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一体何を間違えた、一体何処で間違いを犯した。

勝てるはずの闘いだった、ただの機械人形が相手の筈だった。

刀使でもない、ただの機械など、相手にならないはずだったのに。

なにかに使えると、手駒にしようとノロを注ぎ込んだのが間違いだった。

その直後に、動きが一変した。

我の動きをまるで全て理解したかのように、回避し、確実にカウンターを与え。

いつの間にか、我が勝てる余地など、最初からなかったかのように。

「ーー清々しい気分だ。オレに何を注ぎ込んだかは知らんが」

機械(■■)が喋っている。

怖い、怖い怖い。この機械が、バケモノが怖い。

こんなもの、今まで生きてきた中で出会ったことなど無いはずだ。

「感謝しておこう。更に強くなる余地が、今のオレに残っているとはな」

両腕は既に切断されてしまった。もう刀は握れない。

何だこれは、何だこれは。一体何なんだこれは。

「まあ、どうでもいい。オレはもうその役目は捨ててはいるがーーー」

これの中に在るのは何だ。

まるで呪いだ。これの中には呪いがある。

一体何千年前のものだ。一体誰が残した妄執だ。

こんなものが、こんな妄執(ノロ)があってたまるものか。









「ーー念の為だ。貴様(イレギュラー)は、排除しておこう」

いやだいやだやめろやめろやめてくれこんなこんな最後はいやーーー


【タギツヒメ@刀使ノ巫女 死亡(Delete)】



元折神家親衛隊第三席にして、高津雪那の忠臣である皐月夜見がこの殺し合いの舞台にて初めて出会ったのは。
幼子ともしか思えない小さい少女。
タギツヒメの角ような触覚が生えていて、最初はノロのようなものかと警戒はしていたものの、ノロのような気配は感じず。むしろ逆、透き通った水のような、そんな癒されるような感覚。
少女の名はシグウィン。水の国フォンディーヌにおける海底刑務所「メロピデ要塞」における看護師長。
そして「メリュジーヌ」と呼ばれる水棲の獣人種。

「あなたのような、殺し合いに乗ってないらしき方に出会えたのは幸運です」
「気にしないで、ウチも怪しい人じゃないのかなって不安だったの」

双方とも「相手が理由もなく相手に襲いかかる類の誰か」で無いことに安堵していたのは共通していた。
その上でお互いが殺し合いに乗っていないかを確認し、同じく両者とも同じであり、このように紆余曲折を経て行動を共に。
夜見の身体を軽く「健診」したシグウィンが「今のウチだとあなたの体のことは治せないわ」と呟いていたが、夜見としてはこの身体の中にある「ノロ」は、自らを拾ってくれた恩人から与えられたようなもの。
ここに呼ばれる前の死因に繋がったのは事実であるが、皐月夜見はそれで十分だった。
彼女にとって、あの終わり方で十分だった。

「⋯⋯怪しまないんですね」
「いきなり、どうしました?」
「私がその気になれば、学長の為に貴女を使い捨てる、だなんて考えてもおかしくないのに」

こうも見ず知らずの相手を信頼できるのですね、などと思ってしまう。
皐月夜見にとって、高津雪那のみが事実上の全てであり。
それ以外がどうでもいい、とまでは行かない程度の仲間への信頼はあったけれど。
やはり自分にとって高津雪那こそが行動の指針となってしまうから。
無愛想という自覚が無いわけではない、たった一人の為にその命を捧げるような誰か。
他人から見れば、強さが生じてもおかしくないというのに。

「良薬は口に苦し。どんないい薬だって、飲んでくれないことには意味はないの」
「⋯⋯何の話ですか?」
「飲ませるために、時には苦みを抑えたりとか、そういう積み重ね。医療も、誰かと仲良くなるのも、そう変わらないから」

そんな、一抹の不安にも似た疑問を抱く夜見皐月に、シグウィンは語る。
一概に薬というのはよく効くものほど、その服用に苦痛やら不快を感じるもの。
未知の薬効には、本当に効くのかという恐怖がつきものだ。
病気は人を弱らせ怖がらせる、ならばそれを出来る限り取り除くには工夫が必要。
苦い薬が飲みやすくなるように苦みを抑えたり、甘さで打ち消したり。
そんな積み重ねは、医療においてもまた重要で。
そして、こう人間関係にとっても大切なのだ。

「それに、ウチのこの姿、出会った時に少しは気持ちは解れたでしょ?」

自分を可愛らしく見せるシグウィンの振る舞い。
触覚を揺らし、満面の笑みで夜見を見つめる。
確かに、リラックスできそうな可愛らしさというのは納得出来ると。
それと同時に、それがある程度自分への印象を刻みつけるような振る舞いでもあるのだと。
皐月夜見がシグウィンに思ったのは、そんな彼女の外見に似合わぬ天使のような優しさと老獪さ。



「⋯⋯あなたは中々に、恐ろしい人です。でも、それと同じぐらいに優しい人だと思います」
「⋯⋯⋯⋯ふふふ。でも夜見、あなたちょっと笑ってるわ?」

人と荒魂が違うように。
人とメリュジーヌもまた根本的に違うのだろう。
このシグウィンという少女は、己がどう見られてるかを理解したうえで自身の振る舞いを弁えている。
それでも、間違いなく彼女が向ける優しさは本物であることは、否定できないのだ。
そんな優しさに、シグウィンに指摘されて初めて、夜見が不意に喜びで口元が緩んでいる事に気がついたのは。

「⋯⋯そう、ですね」
「そう、時に笑顔は健康に良いものよ」

ぎこちなく出た肯定と、シグウィンの言葉を否定は出来ず。
それでも心が安ぐようなことは久しぶりだなと感じながら。

「ーーーー」
「⋯⋯ヨミ?」
「⋯⋯シグウィンさんは下がってください。来ます」

直後、皐月夜見が感じたのは『ノロ』の気配。
シグウィンを下がらせ、刀を構える。
ノロを体に宿す皐月夜見だからこそ、その気配には人一倍敏感。
ベリアルの話だと魔物の類がこの島には彷徨っていると。
だから凶暴化した荒魂の一体や二体いてもおかしくはない。
ただの荒魂ならば、の話だが。

「ーーアレと似た反応があると思えば、先程と違って"混じってる"だけか?」

姿を現したそれは、人間ではない。
獅子を思わせる金色の髪を震わせる、赤い装甲を纏った何か。
人と言うには無機質で、無機物と言うには感情が見える。
そんなものが、ノロを宿している。
それ以上に、ノロではない赤紫色を発するオーラのようなもの。
皐月夜見にとって、そしてシグウィンにとっても、それが一番不気味で恐ろしいものに見えた。

そんな存在が、皐月夜見の本質を一目で見抜き、言い当てる。
ノロに憑かれている、ではなく。
ノロを制御している、己の力として。
それは、何の感慨もなく。

「⋯⋯なんですか、あなたは」
「なにか、か。自分の存在が何者かで悩んだこともあったが、今となってはどうでもいいことだ。ーーゼロ、それがオレの名前だ」
「⋯⋯⋯ゼロ」

赤いそれが名乗った名前は、ゼロ。
その名前の意味は分からない。彼がかつて何を悩み、何に苦しんだかなど。
そんな苦い記憶もあったであろう彼は、見定めるかのように二人を見つめる。

「なるほどな、お前は人間版のイレギュラーと言うべきか。それと、そちらは人間のガワを被っただけか?」
「⋯⋯!」

ゼロのその言葉に、シグウィンがほんの少しだけ動揺の仕草を見せる。
シグウィンの今の姿は、フォンディーヌの法に背いてでも、ある薬を使って成ったもの。
知られるのはどっちでも良かったにしても、見ず知らずに簡単に見抜かれるなんて、思ってなどいなかった。


「⋯⋯シグウィンさん。誰がなんと言おうと、あなたの選んだ道を攻める気はありません」
「ありがと。ちょっと、虚を突かれて動揺しただけだから」

察した夜見が、咄嗟に言葉を掛ける。
本当なら知られること自体は良かったとしても、それでもその言葉だけでシグウィンの気持ちはほんの少し軽くなった。

「⋯⋯人の秘密を勝手に暴くのは、趣味が良いようには思えないですが」
「まあ、ノロとやらを注ぎ込まれたせいか妙にカンが良くなってな」

ゼロ曰く、ノロをその身に注ぎ込まれ、そういう直感とやらが鋭くなった、らしき口ぶり。
ノロを宿して強くなった例でいえば夜見自身の他に折神紫もそうである。
燕結芽の場合はあくまで病状の抑制程度で、戦いの場においてノロの力を使うことは拒否していたので別として。
ゼロの場合は、ノロ以外にも全く別の何かが混じった上での強さ、少なくとも。

「⋯⋯それに、混じり物というならあなたもそうでしょう?」
「そいつはそうだな。⋯⋯タギツヒメとやらにやられてな。最も、既にデリートさせてもらったが」
「ーーっ!?」

ゼロがノロを受けた元凶は、タギツヒメ。それはまだよかった。
ノロの力が加算されたこのゼロという存在がタギツヒメをデリート、つまり殺害したという事実の方が、予想外。
タギツヒメとは直接手合わせしたわけではないが、仮にも大荒魂の一体を切り捨てられる程の実力を、このゼロにはあるとしたら。

「⋯⋯まあ無駄話はこれぐらいにしておこう」
「シグウィンさん。ーーもしもの時は、逃げてください」

ゼロの態度が、変わる。
殺意を伴った、静かな気配に。
夜見がそれに気付き、シグウィンを後方に下がらせようとする。
夜見が剣を鞘から抜いたと同時に、ゼロは既に武器を構えていた。


「ヨミ、どういう⋯⋯」
「いずれオレの邪魔になるだろう貴様(イレギュラー)は、排除するが手っ取り早い」
「あなたを守りながら戦う、余裕は無いみたいです!!」

夜見のらしくもない叫びの直後、ゼロが武器として選んだチェーンソーと、夜見の刀が鍔迫りあう。
駆動音と共にガリガリとチェーンソーが火花を散らし、夜見を刀ごと押し込んでいく。
このチェーンソーは、かつてサガに塗れし神をバラバラにした曰く付きのもの。
突出して特別な力こそなくとも、運が良ければ朱雀すら一撃で葬るその威力は折り紙付き。

真正面からの鍔迫り合いは不利と、なんとかチェーンソーを弾いて夜見がサイドステップでゼロの懐へと潜り込もうとする。
夜見による下段からの切り上げは、チェーンソーとは違う武器にて防がれた。
その後お互いに離れ、距離を取る。
夜見は不安そうに遠くで黙るしかなかったシグウィンに向けて少しばかり笑顔を向けて、改めてゼロに向かい合う。

「ーー所詮拾い物だが、中々使えるのでな」
「⋯⋯冗談きついですね、よりによってあなたがそれを持ちますか」

ゼロの手に持っていたのは、衛藤可奈美の御刀『千鳥』。
『雷切』の別称を持つそれを、何の因果かこの相手が持っているという。

「私も、一応は借り物ですので人のことは言えませんね」
「そこはお互い様みたいだな、なら遠慮せずというやつだ」

最も、皐月夜見が現在所有し使用している御刀は『九字兼定』。
折神家親衛隊としての元同僚である此花寿々花の保有する御刀。
お互い、別人の刀使の御刀を振るい戦うという点では両者とも同じ条件。

「確かに遠慮はいりませんね。それとーー私は別に御刀を主軸として戦うタイプではないので」
「ほう?」

そう告げた夜見が、自らの手首に切り傷を入れる。
傷口から噴き出すのは黒い霧。
その霧が意志を持つかのように舞い上がり、ゼロへと襲いかかる。
この霧のようなものは皐月夜見の内に打ち込まれたノロ。
ノロを小型の荒魂の集合体として霧状に噴出させたものである

「なるほど、面白い小細工を弄すものだ⋯なっ!」

包み込むようにゼロを包囲しようとする荒魂の集合をチェーンソーで切り裂く。
だが際限なく噴き出るそれはチェーンソーで切り裂いた程度ではどうにもならない。
切り裂いた所で別の集合体が上空から襲いかかる。

「はっ!」

直前の所でスライディングし回避。
追いかけてくる集合体から逃げるように夜見に接近。
チェーンソーは既にデイバッグに片付け、千鳥の一撃と夜見の防御が再びぶつかる。
ニ度、三度ーー刀同士がぶつかり合う音を響き渡らせ、その最中にゼロが不意打ち気味に蹴りを放つ。
ただし足技と剣技を組み合わせた相手は古波蔵エレンで慣れているとばかりに、ほんの少し踏み込みを緩めることでギリギリ回避。


「タイ捨流の真似事は私には通用しません」
「ほう、中々にやるものだ」

軽いやり取りの最中に迫る荒魂の集合体。
ゼロは咄嗟に飛び上がり、夜見は敢えて飲まれることでそれをジャンプ台代わりに跳躍。
三度目の鍔迫り合いは空中にて、夜空の星に照らされ赤紫と白黒がその剣戟を以てぶつかり合う。
両者とも着地し、ゼロが次に行う攻撃の手段は、もう一方の手を砲口に変えての射撃。

「ならこれは捌けるか?」
「その程度ならっ!」

"溜め"た高出力の砲撃(ショット)を交えた弾幕。
夜見はそれを、今度は背中より荒魂を噴出させてジェット代わりに拘束突撃。
避けきれない砲撃は切り裂きながら、ゼロへと肉薄していく。
迫り際の横薙ぎ一閃、ゼロは跳躍による回避からの回転斬り。
回転による連続攻撃をいなしながらも押されるように夜見が後退していく。

「やぁっ!」

背中からの荒魂の不意打ち、回転斬り中のゼロは中断し軽々と回避。
それでも迫る荒魂の群れをゼロが一閃で切り裂く。

「ほう、なるほどな」

荒魂に隠れるように、ゼロの死角に回り込んだ夜見による突き。
ほんの僅か、ゼロの回避行動が遅れ、咄嗟にガードした腕にほんの少しキズが付いた。

「そのノロとやらの扱いを含めて、お前は強いな」
「私は強くなんて無いんです。でも、こんな体になってでも、守りたい人がいるから。私は後悔のない道を選んだだけです」
「守りたい、かーー」

夜見のそんな、確固たる思いと決意。
皐月夜見という石ころを拾い上げ、価値を見出してくれたたった一人に報いるために。
たとえどのように扱われようとも、最後の時まで仕え続けたその理由。
自らに手を伸ばしてくれたそのたった一つの出逢いに。

「オレには、そんなやつが⋯⋯いいや、違った。⋯⋯かもしれないな」

それを、羨ましそうな表情で、ゼロが優しい声でそう告げた。
あの"彼女"は自分に好意を向けていたが、結局この手で壊すしかなかった。
それからだろうか、己の意味に、迷いが生じたことが。
今となっては、どうでもいいことだ。
何もかも、どうでもいい。
今はただ、この衝動に身を任せるまで。

「あな、たは⋯⋯」
「余計な話をしたな。ーーさっきのノロの扱いだが、お前のを見て大体理解させてもらった」
「⋯⋯⋯っ!!」

悪寒、冷や汗。
確かにゼロはタギツヒメとの交戦でノロを打ち込まれた。
だから理論上は使えてもなんらおかしくはない。
だからこそ、夜見から冷や汗が流れ出す。
それは、「自分の扱い方を見て理解した」ということは。

「遅いぞ」
「がっーー!」

砲口から砲撃ではなく、鞭のように伸びたノロの集合体が夜見の不意を突きその土手っ腹に叩き上げ空へと浮かび上がらせる。

(だけどまだ、なんとかーー)
「終わりだ」

空から落下しながらも、何とか受け身を取ろうとする夜見の視線の先に。
飛び上がったゼロが、ノロの力を宿らせた拳を、そのまま落下しその手で地面を叩きつける。
地面を迸る衝撃波とともに、地面から噴火するように大量のエネルギー弾が宙へと打ち上げられる。

「しまっーーうあああああああああっ!?」

空中では自由な回避ができず、エネルギー弾の何発かが夜見に直撃した。




自分が介入する余地のない戦場を、見守るしかなかった。
あの旅人は、この戦いと同じか、それ以上に過酷な戦場を経験したのだろうか。
自分も参戦して助けになれるのか、支給品に運良く自前のバブルガンはあった。
それでも、あの紅い破壊者を相手に、自分が参加した所で足手まといにしかならないのでは。

「ーーヨミ!」

そうらしくもなく悩んでいたら、ゼロの大技で大怪我を負った夜見が地面に倒れ伏している。
思わず大声を上げたシグウィンであるが、それで何が変わるかと言うとそうではない。
それでも、不安にさせないために、夜見は辛うじてこちらに顔を動かして、口を開いた。

「はやく、にげて」
「⋯⋯!」

夜見の言った通り、彼女を置いて逃げるべきだろうか。
自分の命を優先すべきだろうか。

「⋯⋯そんなこと、出来るわけ無いです」

わかり切ったことだ。
病人を、怪我人を、苦しんでいる人間を放っておいて逃げろだなんて。
「医療」に憧れ、罪を被ってでも誰かを助けたかったのだ。
そんな自分が、人を治す自分が、誰かを見捨てるだなんてあってはならない。

「ウチは、メロピデ要塞の看護師長。怪我人を置いて逃げる? そんなことしたら、みんなに顔向けできませんわ!」
「⋯⋯シグウィン、さん」

そんな力強い啖呵を斬るシグウィンに、ほんの少しだけ夜見の表情が緩む。
それでも、ゆっくりとゼロが処刑執行人のごとく近づきつつある。

「見ているだけだから殺すのは後にしておいてもよかったと思っているが、挑んでくるなら容赦はしないぞ」
「挑むだとか、最初から勝てるかどうかなんて思ってませんわ」

シグウィンがゼロの形相を見て、改めて恐ろしいものだと感じる。
人形に何か、悪しきものが混じったようなものだと。
そして、それを組み上げたのは一体何者なのか。
それを考えるのは後で良い。

「医療というのは、怪我人を治すことが何よりも優先するものだからっ!」

その言葉と共に、ゼロに向けて文字通りの巨大な泡が放たれる。
だが避けるまでもないそのゆっくりとした軌道でこちらに向かう泡を一刀両断。
その直後に、妙な虚脱感に襲われたゼロが膝を付く。
強制的な催眠効果でもあるのか知らないが、この程度は耐えられないほどではないとーー

「この程度の虚仮威しーーぬっ?」

正面に投げつけられた本命に。
テレポートジェムという、平行世界の錬金術師が移動・逃走用に使う使い捨ての転移アイテムに気付かず。

「ーー出来ることならもう二度と会いたくはないわね」
「⋯⋯なるほど、な。今回はオレの負けにしておいてやろう」

そう捨て台詞を吐き、別の場所に飛ばされるゼロを、シグウィンは見送った。



「危機一髪、でしたわ⋯⋯」

テレポートジェムというアイテムが無ければ二人まとめて始末されていた。
それでも何とか危機は乗り切ったと安堵しながらも。

「⋯⋯たすかり、ました」
「こちらこそ、ヨミが頑張ってくれたから。私も腹を括れたの」

少なくとも、夜見の気遣いと優しさが。自分に一歩踏み出させてくれたと。
あの場で誰かを見捨てずにいられたのは、医療を背負うものとして逃げずに要られたのは。
皐月夜見という少女のお陰だから。

「⋯⋯その、ノロの方は」
「さっきの食らった一撃で、逆にノロが沈静化してくれた。⋯⋯でも、実は結構痛かったりします」

皐月夜見の扱うノロの力は、長時間の使用は代償を強いる。
だが相手がノロの力による攻撃だったのもあって、中和に近い現象が起こってくれた。
結果としてノロのアンプルを打ち込まれた時と似た状態となった。
シグウィンとしては、安心はできないが、一先ずは安心だった。

「⋯⋯ウチとしては、そんな危ない力はこれ以上使ってほしくないんだけど、そうはいかないのよね」
「⋯⋯はい」

文字通りのオーバードーズを引き起こして戦うような真似を、看護師長としての立場としてはやってほしくないのであるが。
症例の進み具合を考えると、逆にノロを取り除くこと自体が危険に晒す可能性があるのに近く。
現状は経過観察、という手段しか取れないのがちょっとだけ歯がゆい部分もあった。

「私が、あの人の隣で、あの人のために戦える、そのために私自身が選んだことですから」
「⋯⋯⋯⋯」

そんな、自己犠牲も混じっている手放しに褒められない決意を耳にしながら。
彼女が守ろうとしている誰かのためにも、彼女を体調を何とか出来ないものかと考えながら。
もしも、彼女が神の眼に選ばれてくれたら、なんて身も蓋もない奇跡を願ってしまう程に、シグウィンは皐月夜見のことを放っては置けなかった。

【シグウィン@原神】
[状態]:健康
[装備]:バブルガン@原神
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×1
[思考]基本方針:何とかこの殺し合いから抜け出して、フォンディーヌへ戻る手段を探す
1:ヨミの事が医療に務める者としてほっとけなくなった
2:あの紅い破壊者とは出来ることなら二度と出会いたくはない
[備考]
※参戦時期は伝説任務・ネレイスの章「嘘のぬくもり」終了後

【皐月夜見@刀使ノ巫女】
[状態]:全身にダメージ(中)、疲労(中)、内部のノロ安定中
[装備]:九字兼定@刀使ノ巫女
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×1~2
[思考]基本方針:高津学長の元へと帰る
1:分かりきっていることだけど、ベリアルの思惑が今後高津学長への害となるなら阻止する。
2:シグウィンには助けられた、ありがとう
3:あのゼロと名乗る人物には今後も警戒
[備考]
※参戦時期は死亡後




ーー倒せ!アイツを!

ーーワシの敵!

ーーワシのライバル!!

ーーワシの……生きがい!!!



ノロとやらを身体に受けたその時から、この声が鮮明に聞こえるようになった。
それはこの身体(ボディ)に刻まれた、原初の指令であり、本能。
悪を行い、悪を成すという。諸悪の根源。

「⋯⋯エックス、オマエとの決着は後回しになりそうだな」

かつての戦友にして、今や永遠の宿敵となった相棒の名を呟きながら。
己の使命を自覚した赤き英雄の行動指針は「悪」に依るもの。
「ロボット破壊プログラム」に刻まれた破壊衝動のままに。
ロボットを破壊し、人間を殺し、全てを壊す。

ロボット破壊プログラムとはただロボットを破壊するためだけのものであらず。
ロボット自身に破壊衝動を引き起こすものかも知れない。

「ーーここには、始末すべき邪魔者(イレギュラー)が多すぎる」

立ちふさがるものは、邪魔するものは、誰であろうと叩き切る。

「ーーそうだ」

不意に、頭に浮かぶ
電子回路に刻まれた残響とも言うべきか。
バグ、とも言うべき不明な現象か。
だが、それが示すものが、何なのか、ゼロ自身にも自覚がないまま。
思い出したかのように、ただ一言、こう告げた

「もしいるなら、■■■■■は、破壊しなければ、ならないとな」

【ゼロ@ロックマンX5】
[状態]:覚醒、片腕にキズ(小)、ノロによるロボット破壊プログラムの変質・活性化
[装備]:千鳥@刀使ノ巫女
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×1~4、チェーンソー@魔界塔士Sa・Ga
[思考]
基本方針:邪魔するものは全て始末する
1:■■■■■は必ず破壊しなければならない。
[備考]
※参戦時期は覚醒後
※タギツヒメにノロを注入されたことで、ロボット破壊プログラムの変質及び活性化が発生しています
※ノロの力を扱えるようになりました。


『支給品紹介』
【バブルガン@原神】
シグウィンに支給。メロピデ要塞特製のバブルガンで、血液循環を刺激し患者を安心させ、眠らせるヒーリングバブルを撃つ事ができる。

【テレポートジェム@戦姫絶唱シンフォギアシリーズ】
シグウィンに支給、使用済み。
錬金術師が逃走や移動用に使用する使い捨ての転移アイテム。

【九字兼定@刀使ノ巫女】
皐月夜見に支給。本来なら折神家親衛隊第二席の此花寿々花が保有する御刀

【チェーンソー@魔界塔士Sa・Ga】
ゼロに支給。原作だと一定確率で即死効果を持つただのチェーンソー。流石にこの殺し合いだと即死効果はない、その代わり対神特攻が何故かある。
かみは バラバラになった。
かみは しんだ。

【千鳥@刀使ノ巫女】
タギツヒメに支給、現在はゼロが保有している。
刀使、衛藤可奈美が保有する御刀で、雷を切り裂いた逸話から『雷切』という名を持つ。
最終更新:2026年03月20日 15:44