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いつかの、何度目かの貴方の誕生日に言ったことだ。

目指す未来は、積み重ねた幾つもの今日の先にあるもので。
時には明日を迎えるだけで精一杯で、歩みを止めることもあるけれど。

そんな貴方にそっとその手を引いて差し上げられたと思えれど。
人生は何が起こるか分からないものだから。
決意しようと、約束しようと、必ずという言葉を簡単には口にすることはできない。

千里の道も一歩から。進む時があれば歩みを止めて休む時もある。
得るものもあれば、失うものもある。

だから、貴方には。
団長には、足を止めたいと願った自分自身を責めることがないように。
またいつか、歩き出せば良いのだから。

そんな貴方の歩みに、祝福を送りたいと思った。
そんな貴方だからこそ、私は。



私も、あなたといつまでもーー



そう、思っていたのに。
現実が時にどこまでも残酷なことを、分かっていたはずなのに。





世界が燃えているようにも思えた。
戦争の始まりとも、黙示録の再来とも、この世の終わりとも思える光景。
草木は焼かれた、森は黒く染まり、そこに住む虫たちは一変も残らず消し炭と化した。

生き残っている誰かがいた、青と白を基調とした衣装を身に纏った美しき乙女だった。
歳どうこうは一旦置いといて、少なくとも気品溢れし王女としての品格を併せ持った乙女だった。
流麗な銀髪を三つ編みに結い、炎をも思えるオレンジ色の切れ長の瞳を持った。

だが、その瞳は曇っている。
体中は何者かからの攻撃を受けたかのような傷が目立ち、見るからに負傷していることは素人目からしても明らかなこと。その乙女は、眼の前の2つの黒く焦げた何かの前で、悄然としていたのだから。

「ーーーごめん、なさい」

涙と共に漏れ出す言葉は、謝罪以上に、懺悔の思いが込められていた。
彼女と、彼女が大切に思う二人が。三人がかりでも敵わなかった『絶望』との戦いの、その結末。
二人は彼女を庇い、全身全霊を以て彼女を守り通し、そして死んだ。
それがこの惨状が起こるまでの過程、そしてその結末がここにあった。

「ーーーセルエル。団長、殿⋯⋯」

大切な弟がいた。大切に思えるそんな人がいた。
だけど、もういない。
死んだ。
自分を庇って。

あの『絶望』に何もできず、二人を殺して飽きたかのように去っていったあの『絶望』に。
あの惨劇の後に、何もできず、『絶望』が去る姿を震えて見るしかなかった。その情けなさにも、涙が出た。

「ーー私は、私、は⋯⋯あぁ⋯⋯」

惨憺とした己の無様さに、涙が零れ落ちる。
折れそうな心で、どうにかして立ち直そうとしても。
この足が、立ち上がってくれなかった。
過去を振り返ることがあったとしても、後悔はしないと、そう思っていたはずなのに。
それが、このざまだった。
情けなかった。
自分自身の感情が抑えきれないことに。
あの絶望を前に、何もできなかったことに。

「ーーーあああああああああああっ!!!!」

空を裂くかのように、その嘆きと悲しみは、天にも届くかのようなものだった。
今の、ヘルエスという乙女には、どうにも出来ぬ現実だった。

【グラン@グランブルーファンタジー 死亡】
【セルエル@グランブルーファンタジー 死亡】




それを形容するならば、悪い魔女(ウィキッド)、だろう。
白い髪に、白と黒を基調としたドレス。
荘厳なる雰囲気に、絶対零度の如く冷たき眼差し。
御伽噺より、存在しないはずの物語より顕現せし悪なる女王。
冷たく、ただ静寂に。先の惨劇の光景を実現させたその『絶望』は。
蒼空の果てを見据えるかのように、視線を向けている。
かの最果てに座する、狡知を睨む。

「ーー余計な、真似を」

その一言に込められた感情は、憤怒か、呆れか。もしくは、期待か。
願いを叶えるというのが、虚言か、真実か。
少なくとも、自分を否応なく呼び寄せたという時点で、かの魔術の王に比類する規格外。
ならば、最終生存の景品が願望成就なのはおそらく真実と言って刺し違えない。

「生存競争の次は、殺し合いとは。やることのスケールが変わっただけというわけか」

世界同士の生存競争とは違い、個人個人が己の望みのために殺し合う。
世界の運営どうこうを考えなくてよくなった分気軽ともいえるが、事実そういうわけにはいかない。
魔力の出力が大幅に制限されている。首輪のせいなのは一目瞭然。
そのせいで、あの程度にも手こずらされた。
特に、あの青い服の青年には、余計に魔力も使わされてしまった。
そして、強かった。
だが、今となってはそれ以上でも、それ以下でもない。
それだけでしか、ない。

閑話休題。ではこの女王がこの殺し合いに臨み、望む願いとは何か。
⋯⋯そんなものは、既に消え去ってしまった夢のおわり。
だが、その終わりを、覆すだけの手段が用意されていることを知ったならば。

「⋯⋯あれで、正しく理解させてもらった」

夢物語は必要ない。優しい御伽噺など必要ない。
愛するものの為に『優しさ』を妖精どもに与えたのが間違いだった。
そのせいで信じた忠臣も、救われてほしかったあの娘も。
己の『優しさ』という間違いで。

「⋯⋯あの時から使命などどうでもいいとは思っていたが。今回はそうとは違う」

ここは妖精国ではない。ここは異聞ではない。
ならば支配者という、女王という軛に囚われることはもうない。
妖精にも、人間にも、容赦することはない。
全てを、己の願いただ一つの為に捧げよう。

「ーー貴様の望み通り、願いを叶えるために虐殺の花を咲かしてやろう、無価値の名を冠せし悪魔め。その塵芥ごと、私の野望(りそう)の踏み台として」

支配する必要もない、管理する必要もない。
敵は滅ぼす、利用できる輩は利用する。
余計な慈悲も優しさも必要ない、全ては彼女を救うため。
妖精国ではない、ブリテンでもない、たった一人。彼女のためだけの理想郷(アヴァロン)の為に。
もう大切なものを失うのは、こりごりだ。




ーー其は至天なりて。其は絶望の顕現なりて。
堕ちた救世主、滅びの魔女、妖精妃。
因果応報の最後を以て己の過ちを再度自覚した。
これより全ては愛する者の未来の幸福のため、あらゆる一切を蹂躙する。

其の名、モルガン。
ーー冬の女王モルガン。


【モルガン@Fate/Grand Order】
[状態]:健康、魔力消費(中)
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×1〜3
[思考]:願いを手にする。全ては愛しきパーヴァン・シーの為
1:一切の容赦しない。敵は滅ぼす。利用できるものは利用する。
[備考]
※ブリテン異聞帯でのモルガンです
※参戦時期は退場後
※全体的に出力に制限がかけられています。



「どうして、かまってくれたのですか」
「⋯⋯もし、彼女が同じ様になっていたら、今の貴女と同じようになっていたのが容易に想像できたから、でしょうか」

仲間を失った経験こそあれど、血を分けた家族を失うと言う経験はなかった。
友情以上好意未満と言えるほど、大切に思える誰かを失う経験こそはなかった。
御刀が無い状況で、これからどうしようかと行き悩んでいた折神家親衛隊第ニ席。
此花寿々花が悲しみに崩れ落ちる王女を見つけたのはそんな最中のこと。

話を聞いて、仕方がないと思いながらも、思い返したかつての苦い記憶。
感情的なあちらとちがって、こっちは冷静であれるタイプ。
あんなことがあって、平静でいられるわけがない。それが弟や、それに近しい程に大切に思えるヒトだったなら尚更。
もしも、獅童真希が自分を喪ったのならば、彼女と同じ用に。それ以上に酷い事になっていたのかもしれない。

「少なくとも、貴女が自棄になって暴れるような方でなくてよかったです」
「⋯⋯このような情けない姿を晒して、申し訳ございません」
「私はそんな事気にしませんわ、前にパートナーが勝手していた事がありましたもので」

今の武器が手持ち無沙汰な状態で、相手に暴れられた場合には厄介極まりなかったが。
その相手が大人しく出来る側である人物でホッとはする。
人の預かり知らない所で何処かの誰かさんが勝手に頑張って、勝手に危険なことに足突っ込んでたりよりはマシ。

「なのでまあ、私に出来るのは落ち込んでいる貴女が立ち直るまで隣で寄り添う程度でしょうか。⋯⋯真希さん相手だと叱責なりするですが、流石に見ず知らずの相手にそこまでするのは失礼でしょう」
「⋯⋯⋯寄り添う程度、ですか」
「落ち込んで解決することなんて少ないですが、前に進む為の心の整理ぐらいはできますわ」

寿々花にとって、見ず知らずの誰かに出来ることなんてこれぐらいだろう。
相手の気持を理解して、相手が自分の感情を受け止めきるまで隣でいてあげることだろう。

「⋯⋯⋯それで、十分です」

脳裏で懐古する記憶、いつの日かの団長への誕生日に。
ヘルエスはそれを知っていて、絶望の曇り空に覆われて思い出せなかった。
どうせなら、そうなってしまった団長の隣に寄り添いたかった。
後悔ばかりしていられない、悔やんでばかりなんていられない。
それでも、辛いからこそ、立ち止まってしまった。
だが、ーーもう十分だ。

溢れた涙を拭い、銀の流麗は空に舞い、かつての王女だった彼女は立ち上がる。
腫れた目尻が過ぎ去った後悔の証、それでも前を向いていかなくては。

「大丈夫、ですの?」
「⋯⋯ええ、ご心配をおかけしました。この醜態は貴女を手伝い、元凶を打ち倒すことで取り返すと致しましょう」

未だ壊れていなかった、転がっていた己の槍を拾い上げる。
クリスタルルーン、海の思い出が浮び上り、拭った涙が一滴だけこぼれ落ちる。
だが、それもまた決意と覚悟の証であり、彼女の再起の表明。

「⋯⋯此花寿々花、ですわ。いつまでも貴女と呼ばれるのも少し思うところがありますので」
「スズカ、ですか。いい名前です。ーーアイルスト王国元第一王女ヘルエス。改めてよろしくお願いします、スズカ」
「こちらこそ頼らせてもらいますわ、ヘルエス」

王女は大切なものを再び喪い、そして再び起き上がる。
瞳の曇りは、既に晴れていた。




【ヘルエス@グランブルーファンタジー】
[状態]:負傷(中)、悲しみ(中)、新たなる決意
[装備]:クリスタルルーン@グランブルーファンタジー
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×1〜2
[思考]:元凶を倒し、殺し合いを止める。
1:ーー後悔するのはここまで。
2:これからよろしくお願いします、スズカ
[備考]
※参戦時期は風SSRフェイトエピソード2後

【此花寿々花@刀使ノ巫女】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×1〜3
[思考]:刀使として、殺し合いに抗う
1:ヘルエスと共に行動する
2:なんとか御刀を探す。このままだと無防備でヘルエスに頼りっぱなしになってしまう
[備考]
参戦時期は最終回後

『支給品紹介』
【クリスタルルーン@グランブルーファンタジー】
ヘルエスに支給。水着時のヘルエス自身が使っていた槍。
その身にこの世の希望を宿す槍。民の為、国の為に己の力を奮う英雄は、クリスタルの恩恵を受けて、光差す未来を切り拓く。
光属性キャラの連続攻撃確率上昇及び、光属性キャラのHPの少ないほど攻撃力を上昇させるスキルを持つ。
最終更新:2026年02月07日 00:05