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「どうして…どうしてワシがこんなことに……」

首より下はスーツだが、頭には風呂敷で作ったほっかむりと、ゴキブリのような帽子
頭に奇妙なものを2つも付けた男が、汗を滝のように流しながら、カサカサと走り続けている。
周囲の暑さや、男が小太りなのも相まって、ダイエットしているかのようにも見える。
しかし、実際にはそんな生易しいものではない。

(そもそも、あの怪物は何なんだ!!)

辺りの市街地の火は、自然によるものではない。
だからと言って、人為的によるものでもない。
人間の赤ちゃんほどの大きさしかない何かが、吐き散らす炎が原因だった。
いや、哺乳類と言うより、怪物は魚のような見た目をしていた。
しかし、泡の代わりに炎を吐き、水ではなく空気を泳ぐ魚だ。

「ミヨミヨー」

奇妙な生き物の鳴き声と共に、男のすぐ近くに火柱が上がる。
彼が素早く動けていたのは、ゴキブリの頭部を模した帽子があるからだ。
ある小学生によって作られたそれがなければ、男はとっくに消し炭となっていただろう。

(くそ…月賦で買った中古のマシンガンさえあれば、ベリアルもあの怪物も…)

そんな愚にも付かない思考の中に、ノイズが混ざる。
いや、それはノイズではない。ゴキブリ帽から伝わる、どちらへ逃げるべきかという指示だ。
一般人なら、決して出せないような反射神経とスピード、そして正確な方向転換で逃げまどう。

「ミヨミヨミヨミヨミヨ」

炎をまき散らしていたばかりの魚が、急に鳴き始めた。
振り子のように身体を揺らし、それは何か相手を誘っているかのように見える。


「わしをコケにするつもりか!!!」

その怒声に驚いたのは、男自身だった。
当然、魚の言っていることなど分からず、先程の動きも何を意味するのかは不明だ。
しかし、無性に苛立たしくなり、腕に力が入る。
まるで部下たちが自分の歌を下手くそだと思っていた時のような、激しい怒りに駆られた。

男には知らぬことだが、その生き物の特技の一つ、『いばる』だ。
相手の攻撃力を上げる代わりに、精神状態を乱し、身体を思うように動かなくさせる。
状態が悪化すれば、力が強まった状態で、自傷行為を行うこともある。

(やめろ!何をしているんだ!!にげろ……)

自制する意志も、次第に消えて行き、その足は怪物に向かっていく。
そのまま、男は消し炭にされるはずだった。

「ギニャーーーーーーーっ!!!」

凄まじい痛みを感じたと思ったら、右腕からハサミが生えてきた。
激しいショックで、逆に混乱状態が解ける。しかし痛い上に、グロテスクなことこの上ない。
不幸中の幸いか、衝撃的な痛みのおかげで、魚への怒りは薄れた。

「いだだだだだだ!!!」


だが、さらなる痛みを、男は味わうことになる。
腕から生えてきたハサミが、ブチブチブチと引き抜かれ、更なる痛みを味わうことになった。
何者かに引き抜かれたハサミは、魚めがけて投げられた。
ダーツのように勢いよく飛ぶそれは、魚に命中する。だが、大して効いている様子は無い。
熱で融解されてしまったか、はたまた刺突のダメージが少ない体の造りをしているからか。

「逃げるぞ。」

それでも、一瞬ながら時間を稼ぐことが出来た。
ひどく低い声のする方向に、視線を向ける。
その近くに真っ黒な男がいた。
頭からイカ墨をかぶったかのように、黒いフードで髪形を覆い隠した男だった。




空気が涼しくなると、ほっと一息ついた。
これまで役立っていたゴキブリ帽を脱ぐ。
どうやら30分しか力を発揮せず、バッテリーが切れると再度使えるようになるまで6時間が必要らしい。


ケチケチした生活が身に染みているためか、すぐに帽子を外してザックに入れる。
辺りを伺い、あの黒い男は、炎をまき散らす魚はいないか確認する。
どちらも、視界に入らない。そのはずだったが、いきなり真っ黒な姿が現れた。
暗闇に黒い格好が紛れていたからではない。今まで見えなかったというのに、急に姿が見えるようになった。

危機が去ると、ますますその異様な姿が映る。
瞳は本来白いはずの部分が黒くなっており、虹彩は真っ赤だ。
頭という隠さなくてもいい所を、黒い頭巾で隠しているのにも関わらず、筋肉質な胴体にはコートのサスペンダーを巻き付けているだけだ。

「危ない所を助けていただき、誠にありがとうございます。」

男、ドン石川は深々と頭を下げた。激しく痛む右腕を、手で押さえながら。
黒い男の正体だったり、自分の腕からハサミが生えてきた理由は不明だが、今は助かったと信じたかった。
黒と赤の瞳は、じっとドン石川を見つめている。その視線は何を意味するのか不明だった。

「あ、あの…助けてくださったお礼に、もう一つ頼みごとを引き受けていただけませんか?」

「聞かせろ。」

先程と同じ、ひどく低い声でそう言われた。
その言葉で、ドン石川が思っていたことが、確信に近づく。
この男は、自分と同じ悪だということだ。

「わしらの未来のために、パーマンを倒すのに協力して欲しい。」

「パーマン?…日本にそんな漫画があったらしいが…まあいい。そのパーマンという奴について詳しく説明しろ。」

「ビルより高く空を飛び、その拳は岩をも砕く恐ろしい奴なのです。」

その言葉を聞いても、表情は全く動かず、言葉一つ話されなかった。
顔が続けろ、と語っている。

「彼のせいで、わしら全ギャングドロボー連盟改め、全日本悪者連盟は、スリも空き巣も、強盗もカッパライも出来なくなっています。」


ドン石川は、今まで悪事を幾度となくパーマンに潰され、その度に新たな強い悪者を勧誘してきた。
様々な発明をしてきたハーバード大学早退の魔土博士や、ぶつかってきた相手なら何でも吹き飛ばせる神仙など。
だが、腕からハサミを出させた真っ黒な男は、今までスカウトした悪者たちよりも圧倒的な存在に思えた。
その力のタネは不明だが、彼さえ味方になってくれれば、パーマンさえも倒せる。
そんな期待に胸を高鳴らせる。

「なるほど。分かった。」

その言葉を聞いて、ドン石川の心に、光が差したような気分を覚えた。

「わ、分かってくれ……うえええええええ!!!」

「おまえの話を、聞くに値しないと言うことがな。」

口から言葉を発そうと思ったら、代わりに大量のカミソリが出てきた。
光が差したと感じるのは、ドン石川の大きすぎる勘違いだ。
何しろ黒い男の世界に光などなく、あるのは闇と復讐だけだからだ。


「パーマンという奴のことはどうでもいい。まずはオレのために動け。
オレがおまえを助けたのは、ベリアルを倒すための人員の確保、そして、あの炎の怪物の情報の収集のためだけだ。」

「え?パーマンを倒して下さらないの…ですか?」

その声はひどく震えていた。
また自分が摩訶不思議な攻撃を受けると恐れているからだ。
鋭い痛みのせいで、彼の心は恐怖に支配されていた。

「まずはベリアルの討伐。そして帰還が最優先だ。余計なことを言えば、その口を縫い付ける。」

その言葉が、脅しでも何でもないことは、十分すぎるほど分かっている。
どんな力で、自分からハサミやらカミソリやらを出したのか、聞きたいことはあったが、話してくれそうな相手ではない。
おまけに、先程から上手く力が入らない。貧血と同じような気分を覚えた。
それは自分の鉄分がカミソリに変えられたからだと知らない。全悪連の本社に、健康改善のジムを設置しておけばよかった、なんてことを考えていた。



【ドン石川@パーマン】
[状態]:ダメージ(中) 腕と口の中に裂傷 貧血
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0~2 ゴキブリ帽@ドラえもん(エネルギー残量20分ほど)
[思考・状況]
基本方針:優勝して願いを叶えてもらいたい…が、出来そうにないので帰還を優先する
1: 黒い男(リゾット)について行く
2: どうにかして、パーマンを倒してくれそうな悪者を探す
3:炎をまき散らす怪物が怖い

[備考]
※参戦時期は少なくとも6巻(てんとう虫コミックス版) 強敵神仙 より後です



暗殺(ヒットマン)チームのリーダー、リゾット・ネエロは、静かに道を歩く。
彼の心の中には、仲間を惨殺した自分の組織のボスへの、復讐心しかない。
ベリアルを殺し、元の世界に戻る。もしこの世界にボスがいれば、必ず殺す。
殺し合いに乗るつもりは無い。
今は殺そうとしているボスでさえ、はした金とは言え報酬はくれた。
それすら渡そうとしない相手の言うことを聞き、自分の暗殺の価値を貶めるつもりはない。

だが、向かってくる相手は、必ず殺すつもりだ。
炎をまき散らしていたあの赤い魚。
彼が首輪を付けられていなかった以上、スタンドか、もしくは誰かに操られている生き物の可能性を見出していた。
自分のスタンドである“メタリカ”の効果は薄かったが、使い手を探し出せば良いだけだ。




【F-3/平原エリア/深夜/一日目】
【リゾット・ネエロ@ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×1~3
[思考・状況]
基本方針:ベリアルを殺す。そのために手駒を集める
1:たとえベリアルは殺せなくても帰還し、自分の組織、パッショーネのボスを殺す
2:ボス、もしくはボスの親衛隊がここにいれば、その時こそ予定を変え、殺す
3:殺し合いに乗るつもりは無いが、歯向かってくる者がいれば容赦はしない。
4:もし脱出する方針が立たなければ、優勝してベリアルも殺すルートに切り替える。


【ゴキブリ帽@ドラえもん】
ドン石川に支給された帽子。ゴキブリの触覚のようなアンテナが2本ついている。
「てきがどこから近づいても発見できる」魚眼レンズ、「まわりのようすを正確に調べる」レーダーアンテナ、「筋肉に電流を流しすばやく行動させる」電極、「どっちへにげたらいいか計算する」コンピューターで構成されている。
なおこのロワの特別ルールとして、30分以上使うとバッテリーが切れ、6時間使えなくなる。
これを作るのに必要な材料は、全て材料箱にあるらしい。どんな材料箱だ。


――なにがバンカーだ!!平気で人を傷つけられる、虫ケラどもめ!!
――必ず復しゅうしてやるぞ…待ってろよ!バンカーども!!



「ミヨミヨー」

「帰ったか。イーユイ。」

燃え盛る町から離れた、ドン石川たちとは別の方向。
真っ白な月の光と、真っ赤な炎の光、二つが男の顔を照らしていた。
でもその光は、男の凍り付いた心までも照らせない。
明かりに照らされるのは、死んだ2人の息子だけで良いと思っているのは、彼自身だから。


Dr.フォアグラ―はこの世界に来る前から、殺すと誓っていた。
息子2人を殺し、自分の発明品を奪ったバンカーたちを。
それも、なるべく残酷な方法で。

山賊集団BB7にニガリという偽名で潜り込んだが、ここにそのメンバーはいない。
いるのは、一匹の勾玉の怪物。
それでも、全てを焼き尽くし、燃やし尽くす力を持っている。
かつての隠れ蓑としていたチームのリーダー、マルゲリータ以上に強い炎の力を持っている。
彼の怒りの炎を体現しているかのように。

そして、この世界に来て思ってしまった。
ここで手に入れた力を使って復讐を果たすだけではなく、子供たちを生き返らせることが出来るのではないかと。
バンカー同士の殺し合いを操っていた自分が、こうして参加者の一人になり下がったのは皮肉な話だが、願いを叶えるためだ。
あの時諦めていた、復讐の先にある未来。それが見えた。見えてしまった。

彼は、月そのものだ。光に当てられる人間ではない。闇の中で、光を見ながら生きるだけの者だ。
たとえそれがチョウチンアンコウの光のような、獲物を誘うための光だったとしても。





【Dr.フォアグラ―@コロッケ!】
[状態]:健康 憎悪
[装備]:モンスターボール(イーユイ)@ポケットモンスタースカーレット/バイオレット
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×0~2
[思考]:優勝して、バンカーのいない世界を作る
基本方針:イーユイを使い、参加者を焼き尽くす。バンカーだろうとなかろうと容赦しない。
1:バンカーはなるべく苦しめて殺す
2:願いを叶えてもらえないのなら、ベリアルも殺す

※参戦時期は、50話でルッコラを落とした後です。



【モンスターボール(イーユイ)@ポケットモンスタースカーレット/バイオレット】
Dr.フォアグラ―に支給されたモンスターボール。以下はイーユイについての説明とする
大昔パルデア地方に封じられた災厄ポケモンの1体で、遥か大昔に争いの火種となった勾玉に人々の妬みが炎をまとって誕生したとされる。
『ふんえん(技構成は広範囲に炎を放ちたまにやけど状態にする)』、『カタストロフィ(相手のHPを半分。死の寸前にのみ相手を殺せる)』、『いばる(相手の攻撃力を上げる代わりに混乱させる)』、『とびはねる(相手の攻撃を回避しつつ、次のターンに攻撃)』
最終更新:2026年03月07日 22:01