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「面倒なことになったな……」

 黒いコートと帽子を纏った老人が、無感情につぶやく。
 そこにあるのは恐怖でも怒りでも高揚でもなく、ただ言葉の通りの思いしかない。
 彼の名前はシルベストリ。
 一見するとただの老紳士だが、その実彼は人間ではない。
 彼は錬金術師フェイスレスに作られた自動人形。右腕に仕込み刀を持つ、伝説と謳われる凄腕の剣士である。

「帰還のためには仕方ない。優勝を狙うとするか」

 シルベストリは元の世界に帰る為、優勝を狙うことを即座に決定した。
 現状、あのベリアルに生殺与奪を握られている以上、逆らうのは賢い行いではない。
 人形である自分に首輪の爆発が通じるのかという疑問はあるが、まさか私が人形だと知らないはずもないだろう。何らかの対策をしているはずだ、と彼は考えた。
 ならば仕方ない。別段殺戮に高揚する質ではないが、躊躇するタマでもない。
 殺戮の道を選ぶことに、躊躇いなどなかった。
 願いを叶えるという言葉もあったが、それが本当なら主にその権利を献上するとしよう。

 しかし、シルベストリは単独で殺して回るつもりもなかった。
 自分は殺し合いに乗る選択をしたが、必ず殺し合いに乗らず殺し合いの主催を打倒する道を選ぶ人間もいるだろう、と彼は推測していた。
 そしてそれを否定する気も、彼にはなかった。
 なぜなら、普通に考えてあのベリアルは信用に値しないからだ。
 いきなり呼びつけ、武力で無理やりこちらを従えようとする相手など、信じられないのが当たり前。
 優勝したとして元の世界に返す、願いを叶えるという言葉を翻す可能性は十二分にある。
 仮にそれらが本当だとしても、元の世界に帰ってしばらくしてから、面子を代えて新たな殺し合いをはじめ、リピーターとして呼びつける可能性もある。
 だから主催を倒す道を選ぶ参加者を、シルベストリは愚かだとは思わない。

 それはそれとして、帰還できる可能性は現時点だと間違いなく、優勝を狙う方が高いだろう。
 そして主催を倒す道を選ぶ参加者はまず間違いなく、複数人で寄り集まって行動するはずだ。
 並の人間なら何人集まろうと自分の相手にはならない、という程度の自負はあるがこれは殺し合い。
 主が好むゲェムのようなものとするなら、まず間違いなく自分に対抗できる何かがある、と考えるべきだろう。
 ならばこちらもある程度頭数を揃えるべきだ、とシルベストリは結論付けた。

「とりあえずは、参加者を探すとするか」

 殺すにしろ手を組むにしろ、まずは他の参加者を見つけねば話にならない。
 こうしてシルベストリは動き出す。
 全ては元の世界に帰る為に。

 本来の脚本ならシルベストリは才賀勝という少年と戦うことになる。
 そして戦いの果てに彼は心にある疑問の答えと、奥底にある望みに気づき、穏やかに終わりを迎えるはずだった。
 それはこの蒼空の上の島でも訪れるのか。はたまた何も解せず朽ちるのか。
 あるいは何も得ず帰還を果たすのか。

 その脚本を担うものは、この世界にはおらず。


【シルベストリ@からくりサーカス】
[状態]:健康
[装備]:シルベストリの剣@からくりサーカス
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×0~2
[思考]:元の世界に帰還する。
1:今のところは優勝狙い。優勝より確実性があるなら殺し合いに乗らないことも視野にいれる
2:他の参加者を探す。
3:できれば殺し合いに乗っている参加者と手を組みたい
[備考]
※参戦時期は本編登場前です


【シルベストリの剣@からくりサーカス】
シルベストリの元々の装備。支給品枠を一つ消費している。
右腕に偽装された仕込み刀。持ち手の部分は手の形をしている。
最終更新:2026年02月05日 19:29