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 シルクハットにスーツを纏ったイギリス人が、手に包丁を携えて空の島にある川辺を歩いている。
 彼の名前はマイケル・オストログ。
 かつてイギリスを騒がせた五人の娼婦殺し、世界初の劇場型犯罪を起こしたとされるジャック・ザ・リッパーその人である。
 そしてジャック・ザ・リッパーとして世間を騒がせた後、日本に密入国し娼婦を幾人を殺した後監獄に収監。
 その後脱獄し、札幌でかつての自分が起こした事件を模倣するも、最期には同じ監獄に収監されていた囚人に頭を踏みつぶされて死んだ。
 はずだが、彼は今もここに立っている。

 マイケルはこの状況を神の試練だと判断した。
 最初に現れたベリアルは、キリスト教を知る者なら聖書に登場する悪魔だとすぐに分かる。
 だとすればここは地獄。地獄には罪人しかいない。
 ならば己以外の罪人を全て殺して罪を禊ぎ、悪魔を殺して、罪人のいない世界を作るのだ。

「そう、娼婦などという罪人のいない世界を作らねばなりません」
「全くだ。あんな夜遅くまで遊ぶ堕落した女は皆殺さないといけないな」

 そしてマイケルの隣にはもう一人、彼と同じく包丁を携え、彼に同調した男がいる。
 彼の名前はジャック・ザ・リパー。マイケルとは別の世界で、彼と同じく娼婦を殺している男である。
 本来、このジャックはディオという吸血鬼と出会い、しもべのゾンビとなる運命を背負っていたが、何の因果かその前にこの殺し合いに呼ばれていた。

 二人は出会ってすぐに意気投合した。
 同じジャック・ザ・リッパー同士か、女への殺意か、ともかく二人は手を組んだ。
 無論、願いを叶えられるのが最後の一人である以上、いつかは殺しあわねばならない定め。
 だがそれまでは手を組めると、気の合う心強いパートナー足りえると、二人は判断した。
 しかし――

 ブッシャアアアアァァァァァァァ!!

 次の瞬間、ジャックの首と胴体は切り離され、辺りに血の噴水をまき散らし、命を落としていた。
 代わりに現れたのは、宝石が入ったナイフを持った、銀髪の小柄な少女。
 丈の短いノースリーブの黒のジャケットに、紐と見まがうほど細いパンツを纏ったその様は、マイケルが見てきたどの娼婦よりも淫猥な恰好と思わずにはいられない。

「こんな子供の罪人までいるとは……」

 マイケルは嘆かわしく呟く。
 とはいえ油断はしない。何やら凄まじい胆力の持ち主なのは間違いない。
 もしかしたら人間ではないのでは、という思いすら湧いてくる。
 だが負けはしない。
 なぜなら自分は処女から生まれた神の子。

「断じてあんな女の子供では――」

 マイケルは何かを言おうとするも、それは続かない。
 なぜなら、彼の体は既に切り裂かれているからだ。
 もし日本人か、日本食に詳しい者が見たら、今の彼の様をまるで魚の開きのようだと思うかもしれない。
 こうしてマイケル・オストログはまたも命を落とした。


【マイケル・オストログ@ゴールデンカムイ 死亡】
【ジャック・ザ・リパー@ジョジョの奇妙な冒険 死亡】


 あっという間に二人のジャック・ザ・リッパーを下したこの少女もまた、別の世界のジャック・ザ・リッパー。
 正しくは、正体不明のジャック・ザ・リッパーの正体は水子の霊の集合体、という可能性が抽出されたサーヴァントである。

 サーヴァントとは、とある世界群で行われる願望器、聖杯をかけて戦う魔術儀式『聖杯戦争』において使用される、過去存在した英霊を魔術師が使い魔として召喚するものである。
 ある世界では聖杯戦争だけでなく、人理を守る為にも召喚されているようだが、今の彼女には関係ない。
 このジャック・ザ・リッパーは人理など知らず、願いを求めて殺し合いに参加するのだ。

 彼女の願いは母親の胎内に帰ること。
 生まれられなかった彼女は、生まれた後など知らぬゆえに生まれる前の安息を追い求める。

 とはいえ疑問もある。
 サーヴァントは本来、召喚した魔術師がいるはずである。しかしジャックはそれらしい者を見ていない。
 また、召喚主でなくともよいが、魔力を持つ誰かが供給していないと現界できないはずである。
 しかし彼女は疑問に思えど、それを深く掘り下げる程の考えはない。
 彼女はこれを特殊な形式の聖杯戦争だと判断し、それよりも自身に必要な魔力を手に入れる方法を求める。

 だが実のところ、ジャックは現状でそこまで焦ってはいなかった。
 まず支給品の中に自身の魔力を増加させる腕輪があったのでそれをつけられたこと。
 次に、参加者二人を殺しその心臓をえぐり出して食べることで、魔力の補充ができる。
 なので彼女はさっき殺した別の世界のジャック・ザ・リッパー二人の心臓をえぐり出し、ついでに何かの役に立つかもしれないのでデイパックを持っていこうとする。
 しかし、マイケルのデイパックは手に入ったが、殺したジャックのデイパックは襲撃した際の衝撃で川に落ちて流されてしまったらしく、ここにはない。
 それを追いかける気にもなれず、彼女はマイケルのデイパックと二人の心臓を手にこの場を去る。

 水子の集まりは母を求めて殺し合いを突き進む。
 だが最後の一人に待つのは母ではなく、星の民に従う獣。
 獣が彼女にもたらすものは安寧か。それとも他の何かか。


【ジャック・ザ・リッパー(アサシン)@Fateシリーズ】
[状態]:健康
[装備]:パプニカのナイフ『太陽』@ドラゴンクエスト ダイの大冒険、ようせいのうでわ+3@ドラゴンクエスト11
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×0~1、マイケル・オストログとジャック・ザ・リッパーの心臓、
     マイケル・オストログのデイパック(基本支給品一式、不明支給品×0~2)
[思考]:優勝狙い。願いで母親の胎内に帰る
1:この二人(マイケル・オストログ&ジャック・ザ・リパー)の心臓で魔力を補給する
2:魔力を回復できる支給品が欲しい
[備考]
※この殺し合いを特殊な形式の聖杯戦争だと思っています。




 二人のジャック・ザ・リッパーが死んだ川辺から更に川下を、一人の老紳士が歩いている。
 彼の名前を知る者は数少なく、ならば呼び名となればいくつかある。
 その中で一番名の通ったものは、またもジャック・ザ・リッパーである。
 とは言っても、当人ではないが。
 彼の世界の本物のジャック・ザ・リッパーは、彼の手にかかり死亡している。
 だが何の因果か、というか便利だからか戒めか、彼はジャック・ザ・リッパーを名乗ることもあるのだ。

 そして彼もまた、本物と同じく殺人鬼である。
 彼の右目は人の感情を色で見ることができる特別なもので、彼はこの目で人間が恐怖という黒一色に染まる様を見ることを好む。
 ならば、彼もまた快楽のために殺し合いに乗るのだろうか。

「ああ……」

 ジャックはこれから起こりうる光景を想像し興奮する。
 ただでさえ人が死ぬこの殺し合いの場で、彼が望むものなどいくらでも見れるだろう。
 ならば、彼は恐怖で染まる誰かを拝むため、無秩序に参加者に手をかけていくのだろうか。
 ――否!

「ベリアルさん……あなたが恐怖という純粋な色に染まる様が見たいですね……」

 ジャックがターゲットに選んだのは、主催者として目の前に現れたベリアルだった。
 ベリアルが聖書に出てくる悪魔であることは、このジャックも知っている。
 あの青年は本物の悪魔なのだろうか。
 もしそうなら果たして悪魔とは、どのように染まるのだろうか。
 人間と同じなのか、それとも全く違うのか。
 ジャックは興味と興奮が抑えきれなかった。

 だがそう容易くはいかないことも、ジャックには分かっている。
 まず最初の壁は、参加者の首に掛けられた首輪だ。外さねばベリアルにたどり着くことはできないだろう。
 しかし彼には、首輪を外す技術など持ち合わせていない。

「じゃあ、適当に首輪を手に入れて、外せる人に渡してあげましょう」

 なのでジャックは技術を持つ者を探して、サンプルを渡すことにした。
 自身にはできないことは人にしてもらう。社会の基本である。
 とはいえ彼は殺人鬼だが、誰彼構わず殺すタイプではない。
 彼が殺したいのは嫉妬、憤怒、嫌悪、傲慢、侮蔑と言ったどこまでも薄汚い感情の持ち主。
 なので殺し合いに乗った者なら遠慮はしないが、殺し合いに乗っていない相手を殺したいとは思わなかった。

「……おや?」

 などと考えていると、川上からデイパックが流れてくる。
 ジャックはそれを、実は手に持っていた支給品、どこかの世界では幾人かの勇者が持っていたとされるフックショットを伸ばして取る。

「ふむ」

 ジャックは手に取ったデイパックを見ながら考える。
 デイパックがあるということは、参加者もいるのだろう。
 うっかりで落としたのか敵に渡すまいと流したのか、とにかく誰かいるのは間違いない。
 ならば手がかりなどないのだ。とりあえず会いに行くとしよう。

 こうしてジャック・ザ・リッパーを名乗る誰かは進む。
 ところで、この彼は未だ愛を知らない。
 人から神となった大英雄の、嘘偽りない大いなる愛を受けていない。
 これが意味するところは、絶望なのか希望なのか。
 それを知るすべなど、神すらも持ち合わせておらず。


【ジャック・ザ・リッパー@終末のワルキューレ】
[状態]:健康
[装備]:フックショット@ゼルダの伝説シリーズ
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×0~2(確認済み)、ジャック・ザ・リパーのデイパック(基本支給品一式、不明支給品×0~2)
[思考]:ベリアルが恐怖に染まる瞬間が見たい
1:川上にいるだろう参加者を探しに行く。
2:首輪を外す方法を探す。ひとまずは参加者の首輪を手に入れたい
3:そういえば私、何と名乗りましょうか?
[備考]
※参戦時期は少なくとも神vs人類最終闘争(ラグナロク)第4回戦開始より前です。
 生前かどうかは当選した場合、次の書き手氏にお任せします。


※マイケル・オストログ、ジャック・ザ・リッパー@ジョジョの奇妙な冒険 の遺体
 禅院直哉を刺した包丁@呪術廻戦、西園寺世界の包丁@School Days(アニメ版) が会場のどこかで放置されています。


【禅院直哉を刺した包丁@呪術廻戦】
マイケル・オストログに支給。
真希と真依の母が禅院直哉を刺した包丁。多分ただの包丁。

【西園寺世界の包丁@School Days(アニメ版)】
ジャック・ザ・リパーに支給。
アニメ版School Days最終話で西園寺世界が伊藤誠を刺した包丁。多分ただの包丁。

【パプニカのナイフ『太陽』@ドラゴンクエスト ダイの大冒険】
ジャック・ザ・リッパー(アサシン)に支給。
青い刀身に、鍔に美しい宝玉が填め込まれた短剣。パプニカ王国より産出される特別な銀製で造られた王家の武器。
『太陽』は赤い宝玉が埋め込まれている。

【ようせいのうでわ+3@ドラゴンクエスト11】
ジャック・ザ・リッパー(アサシン)に支給。
装備するとMPが40増える腕輪。
このロワでは装備すると魔力、もしくはそれに準ずるものが一定数増加する。

【フックショット@ゼルダの伝説シリーズ】
ジャック・ザ・リッパーに支給。
先端にアンカー、後ろには持ち手がついた武器。使用すると鎖が伸びてアンカーを刺す。
刺した後、刺した先が軽いものなら使い手を引き寄せ、重ければ逆に使い手が刺した先に移動ができる。
最終更新:2026年02月08日 13:08