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ここはとある森の中。
ただでさえ深夜だというのに、おびただしい量の枝葉で覆われたこの場所は月や星の光すら届かない。
その暗闇の中に、人工の光で照らされた一人の参加者がいた。

「ちくしょう、スマホ出すのも一苦労じゃねえか……。
 こんな不便な場所からスタートさせてるんじゃねえよ、ベリアルとやら。
 デスゲーム初心者か?」

スマホを眺めながら主催者への不満をつぶやくのは、幼い少年だ。
名はジスルフィラム。愛称はジスフィ。
11歳の日系ダックスランド人だ。

「そもそも、アンデッドをデスゲームに参加させてどうするんだよ。
 死なねえんだぞ、俺」

ジスフィには、そこらの悪ガキとは決定的に違う特徴がある。
それは、不死身であること。
幼い頃に無免許運転で原子力研究施設に突っ込んだ結果、何がどうなったのか決して死なない体になってしまったのだ。
グレネードで自爆したときも、銃弾で頭を撃ち抜かれたときも、肉体は元通り再生した。もっとも再生するのと痛みを感じるのは別の話なので、めちゃくちゃ痛かったが。

「いや、ひょっとして……。
 死ぬようになってるのかもしれねえ。
 デスゲームに死なないやつを参加させて、何の対策もしてないなんてことあるか?
 それはさすがにアホすぎるもんな……」

事実として、彼は意識を取り戻してから自分の体に微妙な違和感を覚えていた。
今の自分は、不死身ではないかもしれない。
その考えに至った途端、抑えられていた恐怖が一気にジスフィの脳に流れ込む。

「くそっ……。震えてきやがった……。
 こんなかっこ悪いところ、あいつらには見せらんねえぜ……」

ジスフィが思い浮かべるのは、施設で共に問題児(ワンワンズ)と呼ばれる友人たち。
変態エスパーに、差別主義者のアンドロイドに、敵国のスパイ。
どいつもこいつもろくでもないが、最高にクールな仲間たちだ。

「そうだ、俺はワンワンズだ……。
 殺し合いを強制される被害者になんか、なってたまるかよ。
 俺は常に加害者だ!」

震えが止まる。ジスフィの口元に、不敵な笑みが浮かぶ。

「覚悟は決まったぜ。
 ベリアルをぶっ飛ばして、このデスゲームを破綻させる。
 そんであいつらに、クソみたいな三流エンタメの感想を聞かせてやるんだ」

殺し合いの破壊。ジスフィはそれを、固く決意する。

「でもまあ、まずは武器のチェックからだな。
 丸腰で歩き回ってズガン! じゃ、笑い話にもならねえ」

スマホのライトでカバンの中を照らし、ジスフィは中をチェックする。
やがてその手が、細長い物体をつかんだ。

「ヒュウ♪ サムライソードじゃん!
 実物は初めて見るぜ!」

わかりやすくテンションを上げながら、ジスフィは一振りの刀を取り出した。

「あっ、実物けっこう重いわ……。
 ガキの筋力で振り回すのは無理かなー、これ。
 でもこいつでゾンビとかバサバサ斬っていったら、絶対かっこいいよなー」

自分には使いこなせないと感じつつも、未練がましくジスフィは鞘から出した刀を振ってみる。
その結果……。

「あっ」

刀は手からすっぽ抜け、あさっての方向へ飛んでいった。
直後、成人男性と思わしき悲鳴がジスフィの鼓膜を揺らす。

「やっべ、やらかした。
 当たってないといいんだけど……」

うっすらと汗を浮かべつつ、ジスフィは急いで刀が飛んでいった方向に向かう。
程なくして、彼の持つスマホのライトが一人の男を照らし出した。
歳は30代だろうか。
髪はボサボサ、服はだいぶ着古されている。
はっきり言えば、さえない外見だ。

「おいおい、ガキじゃねえか。おまえか、これ投げたの」
「ああ、うん。投げたっていうか……」
「いいか、よく聞け。
 おまえの人生、まだまだ長い。
 ここで人殺しなんで十字架を背負ってみろ。
 残りの人生、地獄だぞ!」
「いや、落ち着けよ、おっさん。
 刀はたまたま、手からすっぽ抜けただけだって。
 俺は殺し合いをするつもりなんてねえよ」
「……え? 本当に?」
「本当に」
「よかった~……」

心底安心した様子で、男は大きく息を吐く。
その姿を見て、ジスフィは思った。
「こいつ、ダメな大人だ」と。

「その様子だと、おっさんも殺し合いには気が乗らないタイプだろ」
「ああ、もちろんだ」
「じゃあ、一緒に行かねえか?
 こんな辛気くさいところに一人でいたんじゃ、気が滅入っちまうぜ」
「たしかに……。話し相手は大事だよなあ」
「その反応は、オッケーってことだな?」
「ああ、よろしく頼むぜ」

男が手を差し出し、ジスフィがそれを握る。

「俺のことは、ジスフィって呼んでくれ。
 おっさんの名前は?」
「俺は百暗桃弓木。モグラって呼んでくれ。
 で、これを言っておく」
「なんだ?」
「俺と知り合って、ご愁傷さん」
「え? ゴシュー……何?」

聞き慣れぬ言葉に、ジスフィは思わず首をかしげる。

「こっちは11歳だぜ。もっとわかりやすい言葉を使えよ」
「ああ、そりゃ悪かった」
「で、どういう意味だよ」
「俺と知り合うなんて残念だったな、ってことだよ」
「はあ? 何だよ、それ」

モグラの意図をつかめず、ジスフィはさらに困惑した。


ジスフィはまだ知らない。
モグラが超常の存在であることを。
そして、自分とは違う形で死ねない男であることを。


【ジスルフィラム@ザ・ワンワンズ】
[状態]:健康
[装備]:ヤジロベーの刀@ドラゴンボール
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×0~2
[思考]:ベリアルを倒して、殺し合いを破綻させる
1:とりあえず、モグラと同行

[備考]
※参戦時期は、単行本1巻終了時点
※制限により、常人が死亡するレベルのダメージを受ければそのまま死亡します。
 そうでない場合は、本来よりも遅いスピードで回復します。
 目安としては、骨折の回復で2時間程度です。


【百暗桃弓木@出禁のモグラ】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×1~3
[思考]:殺し合いを止める
1:ジスフィに同行

[備考]
※参戦時期は人魚編終了時点
※死亡した場合、魂はすぐに元の世界に強制送還されます。
 そのため会場内で蘇生したり、魂の状態で活動することはできません。


「支給品解説」
【ヤジロベーの刀@ドラゴンボール】
その名の通り、ヤジロベーが愛用している刀。
特殊な力はないが、大柄な魔族の肉体や大猿化したサイヤ人の尻尾もきれいに切断できる切れ味がある。
最終更新:2026年02月22日 00:56