一人の男が、闊歩していた。
筋骨隆々たる巨躯を、ボディラインが露わになる程に身体に密着したボディ・スーツに身を包み、マントを羽織った姿は、アメリカン・コミックのヒーローのコスプレの様だった。
「ベリアル…神に逆らう悪魔の名を騙りおって……」
内に秘めた巨大な正義の怒りを押し殺し、激情をぶつける相手を────要は八つ当たりの相手を────探し求めるこの巨漢の名を、マルス・リードという。
「これもユウエンチ…?それにしては前回と趣向が違い過ぎる」
ベリアルと名乗った男。そして殺し合い。
マルスは過去に参加し、八人の悪を屠り去った催しを思い出す。
両親と愛犬を無惨に殺したギャング達を、神から授かった無敵の肉体と力で皆殺しにし、その後も数多の悪に誅伐を下し。
無思慮無分別無理解で、悪を野放しにする無能かつ怠惰な警察によって捕縛され、獄に下され、刑務所という悪で溢れかえる環境下で、目についた悪を片端から殺し。
百年以上の懲役を言い渡され、仮釈放も認められないまま、独房で虚しく過ごしていた日々。
虚しく死を待つだけだったマルスに訪れた使者。
犯罪者に裁きを下せば金が手に入り、更に獲得した金額に応じ減刑も有るという破格の条件。
入園を即断したマルスは、“ゆうえんち”で参加者中最高撃破人数の八人を倒し、四千万円を獲得したのだった。
状況の異質さから、マルスは再度“ゆうえんち”へ招待されたのかと思ったのだが、前回とは全く異なる状況。更に言えば参加資格である五百万円が何処にも無い。
一体自分はどんな状況に有るのかと、マルスは自問自答する。
今まで殺してきた悪人達仲間が、復讐の為にこんな場所へと放り込んだのだろうか?
ならば、今この瞬間にも、マルスを狙う悪人達が、虎視眈々と隙を窺っているのでは無いだろうか?
そう、考えても、マルスは何も恐れない。
マルスには、神から与えられた無敵の肉体が有るのだから。
威風堂々と胸を張って歩くマルスの耳に、女性の悲鳴が聞こえたのは、数分を経た後の事だった。
◯◯◯
剣持武志は不幸だった。
185cmを楽に超える巨大(おお)きな身体。小学校でチビッ子相撲 中学 高校と柔道に打ち込んだ。全国優勝の経験こそないが 上位入賞の常連とも言える実力は折り紙付き。
さらには大学から始めた空手、ボクシング、ウェイトトレーニング。それぞれの道場 ジムに 実力で並ぶ者はいない。
そんな実力者の剣持武志は、夜の繁華街を喧嘩相手を探し求めて徘徊していたのだった。
喧嘩では敗(ま)けた事はない。否────苦戦の経験すら無い、
ルール抜きなら────自分より強い男など見たことも無い。
そんな剣持武志は、尿意を催し、路地裏で立小便をしていたところ、突如としてゴミ山の中から伸びた手にピーッを掴まれ、ゴミ山の中に引き摺り込まれて、意識を失ったのだった。
そして気がつけば全裸でこんな場所に放り出されていた。
何が何やら理解(わか)らない剣持武志が、左右を見回して狼狽えていた所へ、突如として女性の絶叫が背後から聞こえ。
振り向けば憤怒の形相も顕に、己を睨みつける、長い髪を後頭部で結わえた同年代の女性の姿。
慌てふためいて、事情の説明を行おうとするより早く、剣持武志は顔面に強い衝撃を受けて地面をゴム毬の様に転がった。
「この……ヘンタイがああああ!!!」
童顔と言っても良い、愛らしい顔立ちを、悪魔も哭いて詫びを入れそうな凶相に引き歪め、剣持武志への殺意を漲らせる女性の姿に、剣持武志は恐れを為して逃げ出した。
それが、剣持武志の更なる不幸の始まりだった。
◯◯◯
◯◯◯
「おや…」
悲鳴が聞こえた方向へと走り出したマルス・リードの視界に映る全裸の男。
全裸男を、後ろから追いかける女声の姿。
「ふむ…」
マルスは秒のシンキング・タイムを取る事無く、全裸で男が女性を襲って反撃に遭い、みっともなく逃走しているのだと判断。
即座に駆け出すと、全裸男────剣持武志の顔面に拳を繰り出しす。
制圧など最初から考えてはいない。相手は婦女暴行犯だ、神の裁きを下す対象だ。
空気の唸る音と共に繰り出された小節。直撃すれば剣持武志と言えども即死。掠っても戦闘不能になる一撃は、アッサリと回避された。
「雄(オ)…雄雄雄雄雄雄雄雄雄雄雄雄(オオオオオオオオオオオオオオ)!!!」
ジムで並ぶ者の無いボクシングの実力で、マルスのパンチを避け、反撃のラッシュを撃ち込む。
訳の分からない事態に戸惑い、怯んで、逃走を選択したものの。マルスの放ったパンチは、剣持武志の慣れ親しんだ“喧嘩”を思い出させたのだ。
同じ体重(ウェイト)の相手ならば────体躯で上回る相手でも、一撃で昏倒させられる、顎先(チン)への渾身の右フック。
内臓破裂は必至の、鳩尾への前蹴り。
肋骨を砕き、心肺へと甚大な損傷(ダメージ)を与えるだろう、今日部への正拳の乱れ打ち。
その全てを棒立ちで受けたマルスへと、止めとばかりに放つ、渾身の一本背負い。
「~~~~~~~~~~~~~~~…ッッッ!!!?」
まるで……巨大な岩を担ぎ上げようとしているかの様な、途轍も無い重量感。
己の二十一年の人生が…今まで培って来たすべての努力が……喧嘩で苦戦すら知らぬ戦歴が…………。
全てが虚しいものだと…剣持武志に知らしめる、圧倒的な格差。
「さあ変質者。懺悔の時間だ。神の名の下に、正義の裁きを遂行する」
剣持武志は逃げようとした。
せ目前に迫った“死”のイメージに突き動かされ、脇目も振らずに逃げ出そうとして────。
「逃げられると思うなァッ!!!」
悪鬼の如き形相の女が迫っていた。
逃げる方向を見失った剣持武志は、その場で立ち竦み。
「マルゥ~~ス・パァアンチ!!」
生まれて初めて体験する強烈な衝撃と、頭蓋が割れる音と、脳味噌がシェイクされる感覚を味わいながら、剣持武志の身体は地面と水平に宙を飛び、落ちた時には絶命していた。
【剣持武志@刃牙シリーズ 死亡】
◯◯◯
「ふむ…お嬢さんも、こんな場所で正義を貫こうというのだね」
顔を地面に密着させ、尻を突き出した格好で死んでいる剣持武志の死体の側で、腕組みをしたマルスは鷹揚に笑った。
こんな状況下でも正義を貫こうとする、素晴らしい心掛けの女性だった。
「はい!マルスさんのお陰で、先ずは悪を一人殲滅する事が出来ました!!」
マルスを見上げて、嬉しげに笑う女性は、大型犬を思わせるような愛らしさを感じさせる。
タフでストロングなヒーローとして、守護(まも)らねばならないと、マルスは強く心に誓った。
「ふむ…それでは今後の方針だが、巻き込まれた人達を救い、悪を討ち、あのベリアルという男を殺す。これで構わないかね?セリュー」
「はい!その方針で行きましょう!」
正義の志を貫かんとする同志を見つけた喜びに、二人は清々しい笑顔を見せ合った。
前途は険しいが、正義の志を持つ者が自分以外にも居たという事実が、二人の心に力強い希望の火を灯す。
「あ!そうだ、マルスさん!これは私の支給品なんですが、マルスさんが使って下さい」
「?」
セリューが差し出したのは、薄い赤色の宝玉が嵌まった青い腕輪。
「身に付けると攻撃の威力が強くなるそうです。私よりもマルスさんが、持っていた方が良いでしょう!」
「そういう事なら、有難く受け取っておこう。ならばこの支給品は、君が使うと良い。私には必要が無いものだ。女性には扱い難いが、身を守る為には必要だろう」
そう言って、マルスがセリューへと渡した者は、銃剣(バヨネット)の付いた巨大な銃。
「有難くございます!!」
元より銃を仕込んだトンファーを用いていたセリューにしてみれば、近接先頭と射撃をこなせる武器は有難い。受け取らない理由など存在し無かった。
【マルス・リード@漫画 ゆうえんち‐バキ外伝‐ 】
[状態]:健康
[装備]: ごうけつのうでわ+@DQM3
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×0~2
[思考]:悪を裁く
【セリュー・ユピキタス@アカメが斬る!】
[状態]:健康
[装備]: レイジングブル・マキシカスタム@給血殲鬼ヴェドゴニア
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×0~2
[思考]:悪を裁く
支給品紹介
【ごうけつのうでわ+@DQM3】
セリュー・ユピキタスに支給
装備すると攻撃力が110上がる腕輪。
攻撃力110が具体的にどの様なものかイマイチ分からないが、要は滅茶苦茶攻撃力が上がるという事である、
【レイジングブル・マキシカスタム@給血殲鬼ヴェドゴニア】
マルス・リードに支給
454カスール弾という強力ない弾丸を使用するレイジングブルを吸血鬼様にカスタマイズした物。銃剣が付いていて接近戦にも対応出来る。
人間が扱う事を想定していない為、常人が使用すると一髪撃っただけで反動で腕が折れる。
最終更新:2026年02月25日 19:17