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重い打撃音を残し、男の体が空高く打ち上げられる。
 奇声をあげて突っ込んできた三人が、硬い物が割れる音を残し、自地面と水平に飛んで行った。
 状況を説明するならば、無数の男達が四人の男を囲い攻めにしているという状態。
 四人の男は互いに背を向け合い、死角を作らない様にして、品行方正とはまるで無縁の野蛮人の如き周囲の無法者達へ対抗していた。
 如何に四人が互いにフォローしあっても、戦いは数だよ兄貴という某中将の言葉にある様に、戦いに於いては数は最も重要なファクターである。
 個人の質や、連携など、数の前には意味を為さない。通常ならば。
 その意味で、囲まれている四人は、常人では有り得なかった。
 精妙な連携と、常人離れした身体能力で、群がる無法者達を、凄まじい速度で減らして行く。
 漸く自分達の数が激減した事に気付いた無法者達が、喚き散らしながら逃げ散ると、四人は漸く息を吐いた。

 「それにしても……何だあの男は!?」

 「ベリアルといったな…クロコダイルの部下か!?」

 四人の男達は“ツメゲリ部隊”。偉大なる航路(グランドライン)に存在する、砂漠の王国アラバスタのエリート部隊。
 国民の間にも顔と勇明を知られる精鋭集団である。

 「あの爆発する首輪は、天竜人の……」

 「まさかこの件、天竜人が……」

 ベリアルと名乗る男に挑み、死んだ女性。
 その死因となった爆発する首輪に、四人は心当たりが有った。
 アレは、天竜人が奴隷に嵌める首輪では無いのか?
 この世の神でる天竜人が、この一件に関わっているとなると、ベリアルと名乗った男に対する反逆は、アラバスタ王国へと無限の災禍となって降り掛かりかねない。
 四人の表情が暗く沈むが、此処は殺し合いの舞台である。悠長に物思いに耽る暇など有る筈が無く。

 近づいて来る気配を察し、一斉に気配の方へと視線を向けたのは、四人がエリートである証だった。

 若い男だった。
 高貴なものに仕える者が着るようなスーツに身を包み、漆黒の鞘に納まった剣を持って、穏やかな空気を纏いながら、でツメゲリ部隊へと近づいて来る。
 歩く姿は優雅ですらあり、見る者に警戒心を抱かせない。相手がツメゲリ部隊でなければ。
 四人は近づいて来る男から、尋常ならざる気配を感じ取り、瞬時に臨戦態勢に移行する。

 「何者だ」

 「そこで止まれ」

 「これは警告だ」

 「それ以上近づくと攻撃する」

 四人の練達の武人から次々と放たれる声。只ならぬ武威が伝わる声が四つともなれば、常人ならば歩みを止めるだろう。現に男の歩みは静止した。否。

 「HUUUUUUUUU!!!」

 男の顔が一変する。美形といっても誰も異を唱えない顔立ちが、獣人の如き顔貌へと激変した。
 変わったのは顔だけでは無い。下半身が四足獣のものへと変化し、巨大な翼が出現した。
 手に持った禍々しいオーラを放つ漆黒の剣と合わさって、その姿は悪魔と呼ぶに相応しい。

 「「「「悪魔の実!!!!」」」」

 ツメゲリ部隊が揃って思い浮かべるのは“悪魔の実”。食した者に超常の力を与える不思議の果実。
 その中でも、動物(ゾオン)系と呼ばれる系統の実を食した能力者を、ツメゲリ部隊は想起した。

 「〜〜〜〜〜〜ッッッ!!」

 人型を保つ上半身の胸の部分で、小人の様な存在が、言葉にならない奇声を発した。
 急激に膨れ上がる殺意に、ツメゲリ部隊が身構え。

 “妖精合体リズミー”

 異形と化した男の体が、禍々しい光を放つ。

 “アジタート ドライブ!!!!”

 刹那の間も経たぬうちに、四つの首が宙を舞った。
 ツメゲリ部隊ともあろう者達が、反応どころか視認すら出来なかった、高速突撃。
 首を失った四つの身体が、鈍い音を立てて地面へと倒れ込んだ

 「HUUUUUUUUU」

 異形は逃げ散った無法者達を求めて視線を巡らせる。
 その背後で異変が生じた。
 倒れたツメゲリ部隊の身体。真紅の鮮血を噴き出す傷口が、瞬時にどす黒く変色し、噴き出していた血が止まる。
 大気が震え、四つの傷口から白い霞が噴き出し、異形の持つ漆黒の剣の鍔元にある、猫科の動物の眼を思わせる真紅の宝玉へと吸い込まれて行く。
 もしもこの場に誰かが居合わせたのならば、ツメゲリ部隊の死体から立ち昇った霞が、ツメゲリ部隊の顔を持っている事に気づき、戦慄しただろう。
 大気を震わせるものは、恐怖と苦痛を叫ぶ声だと気付いただろう。
 ツメゲリ部隊の霊魂が、異形の手にした漆黒の剣に喰われている。

 ガシャン。

 紅玉がツメゲリ部隊の魂を吸い込むと、貝殻を思わせる金属板が紅玉を覆う。まるで喰らった魂を逃さぬとでも言いたげに。

 「…………」

 剣が食事を終えた事を確認すると、異形は翼を広げて飛翔する。
 逃げ散った無法者達が殺され尽くすのは、少し先の事だった。

 異形の名はフェカッチオ、嘗て第23勇者と呼ばれた人類の希望。
 魔王ディーガナザルに敗北し、悪魔の工房で改造されたフェカッチオは、最早一体の魔物でしかなかった。


【ツメゲリ部隊@ONE PIECE 全滅】

【キメラ勇者フェカッチオ@バーサス】
[状態]:健康
[装備]: 魂喰らい(ソウル・イーター)@バスタード–暗黒の破壊神–
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×0〜2
[思考]:皆殺し


支給品紹介
魂喰らい(ソウル・イーター)@バスタード–暗黒の破壊神–

漆黒の剣身の大剣。斬られると傷口が黒く変色し、傷口が塞がらなくなり、傷口から生命力を死ぬまで剣に吸われ続ける。
この剣に吸われる生命力の流れから、魂喰らいで傷ついた者の位置を把握する事が出来る。
魂喰らいを振り抜く事で、剣風と魂喰らいの魔力を合わせて放つ“飛ぶ斬撃”。黒い断頭台(ギロチン・スラッガー)が必殺技。
剣に蓄えた魔力を消費する事で、持ち主に向けられた攻撃魔法を80%の確率で完全に無効化する。


NPC紹介
無法者@バーサス

終末戦争後の荒廃した世界で、品行方正とはまるで無縁の野蛮人達が練り歩く“無法界”の住人。人類の天敵。
ヒャッハーと鳴くが種族名はモヒカンでは無く“無法者”である
同じく人類の天敵である“マダラー星人”曰く。「ただの地球人」
最終更新:2026年02月02日 10:41