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ーーたとえ全てが虚しいものだとしても、それは今日最善を尽くさない理由にはならない




正しき白線の如き美しさを、闇夜に負けぬ輝きの如き少女の躍動という名の旋律を、葛城リーリヤは目撃した。
一歩、ニ歩、三歩。軽々とステップを刻むかのように動き、その少女の美しさに似合わぬ銃を携え、銃弾を放つ。
跳梁跋扈する機械を撃ち抜き、ただの物言わぬ残骸へと変えた。

不思議と、恐怖は感じなかった。
こんな非日常が、こんな残酷な催しが現実であることを突きつけられたというのに。
機械に囲まれた時は、アイドルとして何もかもが終わろうとしていたことに恐怖していたというのに。
みっともなく泣き出しても仕方なかったというのに。

ーーだとしても。そうだとしても。
諦める理由にはならない。諦めていい理由にはならない。
その決意だけを示そうとして、救いの翼を伴った極光が葛城リーリヤの前に次なる希望と言う白線を引いた。

「⋯⋯大丈夫か?」

冷静になって見れば、それは白磁の如き無垢の美しさがあった。
精密に作られた人形のような可愛らしさ、まるで天使のような翼が背中についている。
それはまるで天使とも、神の使いとも思えた。頭の上には天使の輪っかのようなものも含めて。
透き通ったアメジスト色の瞳は、まるで混じりっけのないガラスの器に入れられた純水のよう。
無垢を芸術に昇華させた、そのような人物が語りかける。

「え、あ⋯⋯はい。助けてくれて、ありがとうございます」
「怪我が無くてよかった」

リーリヤの返事に、その天使のような少女は安堵する。
天使のような、と言う超然的なイメージとは裏腹に、その反応は冷静でありながらも感情がちゃんとはっきり見えた。
それ以上に、このような状況への場慣れというのがわかりやすい。
リーリヤの無事を確認しながらも、周囲への警戒は怠ってはいない。

「ここにいた奴らはこれで全部。でも騒ぎを駆けつけてまた別のやつがやってくるかも知れない」
「⋯⋯あ、はい!」

先程の機械たちは既に彼女が倒してくれたが、また別でやってくるかも知れない。
彼女の言いたいことをちゃんと理解し、リーリヤは一先ずはこの場から離れることにした。







「えへ、えへへ⋯⋯!」

天使の翼を持った少女ーー現トリニティ学園生白洲アズサは現在、さっきまでのクールさをかなぐり捨てた笑顔を浮かべていた。
「自分と似た波長を感じた」というのがリーリヤの心の中の声である。ストイックで、この手のものが好きだったり。
白洲アズサが腕の中で抱きしめているのは、モモフレンズなるシリーズのスカルマンというキャラクターの人形。

「まさか同じ用にモモフレンズの同士が増えるとは思わなかった、こんな時に言うのは不謹慎かもしれないけれど、素直に嬉しい」
「そ、それはよかったです⋯⋯」

リーリヤとしても少しばかり食い気味ではあったが、ペロロというのは知らないがスカルマンはリーリヤから見ても意外とかわいい、と思えてしまった。
そこからはちょっとだけ状況忘れてモモフレンズのことをアズサから教えてもらったというか、話が乗ったと言うか。兎も角、少しばかり良いコミュニケーションが結果的に出来たと言うか。

「⋯⋯こ、こほん」

勿論、このままなのはあまり良くないのでアズサが話を変えるために咳払い。
モモフレンズの事を教えて貰う前に教えてもらったこと、キヴォトスという学園都市。「先生」という唯一の大人。
本当にアニメやゲームのような世界から、そんな非現実な世界から、彼女はこの場所に呼び出された。

「リーリヤは、これからどうしたいの?」

白洲アズサが殺し合いとは違う『地獄』を知っている。希望と幸福を悪とし、虚無と憎悪を植え付けられる箱庭(せかい)の中で、ただ唯一それより一人抜け出した特異点。
その気になれば「その手段」を取れる自分ではあるが、出来ればそれはしたくない。
友達(ヒフミ)が望んだ結末に、自分が手を汚すことを望まないから。

この少女は、『外側の人間』である。
信頼できるシャーレの『先生』と同じ、外からの人間。
ただ先生と違う。大人ではなく、まだ『生徒』の少女。
自分たちとは違い、先生のように非力で、キヴォトスの基準(ふつう)を知らない。

「怖いなら、無理しなくていい。逃げたいなら逃げてもいい。私はそれを強制しない。こんな場所で、逃げ場なんてあるかは分からないけど⋯⋯」

キヴォトスの生徒と違い、銃弾一発で死にかねない。
それは先生、というよりも『外』から来た人間の共通する要素なのか。
それとも『外』ではそれが普通であるからなのか。
キヴォトスの価値観を理解している先生とは違う。
恐怖というのは時に人を容易く支配し、狂わせる。
自分よりも、彼女に相応しい誰かに託すのも一つ。

「大丈夫です」

そんな白洲アズサの一抹の不安を振り払うように、もう一人の極光、葛城リーリヤは口を開く。





「確かに、怖いです。いきなりこんな理由の分からない事に巻き込まれて、簡単に誰かが死んでしまうような場所で、殺し合いだとかで。怖くないなんて事は、ありません」

最初からわかっている。強い人、弱い人。その差がアイドルの舞台以上に歴然とするこの残酷な物語の中で。
才能なんてなく、まだ夢への階段の一歩を駆け出しただけの自分が。
戦う力なんて持ち得ない自分が出来ることなんてたかが知れている。足を引っ張るかも知れない。
たとえ、そうだとしてもーー


――最後に笑えば良いんです。
道中で、どんなに馬鹿にされようと――構いません。


「でも。そんな弱音(りゆう)で、私の夢を諦める理由には、ならない」


無力なのはハナから承知。このコロシアイの舞台でアイドルが何を出来るかなどと嘲笑うものもいるだろう。
だからどうした、それがどうした。
そんなちっぽけな矜持だけが、諦めない理由になる。

……葛城さんがそう言える人だから、俺はプロデュースを決めました。
目立った才覚はないかも知れません。でも、それがあなたの唯一の――
――そして、最強の武器です。

夢を夢のままで終わらせない。絶対に生き残って、友達との約束を果たす。
どんな困難があったとしても、どんなに苦しいことがあったとしても。
最後ににっこり笑える、そんな夢の結末(ハッピーエンド)を、間違わずに歩んでいければと、それを貫き通すことが。
せめて、残酷なる狡知の堕天司に対しての、決意表明のようなもの。
それを聞き終えたアズサが、ほんの少しだけ、笑った。

「⋯⋯そうね」
「アズサさん?」
「たとえ全てが虚しいものだとしても、それは今日最善を尽くさない理由にはならない」

リーリヤの思いは、アズサにも共感できる事だ。
例え現実が残酷なものであっても、たとえ全てに意味が無いものだったとしても。
だからといって諦める理由にはならない。抗い続けることに、最善を尽くすことに意味がある
その先に掴める希望があると、信じ続けて。

「⋯⋯そう、ですね! 最善を尽くさない理由なんて、ないですよね!」

リーリヤも同じ、諦めていい理由なんて無い。最善を尽くさない理由なんてない。
夢と希望のハッピーエンド。白洲アズサに救いの手を差し伸べたそんな平凡な友人が一番好きな結末を目指して。
いつか友と願った、夢の結末へたどり着きたいが為に、最後まで抗おうと決意を秘める。



【葛城リーリヤ@学園アイドルマスター】
[状態]:健康、強い決意
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×1~2
[思考]:殺し合いには乗らない。私はこんな所で夢を諦めたくない。
1:この場所で自分ができることなんてたかが知れているけど、だからといって諦めていい理由にならない。
2:アズサさんと一緒に行動する、足を引っ張るかもしれないけれど、出来る限り頑張る
3:モモフレンズ、もし機会があったら清夏ちゃんに薦めてみようかな?
4:センパイやみんなは巻き込まれていないか心配
[備考]
※参戦時期は親愛度コミュ20話後
※アズサから最低限のキヴォトスの常識、及びモモフレンズの事を教えてもらいました

【白洲アズサ@ブルーアーカイブ】
[状態]:健康、強い決意
[装備]:マイ・ネセシティ@ブルーアーカイブ
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×1~2、スカルマンの人形@ブルーアーカイブ
[思考]:最後まで抗う。たとえ全てが虚しいものだとしても、それは今日最善を尽くさない理由にはならない。
1:リーリヤとは仲良くなれそう、新しいモモフレンズ仲間が出来たかも知れない
2:ヒフミやみんな、先生が無事かどうか気になる
[備考]
参戦時期はエデン条約編三章終了後


【支給品紹介】
『スカルマンの人形@ブルーアーカイブ』
葛城リーリヤに支給。キヴォトスで最近で流行っているファンシーキャラクターブランドの一つ。黒いボディにデフォルメした骨のようなデザインの顔が特徴。アズサのお気に入り。

『マイ・ネセシティ@ブルーアーカイブ』
白洲アズサに支給。本来は阿慈谷ヒフミの愛銃であるアサルトライフル。カラーリングはピンクと白と可愛らしい配色で統一され、チョーカー・スリングで肩に掛けながら携行できるようになっている。







眩い極光 強く握った

重なる希望が憧れを撃ち抜くんだ

どうか聞いて 絞り出す声

私は私を生きる
最終更新:2026年02月02日 10:44