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風となった戦士がたどり着いた場所は、狡知によって催された殺し合いの舞台。
天へと届く空の島。人界には死した戦士がたどり着くヴァルハラという概念はあれどそれには非ず。
未だ夜であるが故、この身が太陽に焼かれることはなく。
柱の男、風の戦士たるワムウにとって、新しい戦場が己を招いたという、そんな感傷のみ。

「よもやこのワムウ、死してなお戦場へと招かれるとはな」

あの結末に後悔はなかった。波紋の戦士と戦い敗れ、自らが見初めた男に見送られた。
一万数千年の柱の男としての人生。自らよりも戦士として高みに至った男と出会えたこと。
その奇妙な運命を終えた先にあったものが。
だがそれでも、ワムウという柱の男がカーズの味方であることには変わらない。
芽生えた友情は貴えど、仲間は裏切ることはない。
柱の男として蘇ったワムウは、その軸がぶれることはない。

「⋯⋯ならば、戦士としては戦い、勝つことには変わりはない」

それでも、もとよりこの身は戦士なりて。
これから待ち受けるであろう強者との闘争を思い昂るのは当たり前のこと。
現代の波紋戦士も強敵(とも)たり得るだったのだから。
この未知を前にこの鍛え抜いた身体が期待に疼く。
潰したはずの目まで戻っていることまでは余計とは思いつつも。
これもまた敗者に選択の余地はなかったのだと受け入れながら。

「まずはカーズ様の捜索をするべきか。私と同じく巻き込まれてるやもしれぬ。それに⋯⋯」

好敵手、ジョセフ・ジョースターもまた、などという期待を仄かに浮かべて。
そうなればやはり柱の男と波紋の戦士の宿命に準じ、再び戦うことになるだろう。
だがそれも良し。運命の悪戯とならばそれもまた。
もしかすれば忠誠を誓うカーズ様もまた、ここにいるやも知れぬという可能性も。
この選択が幸を齎すか困難を齎すか、その先は神のみぞ知るのみ。
幸いにも、呼ばれたタイミングは深夜。吸血鬼や柱の男にとっては絶好の活動時間。

「⋯⋯暑いな」

ほんのりと、違和感があった。
砂漠地帯でもなければ森林地帯ないというのに、平常の気温よりも暑さを感じる。
これが炎を扱うであろうエシディシならば特段気にしないであろうが、それとは別の予感。
それは、足を進めるにつれて。ーー否、その暑さは近づいてきている。

「なるほど、ベリアルとやらは、戦士の歓待は心得ているようだ」

暑さで流れ落ちる汗と共に、強敵の気配を感じ取る。
その通り、文字通りの『熱』を纏い、悠然と歩くそれをワムウは目の当たりにした。
着込む衣装はおそらく古代エジプトのものだろうか。
眼の前の強者が古代から呼びだされたかどうかの是非はどうでもいい。
ただ、眼の前の相手が今までであったことがない程の強者である、ということだけあれば十分だった。

「問おう。このワムウの前に現れた理由を」

戦士としての直感か、それともこの熱から感じ取ったものなのか。
少なからず自分の気配を察知し、近づいてきたのだ。
目的はどうであれ、敵意があるかどうであれーー。

「ーーこの殺し合いには、最後に勝ち残ったものには相応の褒美が。ーーどのような願いがも叶えられると、だったな」
「⋯⋯ぬ?」

それは、相手からの独り言。
ただそれだけだった。まるで目の前にある現実を再確認するように。それが事実であるかを確かめたかったように。
まるで、ワムウは見ていれど、ワムウという存在を見ていないように。

「よもや最初の相手が。このような"格下"だとは、な」
「ーーーーーー」

その上で、その男はワムウを「格下」と断じた。
ただ、断じただけ。自分には及ばないとは、思ってはなくとも。
明らかに、見下していた。
その言葉を受けたワムウから、感情が消えた。
この方、相手に舐められた事はあっても、明確に「下」と見下されたことはなかった。

「ーーはは、このワムウが貴様より格下だと。⋯⋯なるほどな」

人間という種を無意識に見下していた自分としては、という経験からで。
ジョセフ・ジョースターやシーザー・A・ツェペリから見えた柱の男というのはこのような感覚だったのだろう。
戦士としては侮辱された怒りもあったが、それ以上に強者としての昂りもまたあった。

「ならばその格下とやらの力量を、その身に味わってみるのも悪くないぞ」

だからこそ、不思議と不愉快ではなかった。
無意識に構えを取る。何が来ようと、対応できるように。
久方振りの、カーズやエシディシとは別の、格上らしき存在との戦いに。
















「ーーーーー開きたい口はそれだけか」

そして、ワムウは後悔することとなる。

「ぬおおおおおおおおおおおおおおっっっ!?」

その男からーー神から放たれるその熱と輝きが、ワムウを焼き尽くさんと襲いかかった。
只人が放っていい熱量では決して無い。
砂漠の熱など比類にもならない。まさしく眼の前に太陽が顕現したかのような灼熱地獄がそこにあった。

「こ、これはまるでっ! 太陽の輝き、ぐ、ぐおおおおおおおおおおっ!!」

堪らず、地面を殴りその地面の断片で防壁を作り上げた。
あのまま浴び続ければ、まるで波紋を受けたかのように身体が焼け落ちる。
既にワムウの皮膚の表面が焼け始めていた。それでも表面上に収まったのはワムウの直感故か。

ワムウが相手取ったのは、正真正銘の神。
神話に名だたる、原初の神が一柱。
ピラミッドやオベリスク、それらが示せし一大侵攻の象徴たる太陽そのもの。
古代エジプトにおける神の最高位。それが今、ワムウが相手取った存在である。

(エシディシ様の焔の流法とは桁違いの出力。しかもこれをーー!)

広範囲に展開。根本からして生物の格が違うと断ずる他ない。
いくら柱の男とて、この先このような所業が出来るものが生まれるかどうか。
もしこれがカーズ様が相手ならば直ぐ様焼き尽くされていたかもしれないという危機感。
相手がワムウを格下と断じた理由を、その身に思い知った。
かつてシーザーが、ワムウが戦闘の天才だというのを刻み込まれたように。

「⋯⋯むぅ」

そして、ワムウを一歩も動かず圧倒する神の表情は、怒りに歪んでいた。
それは、相手を仕留めきれていないことではない。『自らの出力が落ちていること』に。
少なからず、己の『恒星結界』の熱量に耐えた時点で及第点ではある。
だからこそ、怒りはやまない。
たかが『こんな首輪』程度の力で、自らが縛られていることに。


「⋯⋯ははは」

そんな神の怒りを傍らに。ワムウは不敵な笑みが浮かんでいた。
強敵に挑むとは、こういうことだったのか。
自分よりも強い相手と闘うということが、こういう感覚だったのか。
まっこと、強き人間というのは、波紋戦士というのは。

「⋯⋯うはははははは、はははははは!!!」

歓喜の声が上がる。神の憤怒をものともせず。
これほどまでの強敵が待っているとは。
これほどまでの強敵がやってくるとは。
やはり、世界というのは広い。
柱の男としてだけでは知れなかった世界が、広がっている。
人間であれ、人間じゃないであれ。
それを自覚できたものは、誰であろうと成長の機会は訪れるのだ。

「何が、おかしいっ⋯⋯!?」
「このワムウは、感謝をしているのだよ。ーー貴様という強敵に巡り会えたことを」

戦士の本領は、より強い相手と戦い勝ち、己の強さを求め続けること。
武人としての誇りは、例え仲間と反りが合わなくとも貫き通した。
敵であろうと強く誇り高き戦士には敬意を評する。

「私はそれすら乗り越え、戦士としてさらなる境地へと至ってやろう」
「この余を、踏み台とほざくか!!!」

だからこそ、これは試練。
自らという蛹がさらなる世界へと飛び立てるかどうかの試練。
この程度の試練を乗り越えられなければ、己を打ち負かした波紋の戦士(とも)に顔向けできない。

「踏み台? このワムウ、相手が誰であろうと腑抜けた真似をせぬ者を踏み台などとは呼ばぬぞ?」
「貴様ぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

圧倒しているのは神であれど、精神的優位に立っていたのはワムウの方。
壁代わりの地面は熱量で崩壊しつつあるも、既に一撃入れる手段は考えついている。
そうだ、せっかくだからこそ。こう言ってみるのも悪くないと、ワムウはその台詞を口にした。

「ーー貴様は次に『その減らず口もろとも我が灼熱で消し炭にしてくれる!』とでも言うのか?」
「『その減らず口もろとも我が灼熱で消し炭にしてくれる!』⋯⋯ーーーーー」

神から、感情が消えた。
その『屈辱』に、腸が煮えくり返る感情を沈み込ませ。
感情を殺意に染め上げ。

「ーーー!!!!!!!!!!!!!」

灼熱の放流が勢いを増す。
既に盾代わりのものは融解し、溶け落ちた。
だが既にワムウの姿はなく、何かをしたとばかりに地面に削り取られた痕があった。

「ーーーーー!」

神が見上げれば、超高速で回転する物体。
己を回転させ、風を纏った槍として突貫するワムウの姿。
そう、槍である。
神の放つ熱は太陽の如きであり、太陽そのものではない。波紋の熱量ではない。
風で軽減させれば、どうとでもなるという魂胆であろう。
波紋を知らぬ神であろうとも、そう思い込んだ。

「ーーーーーーーーー!!!」

再び、神の形相に憤怒が宿る。
かの屈辱の記憶。半神半人"如き"に敗れ去った記憶
その記憶が、憤怒となって。
恒星結界を解除し、神は土壇場にて技術を得る。
本来ならば神器なしではしなかった、恒星結界の熱量に指向性をもたせる技。
右腕に熱を纏わせ、ただ殴り飛ばそうと腕を動かした。

「ーー滅せよ!!」


だが、その神の腕はーーワムウの超人じみた関節の可動によって躱された。

「な、に⋯⋯」
「土壇場で、そうすると思ったぞ」

ワムウは、知っていた。
人間の窮地における爆発力、そして発想に。
相手が人間でなくとも、天啓かの如くその技術に目覚めることはある。
それは死地における才能の覚醒と同義。
ワムウはそれを信用した。かつてのワムウならこの時点で終わっていた。
最後の足掻きも、それに似た抵抗も。知っている。

だからこそ、神は硬直した。
自分でも初めての行為を、完璧に読み切った。
そして、その身を以て神は思い知る。

「闘技ーーー」

右腕を高速で左回転、左腕を高速で右回転。
突き出した両腕を肘の関節ごと高速回転。それによって発生する超巨大な渦。
神はそこに銀河を垣間見た。両腕内に生まれた真空が星空を映す宇宙にも思えた。
それこそ、柱の男ワムウの代名詞。風の流法。奥義ーー









「ーーー神砂嵐!!!」









破壊の暴風が、神を飲み込み、吹き飛ばした。
そして神は思い知った。ーー己が相手取った男は、戦闘の天才であると。




「⋯⋯ぬうう⋯⋯!」

煙を上げる身体、そして膝を付く地面。
多少は無理をしたという自覚はある。
間違いなく神砂嵐を決めることができたのは初見故、次はないだろう。

「ふふふ、やはりここは良き闘争の場だ⋯⋯」

だが、楽しく思った。
決着こそ不完全な勝利なれど、あれに並び立つ相手がこの先待っているだろう。
そうでなくても、JOJOやシーザーのような誇り高き精神を用いる誰かでも。
勿論カーズ様を探す、と言うことは忘れてはいない。

「だが、今は休まねばな⋯⋯!」

故に、風の戦士は今一度の休息へと入る。
再び来る、闘争の時を待ちわびながら。

【ワムウ@ジョジョの奇妙な冒険 戦闘潮流】
[状態]:全身に火傷(中・回復中)
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×1~3
[思考]:戦士として、この闘争の舞台に臨む
1:カーズ様の安否の確認を最優先。もしいないならば⋯⋯
2:JOJO、もし貴様もここにいるなら、再戦というのも悪くはない。
3:先程のやつと、再び闘う機会もあるだろう
[備考]
※参戦時期は死亡後











『いかなるときも、遊び、楽しむことこそ。神の特権であり、本質』


『おまえさん、心に余裕なさすぎ♪ そんなんで「神」やっとって楽しいんか?』



ダメージは大したものではなかった。
風の男の奥義に負わされた傷以上に残されたものこそ屈辱の証。
半神半人の膨らむ槍に敗北を喫した。
その記憶を思い出し、憤怒は更に浮かび上がる。

「ーー仕方なく、認めてやる。ゼウス」

神は、初めて己の在り方を振り返る。
彼にとって「神」の行いとは義務であり、当然の使命である。
そこに楽しみなどない、そこに愉しさなどない。
それを、当然だと思っていた。

「ーー愉しめ、か。ならば楽しむとしよう」

笑う。限界に至った感情は、一周して喜びへと。
楽しもう、愉しもう。ーー喜びのままに、この屈辱を覆そう。

「喜べ。余が直々に、遍く全てをーーー

怒りのままに笑い飛ばす。
屈辱を与えた風の男も、このような催しに自分を巻き込んだもう一人のベリアルも。
この会場に蔓延る有象無象一切全てを。





ーーー完全浄化(やきつく)してくれよう」


風の戦士は点火させた
太陽神の、臨界を突破した怒りを。
これから世界を襲うは浄滅の憤怒。赫怒の太陽。

ーー其は至天なりて。其は絶望の顕現なりて。
外天界神(アウターゴッズ)。真なる太陽神。エジプト神話の頂点。
裁きは降りた、遍く愚者愚物に灼熱地獄(インフェルノ)を齎さん。
これより憤怒を以て、遍く愚者愚物の一切全てを焼き尽くさん。

其の名、ラー
ーー制御不能神(アンストップバブル)、ラー・ホルアクティ


【ラー・ホルアクティ@終末のワルキューレ禁伝 神々の黙示録】
[状態]:負傷(小)、愉しみが混じった怒り(絶大)
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×1~3
[思考]:全て滅ぼす。例外はない
1:風の男(ワムウ)は必ず滅ぼす
[備考]
※参戦時期はクー・フーリンのゲイ・ボルグを受け敗北した直後
※全体的に出力に制限がかけられています。
※神器なしで恒星結界の灼熱に指向性を持たせられるようになりました。
最終更新:2026年02月12日 23:56