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「悪魔なんてクソどもは、全員皆殺しざんす!!」

「ひゃっははは」と、下卑た笑い声をあげながら、トリガーハッピーに陥っているのはフリード・セルゼン。
若き天才エクソシストにして、かつては神とその教会に仕える神父。
そして今は、教会から追放された狂える異端者。
しかし狂えども、悪魔を恨む憎悪は曲がりなりにもあり、現在目の前にいる推定悪魔を射撃して嬲り殺しにしようとしていた。

「何をやっている!!」

フリードの横にいた大男がその腕を掴み、射撃の軌道を無理やり下げる。銃弾の嵐を浴びせられそうになっていた悪魔は、腰を抜かしたまま呆然としていた。

「何って? 悪魔狩りに決まってるでしょーが、それが僕のお仕事なんでぇ」
「悪魔? 何処がだ!!」

怒声をあげているのは、オールマイトが現役を退いたことでNo.1となったヒーロー、エンデヴァー。

仮にも人にあだなす悪魔を狩るエクソシストと、ヴィランを捕獲し治安を守るヒーロー。
出会って数分の間は、表面上だけは有効に接していた。
時折、ヒーローと個性の話を聞き、「スーパーマンの見過ぎじゃね。おっさん?」等とフリードが煽りを入れて、エンデヴァーもカチンとこないわけでもなかったが。
それでも、人の世を守護する人間同士とエンデヴァーは思い、この緊急時には協力し合うべきだろうと、エンデヴァーは考えていた。

「おっさん。あんたの目ぇ節穴ァ? 角生えてますよ。角が」
「異形型の個性という可能性もある。お前が悪魔とやらを憎む気持ちは分かるが、彼女がそうである確証は何処にもない」
「ああん? 個性だか何だか知らねえけど、悪魔なんてクソ虫は全員殺せばいいんだよ」

しかし、その友好的な関係もすぐさま決裂した。
二人の前に現れた少女。その少女の頭部には二本の角が生えていたのだ。
エンデヴァーは驚かない。世界総人口の八割が何らかの特異体質である超人社会となった彼の世界では、異形型の個性が発現することもままあり、地方などではいまだに深刻な差別問題が根深く残っている。
殺し合いという極限下で、異形型の個性持ちが蔑ろにされ、殺されてしまう可能性は高い。
エンデヴァーは保護しようと動き─────フリードはゲラゲラと笑って、「クソ悪魔がいますねえ。これから、お仕事ターイムッッ!!」と叫んで、引き金を引いた。

「ふざけるな!」

当然、フリードの蛮行をエンデヴァーが黙って見過ごすはずもなかった。
呆れたような蔑むような表情で、フリードはエンデヴァーを一瞥して、もう片方の手で剣を振るう。
その得物は、黒の剣士キリトがVRMMORPG「ソードアート・オンライン」で愛用していたエリュシデータを再現したもの。
頭上に降り下ろされ、頭蓋をかち割られる前に炎で溶かそうとしたが、エンデヴァーの想定以上に剣が頑丈であり、断念。
手を放し一度飛びのき、エンデヴァーは剣撃を回避する。

「おいおいクソ悪魔に味方するなんて、人間としてジ・エンドですよ。ジ・エンド」

ゲラゲラ舌を出しながら下品に笑うフリード。
人殺しも厭わないどころか、殺傷行為に快楽を覚える質を問題視され追放されたが、仮にもエクソシスト。
殺す優先順位は悪魔が最上位に位置する。しかし、それに僅かでも味方するようであれば、容赦する気もない。
むしろ、人殺しの建前ができて、フリードは喜んでいたぐらいだった。

「んじゃまあ。始めますか。おっさん、あんたデカいから細切れのし甲斐がありそうざんすねぇ……」

剣を一舐め。ドロッとしたフリードの唾液がエリュシデータの刃を汚す。キリトが見れば、気持ち悪がりながら激怒したかもしれない。

「ばぎゅんッ!!」

それから、肉薄してくるであろうエンデヴァーへ、牽制と挨拶代わりに鉛弾を一発くれてやる。



「……………マジですか」


フリードが銃撃を開始した瞬間、自らの体から炎を発しジェット噴射のように加速したエンデヴァーが迫っていた。
額に吸い込まれた銃弾など、あっけなく蒸発してしまう。
「やべっ」と叫び、フリードがエリュシデータを振るうが既に遅い。


「──────────────いったァァァいッッ!!!!」


エンデヴァーの鎧のような筋肉に覆われた太い剛腕から繰り出されるアッパーカットが、フリードの顎に突き刺さり、「ぐえっ」と叫びながら、フリードはそのまま意識を手放した。


「……厄介だな」


フリードを気絶させたエンデヴァーは、深い溜息を吐いた。
ベリアルが異世界について言及していたのを彼は聞き逃していない。
個性の事を知らなかったフリードの言っていることも、嘘ではないのだろう。
複数の世界が存在し、この会場にはその世界の住人が集まっている。
それどころか、世界が異なれば価値観も認識も異なる。
異形型の個性持ちを、見た目で悪魔と判断したフリードのように。

「起きた時に、しっかり説明しなくてはならんな」

だから、エンデヴァーはフリードを口と性格と態度に問題はあれど、まだ完全な悪人とは判断していない。
悪魔に加担した人間を、すぐさま殺そうとするのに引っ掛かってはいるが。
フリードの世界の常識を知らない以上、それだけで完全な悪人だとは判断できない。
だから、手加減した拳で気絶させ、意識を奪い武器を没収してからその後で改めて、誤解を解こうと考えていた。


「ありがとう。おじさん」


角を生やした少女がエンデヴァーに礼を言う。
だが、腰を抜かしたのか、無表情のままじっとしており、逃げ出す様子もない。

「すまなかった。怖がらせてしまったな」

こういうのは得意ではなかったが、今はサイドキックもおらず、警察に任せるということもできない。
彼は膝をつき、視線を少女の高さに合わせる。威圧感を削ぐよう努めて声を低く、穏やかに保った。

「お父さん」

不意に紡がれた言葉に、エンデヴァーの思考が止まった。

「……に、会いたい」

「……そうか」

短く呟いた彼の脳裏に、自身の家族の姿が去来する。

俺を見ていてくれ。

それは、象徴を失い恐怖に沈む市民への誓い。
そして、これまで蔑ろにし続けてきた家族への贖罪の証。

「約束する」

二つの意味を背負ったあの日の宣言が、熱を持って胸に蘇る。

「必ず、君を父親の元へ送り届ける」

それは自分自身への誓いでもあった。
エンデヴァーは、目の前の小さな少女に、真っ直ぐな視線でそう告げた。



【エンデヴァー@僕のヒーローアカデミア】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×1~3、エリシュデータ@ソードアートオンライン、HK VP70@バイオハザード RE:2(両方ともフリードの支給品)
[思考・状況]
基本方針:殺し合いを止め、ベリアルを倒す。
1:異形型の個性の少女(リーニエ)を保護する。
2:フリードには後で誤解を解く。
[備考]
※参戦時期は九州でのハイエンド戦以降。


【フリード・セルゼン@ハイスクールD×D】
[状態]:気絶
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0~1
[思考・状況]
基本方針:好き勝手にやるざんす。
1:気絶。
2:あの悪魔(リーニエ)は絶対ぶっ殺す。
3:エンデヴァーもぶっ殺す。
[備考]
※参戦時期は兵藤一誠との初戦闘以降。



【支給品紹介】

【エリシュデータ@ソードアートオンライン】
フリードに支給。
アインクラッド第50層のフロアボスからLAボーナスとしてドロップした魔剣クラスの片手用直剣。

【HK VP70@バイオハザード RE:2】
フリードに支給。
レオンの初期装備。




リュグナー様、父上って何?

なんだろうね。


(リュグナー様の真似をしたけど、効果覿面だな)

エンデヴァーの憶測は外れていた。この少女は異形型の個性でもなければ、フリードの言うような悪魔でもない。
魔族だった。
断頭台のアウラの配下リーニエは、最初殺し合いに乗るつもりだった。だがすぐさまエンデヴァーを一目見て、それを断念する。
あれは強い。強すぎる。
横の神父もそこそこ強いが、それ以上にあのエンデヴァーという男は桁違いに強い。
昔見た、最強の戦士にも比肩する。
戦っても絶対に勝てない。
リーニエは、迂闊に飛び出したのを後悔しながら、どうすべきか逡巡していると、神父とエンデヴァーが言い争ってくれた。
だから、その後に試しにリュグナーの真似をしてみた。
リュグナーはよく、父親という言葉を使って、人間の同情を誘っている。
試してみる価値はあるはずだ。

(しばらくは、この人間に何とかしてもらおう)

そして、リーニエからすると何故か良く分からないが、お父さんという言葉はエンデヴァーにクリティカルヒットしたらしい。

(お父さん……便利な言葉)

リュグナーに感謝しながら、リーニエは無表情の下でほくそ笑んだ。


【リーニエ@葬送のフリーレン】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×1~3
[思考・状況]
基本方針:生き残る。
1:守ってくれそうなのでエンデヴァーを利用する。
[備考]
※参戦時期はグラナト卿との対面直後。
最終更新:2026年03月22日 20:59