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一本の刀を携え、高貴なコートを纏った獣人が、目の前の敵を睨みつけていた。
豹頭の獣人の名はギュメイと言い、とある軍事帝国の、最強の将軍だった。
3度蘇った彼だが、ベリアルのために殺し合うつもりは全く無い。
彼が使えるのは常に、主君ガナサダイのみ。
それでも、剣を振るわねばならぬ相手だと分かった。

「どうした?俺の力に驚いたか?驚いたなあ!?」

ギュメイの目の前に立つのは、赤褐色の肌と、黒い鎧が印象的な男だった。
こちらは人の顔をしているが、肌の色と、体中から溢れる攻撃性から、鬼だと勘違いする者も多そうだ。
それ以上に、彼の足元にある物が、ギュメイから見れば奇妙に映った。
魔法道具や、飛び道具ではなく、どう見ても子供のおもちゃ。投げたり蹴ったりして遊ぶ遊具にしか見えない。
ギュメイとは違う世界の者が見れば、サッカーボールと答えるだろう。

「そうだ。自己紹介が遅れたな。俺はザナーク・アバロニク。名も無き小市民だ。」

「我が名はギュメイ。しかし名前があるのに、名も無き小市民か?」

しかし、ザナークはその玩具をぶつけただけで、木を簡単に倒した。
一本だけではない。その反動でぶつかった4本の木まで、簡単に倒れた。
ギュメイの周辺だけは、嵐が過ぎたかのようになっている。

明らかにこの男は、止めなければならない存在だ。
自分は剣を振るうのは、主君のためだけだと誓っていたが、戦わずしてどうにかできる相手とも思えない。

「行くぜえ!!」
「参る!!」

先陣を切ったのはザナークの方だった。
ボールを高くに蹴り上げたと思いきや、猛然とギュメイに突進し、凄まじい回し蹴りを見舞う。
蹴りこそは外れたものの、風圧でギュメイの毛が数本、はらはらと舞った。

「非凡な足技、認めよう。しかし、その足が斬り落とされることは、考えてなかったのか?」

ギュメイは後退。一定の間合いを取ると、すかさず剣を振り始める。
彼が得意としていた、四連の斬撃、五月雨切りだ。
一見でたらめな袈裟斬りと逆袈裟の繰り返しのように見えるが、その実全て、ザナークの脚を狙っている。

「ほう?中々良い太刀筋だ!」

しかし、軽やかなフットワークの軽さだ。
鬼の金棒のごとき一撃を見せた後は、羽のような身軽さと柔軟さを見せ、斬撃の雨を潜り抜けて行く。
だが、最後の一撃は、ザナークの左足首を捉えた。そのはずだった。
ギィン、と金属と金属をぶつけ合う音が、戦場に響いた。
同時に、ギュメイの手にも、ビリビリと衝撃が走る。

「試しに履いてみたが、中々丈夫で悪くない。ドメインシューズよりも優れているな。」

「メタスラブーツか…厄介なものを…」

ザナークが履いていた銀色の靴は、鉄壁の守りと、疾風に速さを兼ね備える防具だ。
ギュメイの世界にある、不思議な洞窟の深淵でしか手に入らない貴重品だ。

「厄介だと?なら、道具の力を借りていないこれならどうだ?」

ザナークが構えを取り始めた瞬間、空気が変わった。
既に刺々しい空気が充満していたが、今度は空気そのものが恐れているかのように、揺れ始める。
ギュメイの獣の毛も、いち早くその危険を察知したかのように、逆立ち始めた。

「させん!火炎斬り!!」

「かあーーーーーっ!!」

「な?光線!?キラーマシンの類だったのか?」

ザナークは口から紫色の光線を出した。
火炎斬りの力で光線を斬り裂いたため、ギュメイにダメージを与えることは無かったが、時間を稼ぐには十分だった。

「消えた!?」

気が付けばザナークは地上から姿を消し、空高くにいた。
しかも、その右足には先ほど飛ばしたサッカーボールがある。

「弱いヤツほど良く吠える。俺は強いが良く吠える。」

バチバチ、と右足に黒いオーラが溜まる。
そのまま、天からボールを蹴とばした。

「ディザスターブレイク!!」

「この力は……」

真っ黒なオーラを纏ったボールが、地面を削り、砂煙と共にギュメイに襲い掛かる。
それは名の通り、災害すら打ち砕く一撃。
ギュメイは剣を構え、サッカーボールを斬り裂こうとする。
しかし、振りが遅れた。決してギュメイが弱いからではない。未知の攻撃に、対応が遅れたのだ。
ボールは彼の胴体に命中し、確かなダメージになった。戦士の会心必中にも並ぶ威力だと、その身で感じた。
しかもそのボールは反動で、ザナークの足元に戻った。

「異界の技術。御見それした。だが、勝ちを譲る訳にはいかんな。」

「いいぞ。立ち上がってくれなければ、つまらん。」

勝負が決したわけではない。ギュメイは立ち上がり、その剣は離さない。
既にギュメイは、2度死を経験した身。一度目は聖龍に、二度目は天使に。
この男は激しいが、自分を殺すには及ばない。

「凄まじい力は認めよう。だが我を倒した守護天使たちに比べれば、まだ浅い。」

「そう言うと思ったぜ!!だが、これで終わりだと思ったか?」

空気が、そして大地が揺れる。
ザナークとは異なる、激しいオーラが身を包む。
緑がかった黒髪のザナークが、瞬く間に白髪に変わった。
見た目だけが変わったわけでは無いのは、オーラの鋭さから伝わった。

「ミキシトランス・曹操!!」

「…異界の英傑の力か…!!」

「これで終わりじゃないぜ?武神曹操の化身、見るがいい!!」

今度はザナークの背後から、何かが現れる。
それは、緑色をした、筋骨隆々の魔神だった。しかも両肩から大蛇を二匹ずつ生やしている。
ギュメイはサッカーも、彼の世界に存在する化身やミキシマックスのことも知らない。
だが、盤面すら壊せるほどの何かをしたことは、彼の逆立つ毛が理解していた。

「剛力の玄武!!」

「この力は……」

召喚術こそは、ギュメイの世界でも、珍しいものではない。
実際にギュメイと敵対したレンジャーは、妖精の力を味方に付ける奥義を持っていた。
しかし、圧力が並みの妖精や魔物とは、比べ物にならない。

「然らば…これならどうだ!!」

剣に氷を纏わせ、斬り裂こうとする。
蛇の弱点は低温。それは化身だろうと、変わらないはず。
しかし、すぐにその斬撃が止まる。
4匹の蛇の牙が、流れる氷の斬撃を止めた。

ギュメイには知らぬことだが、化身には攻めに特化したものと、守りに特化したものがある。
ザナークは攻撃的な性格だが、彼の操る剛力の玄武は、守りに特化した化身だ。

「ククク…さらにはこんなことも出来るぜ!」

蛇の牙が、緑色のエネルギーを放出し、それがザナークとギュメイの間に溜まっていく。

「正拳…亀甲破ぁ!!」

亀の甲羅のような形になったそれを、ザナークが蹴り飛ばした。
ディザスターブレイクとは異なるエネルギーの塊が、ギュメイを飲み込もうとする。
激しい爆発が起こり、砂煙が巻き上がった。

「俺の力を実感したか!?したなあ!!」

得意気に笑っていたザナークだが、その表情を強張らせる。
何しろ、完璧に決まったと思っていた技を、崩されたからだ。

「どうやら我は、3度目の生を受けた後さえ、戦う運命にあるようだな。」

コートや毛並みこそ乱れていたが、ほとんどダメージを受けていない。
ギュメイはザナークの技に対し、切り札を切った。
彼が何人もの戦士を葬った秘技・魔神斬り。命中率を落とす反面、当たった時の威力は絶大だ。
本来は斧使いにしか使えぬこの技を、ギュメイは自分の剣技に昇華させたのだ。

「そう。力と力のぶつかり合い。これが俺の求めた熱さだ。この俺をもっと、熱くさせてみろ!!」

戦いは終わることは無く、さらに加速していく。
はずだった。

いち早く、二人とも同じ方向に顔を向ける。
互いのものとは違う、凄まじい気配が、彼らの背筋を走ったからだ。
不意に巨大な岩が、ザナークを狙ってくる。
彼はサッカーボールの狙いを、ギュメイから岩に変え、その岩を砕く。

「お前ら二人、面白そうなことをしているじゃねーか。オレさまも混ぜろ。」

不意に、2人の視線に、一人の男が映った。
ただの男ではない。ギュメイやザナークを優に超える巨体。それを構成する分厚い筋肉。
まるで、筋肉の山脈のように見えた。
そして、人間の大人の腕ぐらいある、頭から生えた2本の太い角。
どう見ても、人間とは思えない。

「バカな…ギガンテス…だと?」

その巨体、角、筋肉を見て、ギュメイはすぐに考えを改めた。
ギガンテスは一つ目だが、この鬼は三つ目。
さらにあふれ出るオーラはギガンテスを越え、地の底を支配する巨人、アトラスにも並び立つ存在だ。
良く見れば腰巻に『壱』と書いてあることからも、高位の怪物に見える。

「ん?“きかんです”だって?」

巨鬼はよく分からんぞという表情を浮かべながら、2人の所に近づいて来る。
一歩一歩が巨大な分、すぐに彼らの目と鼻の先に来た。
その後両手を広げ、さあ攻撃してみろ、という姿勢を取る。

「確かにオレさまはどんな攻撃も技も、いっさい効かねーよ。」

「その言葉、俺の技を受けても、取り消さずにいられるか?」

鬼相手に先陣を切ったのは、ザナークだった。
上空にテレポートして、右足にエネルギーが溜まる。
しかも、曹操の力を使っている分、先程より強い力だ。

「俺の戦いに横やりを入れた罪、償ってもらうぜええええ!!!」

ディザスターブレイクが、鬼の胸めがけて飛んで行く。
ドン、と激しい音が響いた。響いただけだった。
ボールは壁、いや、難攻不落の要塞にぶつかったかのように弾かれる。

(この力は……)

ザナークは自身の必殺シュートを防がれたことは、これが初めてではない。
しかしその時は、相手のキーパーが曹操と同じ時代を生きた劉備の力を使い、尚且つ必殺技まで放った時だった。
あろうことか、つっかえ棒の如く立っているだけで、弾かれてしまった。

「いーや。思ったよりかは効いたぜ。このオレさまが、まさか少しだけ押されるとはな。」

「ならば!」

間髪入れずにギュメイも走り出す。
既に動きは、魔神斬りの姿勢に入っていた。
この怪物を倒せるとするなら、この技しか無い。ギュメイが超一流の剣士だからこそ、それが分かった。

「これならば…どうだ!!」

狙いは、鬼の片足の腱。その一撃で倒すことは出来なくとも、その動きを殺すことは出来るはずだ。

「何!?」

目論見は成功し、右足からは鮮血が迸る。
当然だ。当たれば、鉄壁の守りを持つメタルキングすら斬り裂く一撃だ。
二本足で歩いている以上は、片足でも斬り裂けば、少なくとも当分は動けない。

「ま、なおるからいいかー。」

一瞬にして、出血は止まった。よく見れば胸に出来た痣も、いつの間にか消えている。

「どんな魔法を使った!?」

「魔法って、妖術のことか?そんなもん使ってねーよ。
それより何か変だぞ?普段ならこんな傷、一瞬で治っていたのに、治り切らねえ。
テメーら、どうしてか知ってるか?」

「これで力を制限されているだと?」


この場にいる誰もが知らぬことだが、特別な力で、鬼の妖帝、大嶽丸の再生力は制限されている。
ギュメイにも斬り付けた足の傷が、再生中なのが良く見えた。すぐにでもあの場所に追加の攻撃を当てねば、完全に再生されてしまうだろう。
だからと言って、何度も魔神斬りを撃つわけにはいかない。
命中率の問題もあるが、一番は体力の問題だ。
魔神斬りは、一度の戦闘では三発が限度。既に二発撃った今、使えるのは後一発。

「知らないのか。まあ仕方ねえ。これでも十分楽しめるしな。」

巨大な手が独特な形を作る。それはパンチですらない。デコピンだ。
だが、それだけで地面を大きく削り取る風圧を出す。

「さあ!オレさま大嶽丸の、楽しい楽しい殺し合いだ!!!」

おまけにデコピンなので、連続して撃てる。
そこら中に、削られたような線が走っている。
ギュメイもザナークも、連続で撃たれるそれを、躱し続ける。

「まだまだあ!!」

続けざまにザナークが、シュートを撃つ。
だが、効いている様子はない。かつてザナークめがけてシュートを撃ったガンマの状況を、再現しているかのようだ。

「なるほど。知ってるぜ。そいつは人間のスポーツ、サッカーだな。」

ザナークが蹴るボールを、興味深そうに見つめる。
決して手加減している訳では無いが、百鬼旅団の一番を担う鬼には、大した威力にならない。

「サッカーには色んなポジションがあって、その中でゴールキーパーだけが、相手を殴り倒すことが出来るんだろ?」

「何だか違う話をしてないか!?」


ザナークでさえもツッコミ役に回るほどの、傍若無人ぶりを見せる。
大嶽丸は、何度か人間の里を襲っていたことがあるため、人間の遊びも良く知っているが、色々と知識が間違っている。
だが、間違っていても、そこから桁違いな破壊を齎すのが問題だ。
ブンと空気を切る音が聞こえ、遅れて後方で爆発のような音が響く。
それは、シンプルなジャブ。だが、彼の力が強すぎるあまり、風圧だけで、下手な正拳突きをも上回る。
拳が当たればただでは済まないため、ザナークはそこら中を跳び回る。

「フハハハハハハハハ!ゴールキーパーは楽しいぜ!!」

「これでバイキルトも使っていないというのか…なんて力だ!!」

ギュメイは剣で空気の塊を受け止めるも、その激しい衝撃に、何発も受けきれないと判断する。
しかし、凄まじい波状攻撃をいなし切れず、空気の塊がザナークに命中した。

「ぐ……」

「ザナーク!!」

パンチングを受けたボールのように、勢いよく飛んで行く。
ダメージで強化が解けたのか、髪の色は元の黒に戻ってしまった。
ギュメイはザナークを味方だと思っている訳ではない。
だが、2人がかりで精一杯のこの状況で、1人でも倒れられたら、崩壊は免れない。

「フハハハハハハ、こんな遊びも知ってるぜ。」

大嶽丸は、ザックから何かを出した。
それは、巨大なハンマーだった。しかも、素材にオリハルコンとヘビーメタルを使った一級品だ。

(あの構えは…まさか、ランドインパクト?)

その振り心地を試すかのように、地面に叩きつける。
ティンパニのような音が響いたとともに、激しい砂ぼこりと土くれが、辺りを舞った。
潰されずに済んだものの、凄まじい砂嵐に、ギュメイは足元を奪われそうになる。

大嶽丸はハンマースキルを積んでいたわけではない。
しかし、超人的なパワーと、圧倒的な戦闘センスが、ランドインパクトに近しい技を可能にさせたのだ。

「こうやってハンマーをぶん回して、岩とか山とか壊す奴を、ビルダーって言うんだろ?」

ギュメイにもザナークにも分からないことだったが、多分違うのは分かった。

「そしてハンマーで砕いた奴らを積み上げて、山を作った奴が、“ぽこあポケモン”ってのになれるんだろ!?」

それは明らかに違う。絶対に違う。

「クククク…確かにすさまじい力だ。だからこそ、俺の本気の力を見せてやらないとなあ!!」

再び、ザナークを取り巻く空気が変わり、化身が現れる。

「魔界王ゾディアク!!」

それは、魔神ではなく、赤と黒の魔王。
蝙蝠のものとも異なる、鳥のものとも異なる黒い翼は、魔王にしか無いものだ。
ギュメイは、主君ガナサダイに似たオーラを感じ取った。

「お?そんなことが出来るサッカー選手は見たことねーな。けれどそれぐらいじゃ、オレさまは倒せねーよ。」

「まだだ…まだ終わりじゃねえぜ!アームド!!」

化身のエネルギーが、ザナークに集まっていく。
ゾディアクは黒い鎧となった。それだけではない。パワーが、それまでの数倍に上がっている。
それは未来に生きるものか、あるいはその未来の者と繋がったサッカー選手にしか出来ない、化身アームドだ。

「そんな鎧、砕いてやるぜ!!」

「危ない!ザナーク!!」

頭上から、メガトンハンマーが降って来る。
しかし、ザナークは慌てることなく、そのハンマー目掛けて、シュートを見舞った。
下から予想外な力が加わり、破壊を齎す武器は、天を叩くことになった。

「コイツを食らええ!!!」

戻ってきたサッカーボールを蹴り、強烈なシュートを撃つ。
その一撃は、大嶽丸を宙に浮かせた。敵はどっしりと踏ん張り、倒れることは無かったが、確かにその一撃は通じた。

「どうだ!これが俺の力だ!!」

「認めるよ。テメーらはつえー。だが、その程度でいい気になってもらっちゃ困るぜ。」

今度はハンマーを上ではなく、横に構えた。
何をするのかと思い、2人とも距離を取る。
その瞬間、風が吹き荒れた。いや、それは瞬く間に、竜巻に変わっていった。

「…まずい!このままでは……」

「何だと…うおおおおおお!!!!」

抵抗空しく、2人とも巻き上げられる。
圧倒的な力を持つ怪物が、凄まじい武器を持てばどうなるか。答えは、災害を起こす。

「フハハハハ!!!地面に叩きつけられて、せんべいになっちまいな!!」

竜巻の轟音に混ざって、大嶽丸の笑い声が聞こえて来る。
どうにかして着地したいギュメイだが、凄まじい風が支配する空間で、身体が言うことを聞かない。
バギクロスはおろか、バギムーチョレベルの竜巻をその身に受け、今にも身体がバラバラになりそうだった。

「……!?」

破壊の竜巻の中で、奇妙なことに気付いた。
自分の刀が、青く光っていることに。

(あの光は…!?まさか?)

不意に、身体が軽くなった。風に吹き飛ばされているからではない。
むしろ、今まで動かせなかった身体が、自由に飛び回れるような気分だ。
そして、刀は小枝か何かのように、軽く感じる。

「新たな技の打ち込み台になってもらうぞ!!」

大嶽丸はハンマーを抱えて、2人の動きを眺めている。今がチャンス。
ギュメイの空間のみ、ひどく静かだった。その動きは最小限、ほとんど竜巻まかせ。
それは、自分と戦ったバトルマスターが得意としていた、乾坤一擲の技。

「お?」

大嶽丸も、ギュメイの異変に気付いた。
竜巻を利用して斬りかかろうとする剣豪を、ハエ叩きのように、撃ち落とそうとする。
気が付けば、ギュメイは大嶽丸の後ろに立っていた。
右肩から脇腹にかけて、一本の赤い線が走った。

「バカな…このオレさまが、目で追い切れなかった?」

風の力を得た青い刀も、無心こうげきも、出した彼自身が驚いていた。
本来彼は、ストームフォースも使うことは出来ず、仮に使えたとしても、武器の色が変わることはない。
しかしザナークに、大嶽丸と、異なる世界の強者との戦いに呼応して、新たな力が目覚めた。
そして、彼に支給された刀は、風斬り刀。威力はそれなりと言ったところだが、風との高い親和性を持つ。

(全く予想できなかったが…まだ戦える!帝国三将軍として、まだ終わらぬぞ!!)


「オレも!!まだ終わってねえ!!!終わってたまるか!!」

ギュメイの鮮やかな剣さばきは、ザナークの目にも映った。
ここで、大嶽丸に負けていては、自由など夢のまた夢。
彼は戦い続ける。自分をムゲン牢獄に監禁したエルドラドの老人たちのためでもなく、この世界に飛ばしたベリアルのためでも無く。
ただ、己のためだけに、戦い続ける。そのためには、力が不可欠だ。
曹操よりも、自分を倒した錦竜馬よりも、魔界王ゾディアクよりも強い力が。


「オレに力を…よこしやがれぇーーーーーーーーーっ!!!!」


その瞬間、ザナークの髪型が、またも変わった。
曹操のものではない。瓢箪のようなもみ上げが、稲妻のようなものに変わったぐらいだ。
だが、その力の変化は誰よりも、ザナーク自身が感じていた。
ミキシマックスガンも無しで、彼は、大嶽丸が起こした竜巻を、食らったのだ。

「驚いたぜ。この場で進化するとはな。だからこそ、叩きつぶしがいがあるぜ!!!」

大嶽丸のハンマーが、ザナークを襲う。
だが、彼は動じず、敵のみを見据えていた。

「今!ここに再誕する!!グレートマックスなオレ!!!!」

もう一つ、真っ赤な竜巻が巻き起こる。
それは、大嶽丸が起こしたものではない。ザナークの新たな力が、起こしたものだ。
自らが起こした竜巻に乗って、凄まじい勢いの力の塊が、巨鬼を撃ち抜こうとする。


「そうか…それが答えか。ならば我も、終わる訳にはいかん!!」

彼の力に、ギュメイも応えるかのように、再び剣を抜く。
彼が使うのは、剣を極めた者にのみ、使える技。
魔神斬りに、無心攻撃と、魔力を消耗する技を多用したため、今にも崩れ落ちそうだ。
それでも、ここで倒れれば、亡き主君ガナサダイに、そしてあの守護天使に合わせる顔が無い。

「この技は不完全…生き返った後でさえ、使うことは出来なかった…だが、今なら……!!」

技を撃てる体力は残り僅か。だからこそ、ここで一撃を決める。
今度は青色ではなく、金色に風斬り刀が輝いた。同時に、雷が刃を走る。
魔力は足りない。無理に自分の力を魔力に換えたため、吐血した。
それでも、刀を握る力を緩めない。

「ギガ……ブレイク!!!」

「スーーーーーーーパーーーーーーーーッ!!!」

「全員まとめて、打ち砕いてやるぜ!!!!」


閃光と、爆発が、3人を包み込んだ。
セカンドステージチルドレン、堕天使の力を受けた剣豪、百鬼旅団の妖帝。
その世界でも異質なまでの力を持つ者たちが、全力をぶつけ合った結果だ。
遅れて竜巻が起こり、全てを吹き飛ばした。






(まだ…生きているか……)

ギュメイは戦場から離れた場所で、目を覚ました。
コートはボロボロ。全身の至る所が焼けるように痛む。
体力も魔力も限界まで使ったのだ。むしろ生きている方が奇跡なぐらいだ。

立ち上がろうとすると、身体に痛みが走る。
それでも、剣を杖にして立つことはしなかった。
少しずつ身体を持ち上げて行き、歩き始める。


(我を討った守護天使よ。お前に恥じぬ生き方をするぞ。)

ザックを開け、1本の瓶を取り出し、振り撒く。
説明書に書かれていたことは半信半疑だったが、僅かながら疲労が回復した。

まだ、ザナークも大嶽丸も倒せていない。
彼の武人の勘が、そう告げていた。
だからこそ、剣を振らねばならない。ベリアルのためでも、ガナサダイのためでも無く、己の矜持のために。


【ギュメイ将軍@ドラゴンクエストIX 星空の守り人】
[状態]:ダメージ(大) MP小
[装備]:風斬り刀@ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド
[道具]:基本支給品一式、エーテル×4不明支給品×0~1
[思考・状況]:
基本方針:ベリアルや、この殺し合いに乗った者を倒す
1:守護天使に恥じぬ生き方はしない
2:大嶽丸とザナークには警戒。

※クエスト 『名を奪われし王』終了後の参戦です
状況次第では、他作品のギュメイの技も使えるかもしれません(無心攻撃、ギガブレイクなど)


【風斬り刀@ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド】
ギュメイに支給された両手剣。
イーガ団の中でも、特に力が優れた者にのみ使うことを許されている。
一見日本刀のように見えるが、独特な形状をしており、上手く振るうと鎌鼬を飛ばすことが出来る

【エーテル×5 FFシリーズ】
ギュメイに支給された回復アイテム。
使うと、魔力を少しだけだが回復できる

(クソ…身体中が、痛え……)

ギュメイが吹き飛ばされた場所とは別の場所で、ザナークも地面に伏していた。
彼が大嶽丸に見せた技は、未完成だ。
本来ならば、1か月以上の修行の果てに、巨大台風クララジェーンとの対決で、覚えたはずの技だ。
そこまで準備しなければ使えぬ技を、コンディションが味方したとはいえ、無理に使えばどうなるか。想像に難くない。

(大嶽丸…ギュメイ……お前らは、絶対に倒す)

それでも、ザナークは立ち上がる。
ムゲン牢獄から脱獄出来たというのに、ベリアルのせいでまた似たような状況に逆戻りだ。


【ザナーク・アバロニク@イナズマイレブンGO クロノストーン】
[状態]:ダメージ(大)
[装備]:メタスラブーツ@ドラゴンクエストIX サッカーボール@イナズマイレブンシリーズ
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×1~3
[思考・状況]:強者と熱くなる戦いをする
基本方針:
1:弱い奴はどうでもいい。向かってくる奴は倒す
2:最後にベリアルも殺す。

※参戦時期は幕末編(アニメ29話)終了後です


【メタスラブーツ@ドラゴンクエストIX】
ザナークに支給された靴。メタルスライムが彫り込まれている銀色の靴。
頑丈なだけではなく、回避率も上昇させる効果がある。

【サッカーボール@イナズマイレブンシリーズ】
現実世界にも普通に売られていそうなサッカーボール
普通に蹴り飛ばして遊ぶことが出来るが、相手にぶつける武器にもなり得る。
特徴として、物凄く頑丈で、再生力がある。両断されても、化身の炎で消し炭にされても、普通に使われ続けている。新しいものと取り換えられているだけかもしれないが…
イナズマイレブン世界では、ゴールネットと並んでどちらが頑丈か、日々議論されている。




「逃がしちまったか…まさか、吹き飛ばされて、死んだりしてねえよな?」


砂嵐が晴れ、そこには大の字になって寝転がっている鬼が一人。
しかしその心には、高揚感に満たされていた。
人間たちに敗れ、これから地獄で負けた仲間たちと、閻魔大王をぶちのめそうとしていた時。
楽しみをベリアルに奪われたのは不満だったが、いきなりここまで楽しい戦いを出来るとは思わなかった。
ギュメイと言う豹頭の剣士。そして、ザナークと言う妖術のような物を使うサッカー選手。

「しかし、最近のサッカー選手は、竜巻を起こしたり、髪形を変えたりするのか。こりゃあおもしれえ。
…にしても、ハラが減って来たな。」

大嶽丸は、まだ闘争を求め続ける。
彼が戦いを終える時は、その命が尽きた時。いや、命が尽きてさえ、強者との戦いを求めるだろう。




【大嶽丸@ゲーマーが妖怪退治やってみた!】
[状態]:ダメージ(小)
[装備]:メガトンハンマー@ドラゴンクエストIX
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×1~3
[思考・状況]:殺し合いを楽しむ
基本方針:楽しい楽しい殺し合いだ!!
1:戦う。楽しむ。殺す
2:ギュメイとザナークは絶対に殺す

※35話で死亡した後です
【メガトンハンマー@ドラゴンクエストIX】
大嶽丸に支給されたハンマー。
特殊な能力は無いが、シンプルに高い攻撃力を持つ。
最終更新:2026年03月19日 02:13