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漆黒の闇を切り裂く、一切の揺らぎなき足音があった。
その主の名はTAS。
彼にとって、この「殺し合い」という不条理な舞台も、効率化すべき一つの「ゲーム」に過ぎない。

目覚めと共に支給品を確認し、中身を瞬時に精査。最も殺傷効率が高いと判断した「鉈」を手に取ると、彼は最短ルートで「全参加者の排除」というクリア条件を満たすべく、夜の帳へと溶け込んだ。加速、旋回、跳躍。その全てにコンマ一秒の無駄もなく、重力すら計算に組み込んだかのような挙動。

だが、その「最適解」の前に、一つの異物が立ちはだかる。

闇よりも深い黒。仕立ての良い黒のスーツに、表情を一切読み取らせない漆黒のサングラス。
そこにいたのは、かつて数多の逃走者を絶望の淵に叩き落としてきた冷徹な追跡者――ハンター。

TASは迷わない。フレーム単位で計算された踏み込みと共に、死角から鉈を振り下ろす。
――確定したはずの「命中」が、空を斬った。

(……回避された? この座標、このタイミングで?)

TASの思考に、初めてノイズが混じる。
生身の人間には不可能な反応速度。だが、困惑している暇はない。背後に回り込んだハンターの右脚が、空気を爆ぜさせながらTASの背中を捉えた。

ドォォォン!!

肉体というより、鋼鉄の塊に激突されたような衝撃。
吹き飛ばされながらも、TASは空中で体勢を立て直し、着地と同時に低空の足払いを繰り出す。ハンターの膝を折り、転倒させた刹那、全体重を乗せた鉈がその首筋へと叩きつけられた。

ガキィィィィィィィン!!

響き渡る不快な金属音。
鉈の刃が火花を散らし、ハンターの肌……その奥にある強固なフレームに弾かれる。
この時、TASは瞬時に演算を完了させた。

(対象は生体ではない。装甲値、推定耐久力、及び戦闘継続能力を考慮……現装備での撃破効率は極めて低い。――戦略的撤退(リセット)を選択)

TASは即座に反転し、複雑に入り組んだ廃墟の影へと跳躍する。
ハンターもまた、標的を逃がさぬよう無機質なストライドで追走を開始した。機械対機械、理論対理論。
視界が遮られる曲がり角、高低差を利用したトリッキーな移動。TASが持てる技術の全てを注ぎ込んだ「逃走ルート」は、流石のハンターをも撒くことに成功した。

静寂が戻る。
TASは物陰で、悔しげに奥歯を噛みしめた。
「最速クリア」という至上命題の前に現れた、想定外の強敵。

だが、止まってはいられない。
この「クソゲー」を終わらせるための最適解は、まだ他にあるはずだ。
彼は再び、闇の中を走り出した。次の獲物、あるいは「攻略法」を見つけ出すために。

【TAS@TAS動画シリーズ】
[状態]:健康
[装備]:鉈@ひぐらしのなく頃に
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×1~2
[思考]:殺し合いの最速クリア
1:次の獲物を探す

【ハンター@逃走中】
[状態]:首元に傷
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×0~3
[思考]:全ての参加者の確保、殺害
1:目に入った参加者の確保

【鉈@ひぐらしのなく頃に】
レナが日頃から使用している鉈
最終更新:2026年03月06日 23:24