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木枯らしのような、風に吹かれれば飛んでいってしまうような男だった。
まるで死神に憑かれているような、そういう雰囲気が似合う男だった。
生きているのか死んでいるのかと、問われれば間違いなく生きているのだろう。
だからこそ、だからこそ彼はまるで死に場所を探し求めるように彷徨う巡礼者のようなものでもあった。
死に損なった、そんな残骸のような男だった。

「⋯⋯飲むか?」
「⋯⋯」

そんな男に、缶コーヒーが一本渡された。
何の考えもなく受け取って、蓋を開け、飲み込む。
苦い味だった、自分の過去のような、そんな味だった。
コーヒーを渡したのも、また別の男。

「⋯⋯死んだはずだった」
「⋯⋯そうか」

その言葉に、誰もが違和感を抱かなかった。
何せ、缶コーヒーを渡した男もまた、死んだはずの人間だったから。
そして枯れた男は、死んで生き返った人間だった。
数多の罪を犯し、その罰を受け、死んだはずの人間だった。

「⋯⋯たくさん悪い事をした、たくさん人を殺した。せめて最後は、友人の手で見送られたはずだったんだがな」
「辛い役目を押し付けられたようだな、その友は」
「⋯⋯オレが心の何処かで望んでいたことだ。遊星には悪いことをしちまったな」

ネオドミノシティ、荒くれたちが住まう吹き溜まりのサテライトにて大暴れした四人の決闘者の集団。
チーム・サティスファクション。そのリーダーであった男、鬼柳京介、その残骸。
仲違いからのチームの解散を経て、勘違いからの逆恨みという憎悪、そして絶望の中での死の果てに、闇の力に手を伸ばした。

「⋯⋯怖かったんだ。目的を達成して、何もかも燃え尽きた先に、なにもない事が」
「⋯⋯お前は止まれなかったのか」

男が評した鬼柳京介への言葉は、当たっていた。
サテライトを統一した果てに、自分たちのやることがなくなってしまったその先で。
鬼柳京介というかつての輝きは色褪せて、塵屑同然へと落ちぶれるのが。
クロウ・ホーガンも、ジャック・アトラスも、そして不動遊星も。目的の喪失という恐怖から暴走する自分についていけなくなったから、離れてしまったから。

「俺も、そうだ。お前とは少し違うがな」
「⋯⋯なに?」
「俺は、俺達の独立国(ファミリー)を作りたかった」

鬼柳京介に語りかける男も、あた、罪人だった。
ヤクザに追い詰められる母を救おうとして、逆にそれが母を追い詰める結果になってしまった。
責任を取るように自ら入った少年院にて、運命と出会った。
彼もまた、母を救おうとして、自らの力で母を追い詰めてしまった同類だった。

弱者が弱者であることは罪ではない。
だが、その弱者が弱さ故に苦しむこの世の理不尽を覆すために。
弱者がその弱さで苦しまないように、弱者のための国を作ろうとした。




「⋯⋯だが、そんな俺のやり方に、あいつはついていけなかったんだろうな」

そのために、どんな事もした。
だが、友人だったからこそ止めたかったのか。
変わってしまったものを全てリセットすれば元通りになると思ったのか。
結果がどうであれ入間ケイジは、自分を、物部キョウを裏切った。
母を変えてしまったその責任を、取るために
自分をこんな風に変えてしまったその責任を、取るために。

「お前がどんな罪を犯し、どんな形で償いがっているかは俺は知らん」

本当に難しいのは、過ちを受け入れること。
後悔しても何も戻ってこない。
ならば、引き受けなければならない。
生きることは死ぬことよりも残酷だから。

「せめてお前は、生きて過ちを引き受けろ。望んでいない生こそがお前の罰であるというのなら、その生を今度こそ誰かのために全うしろ。今度は、過ちから逃げるな」

だからこそ、過ちを犯し、過ちを引き受け、過ちの応報を果てに死んだ。
鬼柳京介の過去に共感し、理解できた物部キョウからの、出来うる限りの助言。

「⋯⋯⋯⋯⋯そうか」

そんな見ず知らずの男の言葉なんで、どうでもいいと切り捨てても良かったはずなのに。
それでも聞き逃がせなかったのは、自分と物部キョウは似通っていたからか。
夢を望み、横暴に耐えきれなかった友が離れていって、裏切られたと思い込み、手段を選ばなくなった。
そんな物部キョウが、眩しく感じた。
今の自分には、闇すら眩しいと思ってしまうのに。

「⋯⋯⋯⋯勘違いするな」

遊星たちなら、逃げずに向き合うように言ってきたのだろうか。
そんな感傷に浸りながらも、鬼柳京介は立ち上がった。

「オレはまだ、死に場所を探している。ーーだが、こんなところが俺の死に場所ではない」

まだ考えを全て改めた訳では無い。だが、こんな胸糞悪い場所で死ぬのだけは御免被るとだけ思ったのか。
それでも、立ち上がる理由としては十分だった。

「ーーそうか。だが、今はそれだけで十分だ。その先に『道が開く』ことがあるだろう」
「道を開くか、難しいことだ。だがーー」

遊星なら、と。ほんの少し思ってしまう。
あいつなら、光指す道を切り開くことを、今までやってきたのだろう、と。
それでも、ほんの少しでも前を向けるようになった鬼柳にとっては、それで十分すぎるものだった。











「わ~はっはっはっはっ! 話は終わったか我が下僕、キョウよ。いい加減この東方将軍ツァラトゥストラといえど待ちくたびれたぞ!」

しんみりとした空気を切り裂くかのような、甲高い少女が聞こえたのはその直後のこと。
見るからにコスプレだと丸わかりするような軍服衣装に身を包みながら、攘臂疾言と高らかに。
元気というよりも、どう考えても痛々しい(全く別の意味で)少女が、物部キョウと鬼柳京介の方を向いていた。

「⋯⋯なんだあのガキ」
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯大垣ひなた。まあ見た通りのやつだ、厨二病というのは名称ぐらい知っているだろ」

キョウの何だか疲れたような表情に、この少女がどういう感じのやつなのかは鬼柳京介はすぐさま察した。
名は大垣ひなた。白鈴女子学園一年生の図書委員。そして、生粋の厨二病である。

「ぬ、どうやら新しい下僕を我が前に連れてきてくれたようだな! 天晴だ! やはりキョウを引き込んだ我が目に狂いはなかったということだ!」
「新しい下僕⋯⋯強いて言うなら、死神に好かれた男だ」
「死神に好かれた男⋯⋯! か、かっこいい⋯⋯はっ!? コ、コホン!」

何故か鬼柳と相性がいいことが、このやり取りだけで察してしまった。
と言うかひなたの方が「死神の好かれた男」というフレーズのかっこよさを前に素が出ていた。

「それで、名は?」
「ーー鬼柳京介。⋯⋯なぁキョウ、中々いい性格してるみたいなだ、彼女は」
「ふふん、キョウの見る目も中々に悪くはない! では鬼柳よ、この東方将軍ツァラトゥストラの下僕の一人として加えてやろう!」
「⋯⋯死神を使いこなせるなら使いこなしてみせるんだな」
「何を、なら見事に使いこなしてみせようぞ。私は負けん、この下らぬ殺し合いの元凶を討ち果たし、我が愛しきお姉様の元へ戻るために!」

思ったよりノリノリだった。さっきまで死に損ないだと自嘲していたのが、いや元の性格があんなノリな感じだったのか。

「ーー我が手に降り立った煉獄の龍の導きの元、我ら魔王軍東方将軍ツァラトゥストラとその下僕が、かの邪智暴虐の企みを討ち果たさん!」

そう高らかに宣言する厨二病少女の、天に掲げた手には一枚の札。煉獄竜オーガ・ドラグーンなるドラゴンが描かれたそれを見て。

「ーーどうやら、何処までもデュエルモンスターズとの縁はきっても切れねぇみたいだな」
(助けてくれケイジ。俺はこいつらを制御しきれるか自身がないぞ!)

両者とも別々の反応を示していた。


【鬼柳京介@遊戯王5D's】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×1~3
[思考]:俺の死に場所はここじゃない
1:あいつ(キョウ)も、俺と同じーー
2:彼女(ひなた)とは何かと気が合いそう。死神を下僕にするなら使いこなしてみろ
3:遊星、俺はーー
[備考]
参戦時期は復活後、遊星と再開する前

【物部キョウ@ウェルベルム-言葉の戦争-】
[状態]:健康、心労(小)
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×1~2。缶コーヒーセット(4/5)
[思考]:今は、自分が出来ることを、やるべきことを
1:当分はこいつらと一緒に行動、ただ恐ろしく気苦労が絶えない
2:俺にこいつらをちゃんと制御出来るのか⋯⋯!?
[備考]
※参戦時期は死亡後

【大垣ひなた@オトメ*ドメイン】
[状態]:健康、テンションノリノリ
[装備]:コスプレ軍服衣装
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×1~2、煉獄竜オーガ・ドラグーン@遊戯王OCG
[思考]:この東方将軍ツァラトゥストラが素直に従うはず無いだろう! 必ずやこの企みと催しを壊してみせよう!
1:流石だキョウ、この私の目に狂いはなかった!
2:死神に好かれた男、か、かっこいい⋯⋯!!!!!!
3:お姉様⋯⋯
[備考]
※参戦時期はチーズ鱈の袋を奪っていった猫さんを追いかけていった直後


『支給品紹介』
【コーヒー缶セット@現実】
物部キョウに支給。シンプルにコーヒー缶が5つはいったセット

【煉獄竜オーガ・ドラグーン@遊戯王OCG】
大垣ひなたに支給。本来ならばただのデュエルモンスターズのカードであるが、もし何らかの手段で召喚できれば⋯⋯?
以下はカードの効果の説明。

シンクロ・効果モンスター
星8/闇属性/ドラゴン族/攻3000/守3000
闇属性チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
自分の手札が0枚の場合、1ターンに1度、
相手が魔法・罠カードを発動した時に発動できる。
その発動を無効にし破壊する。
最終更新:2026年02月10日 16:47