「素直過ぎるが故に愚かな奴だったよ」
★
地味っ子、人見知り、陰キャ。
十二神将・鼠神宮。ビカラというヒューマンを構築する三大要素。
家族の温かみを知らず、やることなすことドジばかり。
そんな社会不適合崖っぷちなはずの彼女が、自分ですら知らなかった血縁の運命(さだめ)から子神に選ばれ十二神将に。
最初はどうなるかと思っていたが、時が経つにつれて、十二神将のみんなや、団長との出会いを経て。
無色な人生が、段々と色彩が映えるものとなった。
で、現在(いま)。
放り込まれた先が、ベリアルとかいう痴男子による殺し合いとかいう催し。
陰キャ+殺し合い=序盤退場要因真っしぐらな理不尽イベントに思わずたじろぐも、一縷の望みを掛けてデイパックを探ってみれば奇跡的にネズミ耳ゲット。
こうなってしまえばあとはどうとでもなれ、陰キャから陽キャへ文字通りキャラ変したビカラがまず目指すのは団長や他の団員及び十二神将メンバーとの合流。
懸念事項は基本一緒にいるドーマウスがいないことだが、その代わりにあった「ほのおのルビー」という宝石が式神と上手く組み合わせれば何とか自衛に使えるそうということで。
諸々最低限の準備と方針が整った所で、幸か不幸か顔見知りと出会うことが出来た。
茶髪のイケメン、鎧姿。
確か十二神将とのキャンプで、暑い中で熱々の美味しいコーヒーを労ってくれた天司(ひと)。
陽キャモードで「ひさしぶり」と呼んでみれば、まるで「見知らぬ人に声を掛けられた」ような反応。
少し違和感を感じるも、次に団長のことを訪ねてる。
そうすれば、それはなにかハッとしたかのように目を見開き、口元が大きく歪む。
そしてーー
「⋯⋯特異点のことか?」
「そうだよ、もしかして団長がどこにいるか知ってるの?」
その言葉は、嘲笑とばかりに口を開き、告げられた。
「ああ。なぜならーー特異点は俺が殺したんだからな」
「素直過ぎるが故に愚かな奴だったよ」
★
言ってしまえば、ただの嫌がらせのつもりだった。
この苛立ちの発散の場に都合よくいた娘を使っただけだった。
団長(とくいてん)のことを言っていたのだから、「俺が殺した」という嘘を付いた。
実際、あのままであれば特異点は死んでいただろうから、あながち嘘とは言えない内容ではあるが。
「あああああ!!」
文字通り炎に包まれた鼠を飛ばしてきた少々面倒な相手だったが、自分の敵ではない。
少なくともサンダルフォンにとっては歯牙にも掛けない程の弱者。
剣を振るい、風圧で諸共炎の鼠を散らし、その勢いのまま小さく華奢な少女の身体に鮮血を撒き散らさせることは容易かった。
突発的な怒りだったのだろうか、ろくに実力差を把握できずに抵抗したように思えた。
怒り、というよりも困惑とショックの方に思えた。
「⋯⋯が、はっ⋯⋯! どう、じで⋯⋯?」
「「どうして」だと? ナンセンスな質問だな」
サンダルフォンの返しには嘲笑が混じる。
何せ"この"サンダルフォンからすれば、眼の前の怒りと悲しみが混じった感情で血反吐を吐きながら無様に倒れる少女があまりにも滑稽だから。
たかが人間、との見下しまではしないが、今の彼女では例え万全であろうと今の自分には到底及ばないだろう、という慢心はあった。
その感情があった上で、この実力差なのだから、こそ。
「⋯⋯お前は、自分自身の価値が無いものに等しかったと突きつけられたことがあるか?」
「なに、を」
憤怒とも、悲哀とも分からぬ言葉でサンダルフォンが告げる。
「自らの存在価値が完全に否定されたことがあるか?」
子供の我儘の如く、その声の音量だけが大きくなる。
「何の役割も与えられず、不要なものと断じられたことはあるか!!」
「⋯⋯!」
敬愛は憎悪へと反転した。己の存在意義が限りなく無価値であることを突きつけられた。
何のために生まれてきたのか、サンダルフォンがそれを求めていた。
ガキの癇癪の如く、無軌道な暴走。
そこに意味はなく、親にかまってもらいたくて悪目立ちする子供のように。
「⋯⋯だったら、こんな世界など必要ない。俺に何の価値も無いというのなら、俺をこんな風に産み落としたこの世界こそが間違っている!!」
存在意義の証明。自らを不用品として生まれ落としたこの世界そのものへの怨念。
自分が認められるだけの天の世界だけが欲しくて。
暴れて壊して、何も考えず憎むべき相手の守ろうとした世界を壊したくて。
「だから壊すんだ。俺を必要としない世界なんて、滅茶苦茶になってしまえば良い」
特異点を使って蒼の少女と赤き竜に大いなる咆哮を発動させ、パンデモニウムの解放をもって世界の破滅を成そうとした。
特異点を空へと叩き落したまでは良かったが、それでこんな催しに巻き込まれてしまうという不運。
苛立ちもあったが、「望みの成就」と「存在価値の証明」という点で、この殺し合いはある意味天啓ではあった。
手段は、何でも良かった。
狂っている。いや、狂ったほうが楽だったのか。
狂気と悪意に塗れたその形相を、ビカラは敢えて目を逸らさずに見た。
その瞳に悲しみがあった、怒りがあった、憎しみがあった。
団長を殺したと嘯く彼に対して、「どうして裏切ったの」だとかそういう気持ちもあった。
だが話を聞くに違和感を感じ、思考がある程度冷静になれるぐらいには頭が覚めてきた。
頭の中が滅茶苦茶になりそうになって、相手の攻撃に対して半自棄で応戦した結果がこのザマ。
「ああ、安心しろ。全てが終わる前に貴様から先に特異点と同じ場所に送ってやる」
サンダルフォンが愉悦の笑みで語りかける。
その上で、彼の「団長を殺した」発言にふとした違和感を感じて、ビカラは。
「⋯⋯ねぇ。きみは、団長が本当に死んだと、思ってる⋯⋯?」
「⋯⋯⋯⋯⋯」
「⋯⋯はは、やっぱり。そう、なん、だね⋯⋯」
団長が殺したという言葉だけで、陽キャをネズ耳で取り繕っているだけの陰キャであるビカラは動揺とショックに陥ってしまった。
だが、このサンダルフォンですら「団長を殺した」と言うが、「団長が死んだ」と確認できていない。
正直、それで本当に団長の死が真であることが怖かったものの、その長い沈黙が「不確定」であることは判明した。
ほんの少しだけ、気力が湧いた。
「⋯⋯きみは、ぼくの知ってるサンダルフォンとは違う。そんな、そんな昏い目をして⋯⋯」
「君に俺の何が分かる?」
「⋯⋯わからないよ。ぼくだってきみのことを団長ほど深く知ってるわけじゃないから」
ビカラはかつて自分が生きている意味を持てなかった。
サンダルフォンは自らの存在価値を示したかった。
そこに大きな違いはある。生きた時間という隔絶した違いもある。
「⋯⋯でも、なんだろう。団長なら、放っておかなかったのかな、って」
放っておかなかった、というのは。
このサンダルフォンとて、その団長のお人好しさは理解できる。
嵌めるために握手を求めたら、裏表無く素直に従ってくれたのだから。
「でも、今はーー」
「戦略的撤退とも洒落込もうとしても逃さんぞ。本来なら貴様ごとき逃がしても良かったのだが、特異点に余計なことを伝えられるのも面倒だ」
「なっ⋯⋯!」
そそくさと行動しようとしたビカラを、サンダルフォンは見逃さない。
実力差を把握して逃走という名の立て直しを図ろうとしたがそうはいかない。
何とか防御しようととするも、黒い魔力を纏った斬撃に吹き飛ばされる。
ただでさえボロボロなビカラの身体が再び地面に転がり、その衝撃でネズ耳が取れてしまう。
「ーー君にとって、特異点とはなんだ?」
次に発したサンダルフォンその問いかけに特段意味はない。
死にゆく前に気まぐれに訪ねただけのこと。
ビカラの白髮が黒髪になり飛び散った血でぐちゃぐちゃになっているが、心底どうでもいいこと。
恐怖で震えてるように見える彼女のことなど、どうでもいいこと。
「君も、どうでもいい存在(もの)のように思えるが」
こんな、取り繕っているだけのヒューマンに。
大きな力に吹かれれば一瞬で消えてしまうような命が。
蒼の少女や赤き竜ならまだしも、特異点はお前にとって何なのだ、と。
命を奪うのは、その後でもいいと思い、待つ。
待ったら待ったでいつの間にか死んでいたら幕引きとしては一興と考えながら。
「⋯⋯見つけて、くれた、から。ゲホッ⋯⋯!」
「⋯⋯ほう?」
だが、サンダルフォンが思っていたよりも、彼がまだ知らないビカラという少女は根性だけはあったようで。
震える全身をなんとか立ち上がろうとして、血を吐きながらも言い返す姿。
「あたしは、迷惑ばかりかけてばっかで、役に立たなくて。ネズ耳付けてないと影薄いしまともに人と話せない、あたしだけど⋯⋯」
ビカラとて、約立たずで迷惑をかけるだけの自分自身に苦しんでいた。
十二神将に選ばれてからは自己暗示で多少はマシになったとしても、それでも本質は陰キャに変わりはない。
取り繕って、それで弱さを隠して。
「⋯⋯でも、それでも。団長さんは、そんなあたしを、陰キャなあたしを⋯⋯。陰キャモードなあたしをあたしだって、分かってくれて⋯⋯」
十二神将としてのビカラ、本来の陰キャとしてのビカラ。
それを初見で見破れるものは孤児院時代の一人の友人以外では、団長だけだった。
十二神将ビカラは誰かの暗い声を笑い声に変える陽トピアの案内人。
ネズ耳が無ければ何もできないただの陰トピアの陰キャ。
「いや、そうじゃ、でもそうかもしれない⋯⋯。でも⋯⋯団長さんが見つけてくれたから⋯⋯!」
自分を自分だと見てくれる。同じものとして見てくれる。
そこに価値があるかないかじゃなくて、ありのままの自分を、見てくれたあの人を。
自分も知らなかった誕生日までくれた、あの人に。
「あたしには団長さんみたいに大きなことなんてできない。あたしに出来るのは励ますことだったり、元気にすることだったりだけど⋯⋯!」
自分が十二神将に選ばれ、一歩進もうとしたのは。
そんな誰かを元気にできる理想の自分になろうと努力して。
それでもやっぱり本質は変えられるものじゃない。
そんな自分を、見つけてくれたのは。
「⋯⋯あたしは、あたしを見つけてくれた団長さんが、大切だから。それに、誰かが暗くなったり、辛いことになったりするのは、嫌、だから⋯⋯!!」
「⋯⋯そんな、そんなくだらないものの為に、か?」
「ーーくだらなくなんか、ないです」
そう、そんな程度のことだ。サンダルフォンからすれば下らないと吐き捨てられるようなことを。
たかが、見つけてくれただけという、理由だけが。
ビカラが拾い上げたネズミ耳を頭につけ直す。損傷が見当たらなかったのが不運の中の幸運。
衣装はボロボロで、観客が見たら悲鳴を上げそうだと言うのに、悪意一人だけが舞台上の中で、ただ、少女は不適に笑顔。
「⋯⋯あたしがーーボクが、ビカラっていう自分であってもいいって思えたから。たとえボクがボク自身の十二神将の使命に裏切られることになったとしても、団長は、きっとーー」
ビカラという少女が、本当の意味で一歩踏み出せた、運命の出会い。
地味で陰キャラ本当の自分を見つけてくれたという、たったそれだけの理由(わけ)。
取るに足りない理由であろうと、彼が見つけてくれた事に意味があるから
「ボクは、負けないよ。そんな悲しい目で殺し合いに乗ろうとしてる今のキミなんかに」
まるで負傷者がしていい顔ではない、あまりにも眩しいもの。
それを静かに聞き入れ、顔を俯いたままのサンダルフォンの眼光に、光は消失していた。
「じゃあ負けて死ね。お前のこの先の価値などない」
「どんな催しでも、役者の熱意と頑張り次第だよ。⋯⋯見てくれる人がいないと始まらない」
「⋯⋯見てくれるヒト、か。ハハ、アハハハハハハハ⋯⋯!!!」
ビカラの挑発混じりの返答が、気に障ったのか。
何かの堰が切られたかのように、大笑。
笑い声を上げながら、その手の剣を両手で、上空に。
黒い魔力が、剣に集う。
魔力という名の重さ、どす黒い感情の如く集う黒の集合体。
魔力の稲光がバチバチと響き渡る。
それは、「一切の慈悲無く眼前の少女を抹殺する」という殺意の表れである。
(あ、これヤバイかも⋯⋯)
分かっていたことだが、傷だらけの身体でどうやって防ぐか、だとか以前の問題。
もしドーマウスがいたならギリギリ瀕死で済んだかも知れないが、もしいたとしても。
「最も俺を見て貰いたかった男は、もうーー」
俺を裏切った、そう零したそうな顔で、逆恨みの怨念を飲み込むような無感情の顔で。
殺意の放流が、ビカラに向かって放たれる。
死に際には時間がスローモーションに感じるとかいうらしいが、ビカラもそれを実感していた。
孤独と陰と運命の出会いを経ての人生を、走馬灯にように感じながら。
(こんな所でラストショーだなんて、みんなに顔向けできないかな⋯⋯)
嘘かもしれないけど、相手の「団長を殺した」発言が余程効いてしまったから。
もしも冷静に対処できるならこんな怪我負わずに逃げられる程度は出来たのだろうか。
後悔がある、といえばちょっとだけ嘘になる。
でもみんなを置いていってしまうことは本当は嫌で。
特に団長に、一番迷惑をかけると分かっていても。
(⋯⋯死にたくないなぁ。/死にたくないよ、団長さぁん⋯⋯)
そう思わざる得ない、恐怖と後悔の中で涙を流し。
陽(ボク)と陰(あたし)が入り混じる、末期に向かう寸前の意識の中で。
「なんとかなれぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
ビカラは、星(しょうじょ)の声を聞いた。
◯
暗い暗い、嵐の中を走り抜ける。
嵐の中で小さく輝く、青い星を頼りに、走り抜ける。
星(きぼう)の名前を知り、走り抜けた先にあったのは、殺し合いの舞台だった。
理解不能だった。声を聞き、世界を救うという約束を果たそうとしたら。
と言うか派手に最後を飾ったのにもしそのまま生きてましたー!とかあの人たちに合わせる顔が無いんですけどー!と赤面しながら
杖はあったけど全く知らないし魔力バカみたいに食うじゃじゃ馬で。
これを万全に扱えるのどこぞの女王ぐらいだろうと愚痴を叩きながら。
ーーくだらなくなんか、ないです
それを聞いたのは全くの偶然。
少女と、相手の戦力差はかくも当然。
もし生き残るなら無視するから強者に媚びへつらうか、が正しいが。
それが出来ないからこその彼女であり、彼女が好きだったあの人であり。
駆け出す理由はそれで十分、動く理由はそれだけで十分。
で、冷静になってみればここで問題。
"あれ"はあくまで選定の杖があったからこそ使えたので、全く違うこの杖ではそれが使えない。
ただしこの杖、使い手の魔力を無尽蔵に吸い取る、ということなのでワンチャンあの黒い波濤を止められるのでは、と考えを切り替えた。
それがぶっつけ本番で成功するのか?
そんなこと心配してたらあの時に聖剣抜刀なんてしていない。
それともう一つ、どうして助けようとしたのか、ということに。
まだ何も知らないとはいえど、思うところがあった。
自分と同じ、何か一つ裏切れないもののために、意思を曲げない彼女が。
どうしようもなく、放っておけなかったから。
「なんとかなれぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
「えっ、誰ぇ!?」
ビカラのツッコミを一旦スルーして、杖の先から放たれる光の放流。
名工ロン・ベルクの失敗作であると同時に大魔王バーンのフェイバリットウェポン。
所有者の魔力を際限無く吸収し攻撃力に変える『光魔の杖』。
少女の我武者羅に放った光の放流は、サンダルフォンが放ちし闇の放流とぶつかり合い。
「なん、だとぉぉぉぉぉっ!?」
闇が光に押し返され、サンダルフォンは遠く彼方へと飛ばされることになった。
★
「ぜぇー! ぜぇー!」
「だ、大丈夫、かい⋯⋯?」
颯爽と助けてくれた金髪の少女が、恐ろしい程の息切れと疲労に見舞われる情けない姿があった。
傷の方は金髪の少女が回復薬的なものを飲ませてもらったから一安心として。
「やっぱりこれ、欠陥品にも程がありますって⋯⋯魔力も気力もすっからかんなんですが⋯⋯!」
使用者を殺したいのか、と言わんばかりの容赦ない魔力吸収転換能力。
今回はそれのお陰で難を逃れ、ビカラは助かったのだが。
この肝心の彼女、かつて「予言の子」であったアルトリア・キャスターには大問題。
これならまだそこら辺の木の棒を杖代わりにしたほうが幾段マシだった、と愚痴りたく程に。
「大丈夫じゃないですぅ⋯⋯人生で一番疲れたっていうか⋯⋯」
「ご、ごベーん!!!」
「いや、あなたが謝る必要ないですよ、腹括って使ってみたら何とかなったけど思ったより後が酷くて、なんかこう⋯⋯」
めっちゃ疲れる。語彙力が崩壊して適当な表現しかできない。
兎も角体中から魔力を根こそぎ持っていかれたような、そんな惨状。
ビカラも謝る必要がないのに思わず謝ってしまうほどに、クッタクタなアルトリアの姿が目に焼き付いていた。
「まあ、そんなことより。ボクだって助けてくれたキミを休ませたい所なんだけど⋯⋯」
「⋯⋯このまま、歩くしか無いですね⋯⋯ひぇぇえ⋯⋯」
所々、何と言うか弱々しいというか、本質っぽいのが出てるような状態が。
強がってそうで実際弱い所はわかりやすいと言うか。
(彼女、もしかして⋯⋯)
自分と同じ陰キャというか、同類で意外に仲良くできるんじゃないのかな? なんて過ってしまった。
いや流石に違うか、と考えを急ターンさせた。
「⋯⋯まあこのまま黙って目的地まで歩くのもなんですので、一つ聞いてもいいですか?」
「ん? どうしたんだい?」
「⋯⋯ちゃんと聞けなかったんですけど、あの性格の悪い羽付き男に、言い返してたじゃないですか? 何のことだったんだろうなぁって」
何かを思ったのか、アルトリアの方から訪ねてきた。
これは、あまりこういうのに自分から口を開いて聞くこと自体そこまでしないアルトリアとしても、ちょっと気になってしまったのであり。
「⋯⋯私も、他人から下らないと言われても仕方のない理由で、諦めなかったものですので」
たった一つの星に助けられて、終わりへの道を歩んだ"彼女"だからこそ気になったから。
「⋯⋯⋯あの」
「あ、そのネズ耳一旦外すんですね」
本来なら陽キャモードの方が話しやすいけれど、これを話すのは何故か陰キャモードの方がいいと思ってしまい。
「⋯⋯見つけてくれた人、だから。団長さん。陽キャじゃないあたしを、あたしだって見抜いてくれた人。あたしになかった誕生日をくれた人。あの思い出が、あたしにとって、とっても大事だから。団長さんは、あたしにとって、大切な人、だから⋯⋯⋯」
「⋯⋯見つけて、くれた。かぁ」
何もかも、忘れてしまえば良いと思っていた頃を思い出した。
何者でもない誰かになってしまえば楽になれると思っていた。
そんな投げやりな中で出会った妖精を見つけ、気まぐれに自分の名前をあげた時。
取るに足らない出来事でも、かの希望にとってはそれが"だいじなもの"だったから。
結局、あの娘が救われたのは終わってからだったけれど。
「⋯⋯この先、その団長さんといい運命を歩んでくださいね」
「えっ、えっ、どういうこと、です⋯⋯?」
「ただの、応援程度です」
終わるはずだった自分。
終わってしまったあの娘と、まだ先がある彼女。
些細なきっかけでも、見つけてくれたことが救いになって、巡り巡ってそれがいい運命を紡ぐというのなら。
彼女を何故か、見捨てられないと。予言の子ではない、アルトリア・キャスターという女の子がこの殺し合いで思ったことであるのだから。
「あと、申し訳ないんですけど、喋りづらいならそのネズ耳付けたほうがいいんじゃないかな?」
「そ、それは⋯⋯うう、やっぱり陰キャな私は⋯⋯」
「待って待ってそういうことじゃないから!! そういうこと思ってはないから!!」
【ビカラ@グランブルーファンタジー】
[状態]:負傷(中→小)、陰キャモード
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×1~2、鼠神宮のネズ耳@グランブルーファンタジー
[思考]
基本方針:殺し合いには乗らない
1:だ、団長さんはみんなは無事かな⋯⋯
2:やっぱり陰キャな私は求められていないんだ⋯うう⋯⋯
3:あたしを助けてくれたこの人(アルトリア・キャスター)を休める場所まで運ぶ
4:サンダルフォンさん、どうして⋯⋯?
[備考]
※参戦時期は最低でも「えとキャン」経験済み
【アルトリア・キャスター@Fate/Grand order】
[状態]:疲労・魔力消耗(極大)
[装備]:光魔の杖@ドラゴンクエスト -ダイの大冒険-
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×1(支給品の内の一つは回復アイテムはあったが既に使用済み)
[思考]
基本方針:いや殺し合いって、いきなり人を巻き込んで何なんですかあのベリアルとかいうやつ!
1:この娘(ビカラ)、あんな事聞いたら流石に見捨てられないなぁ
2:団長さん、だっけ? その人の事探す手伝いしよっかな?
3:カルデアのみんなと出会ったら絶対気まずい⋯⋯巻き込まれてないで!お願いだから!!
4:この杖、絶対ろくな考えで作られてない⋯⋯こんちくしょぉ⋯⋯
[備考]
※参戦時期は「あの星があの時の妖精(ホープ)だった」事を知った後~守護者と成る前
※全体的に出力が制限されています
「⋯⋯油断しすぎたか」
先の乱入者が何者かは知らないが、その何者かの知らない力によってこうも屈辱を味わった。
怪我自体は大したことはない、だが力を余計に消費した。
骨折り損のくたびれ儲け、とはこのことか。
「だが、油断は死に繋がる程度には、過酷か」
その上で、この殺し合いに呼ばれた参加者は、例え自分より実力が下だろうと、油断はならないと。
望みを叶えるには、藁に縋ってでも、誰を利用してでも。そうしなければ勝ち残れないと。
「⋯⋯俺を見てほしかった、あの方は」
慕っていた彼のことは、もう。怒りしか無い。憎しみの感情しか無い。
自分の存在意義が無価値だと知ったその時、己に込み上げる感情はただの黒一色となった。
代替品という体の不良品、欠陥品。
認めたくなかった。自分が"いなくてもいい"ものだなんて。
「⋯⋯もう、どうでもいい」
ベリアルが何を企んでいるかなど、どうでもいい。
もしやこの場所に特異点もいるのかという懸念も、多少は考えるべき。
その上で、全部、全部殺して、勝ち抜いて。そして。
「壊してやればいい。俺を必要としない世界こそ、間違いなのだから」
どうして空は蒼いのか。憎悪という名の奈落の底に堕ちた彼が、その答えにたどり着くことはない。
【サンダルフォン@グランブルーファンタジー】
[状態]:消耗(中)、憎悪(極大)
[装備]:約束された勝利の剣(エクスカリバー・モルガン)@Fate/Grand order
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×1~2
[思考]
基本方針:優勝して、今在る世界を壊して、天の世界を作り上げる。
1:ベリアルの企みなどどうでもいい、願いを叶えられるならそれでいい。
2:ネズ耳少女と、乱入者してきた金髪の少女は一応警戒
3:⋯⋯特異点、もし生きていたならば
[備考]
※参戦時期は「どうして空は蒼いのか」より、特異点を空に叩き落した直後
※殺し合いを崩壊させない程度の制限が科せられています。少なくともアイン・ソフ・オウルは使用不可です
『支給品紹介』
【鼠神宮のネズ耳@グランブルーファンタジー】
ビカラに支給。一個3ルピで売られている鼠神宮の名物付け耳。
ビカラにとっては陽キャモードへの変身という意味では大切なもの
【光魔の杖@ドラゴンクエスト -ダイの大冒険-】
アルトリア・キャスターに支給。魔界の名工ロン・ベルクが製作し、現在は大魔王バーンの武器となっている杖。
使用者の魔力を攻撃力に変換するが、この杖はその変換に上限がない。
なのでまともな魔力の持ち主では直ぐ様枯渇してしまう。
【約束された勝利の剣(エクスカリバー・モルガン)@Fate/Grand order】
サンダルフォンに支給。アルトリア・ペンドラゴンの聖剣であるが、これの場合は持ち主のアルトリア・オルタがが使用した際にエクスカリバーの性質の都合オルタの魔力に染まって黒くなっている。
今回に際して黒化したままのエクスカリバーとして支給されており、放たれる魔力は光を飲む闇となっている。
武器として振るう分には問題ないが、宝具としては基本的に使用不可。
最終更新:2026年03月08日 00:15