◆
「えぇぇぇぇーーーーーーーーー!!!」
「チハル!!!いきなり声でかい!!!」
果てしない青空の下で、ギャル達が騒いでいた。
「ねえマキナ!!うちら殺し合いすんの!?」
「うん!!殺し合い!!夢とかじゃない!!」
「いやいやいや待って待って待って!!」
「落ち着け!!チハル落ち着け!!いいな!?」
ショートヘアに、ダボッとしたストリート風ファッション。全身真っ赤な肌の色に、頭から生えた一対の触角――。
まるでエイリアンのような姿をした強化人間のギャル、“九条チハル”はパニックに陥っていた。
「どうすんのマキナ!?やばいって!!」
「あーしに聞かれても知らんかんね!?」
「もぉ〜〜〜マキナなんとかして!!」
「何とかなってないから拉致られてんだよ!!」
大騒ぎするチハルと言い合っているのは、スカジャンを纏った全身サイボーグのギャル。
彼女は“来栖マキナ”。チハルの親友であり、彼女に寄り付く悪い虫を追い払いがちな相方である。
二人は地球から遠く離れた銀河系社会の住人である、宇宙のギャル達だった。
「そうだマキナ!!首輪!!首輪とろ!?首輪!!」
「おいバカバカバカ引っ張るな!!マジで危ない!!」
ルール説明を終えて会場へと送り込まれた二人のギャルは、てんやわんやと騒いでいた。
大げさな身ぶり手ぶりを交えつつ、極めて饒舌な会話を繰り広げている。
「いやでも首輪とらなきゃダメじゃない!?」
「だから首輪爆破するっつってたじゃん!!」
「え!?ウソ!!マジか!!やば!!」
「いやチィちゃんと説明聞けって!!」
端から見れば口論のようにも取れなくもないが、二人のやりとりはまるで洗練された漫才のように奇妙なほど噛み合っていた。
テンポもテンションもぴったり、ある意味で阿吽の呼吸なのかもしれない。
「仕方ないじゃん!?マキナと違って拉致られてから意識モーローだったもん!!」
「朦朧としてなくてもチィって説明書とかちゃんと読まんタイプでしょ!?」
「うん!!仕事以外じゃヨミマセンッ!!」
「開き直んなし!!」
開き直ったチハルはこう見えて地球年齢23歳。
仕事の際はしっかりしているのだが、マキナの前では甘えモードになってダラけるのである。
頭を抱えるマキナだが、チハルのマイペースぶりは今に始まったことではない。
肝心のマキナも大概喧嘩っ早いトラブルメーカーのだが、流石に“銀河特急”の一件で少しは丸くなっていた。
「チハルいい!?じゃあのイケメンMCの言ってたこと改めて説明すっから!!」
「マキナせんせ!!よろしくお願いします!!」
「ちゃんと覚えろよ!?いい!?いいな!!」
「ハーイッ!!」
ビシッと指差して念押しするマキナ。
ハキハキと手を挙げて応えるチハル。
まるで教師と生徒のような遣り取りをしてから、暫しの沈黙が起こる。
わざとらしくキリッとするチハル、そんな彼女をジトッとした目で見つめるマキナ。
両者が謎の見つめ合いをしてから数秒後、マキナが更に念を押した。
「忘れんなよ!?絶対忘れんなよ!!」
「ハイ忘れませんッ!!」
凸凹の掛け合いをしつつも、なんやかんや二人は息ピッタリである。
◆
テレレレン レン レン レン レ∼ン♫
♪あいつなんか あいつなんか
♪銀河系まで 飛んできゃいいのに
第XX話「マキナとチハルまたもや死す」
◆
チハルとマキナ――銀河特急の暴走事件を生き抜いたばかりだというのに、今度は謎の拉致である。
これまでもノリで乗り切ってきたギャルズだが、彼女達はどうにも受難続きのようだった。
「マキナぁ」
「なに?」
再度の説明と支給品確認を終えたギャル達。
現状確認を済ませたので、ようやく二人とも落ち着いてきた。
そうしてひとまずの方針も決めた矢先に、チハルが呼びかける。
「空めっちゃ青いね」
「……うん」
チハルの素朴なひと言を耳にして、マキナが空を見上げる――晴天が広がっていた。
視界を覆うような蒼の色彩を、二人は圧倒されるように呆然と見つめていた。
「ここ地球なのかな?」
「さあ。どっかの惑星なんじゃないの」
二人が暮らすのは、宇宙の彼方。
日々の生活で目にするのはいつだって銀河の海、紺色の星空である。
どんな惑星においても、こんな澄み切った情景は目にしたことがなかった。
宇宙移民の間でも言い伝えられてきた人類の故郷――“地球”の空はこんな色をしていると、マキナは何処かで聞いたことがあった。
だからもしかすると、この空飛ぶ島というものは、そうなのかもしれないけれど。
今はそんな知りもしないノスタルジーに浸っている場合じゃないことくらい、マキナは理解していた。
チハルと話して、当面の目標は既に決めている。
とりあえず殺し合いはしたくない。生きて帰れればオーケー。首輪を外せないか、二人で何とか手段を探ってみる。
銀河特急での騒動と同じように、無事に脱出できれば良いけれど。結局のところ、行動しなければ何も分からない。
あのイケメンMCが何者なのかも、一体どうやって参加者を拉致したのかも、何の目的があるのかも、今のギャル達にとっては全てが謎だった。
一つだけ、確かなことがあるとすれば。
それはこの場において、既に死人が出ているということだけ。
あのルール説明の場で黒幕に反抗し、首輪の爆破によって“見せしめ”になった少女。
もうとっくに誰かが死んでる。逆らえば同じ目に遭う。そして生きる為には、殺し合わなくちゃならない。
そういう現実が立ちはだかっていることをマキナは理解していたし、マキナから説明を聞いたチハルも漠然と飲み込んでいた。
チハルには話していないけれど、マキナはぼんやりと考えていた。
もしも打開策が見つからなかったら、最悪の場合も考えなきゃならないってことを。
他人のことを見下してばかりだって、警察でも戒められたけれど――チハルに寄りつく悪い虫を払ってきたのは、いつだってマキナだった。
「てかマキナさ」
「なんだよ」
「あたしらまた殺し合いさせられそうになってない?」
「あー、今度お祓いとか行ったほうがいいかもしれんね」
ひょい、とマキナの後ろから顔を覗かせるチハル。
思えば銀河特急暴走事件の黒幕――オータムちゃんも、“社会のゴミを掃除する”とか何とか言って殺し合いを仕組もうとしていた。
つくづく自分達はこういうことに縁がある。マキナは思わず苦笑して、それにつられるようにチハルも苦笑していた。
「あのイケメンMCってオータムちゃんの知り合い?もしかして同型機とか?」
「タイタン工業にあんなイケメンロボねーよ」
二人はいつものように、飄々と掛け合いをしながら歩いていく。
彼女達が迷い込んでしまった此処は、宇宙の彼方よりもずっと重力に近い場所である。
星もネオンも見えないけれど。チハルとマキナの道は、どうやらまだ続いているそうだ。
【九条 チハル@銀河特急 ミルキー☆サブウェイ】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×1〜3(確認済)
[思考・状況]
基本方針:生きて帰る。
1:マキナと一緒に行く。首輪とりたい。
2:あたしらまたこういうの巻き込まれてない?
[備考]
※参戦時期は少なくとも本編終了後です。
【来栖 マキナ@銀河特急 ミルキー☆サブウェイ】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×1〜3(確認済)
[思考・状況]
基本方針:生きて帰る。
1:とりあえずチハルは守る。首輪を取りたい。
2:もしもどうにもならなそうだったら、最悪チハルだけでも生かす?
[備考]
※参戦時期は少なくとも本編終了後です。
ひとまず以前と同様のボディに戻したようです。
最終更新:2026年02月01日 12:28