「人を殺す魔法(ゾルトラーク)」
その一言が紡がれると共に、1人の呪いに生きた男の生涯は終わった。
末期の言葉を吐く暇も与えられず、ごふりと血反吐を吐き。
紙袋を被った“呪詛師”の肉体が、糸の切れた人形の様に項垂れる。
【紙袋呪詛師@呪術廻戦 死亡】
「……やっぱり。使える魔法は2つだけ、か」
バトルロワイアル開始から10分足らず。
生み出した屍に向けた手を降ろしながら女は独り言ちた。
その瞳にも、言葉にもたった今命を奪った事への感慨は微塵も存在しない。
昆虫の様に無感情、機械の様に冷徹。その様から凡そ人の情は感じられない。
それも無理はないだろう。事実彼女は人ではないのだから。
──服従させる魔法が使えるのはいい。ただ消耗が段違いね。
左右の側頭部から伸びる角は、彼女が人外──魔に属する者の証左。
人類の敵対者。魔物から進化した魔族。それもただの魔族ではない。
魔族の王に率いられ、最も人の世に影を落とした7体の大魔族の一人。
『断頭台のアウラ』は、冷静に自身の状況と課題を認識した。
「確かに首を落とされた筈だけど……
使える魔法に制限が掛かっている以外は特に異常はない」
2、3度握りこぶしを作って肉体の調子を確かめる。
自分の魔法の様に骸を操作されているという訳では無く。
やはり首を落とされ絶命した筈の肉体は完全に復活している様子だった。
(あのベリアルと言う魔族……いったい何者?)
葬送のフリーレンに敗れ、完全に死んだはずの自分を蘇らせたベリアル。
状況自体は利用しない手はないが、どうにも不気味だった。
一目見ただけで感じ取れた、アウラの知る魔王にも匹敵する魔力量。
あんな魔族が今まで自分の情報網に補足されず息を潜めていたのだろうか。
そしてこんな殺し合いを一体何の目的で……?
思索に耽ろうとした所で、今はベリアルの事は余り重要ではないと思い至る。
今直面している問題は、もっと目先の話なのだから。
「相手が全員、紙袋男程度なら問題ないけど……」
アウラが直面している問題。
それは服従させる魔法(アゼリューゼ)の魔力消費だ。
少なく見積もっても、普段とは比較にならない。軽く10倍は超えている。
今しがた殺した紙袋男を従える事すら、1割に近い魔力を消費した。
かの男は分身魔法という利便性の高い魔法だったが、アウラの敵ではなかった。
数の力などアウラにとって、何の脅威にもならないためだ。
だがそんな相手にすら1割近くの魔力を消費せざる得ない事実は。
決して無視できない。優勝まで重くのしかかる特大の障害だった。
───多少リスクはあるけど、今は数より使える“個“を抑えた方が得策か。
消耗が桁違いに増大した今、一山いくらの雑魚を揃えた所で意味はない。
苦労して数を揃えてもフリーレンの様な相手に纏めて吹き飛ばされれば。
その間消費した魔力は全て無駄に終わってしまう。
だから魔力に余裕のある早期の内にアウラが認めた実力者を狩り、従える。
ある種の賭けではあるが、それがアウラの定めた方針だった。
───丁度、来たみたいだしね。
丁度その時、示し合わせた様なタイミングで感じ取る魔力の気配。
人間の様だが、大きい。生前の紙袋男とは感じる魔力量が比べ物にならない。
一級魔法使いの総量すら上回っているかもしれない。
全意識を集中し、魔力の気配を測る。
「でも、私程ではないわ」
人間離れした魔力量ではあるが、自分には及ばない。あくまで人類としては、だ。
悠久の時を生きる魔族に対し、人類には決して超えられぬ種としての壁がある。
そして、自分を斃したエルフの様に魔力を隠している気配も感じ取れなかった。
第一印象そのままに、膨大な魔力を漲らせている手合いだ。
一度命と言う授業料を支払って学んだアウラに油断はない。
確信と共に、断頭台のアウラは2番目の獲物を定めた。
◆
現れたのは、アウラの想定通り人間の男だった。
年は若い。恐らく20は超えていないだろう。
上は白、下は黒の服を身に纏って、片手に剣を携えた青年。
やはり、ただ物ではない。20程度の齢であそこまでの魔力量は驚嘆に値する。
だからこそ、自分の木偶にする価値があるのだが。
そう結論付け、七崩賢は建物の影に身を隠しながら従僕に命令を囁く。
「……行きなさい」
言葉と共に、背後に控えていた紙袋の男が動く。
人を殺す魔法によって風穴が胴体に空き臓腑を喪った男の残骸は。
道連れを作らんと少年へと襲い掛かる。
対する青年は動揺することなく距離を詰め、右の正拳で男の首をへし折った。
「…………」
どさりと崩れ落ちる屍兵。
それを無感情だが威圧感を放つ眼差しで見下ろした後、青年は歩み出す。
アウラの隠れる、三十メートル程先の建物の影へと。
唯一の手駒を喪った状態で手練れとの対峙。
窮地と言って差支えのないその状況で、しかしアウラに焦燥はなかった。
やれ。
アウラが命じると共に。屍を晒し、首の骨が折れ。
大地に倒れ伏したはずの骸が急激な動きを見せる。
腕の力のみで地をはね跳び、怨敵の足首を掴んだ。
青年に驚きはない。ただ作業が増えたと、捕まれていない方の足を叩き付け蹴り飛ばす。
それがアウラにとっての開戦の合図となった。
「服従させる魔法(アゼリューゼ)」
身を隠していた地点から踊る様に姿を現し。
勝利の確信と共に、自身が最も信じる魔法を放つ。
魔力で作り出し、自身の魔力が籠められた天秤。
空の器に、アウラと青年。双方の運命が抱かれる。
(消費は上がっているけど、強制力は殆ど落ちていない。この距離なら十分)
ベルアルの宣っていた制限に依るものか。それとも不完全な復活だからか。
服従させる魔法は燃費こそ劣悪化し、無駄撃ちできる状況ではないが。
それでも一度術中に嵌まってしまえば強大な強制力は健在だ。
一握りの強者であれば僅かな時の間抵抗は可能とは言え、青年との距離。
30メートルも開いていれば、強力な戦士であっても木偶にできるだろう。
アウラはそう見立てていたし、事実その見立ては正しかった。
───来い。
人の領域を超えた七崩賢の魔法。
その魔力と押し合っていれば、青年に殆ど行動する余裕はなかった。
彼にできた事は、ただ呼ぶことだけ。
己の、最愛の人の名前を。
───リカ。
青年がその名を呼ぶと共に、アウラは後方から「おい」と声をかけられた。
感じ取る巨大な魔力反応。声に反応する暇すらなく。
次の瞬間には、アウラの全身を衝撃が襲った。
「……がッ!?」
ごろごろと大地を転がりながら吹き飛ばされる。想定外の事態。
殴り飛ばされたのだとアウラが状況を理解するまで、一秒の時を擁したが。
その間、揺れる視界の中で視界に収めた下手人は更に想定外の存在だった。
(……魔物!?)
たった今自分を殴り飛ばした乱入者。
魔力を探れば間違えようがない。魔に属する者だ。
怨霊(ゴースト)…人間と相容れぬ筈のそれが魔族である自分を攻撃した。
まるで人間を助けたかのように。
(ちっ、魔物を使役する魔法でも使えたのね───)
受け身を取り、態勢を立て直しながら。
青年が霊を使役する魔法使いだったのだと、アウラは判断。
魔法生物を使い魔として使役する名のある魔法使いは珍しくないためだ。
あれほど強力な物を瞬時に呼び出す事が可能なのには驚かされた物の。
先の奇襲で自分を仕留めきれなかったのは致命的。
何故なら発動した服従させる魔法はまだ──生きている。
────出力最大。
言葉を耳にして、アウラの意識が天秤から敵手へと舞い戻る。
声の方向に視線を向ければ、怨霊の背後に立つ青年が此方へ構えを取っていた。
恐らく何某かの攻撃を仕掛けようとしているのだろう。だがもう遅い。
天秤はもう殆ど結果を示している。今から撃っても間に合わない。
仮に間に合ったとしても、魔力の消費で結局即座に服従する事となる。
「この期に及んで、無駄な抵抗を……ッ!?」
毒を吐いたその時、アウラにとっての不条理が発生する。
もう趨勢は決していた筈の天秤の処理が、働かないのだ。
未だ判定が行われている。故に、敵の魔法を阻むことができない。
何故。アウラの背筋に冷たい物が流れた。
だが、それに気づいた時には既に遅く。
─────邪去侮の梯子!!!
回避する暇もなく。
頭上から、不浄を祓う裁きの輝きが降り注ぐ。
魔族であるアウラにとって言い知れぬ不快感を伴う光だった。
だがそんな不快感が些事に思えてくる、光柱の効果。
(ぐ……この魔法、私の服従させる魔法を……!?)
解呪…ではなく、原理を無視した魔法そのものの強制解除。
その威力を以て、服従させる魔法(アゼリューゼ)を退けようとしている。
結果として生み出される均衡、先ほどまでとは全く前提の違うせめぎ合い。
数十秒前まではアウラの勝利が半ば決まった純粋魔力の押し合いだったが。
今現在行われているのは時空を超えた術理の綱引きだ。
(天秤が……!)
風前の灯火だった筈の、青年の魂が込められた天秤が上昇を始める。
それを一瞥するだけで、形勢の不利をアウラは悟った。
魔法の相性が余りにも悪すぎる。現状の綱引きが成立しているのは彼女の実力の高さゆえだ。
もし凡庸な魔族が同じ状況に陥っていればとっくに魔法は解除されているだろう。
(……けど、これだけの魔法。魔力消費も大きいでしょう!)
人間にしてはよくやる。憎まれ口にも似た称賛の言葉を述べながら刹那の思索を行う。
このままやり合っても服従させる魔法が押し敗けるとは思わない。
だが、その過程で生まれる消耗は無視できない。
仮に目の前の男を下せたとしても、割に合わない結果になる恐れがある。
そして、現状の相手の状況。500年の時を生きた大魔族と魔法で綱引きをしているのだ。
当然、相手の方が消耗は大きいだろう。現状の綱引きが終われば、魔法の即時再発動は難しいはず。
そんな余力があれば綱引きをするまでもなく、魔法は解除されている。
加えて、男が使役していると見られる魔物もこの解除魔法の影響を敬遠してかアウラに近づく様子はない。
であれば、選ぶべき一手は────綱引きをすると見せかけて魔法を一旦わざと解除させる。
(そして、この男の魔法の再発動までに早撃ち勝負に持ち込んで、カウンターで仕留める!)
わざと出力を弱め、魔法そのものを解除させる事によって服従させる魔法の呪詛が自分に向く事を阻止。
直後、解除魔法で多大に魔力を消費した相手に服従させる魔法を再発動。
即時再発動が叶わなければそのまま、叶ったとしても今度は天秤の裁定は魔力消費分の即座に下される。
今度は小癪な抵抗を弄する隙は与えない。これで決着をつけてやる。
わざと魔力出力を弱め、解除魔法によって魔法が解除される中、人類の敵対者は己が作り上げた最初の骸に再び命令を下す。
動け。
競り合いの最中そう一言命じるだけで。
紙袋を被った骸が上半身の力のみを用い青年に牙を剥く。
腕の力だけで四足歩行の獣の様に青年に飛び掛かり、その首を狙う。
それによって一人と一体の敵の意識が一瞬倒した筈の骸に向けられるのが見て取れた。
魔物が骸兵よりも青年の元へ到達し、骸の亡骸を食いちぎる。それはいい。
アウラもまたあの程度の骸兵に戦果を期待していない。本命はいつだって、自分の力に他ならないのだから。
───服従させる魔法(アゼリューゼ)
勝った。
短い呪詛と共に、淀みなく魔法が再発動される。
いささか手こずったが、これで終わりだ。
勝利を確信し、断頭台の呼び名を持つ大魔族は運命を決する天秤へと視線を向け。
そして、不条理を目にする。
「なんで、天秤が」
先ほどの競り合いではアウラの方へ圧倒的と言えるまでに傾いていた筈の天秤が。
再発動した瞬間、青年の方へと完全に逆転していた。
解除魔法の眩い光は既に頭上から降り注いでいない。効果は終了しているはずだ。
突如発生した計算違いに思考が埋め尽くされる間も、天秤は傾いていく。
その焦燥に突き動かされる様にバッと意識を天秤から敵手の青年へと引き戻し、そして気づいた。
青年の魔力量が増えているのだ。その総量は恐らく会敵した瞬間を上回る水準で。
「……っ!ふざける、な」
混乱と焦燥と絶望でアウラの視線は彷徨い、青年の手のある一点に偶然定められる。
天秤が趨勢を決しつつある中、青年の薬指に嵌められた指輪を目にして。
彼女は何故自分がこの状況に陥っているかの解答に、皮肉にも行きついてしまう。
「ありえない…この私が………」
指輪から感じる魔力の奔流。それを感知すればわかる。
目の前の人間が使役する魔物は、ただの使い魔と言う訳では無かった。
正体は、膨大な魔力貯蔵庫。そして指輪は人間と魔力貯蔵庫たる魔物を繋ぐ鍵。
解除魔法をかけられた際、天秤が上がっていたのも解除魔法の効果によるものではなく。
純粋に青年の魔力量が、魔物との接続によって上向いていた事に依る上昇だったのだ。
会敵当初、青年が魔物と接続していなかった事を利用した罠。
アウラはまんまと万全以上の相手に、消耗した魔力で魔力量の競り合いを挑んでしまったのだ。
「エルフでもない…ただの人間なんかに………!」
真相に至ったアウラだったが、最早意味はない。
一度発動した服従させる魔法は形勢が不利になったからといって中断する事は出来ない。
無慈悲に、公平に。天秤は審判を下す。
耳鳴りにも似た音色と共に、服従させる魔法の呪詛がアウラへと執行される。
かくて、魔王すら滅びた世で尚も生き残り、人の世に影を落とした大魔族。
断頭台のアウラが、落ちる。
「タッチの差で、僕の勝ちですね」
────乙骨憂太。
単独で国家転覆を可能とすると言われる四人の特級術師の一人。
東京と京都にて引き起こされた呪術テロ、百鬼夜行後。
僅か数か月で四級術師から特級の座に返り咲いた。
呪いが廻り人と呪いが呪い合う世界において、最強の術師に継ぐ。
現代の異能。
◆
危うい所だった。
アウラと名乗った女性の術式は非常に強力だった。
呪力量のせめぎ合いに敗れれば、自分すら術式の対象となる”縛り”。
恐らく呪力量の現状値で上回る条件を満たせば、数日後に決戦を控えた呪いの王にも通用する。
呪いの女王である里香の助力で勝利できたものの、もし敗れていれば命は無かっただろう。
(天秤は取り上げた。もし別の物を代わりにできたとしても、僕との縛りで勝手に術式は使えない)
アウラは服従させる魔法が働いて早々、恭順の姿勢を取った。
何度か背中を見せて叛意を誘いもしたが、乗ってくる様子はなく。
どうやら服従させる魔法(アゼリューゼ)とやらは覿面の効果を発揮したらしい。
まだ他者に服従の術式は使えるか答える様に命令すると、魔力があるならという答えが返って来る。
他にも情報を引き出すとまるでRPGに登場する魔族や魔法など、色々興味を引く情報を提供してきた。
事実アウラの呪力の気配は呪霊によく似ていたが、よく検めると差異のある存在であることを把握。
ここで憂太は自分が参加させられた死滅回遊にも似た殺し合いに、未知の術理が働いている確信に至る。
(ベリアルと言う男…羂索の仲間か?どうして宿儺との戦いを控えたタイミングで…!)
来る12月24日に呪いの王両面宿儺と最強の術師五条悟、ひいては現代術師の最終決戦が始まろうとしている時に。
同じ特級術師であり宿儺の協力者である羂索を殺す役目を担う自分が、死滅回遊とも違う殺し合いに拉致された。
恐らく、突然連絡が取れなくなった高専の仲間達は大混乱だろう。
(それに、気になる事は他にもある)
ごそりとポケットから支給された支給品を取り出す。
それは紛れもなく、自分がかつて結婚を誓った里香に贈った指輪だった。
勿論今まで自分が嵌めていた指輪も無くした訳では無い。同じものが二つあるのだ。
籠められた呪力も、間違いなく自分が籠めた物。
だがその呪力量は明らかにおかしい。明らかに数十年分の自身の呪力が籠められている。
これさえあれば、自身単独でも宿儺と戦える可能性すら存在するかもしれない。そんな量。
まるで未来から持ってきた様で、ベリアルと言う男の正体の掴めなさをより一層意識する。
「…まずは、ベリアルと言う男について情報を集めるしかないか」
焦燥が生じ熱を持ちそうになる思考を冷やし、目下の行動指針に思考を割く。
まずは情報収集。この分ではアウラの他にも自分にとって未知の術式や存在がいる可能性が高い。
そんな脅威に対抗するには情報が必要だ。そして、情報を集めるにはアウラの術式は利用価値がある。
殺して術式だけ模倣する手段も考慮に入れたが、そもそも彼女の服従術式自体がリスクが高い。
できる事ならアウラに使わってもらいリスクヘッジを行いたかった。
それ故に、憂太は一先ずアウラを殺さない選択を選んだ。”一先ず”は。
(同時に彼女を抱え込むリスクもある。もし何かあれば────)
断頭台のアウラは、僕が殺す。
同級生であるパンダが見たら「憂太、顔めっちゃ怖い」と言いそうな眼差しで。
特級術師は再び異能者達の殺し合いに身を投じる。
◆
「選んでください、僕に協力するか」
それとも、僕にここで殺されるか。
見下ろされながらそう問いかけられれば、アウラに否やという選択肢は存在しなかった。
幾つかの命令を下された上で、彼女は乙骨に下る道を選んだ。
(こいつを利用するのは元から既定路線。想定していた立場は真逆になってしまったけど…
何とかこいつを矢面に立たせて、生き残れればそれでいい)
完全な魔力量で復活できていれば。
服従させる魔法の消費魔力が普段と同じなら。
目の前の人間が小賢しい小細工を弄していなければ。
そんな言葉が胸中で百度は渦巻くが、切り替えた。
見下していた人間如きに嵌められた屈辱はあるものの、魔族とは基本的に冷徹な合理主義者だ。
生き残るためならば、自分のプライドを一時的に捨て去る事など造作もない。
それに何より。
────アウラ、自害しろ。
この地に至るまでの最後の記憶がフラッシュバックし、身体を掻き抱く。
自分で自分の首に剣を突き立て撥ねる恐怖と絶望。あれは、あれだけはもう嫌だ。
魔族は基本的に涙など流さない。それでも流さずにはいられなかった特級のトラウマ。
あんな思いはもうしたくない。生きてこの島から去って見せる。アウラの頭にあるのはそれだけだった。
「天秤は僕が預かります。もし必要だと判断した時にだけ返します」
「……分かってるわよ……でもせめてこの…身を護るための布は持たせて」
まず真っ先に、天秤を取り上げられた。
ベリアルの手によりこの島では少なくとも天秤なしで服従させる魔法が使えないのは確認済み。
そしてその事実は全て吐かされ、他の荷物も没収された。
とは言えアウラが憂太の立場なら同じ要求をするだろうから、仕方ないと割り切るほかない。
支給された、攻撃を逸らせるらしい布が没収されなかっただけマシだと無理やり自分を納得させて。
(絶対、生き延びてやる…折角生き返ったのに、また死ぬなんて御免よ。
幸いにしてこの人間は私に自害を命じる気配は無い…私に利用価値があると見ているはず)
なら、まだチャンスはある。人間に従う屈辱など犬に食わせてしまえ。
この男を利用して生き延びる。またはこの男に死んでもらって自由の身になる。
その為にもまずはこの乙骨憂太の事を知り、己の有用性を示す必要があるだろう。
忌々しいフリーレンの様に、意味の分からない地雷を抱えていて自害を命じられる訳にはいかない。
───そうよ、私は500年生きた大魔族だ。
───折角生き返ったのに…人間なんかに終わらされてたまるか。
絶対に生き延びて見せる。
魔族としてのプライドと、本能にかけて。
七崩賢史上二人目の、人類との共同戦線が始まった。
◆
「ねぇユータ。貴方のオッコツって呼びにくいからユータでいい?」
「?それは別にいいですけど………」
「決まりね。それじゃあユータって呼ぶから」
『おい』
「あぁリカちゃん、別にいいから。気にしないで」
「え、ちょ、ちょっとこれユータの使い魔────」
『憂太に色目使ったら───』
『殺ス』
「つ、使ってないじゃない………」
【乙骨憂太@呪術廻戦】
[状態]:呪力消費(小)
[装備]:里香との結婚指輪@呪術廻戦、里香との結婚指輪(強)@呪術廻戦モジュロ
[道具]:基本支給品×3、服従の天秤@葬送のフリーレン、ランダム支給品×0~4(アウラ、紙袋呪詛師の支給品)
[思考・状況]
基本方針:脱出し、宿儺との決戦に参加する。
1:ベリアルについての情報収集。
2:アウラさんについては一先ず使えるか見る。何かあったら僕が殺します。
※参戦時期は25巻。人外魔境新宿決戦直前です。
【断頭台のアウラ@葬送のフリーレン】
[状態]:魔力消費(大)、被服従させる魔法(アゼリューゼ)
[装備]:ひらりマント@ドラえもん
[道具]:なし
[思考・状況]
基本方針:どんな手を使っでも生き延びる
1:一先ずユータに従う。
2:隙を見てユータを殺すか逃げる。
※参戦時期は死亡後。
※制限により一般攻撃魔法(ゾルトラーク)、服従させる魔法(アゼリューゼ)以外使えません。
※服従させる魔法(アゼリューゼ)の消費魔力が上がっています。
※服従させる魔法(アゼリューゼ)により乙骨から幾つかの命令を受けました。
※乙骨と乙骨の指定した人間に対する物理攻撃、魔法使用は禁止されています。
※その他の命令については後続の話にお任せします。
【里香との結婚指輪(強)@呪術廻戦モジュロ】
乙骨憂太が数十年かけて呪力を籠め続けた指輪。
装備する事によって呪いの女王折本里香と接続する事ができる。
【服従の天秤@葬送のフリーレン】
アウラが服従させる魔法(アゼリューゼ)を使用するときに使う天秤。
制限により、この天秤がなければ服従させる魔法(アゼリューゼ)を使うことはできない。
【ひらりマント@ドラえもん】
敵の攻撃合わせてかざす事で攻撃を逸らしたり跳ね返すことができる秘密道具。
最終更新:2026年03月08日 00:22