狡猾にして狡知、創生の世への反逆を望む堕天司が奏でし部隊、殺し合いの空島。
巻き込まれた者に拒絶の余地はなし。生き残るか、殺されるか。
例えそれで巻き込まれたのが、年端のいかぬ小僧だとしても。
「ま、マジかよぉぉぉっ!?」
そんな、奇想天外仰天動地な出来事に、杜王町に済むジャンケン小僧こと大柳賢は悲鳴を上げた。
殺し合い、そう、殺し合いである。漫画でよくある「最後の一人になるまで(ry」的なやつである。
余談であるがバトル・ロワイアル原作小説の発行日は1999年4月21日、これはそこまで重要なことではない。
「いやいやいや、殺し合いって何でだよ!? この俺がそんなことされる覚えなんてないはずだぞ!」
確かに世間で良い子と言われるような人間ではないのは自覚している。
実際、つい最近までの彼はスタンドという特別な力を手に入れイキがっていたガキではある。
調子に乗ったが上の報いは勿論受けた、と言うか相手が悪かった、完敗だった。
だがあの敗北が無ければ、自分はどうなっていたか。
「変化していない」自分がここに来ていたのなら、無謀を履き違えた結末など等に分かりきっている。
「⋯⋯そーいやアイテムとか入ってるんだっけこの袋。お母さんが子供の遠足に詰めるお弁当箱みたいに」
そんな不安を振り払うように、バッグの中身を手探り。
出てきたのは小さなマイク。だが、ただのマイクが何の役に立つのかと。
付属されていた説明書を見るに、特殊な武器とのことらしい。
「いやなんでマイクなわけ⋯⋯大声上げて助けを呼べってか? いやでも説明書付いてるなぁ⋯⋯ヘヴィプレッシャーっていうんだこれ」
大地鳴動ヘヴィプレッシャー。マイクの形をした帝具と呼ばれる特殊な武装。
帝国の特殊部隊ワイルドハントに所属していたコスミナなる女性が保有していたものらしい。
「つってもなぁ、俺のど自慢大会とかそういうの自信ねぇんだよなぁ⋯⋯」
声を介して岩も砕く超音波を発する、という代物とのことだが。
年端のいかぬ自分に、まあ確かに叫びには少々自信はあれどそのレベルの大声は何度も出せるかと言われると。
「どうしよっかなぁ〜〜〜⋯⋯ってあれ?」
これからどう動くか、どう生き残るかと考え込もうと思っていたら。
向こう側、というよりもすぐ近くだろうか。
歌が聞こえる。聞こえる方向に顔を向ければ、そこにはカラフルながら可愛らしい衣装を来た少女が。
「♪願わく未来は いいたいことがいっぱいって わたしたちが祝詞込めて⋯⋯」
歌っていた。歌というよりも、自らへの元気付けなのだろうか。
祈りのようにも思えた、その儚くも力強く、前を見て進むような、その歌声を
思わず、その手の歌事情はからっきしである大柳賢もまた、見惚れるようにーー
「綺麗な歌声⋯⋯まるで鈴木あみの『BE TOGETHER』とか、モーニング娘の子がソロライブやってるとか、そんな感じの歌だぁ〜〜〜」
「♪⋯⋯誰!? ⋯⋯男の子?」
「あっ」
思わず出た声が、歌を遮って少女に気付かれるきっかけとなるまで。
☆
「ほぇ〜〜〜。巫女サマなんだぁ、アイドルみたいな格好してるし、やってることほぼアイドルじゃん。モーニング娘みたいって思ってたけど本当にモーニング娘っていうか」
「モーニング娘っていうのがよく分からいんだけど⋯⋯褒められてるなら、それは嬉しいかな」
大柳賢は先程の彼女ーーショチトル島の巫女ディアンサの話を、聞き耳半分ぐらいで大体理解した、ということにした。
曰く、星晶獣ショチトルとかいうのに感謝を伝える儀式をしているとのこと。
ただやってることが聞く限りほぼアイドルのライブ、イクニアとかいう信奉者がもろアイドルの追っかけファン。
本当に、やっていることがアイドルと何ら変わりはない。
「実際すごいと俺は思うよ。ほら、センターって言ったら一番目立つ場所じゃん。学校で言ったら演奏会とかでで一位取って表彰台に登る時とか、すっごく緊張するよね。多分そういう感じだよね」
「ま、まあ緊張する時は緊張する、よね⋯⋯うん」
現代日本特有の例え方に、等のディアンサは困惑気味。
現代日本と空の世界、共通常識にズレが生じているのだから、それはそれで当たり前。
時たま空の世界とは別の世界の住人がやってくる時があるらしいが、ディアンサとしてはそれらには現状縁が無い。
「って、そういや歌って踊れるっていうんだったら、ディアンサお姉さんにこれ似合うんじゃない?」
「いやでも、私はそういう戦うとかそういう感じじゃ⋯⋯」
「いいっていいって、使わなくてもお守り代わりってことでさ! ね!」
「ちょっとあなた、何だか熱くなってない!?」
現役のアイドル、というか巫女ではあるのだが。小学生にはフリフリ可愛らしい衣装の女の子は刺激が強かったのか。
それはそうとて先程のヘヴィプレッシャーをディアンサに贈呈しようと興奮気味。
何とか彼を収めようとディアンサが説得しようとして、彼の手がちゃんと見なければわからない程度に、震えていた。
「⋯⋯怖い?」
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯そう、かもな。ディアンサお姉ちゃんはどうなの?」
言い当てられた感情。思わず、間を開けて聞き返す。
こんな場所に、いつ殺されるかわからない場所で、この先何が起こるのかわからないのが怖く感じるのは当たり前。
大柳賢もそうであり、ディアンサもそうだったのだろうか。
あの歌は、ディアンサ自身への恐怖を紛らわすローテーションだったのだろうか。
「怖くない、って言われたら嘘になっちゃうね」
「だよな、俺だって怖いもん。どんなに力持ってたって、俺はまだ子供だからさ」
「⋯⋯子供だからじゃなくても、普通は当たり前だよ」
怖いことは、当たり前。ディアンサ自身も、そうであるから。
だけど、決意を決めたその時に、死ぬかもしれないなんて頭の隅においやって動いてしまうことがある。
「それでもさ、「やらなきゃ」っていう気持ちから目をそらしちゃダメだって、私は思ってる」
公園で失敗して、イクニアたちが対立して、色んなものが壊れそうになって、リナリアと些細な言葉から仲違いして。失敗を取り戻そうとして、自分が犠牲になっても事態を収拾しようとして。
「勿論それが行き過ぎて、みんなに迷惑かけちゃうことが、かけちゃった事があるけど。⋯⋯結局、私がやれることなんて、歌って踊って、それが届くかどうかだから」
戦う力のないディアンサが出来ることは、それぐらいだけど。
それで誰かに手を伸ばして、支えになれるなら。それでいい。
巫女としても、ディアンサ自身の願いとして。
団長なら、誰かに手を伸ばすというのも思っていることだが。
「せめて私は、自分に恥ずかしくない自分でありたいってことぐらいかな」
「⋯⋯」
強い少女だと、大柳賢は言葉を発する事無く感じた。
彼女なりに自分自身の恐怖を、そんな困難な道行きを乗り越えようとしているのだ。
こんな少女が、こんな歌って踊って、誰か助けることぐらいしかできない彼女であるが。
自分の運命を、自分に恥じない正しい道を歩もうとしているのだから。
「⋯⋯『他人を負かすというのは、そんなに難しいことじゃない』『最も難しいことは、自分を乗り越えること』か」
「それって、どういう⋯⋯?」
「ある捻っくれた漫画家からの受け売りだよ」
今に思えば、あの岸辺露伴の言葉がそういうものだった、と改めて理解できた。
敵を倒すだけなら、このヘヴィプレッシャーなりで倒せる相手もいる。
でも、自分自身の恐怖を、今の自分を乗り越えるというのは、本当に難しい。
そう自分自身というのは簡単には変わってくれない、変われないもの。
「⋯⋯よし。ええっと⋯⋯そういや名前なんて決めてなかったな⋯⋯ーー『ボーイ・II・マン』!」
「ええっ!? 星晶獣を召喚、した⋯⋯!?」
この時、初めてこの場所で大柳賢はスタンドを出現させた。ちゃんとした名前を付けて。
某鉄人にも似た鋼鉄ボディのスタンド。
スタンドの概念を知らぬディアンサからしたら、星晶獣と勘違いしてもおかしくない。
「星晶獣じゃなくて、ス・タ・ン・ド。と言っても直接戦う為にはちいっとばかり順序が必要になっちゃうんだよなぁこれが」
なぜスタンド使いでもないディアンサにスタンドが見えているのかは正直どうでもいい所であるが。
この殺し合いという恐怖を乗り越えるために決意表明、そのためにまだ名前を付けてすらいなかった己のスタンドに、名前をつけた。
「スタンド⋯⋯それが、あなたの力なのね」
「ボーイ・Ⅱ・マン。じゃんけん五回勝負で相手に3回じゃんけんで勝てばその相手のスタンドを奪える。でもなんだか、スタンド以外にも通用しそうな気がするんだよなぁ〜〜〜なんだか」
じゃんけんで勝つ、という特殊な条件があれど。条件を満たせば相手のスタンドを奪えるローリスクハイリターン。スタンド使いである岸辺露伴にしか試していなかったが、スタンド使い以外でも通用するかも知れない。
少なくとも、何かを乗り越えようと決意した大柳賢には、そんな根拠はないが確固たる自信があった。
「⋯⋯ふふっ、面白いね。ジャンケン勝負っていうのが、何だかクスってなっちゃう」
「でしょ? ジャンケン勝負っていうのがポイントでさ〜〜〜」
「だったらあなたそれを悪いことに使わないように、あなたが無事に元の世界に帰れるように手伝うから」
大柳賢の態度に、ディアンサもまた緊張がほぐれたのか。
じゃんけんという一風変わった過程が必要な力に、笑みがこぼれる程度にはリラックスできた。
まだ、ベリアルという堕天司が何を企んでいるのかわからない。
もしかしたら巻き込まれているかもしれない団長やみんなのことも心配だけど。
それでもこの少年のお陰で少しばかり気持ちが柔らいでくれて。
そんな少年の事を守りたいとも思って。
「だから、一緒に頑張ろうね!」
「そ、そんなディアンサお姉さんにそう言われちゃあ、なんだか照れちゃうなぁ〜〜」
等身大の少年らしいジャンケン小僧に対して、満面の笑みでディアンサは告げた。
【大柳賢(ジャンケン小僧)@ジョジョの奇妙な冒険第四部 ダイヤモンドは砕けない】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×1〜2、大地鳴動ヘヴィプレッシャー@アカメが斬る
[思考]:この殺し合いを何とか乗り越える
1:ディアンサお姉ちゃんといっしょに行動する。やっぱり巫女って言うよりアイドルだよなぁ〜〜〜
2:これからよろしくな!『ボーイ・Ⅱ・マン』
3:今の俺のスタンド、スタンド使い以外にも通用しそうな気がする
4:顔見知りを探⋯⋯でも顔知ってるの露伴先生ぐらいしかいないなぁ
[備考]
※参戦時期は露伴に敗北した以降
※スタンド『ボーイ・Ⅱ・マン』でスタンド使いのスタンド以外の能力も奪えるようになっています
【ディアンサ@グランブルーファンタジー】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×1〜3
[思考]:殺し合いには乗らない。怖いけれど私は私のやれることをする
1:この彼(大柳賢)に元気付けられちゃった。今は彼と一緒に行動しよう
2:団長さんやみんなは無事かな⋯⋯?
[備考]
※参戦時期は土SSR版、フェイトエピソード2の後
※ディアンサの「団長さん」が男性であるか女性であるかは当選後の後続の書き手にお任せします
『支給品紹介』
【大地鳴動ヘヴィプレッシャー@アカメが斬る】
大柳賢に支給。マイク型の、帝具と呼ばれる特殊な能力を持った武装の一つ。
これを介して発された声は超音波となり敵を粉砕する。奥の手は全周囲に特殊音波を飛ばし生物を苦しませ、少しの間行動不能にする「ナスティボイス」。ただし、範囲内に仲間がいると巻き込んでしまう
最終更新:2026年02月04日 22:09