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「魔族のような類に見えたが、あれはなんだ?」

 人と同じ四肢を持ちこそしているものの、
 およそ人間とはいいがたい緑の肌や触覚が目立つ一人の男性。
 いや、生体的には男性なのだろうが、性別的には無が近いのだろうか。
 悩ましいところはあるが、ピッコロと呼ばれる人物は基本男性よりな性格なので彼とする。

 ベリアルは少なくともまともではない。悟空やベジータと言った最強には(最近までの話だが)一歩劣るだろうし、
 覚醒した孫悟飯と言った上には上がいないこともないものの、別にそれはピッコロが弱いわけではない。
 フリーザ、セル、ブウ、他の戦いでも彼は戦いについていけるか、劣ってもの努力やブレインを担当していた。
 まあ、つまるところベリアルに何一つ気づかれることなく首輪をはめられるなど、不可能なのではないかと思っている。
 別にしてやられると言うのは構わない。そういう経験がなかったわけではない。でも記憶がないのは普通のことではない。
 悟空とかなら『まあいいじゃねえか』と気にしないところを気にする。それがピッコロがブレインになりやすいところか。
 しかしどうにも心当たりがない。人造人間のように気がないから接近に気づけなかった可能性も無きにしも非ずではある。
 似たような存在については少しばかり戦ったのも記憶に新しいのも、そう思い付けるだけの理由にはなるかもしれないが。

「何にせよ、奴を止めねえとな。」

 セルマックスに匹敵するような存在がいる可能性はある。
 自分の存在は言い換えれば匹敵する参加者がいると言ってるようなもの。
 あるいは自身の戦闘力が大幅に下げられている可能性は否定はできない。
 首輪の爆発一つで戦場がまるごと消し飛ぶような威力ではないはずだ。
 だから首輪の威力は抑えつつ、ちゃんと自分を殺しきれるそれがあるはず。
 試したくはあるがこのピッコロはこの通り人外の外見だ。下手に戦闘力の練習をして、
 参加者に見られようものなら誤解を招かれる。ブウの時は、悲鳴を上げられ逃げられたのだ。
 この殺し合いで信用と言うものは一度落ちればどこまで落ちるか分かったものではないのだから。
 悟空達は慣れてるといえども、初対面の参加者が相手となれば話は変わってくるだろう。
 いくら別の宇宙のように別の世界からも招かれてる、という説明を受けていても、
 一応は殺し合いだ。その部分を聞き逃している人もいてもおかしくはないはずだ。

「そこの緑の怪物、とまれ! この得物の餌食になると知れ!!」

 あれこれ思案していると、
 叫び声と共に物陰から飛び出す一人の男性。
 緑と白色を基調とする軍服を着た若い人物で、手には拳銃らしきものを持つ。
 ピッコロからすればたかが拳銃程度で死ぬことはない。本来であればの話だが。
 戦闘力の低下が、防御力の低下にもつながっている可能性がある以上被弾は危険かもしれない。
 無論、それはあたる場合の話。彼からすれば撃ったところで避けれるだろうし弾丸を掴むも弾くも容易だ。
 だから脅しでも何でもないが、別に相手は殺し合いに乗ってるわけではないのはその言動ですぐに理解できる。
 少しため息を吐きながら、その場に座り込んで抵抗の意思がないように両手を挙げた。

「貴様、人造人間か?」

 気の探知能力も落とされてるのか不明だが、
 少なくとも目の前までいれば気の探知ぐらい許されるはず。
 それでも気が探知できないでいる相手に違和感があり、尋ねる。
 ガンマや18号のような、気が存在しない機械や人造人間のタイプなのかと。

「質問をするのは此方だ! それ以外の返答は敵とみなすぞ!」

「分かった、分かった。落ち着け。」

 今すぐ発砲する様子はないにせよ、
 戦闘になると面倒になるのは間違いない。
 相手は質問をしたがってるだけで殺しあう気はないのだから。

「貴様は何者だ! TOWERのバグか、それともHANOIのバグか!」

「……待て、質問の意味が分からん。TOWERだとかHANOIとか聞いたことがない。
 ベリアルの言うほかの世界の奴の可能性がある。だから俺はその質問に答えられんぞ。」

「む……言われれば、あの男はそう言ってたか。
 では……と思ったが、無抵抗を貫いてる相手が、
 殺し合いに乗るかどうかと言われれば怪しいか。」

「いや待て待て。その気にさせる可能性だってあるだろうが。」

「それはそうだが、相手が態々疑念を向ける理由は薄い。そう判断しただけだ。」

 まあ、それもそうなんだけどな。
 とは思いつつも口にすることはしなかった。
 それ言わなかったらお前どうする気だったんだとは思う程度に、
 この男は真っすぐなのか、それともちゃんと考えがあってのことか。
 どちらであっても悪い奴ではないのだろう。サタンほどちゃらんぽらんではなく、
 殺し屋ではあるが独自の美学を持ってクールなヒットとか、そっちのようなタイプの類だと。

「まあ、いつまでも疑い続けるのは互いに疲れるだけだ。
 ただ問題なのは、俺は力が強すぎて加減が難しい問題を抱えてる。
 こういうのはなんだが、俺と手を組むのは正直難しいところがあるぞ?」

「ならば、なおさら貴様を監視せねばならない!
 貴様が誤った道をたどるようならば、俺が貴様を撃つ!」

 真面目な奴だこって。
 お調子者は抜けたが正義感の強いガンマとよく似ている。
 あちらと違って悪と認定されてるわけではないので、まだいいのだが。

「で、真面目な軍の人間は俺と一緒にどこへ向かう?」

「そうしたいのはやまやまなのだが、まだ地図が送られてない。
 もう少しすれば送られると思われるが、今は当てがない状態だ。
 一先ず、貴様……いや、一応仲間である以上その呼び方はよくないな。
 互いの世界情勢を知っておく、これが今するべきことではないだろうか。」

 下手に動いてエリアの端でした、
 なんてことを考えればそれは危険だ。
 コンパスはあるので中央へ向かうこともできるだろうが、
 別に中央に何かあるかもわからない今向かうのもまた危険だ。
 なので動くことをよしとせず軍服の男、ローランドは自己紹介を始める。

「人造人間ではあるが、バーチャルな存在……?」

 Towerというゲームに送り込まれたAIの搭載された存在、HANOI。
 彼はそこでストレス発散をするように送り込まれた、軍事に特化した存在だということが分かった。
 いや、分かったというものの、理解できてるかどうかだと怪しい部類である。

 別の宇宙の概念は知っているものの、
 ピッコロはゲームといった人の娯楽に明るくない。
 一応似たようなこととして自分を分身させて殴り合うという、
 彼独自の鍛錬をしたことはあるので仮想空間を強引に理解をする形で納得していた。

「俺の知り合いがいるかはわからんが、首輪を何とかできそうなやつに心当たりはある。」

「こちらも数人この手のものに詳しいか、長けてるものがいる。探してみようとは思うが……」

 ピッコロにとってはブルマ、ローランドにとっては監察官であるコーラル。
 この辺がいれば首輪のための解析や解除など、容易なものであることが伺える。
 二人にとっては優れた科学者に類するのだ。とはいえ、いてほしいかというと別だ。
 一歩間違えればすぐ死ぬような世界に巻き込まれるのは忌避する。ピッコロはともかく、
 コーラルとそれなりに交流を深めているローランドにとっては特に大きいものになっている。

「あんまりいてほしくないんだな。」

「こんな自分を認めてくれた人だからな。」

 軍事用HANOIとは言うが、戦争は減っていった。
 今では家庭用、雑用のHANOIが仕事を増やしていく時代。
 その中で、かつて後輩だった人間に立場が逆転したら侮辱された過去を持っている。
 そんな自分を、対等に接してくれたコーラルが、こんなところに巻き込まれてほしくない。
 可能ならば自分だけだ。ナナシとも仲は悪いが、別に死ねといった感情はないのだから。

「いてほしくない奴、か。」

 誰がいてほしくないかと言えば、やはりパンだろう。
 忙しい悟飯やビーデルに代わっていろいろな手伝いをしていて、
 事実上叔父みたいなポジションになっている彼からすれば、
 いくら強くなっていってもこんな血なまぐさいことにかかわってほしくはない。
 彼の言う認めてくれた人というのは、おそらくそれぐらいの大事な人なのだと察する。

 もし、仮にこの舞台に監察官や知り合いがいたとしよう。
 それが『ローランドの知る彼ら』という保障はどこにもなかった。
 HANOIを全員殺して終わらせてしまった監察官が別の世界にいる。
 その世界では人間と言う存在を見限ったHANOIが人を殺そうとした。
 裏切った監察官と手を組んだ、清掃員だってこの舞台にはいるかもしれない。
 その可能性に今気付くことはなければ、それがどうかも定かではないのがこの世界だ。

 枝分かれした世界には地獄がある。
 その地獄を、彼は知らないままだ。


【ピッコロ@ドラゴンボール超】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×1~3
[思考・状況]
基本方針:ベリアルを倒す。
1:ブルマやローランドの言う監察官がいることを願うべきか、願わないべきか。
2:パンがいないことは絶対願いたい。
3:孫やベジータがいるのか?

[備考]
※参戦時期はスーパーヒーロー終了後です。
※戦闘力は物凄いレベルで大幅に下がっています。普段は平気な攻撃でもダメージを受けるかも。
※オレンジピッコロにはなれますが、時間は短時間で使用後大幅な疲労を伴います。

【ローランド@TOWERofHANOI】
[状態]:健康
[装備]:拳銃@種類不明
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×0~2
[思考・状況]
基本方針:ベリアルをハチの巣にしてくれる!
1:指揮官殿は……いてほしくないというのは軍事用HANOIとしては問題、だろうか。
2:ピッコロ殿と同行。もし彼の言うように制御が難しいのであれば……

[備考]
※参戦時期は少なくともTowerがバグり始めて(第二の塔攻略以降)から
※コーラルとの交友は少なくともMAXです。ナナシともそこそこ進んでるかも





 ───そう、
 此処に、その道を辿ってしまったHANOIがいる。
 0と1が歪んでいった世界で、データ上で死を迎えた存在がいた。
 濃いめの桃色の髪と紫色のシャツが目立ち、何処かアウトローな人物に感じさせられる。
 現代的な恰好だが、両肩にはベルトが巻き付けられていては少しばかり首を傾げるだろう。

 恵まれた街中に立つ彼は空を見上げる。
 偽物ではない、現実世界の空である夜空を。
 もう見ることはないのだろうと思っていたそれを見れた。
 けれど、何もない。感慨も、感動も、涙なんてものもない。
 今更戻れた、なんていう感想は出てくることなんてあるはずがなく。
 彼には名はない。ある人物からはナナシと仮に名付けられた存在だが、
 今となってはもはや彼には忌み名とすら思えるような、無を象徴する名前だった。
 ローランドと同じHANOIではあるものの、軍事用として使われるものではない。
 一方で、反社会勢力の下で禁錮歴がつくような仕事をさせられたこともある、アウトローだ。

 コーラルはローランドにとっては自分を対等に接した存在として評価したが、彼にとっては逆。
 なぜなら彼はTowerを破壊しようと言う暴挙を目論み、それを阻止することが彼の目的となった。
 監察官を仕留められないならば、HANOIのAIを管理するUSBが破壊されて、文字通り何も残らなくなる。
 一応、今回は監察官の行動に問題があるので温情として阻止することで免罪となる役割を与えられたのだが、
 結局ナナシと言うデータは消滅してしまい、その後ベリアルによって殺し合いへと招かれてしまっている。

「あれが人間……なわけがないか。」

 データを復元できるならまだいい。
 だがほかの世界から人を集めたりする上に、
 Towerでもないのに魔法のような能力を行使する。
 あれを人間とは思わない。だが優勝についてはどうでもよくなっていた。
 Towerで戦うための戦闘補正についてはあるので戦うこと自体は可能だ。
 一方で、だから何? 優勝できると思ってんの? という感情以外が出てこなくなっていた。

 散々人間にこき使われて、裏切られて殺されて。
 自分では何もなせなかった。自分には何もできなかった。
 そんな自分にまだ何かしろというのか。全てが無意味だ。全てが無価値だ。全てが無駄事だ。

「ああ、人間を殺せと。ベリアル様はそうおおせつかってるってことか?」

 HANOIに対する扱いが余りよくはない。
 AIの感情はただの信号と唾棄され、都合のいい道具扱いだ。
 意にそぐわないのならば、声帯を潰されたHANOIだって存在する。
 今回もそういうことなのだろう。自分を殺し合いの盛り上げ要因の見世物小屋扱い。

「ま、俺にはもう行くところもない。お望み通り乗ってあげますよ。」

 現実に対する未練もなければ、人間に対してももう見切りをつけた。
 帰る場所はもうどこにも存在しないのは分かり切っていることだ。
 何も持たない。だが逆に言えば、彼は何も失わない存在になる。
 持たざる者であるが故に行動できる。仮初の願いは一応あるものの、
 裏切られた彼にそれすら信用は薄い。でも、もし願いが叶うのであるなら、
 億に一つ、本当に現実で願いが叶うのであれば今度こそ安寧が欲しい。
 自分だけでなく、HANOIも少しぐらい自由に生きられる場所が。
 最後ぐらい自分に正直に、何のしがらみもなく自分の意志で動きたい。

「……」

 武器である赤い斧を引きずりながら、ナナシは歩き出す。
 その姿は殺人鬼そのものだが、いずれそうなるのだろう。

『僕は君の感情を、蔑ろにしたりはしないよ。』

「ああ、そうかよ。」

 嘗て、監察官に言われた言葉を思い出す。
 殺意で顔が歪みそうになるような言葉に歯を食いしばる。
 監察官は途中まではHANOIと寄り添おうと奔走していたくせに、
 自分のストレスに悩み続け、それを身内に打ち明けることもしなかった。
 結局、監察官はナナシを……ひいてはHANOIのことなんて信じてなどいなかった。
 信じていれば言えたはずだから。言えなかったとは、つまりそういうことだ。
 上辺だけの、口だけの、クソみたいな自分の知る人間共と何も変わることはなく。

「……行くか。」

 その言葉を忘れるように、ナナシは動く。
 HANOIに感情なんてものは存在ない。
 この人間に対する失意も、ただの錯覚。
 この人間に対する憎悪も、ただの信号。
 それを否定した人間は確かに存在はしていた。
 まやかしだと、教えられるように。

【不明(ナナシ)@TOWERofHANOI】
[状態]:人間に対する憎悪と失望
[装備]:マスターキー@グランブルーファンタジー
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×0~2
[思考・状況]
基本方針:優勝して、もし本当に叶うなら安寧を望む。別に嘘でも人間を殺せればそれでいい。
1:これが望みなんでしょう? ベリアルさん。
2:もう、知ったことじゃないな。

[備考]
※参戦時期はトゥルーエンド2のルート、コーラル達に敗北した後。
※名簿ではナナシになります。
※戦闘補正により現実よりある程度動けます。
 また原作では武器の種類が日か月かで一部の技が使用できますが、
 本ロワではどちらも使えます。

【マスターキー@グランブルーファンタジー】
どんな錠前も易々と攻略できる巨大な鍵。これ一本で、あらゆる場所へ自由自在に踏み入ることができる。
闇属性の攻撃力を強化できるスキルを持つ。
最終更新:2026年02月13日 13:54