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 轟音が周囲へと鳴り響く。
 ベリアルによって始まった殺し合いだ。
 この状況下においては、誰が聞いても戦いの音と判断するに難くない。
 広々としたアスファルトの路上に立って戦っているのは、二人の男女だ。
 どちらもアスファルトの上で戦うには不格好なファンタジーな姿をしているが、
 いずれの方も、このような現代的な場で戦うことを主としていたわけではない。
 方やその肌からは鍛え抜かれたことが伺えるであろう筋骨隆々の青髪の男。
 方や白い鎧と槍と盾を装備している、うら若い少女の二名になる。
 どちらもこういった場所からは離れた側の世界の住人である。

「この人、強い……!」

 振り下ろされる氷結の刃を持つ斧の一撃を躱す。
 躱せば地面にクレーターが出来上がり、当たれば無事では済まないことを示す。
 冷汗は止まらない。彼女の戦術は受けてからの反撃というのが主な戦術になる。
 その受けを許さない一撃で盾を粉砕しかねない、あるいは腕を砕くそれを前に、
 いつもの彼女の行っている戦術を取るようなことができないでいるのだから。
 いかに人外の存在とはいえ、受けていい攻撃とならない攻撃の区別はつく。

「どうした? この程度か?」

 男は挑発のように手招きする。
 このまま肉薄して攻めるのも戦術の一つだ。
 攻撃は最大の防御とは言う。間違ってるものではない。
 問題は相手は魔法も使ってくるという見た目とは裏腹に器用な男だということ。
 離れている今も地面に手をたたきつければ闇の刃が足元から現出し襲ってくる。
 何度もやられてるので咄嗟に回避はできるようにはなったものの苦戦は必至だ。
 近ければあの破壊力、離れていても魔法により相手のペースに飲まれてしまう。
 ゆえに選ぶ戦術は肉薄。槍というリーチを前にしても接近戦を選ぶことにする。

「まだ、やれる! ボクはかの英雄アーサー王に、そしてキャメロットさんに近づくために!」

 彼女、ティンタジェル城は城娘だ。
 ブリタニア列王史においてアーサー王誕生の地とされた城。
 ……というのは嘘で、イングランドの王族リチャードによって、
 コーンウォールがアーサー王ゆかりの地だと知ってティンタジェル城を建てた真っ赤な偽物。
 それでも。ティンタジェル城自身はアーサー王が実在していたと信じてるマニアの一人だ。
 実際、村の名前すらティンタジェル村になってしまうほどに本気になってる人もいるのだから。
 現代においてもアーサリアンにおける聖地巡礼の地とされてしまって、観光客も多いのだとか。
 そういう人々の想いから誕生するのが城娘という存在であり、彼女はその傾向を色濃く受け継いでいる。
 だから憧れている。そのアーサー王の居城たる存在である偉大なるキャメロット城を。

「その程度で英雄を名乗るだと? 片腹痛いわ!!」

 それを鼻で笑う男の名前はバルバトス・ゲーティア。
 英雄になれる逸材だったが、そおの所業でなり損ねてしまった存在だ。
 英雄に近づこうとする彼女の姿は子供じみた理由で英雄になりたいという、
 カイル・デュナミスを彷彿とさせる無鉄砲な存在にしか見えなかった。
 斧を片手で軽々と横へ振るい、バックステップで華麗に回避。
 未熟とされるティンタジェル城だが巨大兜アーサー王に洗脳される程度には実力は高い。
 射程の外へと出れば即座に槍を叩き込むがバルバトスにとってこの程度些事だ。
 彼女の槍を身をよじることで躱し、回し蹴りで蹴り飛ばす。

「グッ……ボクだって城娘! アーサー王誕生の城なんだ。だから───」

「灼熱のバーンストライク!」

 手にした槍を地面に突き刺し、強引に動きを止める。
 そこに空から降り注ぐ炎の槍をかいくぐり肉薄していく。
 やけくそではない。洗練されたランス使いによるティンタジェル城の突きは、
 的確にバルバトスの身体を狙った攻撃として襲い掛かってきている。
 しかしそれを上回るのが向こうだ。どれだけ洗練されていようとも、
 実力差があればそこに意味は薄い。悉く、巨体と巨斧を手にしながら、
 ひょいひょいと躱していく姿は冗談かと見まがうほどの強さを誇る。

「下らん。この程度ならばカイル・デュナミスの方がましだ!」

 そう侮蔑のまなざしと共に斧を振り上げると、バキリと嫌な音がした。
 腕は折れてない。切断もされてない。しかし、持っていた槍は先端が吹き飛んだ。
 あと少しタイミングが遅ければ腕に甚大なダメージを受けていたかもしれないが、
 問題はそこではない。武器が砕けたことで、彼女は肝心の攻めの手をなくしたということ。
 得物はお世辞にも強いとは言えなかった。けれど武器を言い訳にして負けるわけにはいかない。
 けれどそんな心を砕くかのように武器は砕けた。盾を使えばまだ戦えるかもしれないが、
 今までよりもリーチという強みを失ってしまった彼女の戦意は大幅に削られてしまっている。
 その大きな隙を、バルバトスは見逃すことなく頭を掴む。

「這いつくばれぇ!!」

 躊躇なくアスファルトへと叩きつける。
 普通ならばこれでも大分重傷だが城娘は頑丈だ。
 大砲の一撃をもろに受けても服はともかく五体満足でいられることも多い。
 だからまだ耐えられるが、問題は今のティンタジェル城の巡らせる思考の方だ。

(どうする、どうすれば……)

 こういう時殿なら、アーサー王なら、キャメロット城なら。
 出会ってきたりかかわってきた城娘ならどう対処するだろうか。
 そう思考を巡らせながらも、なんとかバルバトスの踏み付けを除ける。
 だが続けざまの斧の一振り。こればかりは回避することは間に合わない。





「おっとそうはいかないさ!」

 その声とともに周囲を漂う白い霧───いな、雲。
 最初、ティンタジェル城は大いに警戒した。霧と言えば、
 自分たちがここへ来る前に起きていた異変と同じものだからだ。
 そこで最終的に円卓の騎士ガレスとして洗脳された経験が記憶に新しい。

 バルバトスも敵の毒の類の攻撃と思い警戒し距離を取ろうとするが、
 今の声は助けようとする声だ。それならばティンタジェル城も巻き添えになる。
 だから毒はないと即時判断して斧を振り下ろすものの、感触はどこにもない。
 一度雲の範囲内から出ることを優先としてバックステップで距離を取り周囲をうかがう。
 確認すれば標的たる存在はいた。ただし、雲に乗って空から森の方へと移動をしていた。
 追跡は面倒だ。森を破壊しながら突き進むのであれば不可能ではないものの消耗が激しい。
 そうまでして追跡したい相手かと言われれば別にそんなことはない。仕方なく別の相手を探す。
 この程度で狂戦士が止まることなど、あるはずがないのだから。




 バルバトスから離れた森の中。
 雲に乗った一人の男性とティンタジェルが雲から降り立つ。
 足音を警戒するが追跡されている様子はないので男は安堵の息をつく。
 男の姿は少々異質で、雲も相まって西遊記の孫悟空のような恰好をしてるが、
 ゴーグルやジャケットと、現代的な格好も相まって彼女からすればかなり不思議な格好だ。

「ふぅ、なんにせよ助けられてよかったぜ、お嬢ちゃん。」

「ありがとう、ございます……」

「げ、やっぱ遅かったか? どっか痛むなら……」

「いえ、騎士としてあの手の輩を倒せなかったのが歯がゆいなと。」

 キャメロット城だったらどうしていたのだろうか。
 きっと最後まで折れずに立ち向かうぐらいの気概はあるはずだ。
 けれど自分はどうか。武器一本失っただけで戦意が喪失しかけた。
 これではとても、キャメロット城に追いつくことなんてできはしない。
 ただでさえここへ来る前も巨大兜に洗脳されていたのだ。未熟な所ばかりが露見する。
 自分の弱さばかりを痛感させられて、すぐに立ち直れるほど彼女の心は強くはなかった。

「でも、まだ生きている。」

「え?」

「まだ生きてるなら、逆転はできるさ。
 死んじまったら何もできなくなっちまうからな!
 俺も、多分死んで何もできなくなってたと思うからなぁ……」

「それは、まあ、確かに。」

 励ましているのは分かるのだが、
 内容が内容なので少々言葉を詰まらせる。
 この人は元は死人なのか、ベリアルは死者をも復活させられるのか。
 思うところはいろいろあれど、少なくともこの人は敵ではないのは分かった。

「あ、遅れましたが助けてくださってありがとうございます!
 ボクはティンタジェル城、かの英雄アーサー王誕生の城です!」

 アーサー王誕生というのは嘘であっても、
 やはりアーサー王の実在を信じたい願いによって誕生した彼女は、
 そう願いを抱いたままの自己紹介をはきはきとする。
 相手もそんな姿に笑顔で答えた。

「俺はラウドクラウド! 英雄(ヒーロー)志望だ!」

 彼女に負けじと自己紹介は元気よくだ。
 まるで学校で初めての自己紹介の時のような、快活さで。

 英雄になれなかったもの、英雄に憧れるもの、英雄(ヒーロー)になろうとするもの。
 英雄にまつわる三人の物語が、それぞれ始まろうとしていた。

【ティンタジェル城@御城プロジェクト:Re】
[状態]:ダメージ(中)(城娘の能力で再生中)、精神的疲労(中)
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0~2
[思考・状況]
基本方針:アーサー王みたいに、キャメロット城さんみたいに殺し合いを止める。
1:あの人(バルバトス)を何とか倒さないと
2:ラウドクラウドさんと行動するのがいいのかな
3:王様(殿)やキャメロット城さんもいてほしいような、いてほしくないような。

[備考]
※参戦時期は夢幻航海時空で、少なくとも洗脳解除以降。

【白雲朧@ヴィジランテ-僕のヒーローアカデミアILLEGALS-】
[状態]:健康
[装備]:ラウドクラウドのヒーローコスチューム@ヴィジランテ-僕のヒーローアカデミアILLEGALS‐
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0~2
[思考・状況]
基本方針:ベリアルを止める
1:ティンタジェル城と行動する。
2:相沢とかいるのかな?

[備考]
※コスチュームは一式で支給品1枠です
※制限で個性で飛べる高さには限界があり、高く飛びすぎると消耗が激しくなります。

【バルバトス・ゲーティア@テイルズオブデスティニー2】
[状態]:疲労(小)
[装備]:凍土の巨斧@御城プロジェクト:Re
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0~2
[思考・状況]
基本方針:皆殺しだぁ!
1:相手を探す。

[備考]
※参戦時期は採用され次第後続にお任せします

※近衛兵の槍@片道勇者+は壊れました
 残骸がどこかにあります

【ラウドクラウドのヒーローコスチューム@ヴィジランテ-僕のヒーローアカデミアILLEGALS‐】
白雲のデフォルト支給。彼のヒーローコスチューム一式セット。
如意棒のような赤い棒と、スピーカーつきの瓢箪もついている。

【近衛兵の槍@片道勇者+】
ティンタジェル城に支給。原作で条件を満たすと近衛兵から買える武器
ただし耐久力は二番目に低く、もろい。良くも悪くも序盤用武器

【凍土の巨斧@御城プロジェクト:Re】
バルバトスに支給。元はモンスター娘TDコラボのフロストジャイアント娘のモチーフ武器。
巨人を持つ武器を模して鍛え上げられた巨斧。島の地形を変えるほどの巨大な力が秘められてる。
所持してる限り氷結系の攻撃を無効にできる
最終更新:2026年02月28日 19:42