そこでは、嵐が巻き起こっていた。
強風と雨が回転するように吹き荒れていた。
風は大地を抉り、木を掘り起こし、岩を砕き、上空へと巻き上げていた。
それらにこの殺し合いの舞台に存在するNPC…モンスター達も巻き込まれていく。
風に乗って空へと舞い上がり、同じく飛ばされて高速でぶつかってくる木々や岩等に、体を磨り潰されていく。
彼らはひたすら、この嵐の中心を目指そうとしていた。
NPCとして配置された彼らの役目は、とにかく殺し合いの参加者となった者達に襲いかかることだ。
この舞台は命懸けで戦わなければいけないこと、それを自覚させることだけが役割の存在だ。
だから彼らは、この時間だけ自分たちが狙うべき参加者の方へと向かっていた。
『ギイイイイィィ』
『グアアアアァァァ』
しかし彼らはなす術無く、嵐に巻き込まれてその命を散らせていた。
無謀な突撃を繰り返し、数を減らしていった。
「無様ですわね~!もう諦めた方がよろしいんじゃなくって!?」
嵐の中心で、彼らを嘲笑う【魔女】がいた。
まさしく台風の目と言える無風の場所で、その魔女はふわふわと浮いていた。
彼女は緑を基調とした、まさに令嬢と言えるような服装をしている。
髪は美しい金髪で、背丈は少し小さめの少女だ。
しかしその容姿は、普通の人間とはかけ離れたところがあった。
一番に目を引くのは、顔の右半分程が黒ずんでいることだ。
顔については、大きくひび割れているように見える箇所もある。
手・腕もまた黒く変色して怪物然としており、爪は鋭く伸びている。
彼女の名は遠野ハンナ。
元はただちょっと浮く魔法を扱えるだけの少女だった。
しかし今の彼女は、伝承の中の化物のような【魔女】と化していた。
「あははははははっ!みんな死ね!死ね!死にやがれですわ~!!」
ハンナは笑いながら下で死んでいくNPC達を見下ろす。
命を弄ぶ、残酷な魔女の姿がそこにあった。
けれどもこれは、本来の遠野ハンナの姿ではない。
知らぬ者達には信じられないだろうが、本来の彼女はとても優しい女の子だった。
少なくとも、自分の友人達のために全員分の人形を作ってあげる程度には。
もっともここにいる彼女は、それをするまでの時間にたどり着けなかった可能性の遠野ハンナであるが。
彼女がいた世界において、魔法を扱える少女達は、いずれ人に災厄をもたらす魔女になると言われている。
原因は、魔女因子と呼ばれるもの。
少女達はストレスを受けることで魔女因子が活性化し、魔法の力を発現する。
そして更に大きなストレスを受けたりすると、その肉体は不死身の化物【魔女】へと変貌する。
そうして魔女化した少女には、殺人衝動が現れる。
たとえ元がどれ程の人格者であったか等は関係無い。
問答無用で、周りに危害を及ぼす存在となってしまう。
ここにいる遠野ハンナは、早い段階でそうなってしまった可能性の時間から来たものだった。
「大丈夫ですわ大丈夫ですわ!もう置き去りにはしませんから!先に私(わたくし)がぶっ殺してさしあげますから~!」
ハンナは嵐の中心でそう叫ぶ。
ここに来る直前、彼女は心の中の『禁忌』…トラウマを刺激される出来事があった。
それによる多大な絶望・ストレスにより、彼女の魔女因子が急速に活性化し、魔女化した。
それまでは高くても数十センチしか浮けなかった浮遊の魔法も、今では数十メートル以上も浮けるようになっている。
もっとも今のところは、飛行高度は十数メートル程だが。
「『あの子』やシェリーさんみたいに置き去りになんてしませんわ!エマさんやレイアさんみたいに先にあの世に連れていってあげますから!」
叫びながらハンナは周囲の嵐の勢いを加速させる。
魔女化し、殺人衝動に飲み込まれた彼女は、もう誰であろうとその命を奪おうとしている。
殺し合いに巻き込まれたからどうかは関係無く、殺意に従って全てを破壊しようとしていた。
「ええ、ええ!この力があればそれもできますわ!みんなみんな、ぶっ潰してあげますわー!!」
遠野ハンナが持つ魔法は、浮遊の魔法だけだ。
嵐を起こす魔法なんて持ってない。
彼女が嵐を起こせているのは、この殺し合いの参加者となって初めて手に入れたものだった。
ハンナにこの能力を与えたのは、一枚のDISCだった。
ウェザー・リポート、スタンド能力と呼ばれるものの一種の力が宿ったDISCだ。
ウェザー・リポートの能力は、天候操作。
気象に関することならば、ほぼ何でもできると言っても過言ではないとても強力な能力だ。
ハンナはこのDISCを自身の額から挿入した。
これにより、その能力を扱えるようになった。
ただし、ウェザー・リポートの全ての能力が発揮できるようになった訳ではない。
彼女ができるようになったのは、今もやっている嵐を引き起こすことだけだ。
魔女化による殺人衝動に支配された精神を反映しているのか、ただ破壊的な使い方しかできないようになっていた。
「あはっ、あはははははっ、あはははははははははっ!!!」
今の彼女にとってはそれで十分だった。
全部壊すことを望む彼女には、そもそも破壊の嵐を吹き荒らすことに以外に能力を使うつもりがなかった。
遠野ハンナは、笑いながら空の上から地上を破壊し続けていた。
その顔は自らが出した大雨により濡れているところもある。
雨の中に混じって、一筋の涙が流れ出たように、一瞬だけ見えた。
【遠野ハンナ@魔法少女ノ魔女裁判】
[状態]:魔女化、殺人衝動、暴走、地上から15mくらいを浮遊中、ウェザー・リポートの能力で嵐を巻き起こしている
[装備]:ウェザー・リポートのスタンドDISC@ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×0~2
[思考]:全員ぶっ殺してさしあげますわ~!!
1:この嵐の能力で全部ぶっ壊してやりますわ~!
2:この嵐に向かって来るモンスター達(NPC)は無様ですわね~!
[備考]
※いわゆる井戸エンドで桜羽エマを落下死させた後からの参戦です。
※ウェザー・リポートの能力は、現在は自分の周囲に嵐を起こすことにしか使えません。
「支給品紹介」
【ウェザー・リポートのスタンドDISC@ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン】
ウェザー・リポートから抜き取られたスタンドDISC。
頭に挿入すれば天候操作の能力であるウェザー・リポートのスタンド能力が扱えるようになる。
ただし、本来の持ち主でも無い限り、その能力を十全に発揮できるかどうかは使用者次第である。
最終更新:2026年02月01日 21:47