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「クソ、何がどうなってやがんだ!」

 今の状況に戸惑いを隠せないでいる、
 桃色の長い髪を束ねた若い青年がごちる。
 彼、ランドルは別にこの手のことには慣れたものだ。
 占星武器(ホロスコープ)を巡る戦いにおいては、
 様々なことが余りにも起きすぎているのは確かなのだから。

 だからと言って、今の状況をすぐに適応できるかと言うと少し別だ。
 あの時の状況が混迷を極め過ぎていた中で、さらにベリアルによる殺し合いだ。
 彼としてはそんなに知らない相手だ。彼も今でこそ占星武器に選ばれこそしているものの、
 当時はフェザーと同じ、特別な環境に身を置いた騎士や組織の一員ではなかったのだから。
 裏こそあればそれほど大きな問題に発展してない格闘大会に出たりと言った程度のことばかりだ。
 だからと言って事の重大さは分かってるつもりだ。困惑して足を止めてる暇などない。
 此処が何処の空域かは知らないが、団員か味方になりうる人物との接触を心掛ける。
 騎空団の一員だ。今更右も左もわからないようなひよっことはわけの違う立ち回りだ。
 特にランドルは足が武器で戦っている。動きの機敏さはそこいらの人間よりもずっと上になる。

 フェザーに対抗するべく足技を鍛えたおかげで健脚な足で探すこと数分。
 特に苦になるようなこともないまま、他の参加者と出会うことに成功した。

「よぉ。」

 浅黒い肌に顔の傷が目立つ男だ。
 傷がなければ端正な顔つきと呼べるか、
 あるいは傷があるからこそ野性味がある顔つきと呼べるか。
 人によって好みが分かれるところではあるだろうが、ランドルにその気はない。
 ……まあ、その割には旧知の友を面倒な感情を持ち合わせているのだが、それは置いておく。

「殺気みてーなのを放ってるが……てめー、まさかやる気か?」

 ピリピリとした空気。
 戦場で嫌と言うほど味わってきた感覚だ。
 いつでも行動できるように臨戦態勢に入るが、

「いいや、違うぜ? こっちはある事情で死にたくねえもんでな。
 いや、ある事情がなくても普通は死にたくはねえのが普通だけどな。
 勝ち馬に乗れるんだったら、俺様は別にどっちであっても構わねえのさ。」

 両手を広げ、やれやれと肩を竦める男。
 飄々としているような言動ではあるものの、
 その殺気は本物だし、鋭い視線は人を怯ませるに十分だろう。
 警戒心から来るの殺気。それならばわからない話でもなかった。
 お互い初対面だ。警戒するのは当然でもあるし、ランドルもそうだからだ。

「事情は分かった。んで、俺はその勝ち馬って奴なのか?」

 余り気に入らない態度ではある。
 要はこっちを値踏みしているのだから。しかも不遜な態度で。
 元々ランドルはライバルであるフェザーと違って純粋ではない。
 寧ろ少し捻くれてる方ではあるものの、だからと言ってフェザーに対する気の短さは発揮しなかった。

「そうでもないぜ。この先邪魔になるような参加者かどうか見定めてやるよ!」

 風を裂くようなスピードのある肉薄。
 迫る右ストレート。流石に距離もあったので簡単に見切れる。
 最小限の動きで躱し、鋭い回し蹴りを叩き込むも、即座にしゃがんで回避。
 回避と同時に足払いが迫り、ジャンプと共にバックステップで距離を取る。

(こいつ、少なくとも口だけの強さじゃねえな。)

 徒手空拳に関しては洗練されている。
 少なくとも精通した格闘家よりも優れたものだ。
 ともすれば、自分よりも格上なのかもしれないとも。
 ───否。アリーザにソリッズ、フェザーと言った格闘家と戦い、
 ナビスとの戦いを経たランドルもまた名だたる格闘家ともいえる。
 フェザーの拳に負けぬよう、鍛え続けた彼の足技は刃のように鋭いものだ。
 加えて褒められたものではないにせよ、占星武器に選ばれた一人でもある。
 此処で及び腰になるような彼ではなく、無数のローキックを連打していく。

「チィ!」

 流石にすべての回避は間に合わないものののガードされたりと、
 大きなダメージに至るほどの威力を与えたとはいいがたい。
 そこからの反撃のサマーソルトキックに対し、ランドルもサマーソルトキックだ。
 互いの宙を舞う蹴りがぶつかり合い、相殺すると姿勢を整えながら二人の拳と足がぶつかり合う。

 相殺した後に続ける攻撃も相殺、相殺、いずれも相殺だ。
 お互いに手加減はしてない。実力伯仲かまでは不明にしても、
 少なからず弱小な存在ではないということは二人とも理解している。

「思ったよりはやるじゃねえか。」

「……テメーもな。」

 態度は気に入らないが、その技巧はかなり洗練されている。
 少なくとも認めざるは得ないだろう。彼も相応の実力者と。
 相手は拳を収めて距離を取った。ランドルも構えた足を降ろす。

「合格だ。こんだけやれるなら俺様と来る資格はあるな。どうだ? 一緒に───」

「それは断る。」

 男の誘いを、迷いもなくランドルは断った。
 純粋な理由だ。相手の態度や上からの物言いが気に入らない。
 考え自体は同じで、ベリアルを倒すなら確かに同志と言えるだろうが、
 お世辞にもその態度は、同じ志を持つ仲間としてみるには無理がある。
 好き嫌いで同行者をえり好みできる立場かと言われると悩むところは否定しない。
 知り合いは自分だけの可能性だってありうるのだ。協力者は一人でも多い方がいいと。
 それでも、この男は無理だと。生理的に受け付けないとかそういうのに近いものがある。
 かつてナビスとして敵対してオラついていた頃のラガッツォの方がまだ可愛げがあるというものだ。

「ハッ、そうかよ。」

「ベリアルを倒す気でいるならいい。だが、この査定みてーなことはやめろ。
 最悪支給品を奪うだの殺すようなことをするなら、俺や俺の知り合いは黙ってねえぞ。」

 団には危険人物も何人かいるわけだ。
 だからやるかどうかの見極めはある程度つく。

 ついていって監視するのも考えた。
 しかし、断った相手がそれを許容するとは思えない。
 最悪、殺し合いに乗る気が今はない相手なのは事実だ。
 このまま方針が同じもの同士で殺し合いの方が圧倒的に無益になる。
 かといってついていく、なんて絶対に言いたくない相手に頷くつもりもない。
 だから釘を刺す。今ランドルにできるのはその程度のことだった。

「そうか。まあ戦えもしない奴にかみつくつもりはねえから、
 一応そこは考えておいてやるよ。んじゃ、生きてたらどこかで会おうぜ。」

「テメーみてーなのとは二度と会いたくねえがな。」

 口約束なので不安はぬぐえないが、
 この場でやり合い続けることこそベリアルの思うつぼだ。
 どうすりゃよかったんだろうなと、頭を軽くかきむしりながら男が去るのを見届ける。
 団長なら、きっとああいう人物であってもついていって受け入れたのだろうと。





「クソッ、終わってたまるかよ……」

 男、シュラは今猛烈に迫る状況に追いつめられていた。
 ウェイブに辛酸をなめさせられ、ランによる告発でワイルドハントは既にガタガタだ。
 大臣の息子と言えどもみ消すには無理があり、このままでは彼は親の座を簒奪どころか、
 ろくでもない目に合うのが決まっている状況でベリアルによって招かれ、焦っている状況だ。

 ワイルドハントのようなやりたい放題も、此処では通用することは決してない。
 大臣の後ろ盾がないのだから当然と言えば当然だ。安全圏から民を玩具にするような行為など、
 此処でやっていれば必ず殺される。此処にエスデスやブドー、ナイトレイドがいれば終わりだ。
 ベリアルは自分とどこか似た部分がある気がした。なので明らかに勝てないような連中を招いてるに決まっている。
 だから少なくとも今すぐに殺し合いに乗って優勝、という気は余りなかった。修業の旅はしていたとは言えだ、
 自分が最強の存在であるとは思えない状況に陥った彼は、今の立場からの転落を相当に嫌っている状況だった。
 ありふれた生存欲は、彼が無惨に殺した人間が懐いていたものを、今は自分が抱えることになっている。

(今はまず使える奴を探す! それしかねえ!)

 とにかく必要なのは同行してくれる相手の存在だ。
 どれだけ強くとも数の利と言うものは頼れるものになる。
 さっきは交渉に失敗、もとい戦闘を仕掛けたのは焦りによるものもあった。
 だが今度あのような態度で行くわけにはいかない。あれで成功するのは弱い立場の相手だけだ。
 今度は自分がゴマすりでも何でもして、仲間に引き入れてもらわなければならないという苦汁を舐める羽目になるのだと。
 そうやっていればナイトレイドの方ならば無暗には殺さないだろう。殺せばそれだけで同じ考えの持ち主と敵対する羽目になる。
 ナイトレイドの連中ならばまずベリアルを倒す方で同じはず。ならば信用はされずともすぐに殺すことは決してないだろう。
 もっとも、同行者がそれを信じてしまうかどうかが問題なので、いかに引き込めるかも大事ではあるが。

(クソが……!!)

 無論、苛立ちは募るに決まっている。なぜ自分がそんな目にあうことをしなければならないのだという。
 大臣の息子と言う自由な立場からいざ降ろされてみれば、哀れな男がただ一人残されただけだった。
 やがてその苛立ちが爆発するか、追いつめられて逆に優勝をもくろむようになってしまうのか。
 いずれにせよ、その身一つで逆転劇を探すのは、まさに名前の通り修羅の道だろう。

【ランドル@グランブルファンタジー】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×1~3
[思考・状況]
基本方針:ベリアルを倒す
1:あの野郎(シュラ)、ほっといて正解だったのか……?
2:必要なら団員や知り合いを探す。フェザーがいたらとりあえず優先(いつも通り戦いそうで面倒だから)。

[備考]
※参戦時期はNight Pareidoliaエピローグ。フェルディナンドが願う前。
 そのため足にジュワユースはありません。

【シュラ@アカメが斬る!】
[状態]:焦り、苛立ち(特大)
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×1~3
[思考・状況]
基本方針:今はとにかく死なない方法を探す。
1:とにかく仲間をそろえる。ナイトレイドやエスデスに遭遇したら終わりだ。
2:優勝はどうしようもなくなった時に考える。

[備考]
※参戦時期は漫画版、ランに告発されラバックのところに向かう途中。
最終更新:2026年03月16日 11:03