街の一角に、ぽつんと佇む巨大なハバネロ。
支給品でもなければ、ただの置物でもない。れっきとした「殺し合い」の参加者である。頭に装着された、緊箍児(きんこじ)のごとき首輪がその証拠だ。
その名は――暴君ハバネロ。
二歳にしてハーバーネロ大学へ合格。青年期には政治団体「ウマ辛党」を結成。将来を嘱望されたエリートであった彼を狂わせたのは、あまりに矮小な悲劇。
「自分だけ合コンに誘われなかった」
その怒りが、彼を暴君へと変えた。悲しいかな、それが彼の原点である。
「このワシを捕らえて、タダで済むと思うなよ……ベリアル!」
誰もいない空に向かって吠える。彼は安っぽい殺し合いなどには乗らない。暴君とは、誰かに指図されることを何より嫌う生き物だからだ。
「全国にワシのおやつ『暴君ハバネロ』を広めるのが先決じゃ! こんなところで時間を無駄にしておられるか! ここに宣言する。ワシを主とした『ウマカラ徒党』を結成する!!」
当然、現在のメンバーはゼロ。
「まずは部下が必要じゃな。入党を拒否する不届き者には、少々辛い思いをしてもらうがのう……」
ずん、ずん、と短いヘタを揺らしながら地響きを立てて進む。すると、前方に小さな人影が見えた。
「子供か……? 五歳児ほどに見えるな。まあよい! 第一号の部下にしてやろう!」
ハバネロは傲岸不遜に声を張り上げる。
「おい!! そこの小僧!! お前をウマカラ徒党のナンバー2に任命する!! 光栄に思え!!」
子供が、ゆっくりと振り向いた。
鋭い眼光。肌を刺すようなプレッシャー。そして、凍てつくような静かな声。
「僕は、誰の指図も受けない」
暴君ハバネロは一瞬、硬直した。
断られた。この、暴君たるワシが。
少年の名はボーちゃん。
普段は石を愛し、鼻水を自在に操る穏やかな少年。しかし今は違う。鼻に詰められた「謎の紙」の影響で、暴君(ボーくん)と化していた。
「ほほう……ワシの任命を断るか。ならば力ずくだ!」
ハバネロが勢いよく突進する。
これを喰らったガキが、泣いて許しを乞いながら入党を志願する――はずだった。
「とぅ」
ボーくんが軽やかに跳躍する。次の瞬間。
「フゥゥ……ハァッ!!」
凄まじい呼気とともに突風が巻き起こった。
「ぬわあああ!?」
ハバネロの体が独楽のように宙を舞う。手も足もないフォルムゆえ、一度浮けば踏ん張りなどきかない。完全に風まかせの無様な滞空だ。
ようやく地面に激突したかと思った瞬間。
「とりゃ」
上空から、ボーくんの全体重を乗せた鋭いキックが降る。
「ぬぐぉ!?」
ごろごろと無様に転がるハバネロ。五歳児とは思えぬ破壊力に、エリートの尊厳も体勢も、音を立てて崩壊していく。
「ぼーっ」
バキ、バキと音を立てながら背中を殴打される。
「やめろぉぉ……! よせ! 痛いではないか!!」
「うるさい。そろそろ、終わりにする」
「終わり」という冷酷な宣告に、ハバネロの芯が凍り付いた。この殺し合いでの「終わり」がなにを意味するのかを悟ったからだ。
ボーくんがデイパックに手を伸ばす。
(あの中に決定打が……!? ワシは、こんなところで、殺されてしまうのか……!?)
その時、ハバネロの脳裏に閃きが走った。
――支給品だ!!
決死の覚悟で転がり、ボーくんを振り払って、必死に己のデイパックを漁る。そこにあったのは、不気味な緑色に光る3つの玉。説明書きを読む暇もない。そのうちの一つを口でくわえ、渾身の力で背後へと放り投げた。
しかし、焦りすぎた。
玉は敵とは明後日の方向、遥か遠くへと飛んでいく。
ボーくんが静かに構え、光る刃を振り上げた。
終わった。
そう確信し、目を閉じた瞬間――。
景色が、反転した。
「……は?」
気づけば、目の前にボーくんの姿はない。
それは「エンダーパール」
投げた場所へ使用者を強制転移させるものだ。
「は……はは……」
じわじわと状況を理解し、笑いが込み上げる。
「ははははは!! 助かった!! ワシは生きておるぞ!!」
荒野に、暴君の虚しい高笑いが響き渡る。
そして、数秒後。
「……あ」
血の気が引く。
「デイパックを、忘れた……」
支給品も、水も、食料も、すべてを置き去りにして。
暴君の勝利は、あまりにも辛口だった。
【暴君ハバネロ@暴君ハバネロ】
[状態]:焦り、全身打撲
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]:殺し合いの打破
1:まずい!!ワシのデイパックがぁぁ!!
2:ウマカラ徒党のメンバー探し、拒否した者には”辛い”思いをさせてやる
3:先ほどの小僧……何者だ……?
一方、獲物を見失い、静かに立ち尽くすボーくん。
足元に転がる、ひとつのデイパック。
「……次は、逃がさない」
その呟きが風に乗ったとき、彼はすでに次の獲物を見定めていた。
【ボーくん@映画クレヨンしんちゃん 超華麗!灼熱のカスカベダンサーズ】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品×2、斬鉄剣@ルパン三世、エンダーパール×2@マインクラフト
[思考]:優勝狙い
1:あいつ(暴君ハバネロ)が置いていった支給品の確認
2:次の標的を探す
3:次は、逃がさない
【斬鉄剣@ルパン三世】
ボーくんに支給、この世のあらゆる鉄・物質を斬り裂く最強の名刀だが、こんにゃくは切れない
【エンダーパール×3@マインクラフト】
暴君ハバネロに支給、投げると、着弾した場所へ使用者をテレポートさせる
最終更新:2026年02月14日 23:12