「俺が転生しなかった先の未来の住人……でいいのか? サンラクは」
「どうなんだろうな」
殺し合いの会場である空の島の一角で、二人の少年が話をしている。
一人は顔立ちの整った金髪の少年で、手には一本の刀を持つ。
彼の名前は三条橙色。周りからはヒイロと呼ばれる、普通とはちょっと言えない少年である。
なぜなら彼は転生者だからだ。
いつどう死んだのかは自身も覚えていないが、彼は気づいたらやりこんでいた百合ゲー『Everything for the Score』通称エスコの、百合に挟まる男の三条橙色に憑依していた。
それから彼は死なないように自分を鍛えつつも、メインキャラの百合を眺めたいと思いながら色々行動していたが、どうなったかはここでは省略する。
対するもう一人は更に特異だ。
上半身裸で下には短パンなうえに、肌が露出している部分には何やら入れ墨のようなもの。
おまけに頭にはハシビロコウのマスクを被り、両手にはハリセンを持っている。
彼の名前はサンラク。とある世界にあるVRMMO『シャングリラ・フロンティア』通称シャンフロをプレイする、一介のプレイヤーである。
正直一介のプレイヤーというにはいささか特異なルートを進んではいるが、それでも一介のプレイヤーであることには変わらない。
勿論サンラクは本名ではない。だが何の因果かベリアルの策謀か、彼はシャンフロのアバターでここに立っている。
よって彼の表記はこの殺し合いの間はサンラクである。
二人の出会いは酷くシンプルなものだ。
最初、ヒイロはサンラクを見つけた時、ベリアルが語るところの魔物かと思い構えるも、すぐに付けられている首輪を見つけたことと、サンラクがマスクを取ったことで参加者だと分からせることで穏便に合流を果たしたのだ。
それからとりあえず二人は情報交換するが、その結果はお互いにとって意外な物だった。
「まさか生きてて転生者なんて存在にリアルで会うとは思わなかったぞ」
「そりゃ思わねえよな。
まあ知ってるゲーム世界でまだ良かったよ。知らない女尊男卑世界だったらどうしようもなかったし」
「俺、クソゲーハンターだから知ってるゲーム世界ほど転生したくないんだが」
「それは知らねえよ!」
サンラクからすれば、異世界転生者なんてファンタジーなものが現実に存在し、出会うなど思いもよらなかった。
これだけで今の現状が異常事態だと察知できる。
もしかしたらシャンフロ世界にも異世界転生者がいるかもしれないが、こんな趣味の悪いユニークシナリオを、事前に警告もなしに始めてプレイヤーを巻き込むようなことはないだろう。
「しかしサンラクの世界だとVRゲームが当たり前なんだよな。
だったら、百合ゲーってどうなるんだ?」
一方、ヒイロはサンラクの世界のゲーム事情が気になっていた。
三条橙色、正確に言うなら彼に憑依した男は、重度の百合厨である。
古今東西あらゆる百合作品を網羅し、女の子が二人隣り合っていれば百通りの関係性を妄想し、百合を愛し守ることが己のすべてと豪語する男である。
もしそんな彼が何かの間違いか、少女たちが女の子同士の恋愛ではなく彼を取り合うハーレムラブコメを巻き起こしてしまうのなら、彼はなんとかしてヒロインの好感度を下げようとし、最悪の場合百合に挟まる男にならぬよう、己の死すら覚悟するだろう。
「百合ゲーってあれだよな? 確か、女の子同士が恋愛するギャルゲー」
「まあ必ずしもギャルゲーってわけじゃないけど、大体そんな感じ」
「うーん、ピザ留学のせいで恋愛自体がトラウマなところあるから、あんまりそういうのはなあ」
しかしサンラクの返事は芳しくない。
彼はその昔、ラブ・クロックというやたらフラグ分岐が細かく、秒単位の時間管理でミスをするとヒロインの好感度が下がり、なぜかピザ修行の為留学するバッドエンドを迎えるゲームがトラウマになっている節がある。
その為フラグ・好感度管理事態が若干トラウマなうえ、恋愛に疎くなってしまっていた。
なので恋愛ゲームのことを問われても困ってしまう。
しかしヒイロは別の捉え方をした。
「まさか未来だと百合は廃れたってのか!?
少年少女の誰もが本当は愛している筈の百合作品は、時の流れに消えるというのか!?」
「知らん知らん知らん!! 今のお前ディスプロより怖えよ!!」
サンラクの返答に思わず掴みかかって問い詰めてしまうヒイロ。
その勢いにサンラクはビビり散らかすも、落ち着ける方法がないためなんとかいなすしかできない。
やがてヒイロは落ち着き、というか答えが出ないので諦め、代わりに違う質問をする。
「クソッ、気になって仕方ねえけどしょうがない。
代わりに聞くけど、お前の支給品の中に丸い珠が付いた刀が支給されてないか?
俺の世界の魔導触媒器(マジックデバイス)なんだが、こいつがないとエスコの人間は魔法使えないんだよ。
まあ刀は支給されてたから戦えなくはないけど、やっぱ自分のがあった方がいいしさ」
「武器に装備付けないとスキル使えないのか。でも俺の支給品にそんな感じのはなかったぞ。
ちなみに俺も自分の武器は支給されてなかったな。代わりに何かやたら強いハリセンがあったけど」
ヒイロとしては自分の武器が欲しかったが、ないものは仕方ない。
サンラクとしてもそれは同様だが、今の手持ちでも戦えなくはない。
なので二人は決意する。
「今この島の中にあるかもしれない、あるいは生まれるかもしれない百合を守る為に、俺は殺し合いを止める!!」
「いや、それはお前だけだろ」
サンラクとしても殺し合いをどうにか止めることに異論はないが、理由に関してはツッコミを入れるのだった。
【サンラク@シャングリラ・フロンティア~クソゲーハンター、神ゲーに挑まんとす~(アニメ版)】
[状態]:健康
[装備]:ハリセン@テイルズオブシンフォニア
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×0~2(確認済み)
[思考]:殺し合いはしない
1:ヒイロと行動する
2:知り合いがいるなら合流する
3:転生者って本当にいるのか……
[備考]
※参戦時期は少なくともウェザエモン戦終了以降です。
【三条橙色@男子禁制ゲーム世界で俺がやるべき唯一のこと(漫画版)】
[状態]:健康
[装備]:天の叢雲@ファイナルファンタジーシリーズ
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×0~2(確認済み)
[思考]:百合を守る為に殺し合いを止める。
1:サンラクと行動する
2:できれば俺の魔導触媒器(マジックデバイス)が欲しい
3:未来の百合ゲーってどうなってんだろうな……
【ハリセン@テイルズオブシンフォニア】
サンラクに支給。
装備すると斬り攻撃力850、突き攻撃力750、命中30、幸運20上がる双剣。
外見はふざけているが、シナリオ終盤のイベントで手に入る武器とタメを張れるレベルに強い。
【天の叢雲@ファイナルファンタジーシリーズ】
三条橙色に支給。
初出はFF5。その後のシリーズでも登場する刀。
強さはまちまちだが、おおよそ強武器として扱われる。
本ロワでも業物の刀として扱われている。
最終更新:2026年02月08日 13:11