眉目秀麗。男子女子共に惹きつけるだろう中性的な外見。
高い身長もその外見をより引き立てて、彼女をより魅力的にしてくれる。
しかし、そんな美貌も憔悴しきってる表情では、声をかけにくいものだろう。
滝のように流れる汗。隊の壊滅、ノロを初めて受け入れた時、そして───燕結芽の死。
いずれであっても、これ以上の汗を流したのはないだろうか。そんな風に彼女、獅童真希は思った。
彼女を正義か悪かと問われれば、まず正義の側の人間になるだろう。
荒魂を祓い、鎮めるのが刀使の役割。端的に言えば特殊な役割の公務員だ。
実直に、しかもそれを鼻にかけたり胡坐をかかずに務めてきたのは間違いない。
じゃあ何故そんなことになっているのか。それはベリアルの甘言が、どうしても振り払えないから。
死者の復活。真希が願うのはたった一人の、家族のように想い、そして対抗意識を燃やした少女の蘇生だ。
真希は結芽の死を受け入れられなかった。だから、死に物狂いで、誤解されるようなことまでして行動した。
可能性は見つけた。しかし、それが成功するかどうかを問われると、限りなく低いとしか言えない、淡い希望。
だから真希は最初に思った。思ってしまった。参加者の命と、結芽の命。それを一瞬でも天秤にかけたのだ。
ベリアルの甘言を、受け入れてしまったと言う事実。
「バカげている……!!」
吐き出した言葉は、とても重苦しく声に出すのすら、辛くも感じるほどにか細い声。
今まで何のために刀使をやってきた。何のためにノロを受け入れてきた。何のために戦ってきた。
全部刀使の使命を全うするため、大事なものを守るため。断じて屍山血河の上に一人の少女を乗せるためのものではない。
そう、バカげている。端から選択する余地のない、バカげていることだ。なのに、それが振りほどけないのだ。
その手に握りしめる得物───結芽が使い、そして今は使い手のいないにっかり青江のせいで余計に。
本来なら死者の冒涜に憤っていたところのはずだが、結芽の復活を願う彼女に冒涜も何もあるのだろうか。
「君、大丈夫かい?」
「ッ!?」
後方からの声。
こんなにも近づかれているとは。
すぐに写シを張りながら御刀を抜いて警戒するが、
路地から出てきたのは両手だ。手を突き出している。
そのまま前進しつつ、ホールドアップの状態で出てくるのは、
これまた真希同様に眉目秀麗な、さぞ女性受けのよさそうな男性だ。
探偵帽を被れば、探偵とも言うべきような恰好を着こなしており、
本来の真希に備わってるようなクールさをしっかりと発揮している。
変なところがあるとすれば、腰のベルトが少々ごついものになっていて、
子供向けの玩具感が拭えずファッションとしては余り似合わないところか。
「すまないが、その得物を下ろしてくれないかな?
少なくとも殺し合いの前に話し合いをしたい側の人間なんだ。
それに、焦らなくてもいい。焦るほど僕はベリアルみたいな存在じゃないからね。」
「……すまなかった。」
相手に敵意はない。
そう分かるとすぐににっかり青江を鞘へと納める。
鞘に納められると、その手を青年は下ろしていく。
「別にいいさ。でも、今のは少し極端すぎやしないかい?
君は短絡的な思考じゃあない。さっきの独り言からそう受け取れる。
話し合いをしたいだけで、殺し合いに乗る可能性は拭えない場面はあるだろう?
例えば僕が袖の下に拳銃を隠し持っていれば、こうやって抜くだけで君の命が危うくなる。」
言葉とともに指鉄砲で演じる青年。
写シは解除しているわけではないので、
実際に拳銃があったとしても怪我を負うことはない。
ただ、相手からしたら知らないことなので滑稽などと思うことなく。
理由もそのようにあるのだが、それ以上に疑問の方が強くあったからだ。
「……すまない。ボクには分からない。君は、何がしたいんだ。」
話し合いがしたいなら警戒されないようにする。
至って普通のことだ。しかし彼はその逆をしていく。
態々自分を危険人物と思わせるような行為に、怪訝な表情をする。
「とりあえずは死なないことになるかな。色んな意味で。」
意味深な発言が含まれるところもあるが、
話し合いをするのであれば落ち着ける場所が欲しいと提案され、
近くにあった少しばかりシックな雰囲気の漂うカフェで席を共にする。
顔のいい男女がこじゃれたカフェにて対面する二人は、外野が黄色い声を投げかけてしまうような、
そんな光景……とはならない。真希の方が相も変わらず疲弊している顔なのだから。
「ふむ、死者の復活か。あるかどうかで言えばあると僕は思うよ。」
「根拠はあるのか?」
「僕は死んでるか生きてるか分からない人間なものでね。
ちょっと、その境界線の世界に住まわせて貰ってるんだ。」
意味深な発言が気になったのもあるが、
彼が生死の狭間にて彷徨ってる……と言うと、
少々語弊はあるのだが、訂正していては話が進まない。
生死の狭間にある世界。そこで彼が目にしてきたものや、
内容を聞いていくものの、真希の表情は晴れることがない。
「全体的に『憶測』と言うか『らしい』ばかりだな。」
「仕方ないよ。これは事実上悪魔の証明だ。
出ていった人が生き返ったのか死んだのか。
そこでの記憶すら取り戻せるかはあやふやなものだ。
僕はその世界の創造神でもないのだから、分かるわけがない。
ただまあ、本当に死んで消えていった人は僕は知ってる。一応、地獄へ行った人も。
これについても、本当かどうかなんてわからないが、死後の世界なんてそんなものだろう?
誰もそれを観測することはできない。だからあるかどうかの議論をするだけ無駄なことさ。
あれは現実……って言いたいけれど、君の言う刀使も現実になっているからおかしな話か。
僕のいた世界では、およそありえないことだ。そして、そこにいる僕をベリアルは招き入れた。
この身体が生きてるのか死んでいるのか、これもまた証明不可能ではあるけれど、多分蘇生は可能だ。」
「……そう、か。」
ギリリ、と歯が軋む。
可能だと断言させられた。
否定してほしかったかどうかは分からなかった。
ただ、否定されれば迷わず刀使として人を守れる。
その使命を全うするだけでこの場の話は済むのだから。
「でもその燕さんが、本当に君の臨んだ燕さんかは不明だけどね。
生き返ったけど君のことは奇麗さっぱり忘れてセカンドライフを送るとか、
或いは……その荒魂とやらになって、悍ましい怪物となった状態で現れる───」
「……ッ!」
鋭い殺気。
視線だけで人を射抜けそうな眼差しは、
今すぐにでも殺してやろうかとでも言わんばかりのものだ。
けれども抑えている。彼はあくまで可能性を提示しているだなのだと。
そこには侮蔑や嘲笑と言った悪意ある感情を含めたものでもなかった。
しかし今の彼女はコップにギリギリまで注がれたの水のように、
辛うじて保っている部分がある。些細な揺らぎで手を出しかねない。
その様子に、軽く肩を竦める。恐怖ではなく、やれやれと言った具合に。
「と言う、可能性の提示もしておいただけだよ。その上で問いかけるが、君はどうするつもりだい?」
「ボク、は……ッ。」
言え。刀使として、ベリアルを打倒すると。
その一言が、水を飲み干して潤ってるはずの喉からは出てこない。
言えばもう一つの道は閉ざされる。本当に、自分はそれでいいのか。
結芽が生き返るかもしれない。その可能性が提示されている状況がある。
一度天秤にかけてしまった心には揺らぎが出てしまっている状態だ。
何かを言いたげに、しかし言えないでいる真希を見かねてか、
「因みに乗る、乗らない関係なく、僕は君に協力するよ。」
或いは単にじれったいだけなのか。
青年は組んだ手に顔を乗せ、真希にとってこれ以上ない条件を提示してくる。
一瞬だけ表情が変わりかけるが、甘言や誘惑と同様にそれらは裏があるもの。
そも、どちらでもいいと言うことは『善悪の概念がない』と言うことだ。
もっと言えば、この男の真意はどこにあるのか。そこに真希はいきつく。
会話の主導権は彼が握り、思えば情報提供や協力的な姿勢ではあるものの、
彼と言う人物についてはろくに語られてない状況だ。なんせ、
会話しているのに名前と言う初対面ならまず出るものでさえ知らないのだから。
ベリアルのような不可解な人物に、真希は戸惑いが隠しきれない。
「君は、何がしたいんだ。」
「言ったはずだよ。とりあえず此処で死なないことだって。
最後に何処に行くかも分からないこのゲームで、と新たに注釈をつけよう。
君がどちらサイドになるにしても、実のところ僕にはそも選択権がないんだ。
何故なら、思想が違えばそれで殺し合う間柄になるんだ。もちろん抵抗はするさ。
抵抗はするつもりだが、その抵抗をする前に君の腕ならまず抵抗もできず死ぬだけだ。
悪意を以って接触してるように見えるだろうが、基本の主導権は全て君に委ねられている。
当然生殺与奪もだ。君が支給品だけ剥ぎ取ると言いだしても、それに従わざるを得ないだろう。
無論、さっきも言ったけど最大限の抵抗自体はさせてもらうことだけは留意しておいてほしいが。」
「だとしても、分からない。
精神的に疲弊しているボクと接触することは、
君の生存という目的に対してリスクが大きすぎる!」
少なくとも彼は外見の探偵に近しい風貌もあり聡明な人物。
数少ない情報ではあるが、確かに目敏い観察眼を持っていた。
だからこそ分からない。精神が不安定な人物に接触なんて、
生存を第一とする人間が接触するには、まるでリスクが見合わない。
何か支給品や隠している能力があるのかもしれないにしても、
まだ殺し合いが始まったばかりだ。選り好みする余裕は十分にある。
此処で自分一人に的を絞る理由があるとは思えないのは、
彼女の謙虚さ、ないし自信のなさの表れでもあるだろう。
「勿論観察したり声のかけるタイミングは、慎重に選んでいるよ。
けれど、殺し合いなんてその時点で人の選り好みなんてほぼ無理だろう。
僕と君、そしてベリアルの存在が既に選り好みする余裕はないと考えに行き着く。」
生死の狭間の世界はあれども、
彼の世界には刀使みたいな常識に近い超能力に類するものはない。
常識外れの力で呼ばれた以上彼の強さは、下から数えるべきだとなるのは自明の理。
生き残るには、スタンスがどうあれ誰かに媚び諂って生きる以外に道は残されていない。
多少の武術や成人男性の肉体が何だと言うのか。そんなもの到底戦力にならなかった。
「だが……」
「獅童さん。質問をしていたのは僕の方だよ。
さっきの問いにまだ答えてない……君は何がしたい?」
何をするにしても都合が良い協力者の登場。
しかしその選択権は、全て自分に委ねられている状況だ。
何故、と問わず自分のやりたいことをすればいいだけである。
青年の同じ問いに対して、首を絞められたみたいに声は出ない。
寿々花に諭されなければ、こんなにも冷静でいられないのかと自責の念に駆られる。
「まあ、答えが出るまで待つのは構わないよ。
再三言うようだけど、基本的な主導権はほぼ君にある。
僕は何をしても味方であるつもりだよ。それは忘れないでほしい。」
そう言って青年は席を立つ。
悩める刀使を、一人残して。
【獅童真希@刀使ノ巫女 刻みし一閃の燈火】
[状態]:精神疲労(大)
[装備]:にっかり青江@刀使ノ巫女
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0~2
[思考・状況]
基本方針:???
1:僕は……どうしたらいい……ッ
[備考]
※参戦時期はゲーム版、少なくとも燕結芽蘇生前。
「さて、どうなるのかな。」
二階から彼女を見下ろしながら、
まるで虫かごの中の昆虫を見るように観察する青年。
誤解されそうだが、彼女がどちらを選んでもそれに従い、
自分が死なないことを第一に考えていると言うのは事実。
少なくとも、それらに関しては嘘偽りは存在しない。
ただし、同時に彼は救われたいと思ってるわけでもなく。
だから殺し合いに関してどちらを選ぶにしても構わなかった。
死んだとしても、そうされる謂れのある仕方ない人物だと言う認識なのだから。
だからと言って、はいそうですかと死ぬような人物と言うわけでもない。
(最初は子供の玩具とも思ったが、そういうわけでもなさそうだ。)
青年がポケットから取り出すのは、サクランボが描かれた錠前。
曰く変身ヒーローのようなものになれると言うことは少々眉唾物だったが、
ベリアル以外にも自分の常識とは大分異なる世界を知ったことで確信はしている。
とは言え、これで変身する前に彼女に攻撃されていればそれすらもできなかったので、
彼の言う抵抗する手段はあるものの、主導権そのものは真希にあることも嘘ではない。
(それにしても、何度僕はこういう目に遭うのか。)
此処に来る前に、ある少女と戦った。
暴力ではなく、知力や知識と言った戦いで。
それはさながら、ホームズとモリアーティのような。
憧憬、嫉妬。それらが入り混じった、複雑な感情を持った男に撃たれて、
生死の世界において死んだ。そのはずだが、今度は此処に招かれることとなっている。
死にかけて、死んで、そして生きていて。数奇な道をたどっているものだと思わずにいられない。
(彼女はどちらを選ぶのだろうか。)
不安定な心を持った女性。
彼は別にホームズと見立てた彼女のように特別視をしてるわけでもなく、
以前死に追いやった客のような実験的な扱いをしたいわけでもない。
少なくとも、死なないために利用させてもらうことは事実だ。
彼にとって女性に対して特別な感情を持ち合わせることはない。
それが彼、大外聖生の始まり。
【大外聖生@誰ソ彼レホテル】
[状態]:普通
[装備]:チェリーエナジーロックシード+ゲネシスドライバー@仮面ライダー鎧武
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0~2
[思考・状況]
基本方針:一先ず死なないこと。少なくとも嘘じゃないさ。
1:彼女の選択を待つ。
[備考]
※参戦時期はホテル外での死亡後(アニメ版で言えば11話)
【にっかり青江@刀使ノ巫女】
真希に支給。作中世界における神聖な希少金属「珠鋼」から作られた刀。
刀使が持つことにより神力を引き出し様々な能力を引き出すことができる。
本ロワにおいては刀使であれば誰でも使用できるが、持ち主が違う場合は性能が劣化する。
【チェリーエナジーロックシード+ゲネシスドライバー@仮面ライダー鎧武】
大外に支給。戦極ドライバーの後継機にあたり、エナジーロックシードをセットして変身を行う。
所持しているのはチェリーエナジーなので、彼の場合は仮面ライダーシグルドに変身できる。
最終更新:2026年02月28日 19:09