヨナラ!」
しめやかに爆発四散した。
【テンカウント@ニンジャスレイヤー 爆発四散】
「……何で爆発したんだ?」
間違えて首輪でも撃ってしまったのか。
そう考えるものの、ニンジャの身体の仕様などわかるはずもなし。
何か爆発物でも持っていたのが引火してしまったのだと思い込むことにして、
どうでもよさそうに、星空を見上げる男の名前は芭藤哲也。ヤクザは正解だが、元の話。
その後は燦然党に所属してたが、いろいろあって最終的に彼もテンカウント同様死の顛末を迎えた。
始まって早々敵に出会って頭の整理はできなかったが、ようやく落ち着いたので今の状況を思い返す。
確かに自分は死んだはずだ。
ヴァンパイアの身体のままでもある。能力も問題なく扱えた。
ベリアルは気前がいいらしい。生前そのままの力が発揮できる。
とはいえこのまま参加者を蹂躙、もとい不幸にするのは無理だろう。
広さも人数もわからない。このまま蹂躙するなんて不可能だと判断できる。
ついでに言えば、この空だ。おそらくずっと夜でいるとは到底思えない。
おそらくこの舞台には朝はある。ヴァンパイアがなれるのは夜の間だけで、
それまでの十二時間を回復力はあるとはいえ生身で生き延びなければならない。
手段や方針を考え直す必要がある。問題は、この面も相まって信用されるかは怪しくもあるが。
芭藤にとっての行動理念は『他者を不幸にする』が基本だ。
それさえできれば別に自分が死ぬことに一切勘定に入れてない。
今更戻る場所など彼には何処にもないので、どうでもいいことだ。
まあ、もしも仮に七原がここで弱者救済など甘いことをしているのなら、
徹底的に邪魔をしてみるのも悪くはないだろうな、なんてことを片隅に思う。
肝心なところでも非情になれない甘い奴だ。確実に何処かでやらかすだろうと。
もっとも、いればの話だし、いようといなかろうとやることはさして変わらない。
彼の過去というものははっきり言うとよくはわからなかった。
左耳を喪うほどのことをしたことはあるし、七原に理不尽な世の中を説いたこともある。
けれど、それが本当かは不明だ。七原をその気にさせるための方便だった可能性も否定できない。
ただ確実に言えるのは、周りを不幸にする暴力にはいつまでも需要があり、彼はそれを楽しいと思うことだけだ。
それだけは不変の事実である。自分の死より何人死ぬのかの方が大事にしているのだから、根底は変わらない。
この男は、災厄となる存在になりうるものだ。
「タバコ、ねえもんかねぇ。」
武器となりうるものは没収された。
タバコも飲ませりゃ毒物だからか、ライターと共に何もない。
支給品にもない。相手の支給品は爆散してあったかも確認できず。
別に今すぐほしいというわけではないが、あったらほしいものだと思う。
そんな程度の感覚で彼は歩き出す。目的は、災厄のような存在として。
蒼空という清廉な空とは無縁の、灰色の世界のために。
【芭藤哲也@血と灰の女王】
[状態]:健康、人間態
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×1~3(確認済み、タバコ系なし)
[思考・状況]
基本方針:参加者を不幸にする。手段は問わない。
1:七原とかいるのかね。
2:できることなら昼間に利用できる奴を探す。
[備考]
※参戦時期は死亡後。
※左手のビームはどれだけ長くても、エリアを超えません。
※テンカウントの支給品はすべて爆発四散しました。
最終更新:2026年02月22日 00:49