術師相手であれば通常兵器は積極的に取り入れるべきだと言ったのはついこの間だったか。
まさか、その言葉がこうも早く回収されるとは思わなかったよ。
うん?なんだか不満げに見える?お前が望んだ混沌の一つの形だろう、だって?
いや、まあ、そうなんだけどさ。けど流石にこれは萎えるというか...なんて、ぐちぐちと嘆く暇もない。
想像してみなよ。
起床と同時に7.6ミリ弾が視界を埋め尽くす光景を。
エグイなんてものじゃない。
︎
「ヒュウッ!!早速一匹仕留めてやったぜぇ!!!」
歓喜の雄叫びを上げる褐色のハゲ頭は、その逞しく発達した二の腕を叩き自慢げに見せつける。
男の名前は、バルカン・ボビー。
目を覚ますのと同時に、自分より微かに起きるのが遅れた男に向けてバルカンをぶち撒けた張本人である。
「爽快だぜぇ!ベリアルとかいう馬鹿はちゃんと俺のことをわかってくれてるじゃねえか!!俺からバルカンを取ったらバルカン・ボビーじゃなくなっちまうからなあ!!」
彼には、彼にしか理解できぬ拘りがあった。
『殺す時には如何なる時にもバルカンを』『そうでなければ俺はバルカン・ボビーじゃなくなっちまう』
...ハッキリ言って、この男が人外魔境が予感されているこの殺し合いにおいて勝ち残るのは不可能だろう。
それは実力だとか以上に、考え無しだから。
せいぜい、後先考えなしに撃ちまくって放送を迎える前にその名を連ねられるのが関の山だ。
だが、いま、この時に限ってはその短慮さが功を制した。
バルカン・ボビーは預かり知らぬことだが、なんせ相手は1000年以上も呪術を研究し研磨してきた生粋の怪物。
もしも、定石通りに会話から入ろうとすれば、良くて捨て駒か、ほとんどの可能性で首輪を調達するための犠牲になっていたのは想像に難くない。
故に、バルカン・ボビーは本来ならば起こり得ぬジャイアント・キリングを見事に果たしたのである。
だが。
これもまた預かり知らぬことだが、この時点で彼の運命は決していた。
オ オ オ ォ ォ ォ
地響きが鳴り始める。
まるで地獄の釜で茹でられる亡者たちのような、心の底から身体を震わすような悍ましき音だ。
オ オ オ オ オ ォ ォ ォ(PC書き文字)
「なっ、なんだぁ!?」
否。それは間違いではない。気のせいでもない。
硝煙を切り裂き、バルカン・ボビーの前に絶え間なく躍り出るのは魑魅魍魎の群れの山だ!
これこそが、呪霊操術の使い手に仕込まれた恐るべき爆弾。
「さあ、『生きる』ことをしようか」
夏油傑ーーー否、最凶の術師・羂索の『呪い』である。
︎
数分後。
数多の呪霊たちが、散り散りに去っていった跡に、悍ましいほどの赤色を地面にぶちまけ、バルカン・ボビーだった肉塊が転がっていた。
「反転術式」
その呟きとともに、肉塊はたちまちに元の形を取り戻していき、バルカン・ボビーは再びこの世に再臨する。
「うまくいってよかった」
だが、それはただ元に戻ったというには異様だった。
「まさかたった一回きりの術式をいきなり使う羽目になるとは思わなかったよ」
喋り方は野蛮さを抑えた理性あるものに変わり。
なにより一目で異常だとわかるのが。
「しかも身体が変わったせいで反転術式くらいしか使えないし...ただの腕力であんな重たい弾倉を持てるポテンシャルは認めるけどねぇ」
そのハゲ頭にくっきりと縫い目が刻まれていたことだ。
「まあ、なってしまったものは仕方ない。どんな形であれ、命を賭けることになってしまったらあとは行動するしかないからね。死ぬことはいつだってできるんだ。まずは一歩踏み出す。自分の理想に一歩近づく。その実感こそが、『生きる』ということだーーーわかったか、天元」
何処ぞの誰かに語りかけながら、彼はバルカンを担ぎ直し、このバトル・ロワイアルに臨む。
彼はバルカン・ボビー...否、羂索。
死体となったバルカン・ボビーの脳を術式で乗っ取り、新たに生まれた『バルカン・羂索』である。
【バルカン・ボビー@TOUGH 死亡】
【羂索@呪術廻戦】
[状態]:呪力消費、バルカン・ボビーの肉体
[装備]:バルカン・ボビーのバルカン(M134)
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×1~5
[思考・状況]
基本方針:優勝して元の夏油傑の身体を戻して、計画の続きを再開する。
1:暗躍にまわってもいいけど、たまには思い切り暴れるのもたのしいかもしれないね
※羂索の術式は制限によりこのロワで一度だけ使用できます。今回の話で使用したのでこのロワ中ではもう使えません。
※バルカン・ボビーの肉体に乗り移ったことと制限の影響で、呪霊操術と反重力機構は失いました。反転術式は使えます。
※今回登場した支配から外れた呪霊たちはNPC扱いになり、この話がもし当選したらそのまま全部消えます。
※参戦時期は少なくとも真依の狙撃銃を止めた後
最終更新:2026年02月28日 19:13