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アウグスト=フォン=アールスハイド――親しき友、シン=ウォルフォードから“オーグ”と呼ばれる皇太子は顔を顰めていた。
 彼はアルティメット・マジシャンズの一員――シンが筆頭ならば二番手であり、指揮官のような存在だ。
 皇太子でありながら王族のプライドなどなく、ただひたすら民のために尽力しアルティメット・マジシャンズとして魔人を倒してきた。
 その強さは人類としては尋常ではなく、彼と戦った魔人ローレンス曰くシンと並び人類のトップ2。その活躍ぶりから“雷神”の二つ名を得ている。
 それでもシンやシュトロームとの差は大きいが、彼は間違いなく卓越した強さを誇り何より人望が厚い。人々の上に立つべくして立つ、強さと優しさを併せ持った存在だ。

 何故、彼に王族としてのプライドがないのか。
 それは決して王族に生まれたのが嫌だとか、そんなわけじゃない。自分の立場はしっかりわきまえてる。
 しかし王族のプライド――この場合、彼の世界によくいる下賎な者のプライドとでも言い換えるべきか。
 そんなものでは人を守ることが出来ないというのが、そういうプライドを持たない理由だ。

 代わりにオーグは魔人達と戦う中で、唯一持つ必要があるプライドに気付いた。
 ――人類の守護者たるプライドだ。
 それほどまでに大きなモノをオーグは背負い、戦ってきた。

 そしてアルティメット・マジシャンズは大量発生した魔人達やシュトローム直属の魔人達すら倒し――遂にはシンと共にシュトロームを討伐したことでようやく世界に平和が訪れた。

 オーグが殺し合いに巻き込まれたのは、その少し後――シンとシシリーが結婚する前のことである。

 最初こそ困惑したが、すぐに冷静さを取り戻す。が――身動き一つ取れなかった。
 ベリアルの身勝手極まりない言動にオーグは苛立つが、それでも彼は何一つ動けない。魔法の発動も出来ない。

 一人の少女が『拘束が甘かった』とベリアルに立ち向かったが、それは意図的なものだとオーグは察する。きっとシンが居たら、シンも察していたことだろう。
 そして案の定、少女は見せしめのように命を散らせた。あの状況で立ち向かった少女を愚弄する気はないが、やはりそうなったか――という妙な納得とベリアルに対する怒りが込み上げるが、そこはオーグ。他人の死には慣れているし、あまり感情を優先して冷静さを失うことが良くないことを理解している。

 (……すまん。今の私には、これくらいしか出来ない)

 だからあえて、怒りを抑える。少女の死を背負い、彼女の分まで戦い抜くと誓い――静かに目を瞑り、両手を合わせた。
 名も知らぬ命を落とした少女――ゾーイへオーグが出来ることは、これくらいだ。

 さて。ベリアルの演説で色々と不可解なことがある。

 (私はいつの間に拐われた……?)

 至極当然の疑問だ。
 今のオーグを拐うことが出来る者など、滅多にいないだろう。
 そもそもオーグはアールスハイド王国の皇太子。王族を拐うなんてよっぽど肝が据わってなければ無理だ。
 なにより、今のオーグは彼の世界では異様なまでに強い。シンやシュトロームには劣るとはいえ、シンとペアを組んでもなお足を引っ張るどころか打開策を編み出してるほどの実力者。そして魔法の同時使用が出来る者などシン、オーグ、シュトロームくらいだ。そこからオーグは更なる応用魔法――混合魔法を生み出している。

 そんなオーグを拐うことが出来る者など、いないはずだ。シュトロームの亡き今なら、余計にそうだろう。

 (この件について色々と情報を収集する必要もある……が、今の私ではわからない。保留とするか)

 次にオーグが思い浮かべるのは、ゾーイがベリアルに立ち向かった時のことだ。

 (星晶獣にコスモスの代行者。どちらもアールスハイドの皇太子であり、アルティメット・マジシャンズの私でも知らない言葉だ。これは何を意味している……?)

 オーグはベリアルがわざわざ並べた単語に何か意味があると考えた。何も考えず適当に少女の肩書きを口にした可能性もあるが、どちらにせよ聞いたことがない単語である。これらの単語を知っている参加者がいるならば、接触するべきだろう。

 そしてオーグはふと、思い出した。

 (そういえばベリアルは道具を支給する話をした際に様々な世界から調達をしてきたと言っていたな――)

 まるで世界が複数存在するような言い草。
 それは転生者じゃないオーグにとって信じ難いことではあるが――。

 (それに元の世界に戻してやる、とも言っていた。その言葉が本当なら――私たちは別の世界に連れて来られたのか?)

 あまりにも信じ難いことだが、魔人が突如として大量発生したことのように。
 シンが今までにない魔道具や魔法を生み出してきたように。
 これまでの歴史では有り得ないことをオーグは見てきている。
 特にシンのことは身近で見てきた。ゆえに慣れ過ぎて感覚が若干麻痺していたというか、シンの世界の常識を覆すような発明も“シン(アイツ)だから”と考えるようになっていたが――そういう経験を幾度となく味わってきたからこそ、今回の事態もなんとか受け入れることが出来た。

 有り得ないことを可能にする存在――シンの存在はあまりにも大きい。
 もしも別の世界とやらがあるのなら、そういう存在が他に居ても不思議ではなかった。

 (そして一番の問題はこの首輪だ。これがある限り、私たち参加者はベリアルに命を握られている。戦う資格すらないということだ。シンのように卓越した技術を持つ者ならば外せる可能性もあるが……こんな時まで、シン頼みか……)

 シンがいればなんとかなる。
 シンがいたからこそアルティメット・マジシャンズは強くなれた。
 シンがバイブレーションソードを全世界に貸し出したからこそ、魔人との全面戦争を切り抜けられた。
 シンがいなければ――シュトロームのことを討伐出来なかっただろう。

 オーグに限らず、彼の世界の者達はシンのことを信じ切っていた。
 信用といえば聞こえは良いが、シンに頼っていた面が大きいことは否定出来ない。

 もちろん、各々が出来ることはやり切った。
 シンから鍛えられた後も、各々の方法でそこに磨きをかけてシュトローム直属の魔人を倒してきた。
 それはとても立派なことだ。シュトローム直属の魔人を討伐しただけで、大英雄である。魔人ではなく。超災害級の魔物を幾度となく倒しただけでも英雄視される世界。シュトローム直属の魔人は超災害級の魔物なんかよりも圧倒的に強く、そんな存在を倒したアルティメット・マジシャンズは大英雄だ。それはオーグとて例外ではない。

 それにオーグはシュトローム戦でシンが熱核魔法を発動するまで“溜め”の時間を稼いでみせた。
 圧倒的な格上を前に、臆することなく自身の役割を成し遂げたのだ。

 しかし、されども。
 それも結局、シンありきの勝ち方。
 もしもシンがいなければ、アルティメット・マジシャンズは敗北し――世界は滅んでいたに違いない。

 シンに対する劣等感は男なら少なからず感じる――かつてトニーがユーリに口にした言葉だ。

 その時はトニーもオーグも今よりずっと未熟だった。
 だから余計にそう感じていたのだろう。
 シンは近くて遠い存在だが、やはり少しでも近付きたくなる、と。

 しかし。
 今のオーグはシンとペアを組み、ゼストとローレンスを倒した実績がある。
 特にゼストはシュトロームの臣下のようなもので、その強さも他のシュトローム直属の部下を上回る存在。
 そんなゼストが認識阻害の魔法を使った際に、打開策を編み出し勝利のキッカケを作ったのはオーグである。
 シュトローム直属の部下であるローレンスのことも、難なく倒した。

 それゆえに今のオーグに劣等感はない。シンに対する信用こそあるが、負の感情はない。
 されどもシンに色々と頼ってしまっているということもまた事実。
 この殺し合いでも首輪を外す役割でシンが真っ先に思い浮かんだ自分を、少し恥じた。
 親友を信用するのは悪いことじゃない。しかし、頼り過ぎるのも良くない。
 なにより今のオーグは十分に強いのだ。その自負もある。だからこそ、この殺し合いは自力で解決したい。

 (……とはいえ、自力で首輪を外すことはきっと私には出来ん。考察を重ねることなら出来るが、実際に外すには専門分野の知識が必要だろう)

 だからこそ、そういう分野にも精通しているシンが思い浮かんでしまったのだが。
 だがそういう技術を持つ者は参加者に複数居てもおかしくない。もちろんシンを含め、そういう者を意図的に招いていない可能性もあるのだが。

 もしもその時は――

 (専門知識や技術を持つ参加者がいなければ、私がどうにかしよう。ベリアルにどんな脅しを受けようと、殺し合う気はないからな。
 ベリアルの望む終末は私が阻止する。――シュトロームの野望を阻止した時のようにな)

 シュトロームは世界を滅ぼそうとした。
 しかしそれはシンを筆頭としたアルティメット・マジシャンズや世界中の人々が団結して阻止したのだ。
 今回も同じこと。たとえシンが居ても、居なくても――オーグは殺し合いの打破を誓う。

「ベリアル。お前に一つ教えてやる。――勝つのは私だ」

 オーグが威風堂々と宣言した時、長身の男が「ほう」と興味深く彼を見た。
 彼の瞳を見つめると――そこには正しく燃え盛る程の同志が宿っている。
 この状況でもなお、少年は闘志を失わず魂を燃やしているのだと、男――ジャック・アトラスを認めた。

「一つ聞こう。お前もベリアルの野望を叩き潰そうとする者か」

 ジャックはオーグの目の前までやってきて、問い掛ける。
 ちなみにオーグはジャックの存在にとっくに気付いていた。ゆえにいつでも戦える準備はしてあったし、油断も慢心もしない。
 今、こうしている時もそれは同じだ。出会ったばかりで素性も知らない相手ゆえに警戒心は解かない。

「ああ、私はベリアルを打ち砕くために行動する。……そういうお前は?」

「決まっている。俺もこんな下らん殺し合いは叩き潰すのみ。俺というキングを招いたことをベリアルには後悔させてやろう」

「……?キング?お前もどこかの世界の王なのか?」

「元キングだ!!」

 ジャックは凄まじい形相でそんなことを言い出した。

 (……?
 キングと言ったのはこの男からなのに、どうして私が逆ギレされたんだ?)

 あまりにも意味不明かつ理不尽な態度にオーグは困惑を隠せない。

 (それにしてもこの服装……ベリアルの言葉を信じるならば、他の世界の参加者か)

 ジャックの服装から、オーグは彼が異世界人だと推測する。もちろんベリアルの言葉をまだ完全に信用したわけでもないが。

「キングと言い出したのはお前だろ」

「ぐぬ……っ!たしかに俺からキングだと言い出したが、今の俺はキングではない。元キングだ!」

「……よくわからんが、とりあえず奇人変人だということは理解した」

「なにっ!?このジャック・アトラスが奇人変人だと!?」

「聞いてもないのにいきなり名乗り始めてどうした?さてはお前、バカなのだな」

 オーグはジャックを揶揄うような表情をした。
 主にシンに対して浮かべる、あの表情だ。

「俺はバカなどではない!ジャック・アトラスだ!」

「二度も名乗る必要ないと思うのだが?」

「ええい、うるさい!細かいことは気にするな!そして俺が名乗ったのだ、貴様も名乗らんか!」

「私はアウグスト=フォン=アールスハイド。親友にはオーグと呼ばれている」

 ジャックの言い分も一理あると判断したオーグは彼の瞳を見てしっかりと答える。

「ほう。ところでオーグ、お前は俺にお前“も”どこかの世界の王だとか言ってたが、お前はどこかの王子なのか?」

「そうだな。私はアールスハイド王国の皇太子なのだが――それを知らないということはベリアルの言葉は当たっているということか」

「アールスハイド?聞いたこともない地名だな。それにベリアルの言葉が当たってるとは、どういうことだ」

「そのままの意味だ。ベリアルはまるで世の中には複数の世界があるような言い草をしていた。様々な世界から道具を調達したやら、元の世界に帰すやらな」

「何!?そんなことが有り得るのか!?」

「私の世界ではアールスハイドという国は誰でも知っている。自分で言うのもなんだが、私の知名度もかなりのものだ。それを知らんとなると、ジャックは異なる世界の人間の可能性が高い」

「ふむ……。ならば質問だが、オーグはデュエルモンスターズを知っているか?」

「知らんな」

「なるほど、納得はいった。俺の世界ではデュエルモンスターズを知らない者の方が珍しい。それに俺の存在も――な」

「キングだからか?」

 くっくっくっく。
 オーグが笑いを堪えながら揶揄うようにジャックに疑問を投げ掛ける。

「違う!俺はもうキングではない、ジャック・アトラスだ!」

 (やはり面白いな、コイツ)

 オーグは殺し合いに招かれて早速、弄る対象を見つけた。
 多少は気が楽になり、いつもの彼らしさが戻ってくる。
 とはいえこれは殺し合い。当然、気を引き締める必要はあるのだが。

「ところでオーグよ。お前がベリアルの野望を砕こうとする気概の持ち主だということは伝わったが、そのための力はあるのか?」

 ジャックは威風堂々とした態度でオーグに問い掛けた。

 ――力。
 それはベリアルの野望を打ち砕く上でも、殺し合いを生き抜くためにも欠かせないものだ。
 力無き者はベリアルと戦う資格すらないし、生き残るのも困難だ。
 そんなことオーグとて、わかっている。だからこそジャックが質問していた意図も理解出来る。
 ゆえにオーグは何ら気遅れすることなく、口を開いた。

「無論だ。私は自分の世界でアルティメット・マジシャンズという仲間と共に魔人という人類を超越する存在と世界存亡のために戦い、勝ち抜いた。その魔人の一人が言うに、私は親友と共に人類のトップ2――らしいぞ」

 オーグの表情には自信が表れていた。
 その言葉に嘘偽りがないと、ジャックは魂で理解する。嘘吐きならばこんな威風堂々とした表情は出来ないからだ。そういうところを見誤るジャック・アトラスではない。

「そうか。ならば俺は貴様の言葉を信じよう」

 ジャックはオーグを信じ、力強く頷いた。
 この性格もまた彼が慕われる魅力の一つである。

「そういうジャックには何か戦うための術があるのか?」

「俺の戦う術か。それは――コイツだ」

 ジャックは一枚のカードをオーグに見せた。
 ――スターダスト・ドラゴン。
 不動遊星の切り札にして、かつてジャックが盗んだカードだ。
 どういう因果なのか、何故か此度の殺し合いではジャックの支給品に入っていた。

「カードのようだが……そこに何か魔法でも付与されているのか?」

「俺の世界にそんなものは存在せん。だがどうやら、この殺し合いにおいてコイツは実体化するらしい。そしてこれは――俺の宿敵(とも)のカードだ。絆を信じ抜き、世界を救った――そんな友のな」

 真剣な表情と口調で語るジャックの言葉を、オーグは信じた。
 彼は嘘をついていない。それはその態度から理解出来る。

「フム……。世界を救った親友(とも)、か。どうやらジャックと私はそういう意味だと似ているようだな」

「そういえば貴様も世界存亡のために戦っていたと言っていたな。たしかに俺とオーグはその点では一致しているかもしれん」

 ジャックとオーグは互いに握手を交わし――。

「まあ私はキングだとか元キングだとか……くっくっ……そんなこと言わないがな」

「貴様、このジャック・アトラスを愚弄するかぁっ!」

 そんなやり取りの後。

 ――ズドォォン!
    ――ドゴォォォン!

 ――轟音が鳴り響いた。


 ◯

 私の眼前には、大型のモンスターが居た。
 なにやら凶暴化しているようだが、クルセイダーとして鍛錬を積んでいたおかげで私に傷は付いていない。
 だが彼らに対して有効打を与えることも出来ず、防戦一方だ。

 もしもめぐみんが居れば爆裂魔法で蹴散らしてもらえるし、アクアやカズマでも各個撃破出来るだろうが――生憎と私はそのための術を持ち合わせていない。
 普段ならば今の状況もそれはそれで悪くないが、なにしろこれは殺し合いだ。こんな悪趣味な催しを開いたベリアルを倒すために、私はまだ負けるわけにはいかない。

 しかし困ったことにまともな攻撃手段がない。
 私は頑丈さには自信あるが、剣の腕は――。
 今まではクリスやパーティーメンバー達と連携して戦ってきたから良かったが、やはり一人だと色々と厳しい現実を突き付けられる。

 この殺し合いは騎士としてなんとしても打ち砕かねばならないが、私だけだとどうしようもないのは明白だ。現にこんなモンスター達にすら手も足も出ない。

 だからカズマ達パーティーメンバーに合流――それが出来なくとも、この殺し合いを打破するための協力者が必要になってくる。

 私は自分一人だとなかなか勝負にならないかもしれないが、協力者が居れば話は別だ。とにかく、攻撃手段を持つ仲間がほしい。カズマパーティーのようにそれぞれ役割分担が出来れば理想だが、そこまでは言うまい。

 とにかく、仲間だ。私がクルセイダーとして前衛でタンクをするから、誰か火力に自信がある仲間がほしい。
 もちろんプリーストなども集まれば理想的だが、それは二の次。火力職がいなければ、モンスターの討伐すらロクに出来ない。

「くっ……!せめてカズマ達が居れば……!」

 つい、口から弱音のようなものが漏れ出てしまう。
 こんな場面でもカズマやアクアやめぐみんのことを思い浮かべてしまう自分が、我ながら不甲斐ない。

 本当は彼らは巻き込まれてないのが一番のはずなのに。彼らが殺し合いに巻き込まれるなんて嫌なはずなのに――こんな場面でつい、溢れてしまった。……騎士として、恥ずべき行為だ。

 モンスター達がどれだけ攻撃しても私に傷は付かない。しかしそれは私が頑丈なクルセイダーだからであり、普通の参加者ならば致命傷に成り得る可能性もある。
 誰もここを通らなければ良いが……。
 それに今は私も無事だが、このままひたすら攻撃を受ければ間違いなくダメージは蓄積する。そして彼らに対する有効打を私は持たない。……正直、かなりマズい状況だ。

「まずいな。もはや私もここまで――」

「安心しろ。――私たちが来た」

 瞬間――魔法が私の真横を突き抜け、モンスター達の腹に大穴を開け、屠る。
 誰が発動したのかと、見回してみればそこには高身長の男と美形ながら身体の引き締まった、カズマと同い年くらいの男。
 そして高身長の男がカードを掲げる。

「大いなる風に導かれた翼を見よ!シンクロ召喚!響け、スターダスト・ドラゴン!」

 男の詠唱と共に白銀の竜が現れる。
 まるで召喚されたかのように。

「スターダスト・ドラゴンで雑魚モンスター達を攻撃!シューティング・ソニック!!」

 そして男の掛け声と共にドラゴンはブレスを吐き――直撃を受けたモンスター達がバタバタと倒れていく。

「フム。なかなかやるようだな、ジャック」

「お前もな、オーグ」

 お互いを称賛する男たち。
 ここに居たモンスターの集団は一瞬にして壊滅した。

「大丈夫だったか?」

 美形の男が、私に声を掛ける。
 心から私を心配しているような、優しい声音だった。

「ああ。私は大丈夫だ。頑丈さに自信があるクルセイダーだからな。ところで、お前達は……」

「それなら良かった。私はアウグスト=フォン=アールスハイド。親友にはオーグと呼ばれるがな。……私のことを知らないということは、お前も異なる世界の民か」

「俺はジャック・アトラスだ。服装を見る限り、明らかに俺の居る世界とも別だろうな」

「私はダクネスだ。今回は助けてくれて、感謝する。……異なる世界や別世界と言われてもわからないのだが、どういうことだろうか?」


「それはだな――」

 ――それから私はオーグの考察を聞いた。

 色々と困惑する内容ではあったが、たしかにベリアルはそういう発言をしていたし、私はアールスハイドという国やデュエルモンスターズという存在を知らない。なかなか筋の通った考察だと思う。
 その後にお互いに自己紹介をしたが、どうやらオーグもジャックも凄まじい経歴の持ち主らしい。世界の存亡をかけた戦い、か……。

「ちなみにジャックにキングと言うと面白い反応をするぞ」

「オーグ!貴様、人を小馬鹿にするのもいい加減にしろ!」

「キングだからか?」

「元キングのジャック・アトラスだと言っているだろうが!」

「……ふふ、面白いな。お前たちは」

 二人の軽快なやり取りに、思わず笑みが零れる。
 戦闘面でも頼りになるが……性格もなかなか面白い二人だ。なんだかカズマ達を思い出す。

「多少は気が解れたか?ダクネス」

「ああ。ありがとう、オーグ」

 オーグは私に気遣っていたのか、そんなことを聞いてきたので私は感謝の言葉を口にした。

「ダクネス。たしかお前はタンク――皆を守る“盾”のような役割を担っていると言ってたな」

「そうだ。私はこの身体一つでカズマやアクアやめぐみんを守ってきた」

「そうか。“盾”となる存在なら私の身近にもいる。彼らは温室育ちながら揺るぎない信念を持って研鑽を続けてきた“盾”だ。“騎士道精神”を持つダクネスとも気が合うかもしれないな」

「それは是非とも会ってみたいな……!どういう名前なのか教えてもらっても良いだろうか!?」

「ユリウスとトールだ。……私がこの殺し合いに巻き込まれたということは、彼らも巻き込まれている可能性が高い。それでも死ぬことはないと信じてるが」

「ユリウスとトールか。不謹慎かもしれないが……もしもこの殺し合いに居たら、会ってみたいものだな!」

 そして私もまたカズマ達のことを教え、ジャックからはユウセイ達のことを聞いた。
 もしもそれぞれの仲間が巻き込まれている場合、彼らを優先して合流するのが良さそうだ。

 そして――。

「それにしても……このレッドデーモンズのようなモンスターはなんだ?」

 琰魔竜レッド・デーモン・ベリアルというカードを見て、ジャックが首を傾げる。
 彼の切り札は“レッドデーモンズ”や進化系の“セイヴァー・デモン・ドラゴン”、スカーレッド・ノヴァ・ドラゴンでレッド・デーモン・ベリアルというカードは知らないらしい。

「私の世界にはデュエルモンスターズがないからわからん。……当然、ダクネスも同じだろうな」

「ああ。ジャックには申し訳ないが、私もわからない」

「……まあ、そうだろうな。しかしこのモンスター、妙にレッドデーモンズに似ているが……どうなっている?名前に“ベリアル”とついてるのも、何か因果を感じるカードだな」

 ――ベリアル。
 それはこの殺し合いの主催者だ。
 そんな名前のカードをジャックに支給したのは嫌がらせか、もしくは何か理由があるのか――。ベリアルもデュエルモンスターズも知らない私にはサッパリわからない。

「私にも理由はわからん。演説の様子からして、面白半分で支給した可能性もあるが……ジャックの手に渡ったのが偶然とは思えんな」

 オーグもまた理由はわからないようだった。

「まあ良い。このカードについてもいずれわかるはずだ」

 ジャックは琰魔竜レッド・デーモン・ベリアルの話題を切り上げる。現段階でどれだけ考察しても答えはわからないと割り切ったのだろうか?

「とにかく、俺たちがするべきことはベリアルの野望を叩き潰し殺し合いを終わらせる。それだけのことだ!」

「フッ……。そうだな。……ダクネス、悪いが私とジャックは後衛向きだ。前衛はお前に任せてもいいか?」

「ああ、任せてくれ。むしろ私はタンクにしかなれないからな。この殺し合いを止めるために、喜んでお前たちの“盾”になろう!」

「心強い返事だな。頼りにしているぞ、ダクネス。あとキングのジャック」

「貴様、わかっていてわざとからかっているな!?」

「くっ、くくく……。気の、気のせいだ……」

「……明らかに笑ってるぞ、オーグ。ジャックを揶揄うのも程々にしてやって良いと思うのだが」

「そうだ!もっと言ってやれ、ダクネス!」

「ジャックを擁護した私が言うのもなんだが、今の発言は大人げないぞ?ジャック」

「な、なにィ!?」

「ぷくくっ。ダクネスにまで言われてしまったな、ジャック」

「お、おのれぇ!」

 ――こうして私たちは殺し合いを止めるためにパーティーを組み、冒険譚は始まった

【アウグスト=フォン=アールスハイド@賢者の孫(漫画版)】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×1〜3
[思考]:ベリアルを倒し、この殺し合いを止める
1:首輪を外せる技術を持つ者を探す。もし見つからなければ、私が研究する
2:シンに頼りきらない。シンが居ようとも、居なくとも、私のすることは変わらない
3:複数の世界が存在する可能性が高いな
4:ジャック、ダクネスと協力する。ジャックはシンのように揶揄い甲斐があるな
5:ダクネス、お前の“盾”としての信念を魅せてもらうぞ
6:私、ジャック、ダクネスの仲間とは最優先に合流を目指す。……巻き込まれてないのが一番ではあるが……

[備考]
※参戦時期はシュトローム討伐後〜シンとシシリー結婚前
※制限は後続の書き手さんにお任せしますが、とりあえず付与魔法は効果を失っています。これは本人も自覚してます

【ジャック・アトラス@遊戯王5D's】
[状態]:健康
[装備]:スターダスト・ドラゴン@遊戯王5D's
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×0〜1、琰魔竜レッド・デーモン・ベリアル@遊戯王OCG
[思考]:ベリアルの野望を打ち砕き、殺し合いを打破するのみ!
1:異世界か。まさかそんなものが存在するとはな
2:遊星。お前のスターダスト、暫く借りるぞ
3:オーグ、ダクネスとは協力する。だがオーグは俺をおちょくるのをやめろ
4:俺、オーグ、ダクネスの仲間と優先的に合流する

[備考]

【ダクネス@この素晴らしい世界に祝福を!】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×1〜3
[思考]:ベリアルを倒し、殺し合いを止める
1:ここが異世界の可能性、か……
2:オーグやジャックと協力して、彼らに火力を任せる。私はこれまで通りクルセイダーとして皆を守る“盾”になろう
3:私、オーグ、ジャックの仲間を優先的に探す。もちろん巻き込まれてないのが一番だが……みんなが居れば頼もしいことは否定出来ない

[備考]

【スターダスト・ドラゴン@遊戯王5D's】
ジャック・アトラスに支給。不動遊星の切り札。OCG出典ではないので普通に召喚することが出来る
制限は採用された場合、後続の書き手さんにお任せします

【琰魔竜レッド・デーモン・ベリアル@遊戯王OCG】
ジャック・アトラスに支給。
シンクロ・効果モンスター
星10/闇属性/ドラゴン族/攻3500/守3000
チューナー+チューナー以外のドラゴン族・闇属性Sモンスター1体
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分フィールドのモンスター1体をリリースし、
自分の墓地の「レッド・デーモン」モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを特殊召喚する。
(2):このカードが相手に戦闘ダメージを与えた時に発動できる。
自分のデッキ及び墓地から1体ずつ、レベルが同じチューナーを守備表示で特殊召喚する。

OCG出展なので単なるカードのはずだが、もし何らかの方法で召喚すればあるいは……?
最終更新:2026年02月16日 10:20