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「あーはっはっはっは!!」

守るべき人間に見捨てられた絶望は光の届かない深海のように深く
果てしなく愚かな人間に刺すべき憎悪は
噴火を繰り返し万物を焼き溶かす溶岩のようにぐつぐつと煮えたぎっていた。

「何が殺し合いだ…どのみちすべては滅びさるのだ!この私の絶望と憎悪によって!」

堕天を遂げて神の創造した理に背き
万物を憎悪の火炎でまさに焦がさんとする者はエルギオスという堕天使。

その外見で元天使と見抜ける者は限られるだろう。
毒々しい猛毒のような深緑の体表。

頭部には光輪ではなく猛牛を彷彿とさせる大角。

眼球のような紋様が刻まれた禍々しい翼。

遥か天空に住まう天使というよりは
地獄の底より這い上がった悪魔にしか見えない
邪悪な感情に染まり上がった魔の権化であった。

ベリアルとかいう人間、あるいは己とかわらない堕天使に近い存在か。
命じられる魔でもなくエルギオスはこの天に浮かぶ大陸に呼び込まれた
あらゆる命を蹂躙しようともくろむ。
この世の全存在の滅亡させるのが唯一の野望にして
今を生きる理由だ。

他の参加者を殺し尽くし、優勝した褒美の願いで島の外にいるすべてを滅ぼし、
最後にはベリアルをも始末してくれる。

「私をこの天空に呼び起こしたのは正解だったなベリアルよ…。」

憎悪をまき散らしひたすら死を呼び込むのが存在意義のエルギオスは
この殺し合いにふさわしい人材というわけだ。

罪、存在そのものがあらゆる生命の償いきれぬ大罪である。

存在そのものが罪である人間たちを蹴散らし、
すべてを裁くためには
創造神がこの世に顕在させた万物を残さず破壊し尽くす。

絶望と憎悪を至上とする堕の化身が
数え切れぬほどの災厄を森羅万象に刻み込もうとしていた。

「そのお言葉…殺し合いに乗っていると捉えても良いのかな?」

物陰からエルギオスの呪詛を耳にするは白銀の騎士。
馬面どころか馬そのものの頭部に槍。
ハドラー親衛騎団の1人にして疾風のナイトの異名を有するシグマである。

「ほう…恐怖も警戒も知らない脆弱な魔物如きがのこのこと何用だ?」

「訂正してもらいたい、恐怖も警戒も私は知っている。」

この天に浮遊する大陸に誘われる以前。
好敵手のアバンの使徒ポップによって引導を渡された。
まさに誰にも見劣りしない知恵と策と勇気の持ち主だった。
回復呪文を利用したそのタフネスはさながらゾンビのようであり
対峙するものを戦慄させ、機転を織り交ぜた策略は訪れる危機を乗り越える。

シグマにとって短くも太い生涯において、
最も恐怖と感心を生じさせたのがポップとの決戦なのだ。

この戦いを経たならば、恐怖も警戒も知らないとは言えまい。

「貴様から迸る殺意と憎しみ…。
どうしてそこまでの恨みつらみに憑りつかれているのかは知らん。」

この魔物が溢れる怨恨の念は尋常ではない。
煮えたぎり生きるもの全てに死をもたらそうとする、
まさに滅亡という概念がそのまま生命となったような危険すぎる魔物であった。

「だが君が何をするくらいかは察しが嫌でもつく。」

この荒れ狂う憎悪を前にすれば誰もが
厳戒を解かず、武器を構えるであろう。

「ぬぅん!」

支給された槍と盾を構えたのと同時にエルギオスは空高く飛び上がり、
急降下をして激突にかかる。

主催のベリアルによって送られた槍こと
聖竜のえんげつとうを構えて飛び降りをガードする。

(ベリアルに渡された武器に頼るのは不本意だが…なんという槍だ。)

以前に装備していたオリハルコン製の疾風の槍すらも超えているかもしれない槍であった。聖竜のえんげつとうは元の世界では最高峰に至るほどの槍であり、
これを凌ぐほどの破壊力を秘めた槍はわずかにしか存在しない。

本気の膂力でとっしんされてもこのえんげつとうには
傷一つつかず壊れて使い物にならなくなる気配が少なくとも今は一切なかった。

受け止めた槍でエルギオスを押し返し、名乗る。互いに名前を伝え合ってはいなかった。

「我が名はシグマ!誇りと気高き魂を
分け与えてくださったハドラーに使えるナイトなりっ!」

「今より死にゆく者の名などはどうでもいい!」

名乗り返すどころか、どうでもいいとまるで興味を持たれなかった。
とにかくこの魔物は少しでも早く怒りと憎しみを
他者にぶつけることしか頭にないのだろう。

「どうでもいいとは心外だな。しかしよかろう沸る殺意を私に刻んで見せろ!」

ひたすら黒く燃える戦意を望み通りぶちかましたいのなら今ここで受け止めてくれる
そしてベリアルの狙い通りに虐殺を重ねるであろうこの魔物を葬るべきだ。

ベリアルによって始まった殺し合いを滞りなく行うためには
あらゆるものに死を与えんとするような憎しみは欠かせない。
おそらくこの浮かぶ大陸には荒ぶる殺意を携え
話の通じない参加者たちも数えきれないほど召喚されているはず。

シグマの目的はこの殺し合いを止めて脱出し、
主君のハドラー様の元に帰ること。
しかしそのハドラー様の命も長くはない。
肉体に繋ぎ止めたあった黒の核が外れた影響により
再生力も失われ、命のタイムリミットも著しく縮んでしまった。

おそらくその殺し合いが終わる前には力尽きるかもしれない。
アバンの使途たちと最後の決着をつけるために
ごくわずかとなった生命を最後まで燃やし尽くすと誓ったため
今はダイとの決戦を迎えているはず。

しかしシグマはまだ生きている。ハドラー様が命を失えば、
命が連動しているため親衛騎団は1人残らず命を落としてしまう。
すなわちシグマの生はハドラー様が命を最後まで燃やし尽くし、
勇者ダイとぶつかり合っている証なのだ。

そのため今すぐ、生きることができなくなってもおかしくはない。

しかしその理由でハドラー様と同じ騎士道精神を宿すシグマにとって
殺し合いに抗わない理由になる道理はなかった。
必ずやベリアルの思惑通りには動かず、
命をかけてでもハドラー様と同様に戦い抜いていく。

殺し合いの幕が閉じて、元の世界に生還した時のことはそのときに考えれば良い。
今この悪魔を止めることが最優先だ。

「メラゾーマ!」

堕天使エルギオスの片手から最上級の火炎が呪文よって練り上げられ、
シグマを飲み込むほどのスケールの火球が発射される。

槍でかき消すのでもなく。ただ避けるのでもなく。
単なる仁王立ちで火球を全身で受け止めた。

火球がシグマのオリハルコンの肉体に激突した瞬間、
爆炎が巻き起こり周囲を黒煙と高温度の熱気に満ちていく。

「この程度はまだ朽ちぬだろう。姿を見せてみろ」

直撃はしたもののあれだけで決着がつくと考えるほどエルギオスは楽観的ではない。
思考の内側は憎悪に塗りたくられているが、
最低限の判断力や分析力は問題なく備わっている。

「その通り…ただの呪文でこの身は果てん!」

オリハルコンによって構成される肉体はあらゆる呪文を無力とする。
メドローアのような規格外の呪文でもない限りは通じない。
まさに呪文を主体とする魔法使いにとっては天敵と呼ぶに相応しい脅威。

高音の黒煙は武器を振るうことであっという間に晴れていく。
晴れた後には傷一つないシグマの姿があった。

メタル系のモンスターのようにあらゆる呪文を無力とする体質、
または炎の呪文に極めて強い耐性を持つかのどちらかだろう。
もし、呪文全般に耐性があれば最大の威力を持つマダンテすらも通じない恐れがある。

「カアアァァ!」

ならば呪文は控えるべきだ。こごえるふぶきを初めとした
呪文以外の手段で攻め落とせば良い。

こおりつく息を凌ぐ低音のふぶきが周囲を冷え固めていく。
低音のブレスがシグマを凍らせるべく襲いかかる。

「これも迎え撃つとしよう!イオナズン!」

イオ系列の呪文でトップの破壊力と広範囲を巻き込む極大爆裂呪文。
槍を地に突き刺し、両手を開けて、左右の掌に呪文のエネルギーを高めていく。

掌同士を合わせて両手をふぶきが襲ってくる方角へ突きのばす!

大爆発を引き起こす光線はふぶきを触れた瞬間とほぼ同時に拡散させていく。
散っていく吹雪はシグマには届かず、イオナズンの前には無力であった。

エルギオスの顔面にイオナズンのエネルギー波が直撃して、
たった一度だが、呪文の類とは関わりのない素人ですら
一目で理解できるほどの大爆発が引き起こる。
爆風が大気を飛ばし、シグマにも爆風が飛び掛かるも微動だにすることはなかった。

「これで始末がつくようなことはないだろう…。」

渾身の極大呪文が真っ正面から決まったが、
たかが一発で終わったと考えることはない。
まだまだ高威力の技を、イオナズンやライトニングバスターを
何度も叩き込まない限り悪魔は倒れないだろう。

「予想通りだ。」

爆発が巻き起こした煙はエルギオスが両の翼を靡かせて、霧散する。
表情は苛立ちに歪み、殺意が根付いた眼光がシグマをまっすぐに見据えている。

「さすがの粘り強さだ。我が渾身のイオナズンを受けたにも
関わらず目を張るほどの余力が宿っているではないか…」

おそらくイオナズンを何十発も当てなければ倒れる兆しすらも見せないのではないか?
本気で勝ちを狙えば長期戦を迎えるのは確実と思えるくらいの持久力が
堕天使エルギオスには宿っていた。

この殺し合いを進める猛者にはふさわしい体力と認めるべきだ。
通常の魔物や人間の領域から遠く離れた事件に位置する怪物だから
そんなは当人も当たり前と思っていることだろう。

「これ以上遊んでやる意味もない!
貴様もすでに飽きているばずだろうがこれで終いとしよう!」

再度、エルギオスは上空に飛び上がりシグマを狙って突進していく。
先ほど同じく全身の膂力と落下の速度を合わせてぶつかっていく気のようだ。

刺した槍を手に握り、再度構えて迎え撃つ。

天高くに座するエルギオスは狙いを定めて降下していく。

最上級の槍でまた防ぐ。この程度の衝撃であればいくらでも堪えることが可能。

しかしエルギオスが空中から放った突進の後は
両手足による目にも止まらない超高速の連打を向けてきた。

「確かに膂力も上澄みなのだろう!
単純なパワーでは私を超越している!
だが連撃の速度が私のガードを超えることができるかな!?」

打撃の一つ一つからはシグマを凌ぐ攻撃力があるのは確かだ。
これがもし武器なしであればなすすべなく
攻撃を刻まれていたかもしれない。
だが今のシグマは聖竜のえんげつとうを装備している。

これがあれば超速の乱撃でもガードするのは可能、それでも容易とはまでいかない、
超スピードの打撃の乱れ打ちはこちらも相応の速度を保たねばならず、
一つずつの一撃に対応するには極度の集中力を求められるため
楽な作業とはならない。
が、それさえどうにかできれば確実に凌げる。

これは懸念点だがシグマ自身には打点のバリエーションが不足している。
通常の攻撃、イオナズン、ライトニングバスター。
これらを何度も叩き込まねばエルギオスは倒れない。
いずれはジリ貧に追い込まれてこちらが倒れるのも時間の問題。

相手はまだ手札を隠している恐れもあるのだ。
未知の手札に応じきれず倒れるか、体力の差で倒れるか。
二つの負け筋が見えてくるも敗走する要因はその二つでもなかった。

「…消えた!?」

一瞬にしてエルギオスの姿がまるで空気に隠れるかのように
スライドしながら素早く身を消していく。

シグマがエルギオスの消失を確認したほぼ直後に、
どこに隠れたと周囲を見渡す暇もなく、
エルギオスは再びシグマの目の前に出現し、
左の拳で腹部を狙いシグマにとっての痛恨の一撃を直撃させた。

第三の負け筋は不意を突き、無防備な状況を好機として放つ痛恨の一撃。

「おおおおおおおおぉぉおぉおお!!」

苦悶の咆哮が腹の底から響き渡り、後方へ向けて、発射された砲弾の如く飛んでいく。
幸いにも致命傷には至らず一撃必殺とはならなかったが
これ以上の戦闘続行は避けたほうが賢明だろう。
命を失うことを惜しまないことは正しいが、己を命を無下に扱う愚策への肯定とは異なる。

「不覚!しかしまだ死に絶えるわけにはいかぬ…。」

飛ばされている最中にトベルーラを発動することで戦線から撤退する。
優れた武器を与えられて油断したか。それともこちらの力量の不足か。

いずれにせよ、今のシグマでは
天使から堕ちて絶望と憎悪を是とするエルギオスを超えるには難しすぎた。


【シグマ@ドラゴンクエスト ダイの大冒険】
[状態]:ダメージ(大)、トベルーラ中。
[装備]:聖竜のえんげつとう
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×1~2、
[思考・状況]
基本方針:殺し合いを止め、ハドラー様のもとへ帰還する。
1:殺し合いを否定する他の参加者との合流を目指す
2:あの魔物(エルギオス)は他の者と協力しない限り撃破は難しいだろう。
[備考]
※参戦時期は死亡後です。

※トベルーラでどこに撤退したのかは採用された場合に後続の書き手様にお任せします。

[支給品解説]
聖竜のえんげつとう@ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて

漢字で表記すれば聖竜の偃月刀
最上級の攻撃力と攻撃時に体力を25%回復させる効果を持つきわめて強力な槍。
外見は槍というよりも薙刀に近い。

▫️

馬面の騎士を追いかけはしなかった。
あの程度の獲物1人に専念して時間をかけるよりは
他の参戦者を探して周り、殺戮を繰り返した方がマシだ。

多くの命を憎悪の炎で焼き払い、絶望という深淵に沈めるのが野望なのだ。
たった一人に無駄な時間をかける意味はない。

「忘れはせぬ…私を裏切り捨てた人間ども…
愚かき創造神がこの世に送り出した全ての存在を生かしてはならぬ…。」

ナザム村で表向きには心地の良い言葉を吐き散らかした挙句、
ガナン帝国に売った人間も、その人間を守る無意味な守護天使、
それらを世界に生み出した神すらも終わらない憎しみの対象である。

この吹き荒れ続ける負の感情を拭い去れるのは1人しかいない。

だが、それができる1人はこの天空には存在していない。

すなわち堕天使エルギオスの絶望と憎悪はその邪心に塗れた命を絶たない限り、
終焉を迎えることは誰にもできない所業。

殺すか殺されるかの結末以外は誰も用意することが
不可能なのは誰にとっても明らかであった。

【堕天使エルギオス@ドラゴンクエストIX 星空の守り人】
[状態]:第二形態、ダメージ(極小)
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×1~3、
[思考・状況]
基本方針:絶望と憎悪のままに、すべての存在を根絶やしにする。
1:ほかの参加者を見つけ次第滅ぼす。
2:あのシグマとかいう騎士は次に会えば殺す。
[備考]
※参戦時期は主人公に敗れて第2形態になった以降から。
最終更新:2026年03月23日 09:35