甘い香りのけものの森
- 発生(前回フェイズ6、強制イベントおよび休息処理後)
イベントスタート
『時限ミッション:甘い香りのけものの森』を発見しました
今回のイベントミッションの開放期間は2/17(水)~3/6(土)までです
甘い香りのけものの森
ハンターたちはいつものように森に訪れていた。
いつもの顔なじみの5人で、いつものように銃を肩に下げて。
狩猟に来ているというのに、好き勝手に喋りながらいつものように楽しんでいた。
森の奥で彼らが目にしたのは、茶色の獣だった。
頭の先から爪先まで、真っ茶色の塊である。
粘土質の泥の池に飛び込んで、そのまま外に出てきたかのような。
大きな牛か馬のようだったが、一色の塊で距離もありよく分からなかった。
とはいえ、森に生きる野生動物がきれいな毛艶をしている方が稀である。
ここまでではないにせよ、それは驚くべきことではなかった。
5人いたハンターの中の、誰かがそれに銃口を向けた。
楽しいハイキングモードから、すっとハンティングモードへと自然と移行する。
それはいつものことで、慣れた光景だった。
放たれた銃弾は獣のこめかみのあたりに見事に命中し。
そして、カーンと高い音を立てて潰れた弾丸が真上に跳ね上がった。
聞き慣れない音、いつもとは違う結果に皆の動きが止まる。
ここに至ってようやく、彼らの頭の中に危険シグナルが鳴り始めていた。
誰かが逃げた。それは最初に銃を撃ったのとは違う誰かだった。
それと、獣が大きな咆哮を上げて走り出したのとはどちらが早かったのか。
他の四人が逃げ出したのは、それよりは遅かったようには思う。
覚えているのは、茶色の塊の獣がすごい勢いで追いかけてきたこと。
全員で後ろに向かって適当に銃を乱射しながら走り続けたこと。
獣自身が、甘ったるい強烈な匂いを放っていたこと。
そして、チラチラと後ろを何度か確認しているうちに、茶色の獣が一頭ニ頭と増えて群れになっていたことだった。
命からがら逃げきって。
その後、森は立ち入りが禁じられ、彼ら5人を含むすべてのハンターは職を失った。
一刻も早い原因究明と解決を。それがハンターたちの願いである。
『マップ:[[熱狂のスイートフォレスト]]』を発見しました
熱狂のスイートフォレスト
銃弾が尽きるまで撃って、なんとか街に戻ってきた5人のハンター。
彼らは取るものも取り敢えず、役所に駆け込んだ。
5人揃って防寒対策のために目出し帽をかぶり、銃を構えたままであったので。
それで一騒動あったのだが、それはここでは割愛する。
彼らの訴えにより、すぐさま森への立入禁止が街中に言い渡された。
そもそもハンターなどが使うことがある程度で、街の人々が日常的に入るような森ではないこともあり。
この迅速なお達しによって、被害は彼ら以上に出ることはなかった。
だが、これで良かったという話ではもちろんない。
彼らハンターにとっては重要な狩場であり、封印して解決される問題は何一つない。
何より、それだけ危険なものを街のそばに置いておくことはできなかった。
立入禁止は外からの話でしかなく、内側から出て行くことを禁ずるものではない。
今回は森の外まで追っては来なかったが、これからもそうだと言える根拠はなかった。
森が封じられてから、(PC名)の到着までにすでに数日が経過している。
街にいたハンターたちは何度か、役所の許可を得て調査に入っていた。
彼ら自身の手で解決できれば。それを願ったが、力不足は明らかだった。
今や茶色の獣たちは、森の端から端までを自由に闊歩し森を支配していた。
チョコレート・クリーチャーズ
森に入るといきなり『甘ったるい匂い』が鼻を突き、脳に直接ガツンと来る。
顎の付け根のあたりがゾワゾワとして、実際に食べているような感覚だった。
案内役を買って出たハンターが、鼻と口を完全に覆うマスク姿で先行する。
彼は最初に襲われたハンターのうちの一人だった。
ガラン・ドミトフ。5人の中では最も若い、老人である。
あれから、彼が森に入るのは初めてだった。
後になってからあのときのことを思い返してみれば。
最初に森に足を踏み入れた時点で、甘い匂いはどこからか漂ってきていた。
よく熟れた果実でも近くに落ちて腐っているのか。
その時点では、思ったのはその程度のことだった。
だが今は、入口付近でさえ匂いは強い。
やつらが森を動き回っているせいで匂いも拡散しているのか。
それとも、甘い匂いを放つ根源のようなものが奥にあって、その匂いが増しているのか。
森を進むにつれて匂いも強まっていることから、後者の可能性が高そうだった。
先を進んでいたハンターの足が止まる。
そこは、最初に彼らが『茶色の獣』に出会った場所だった。
そしてそれは奇跡のようなものだったろう。
彼らが最初に放った弾丸。獣のこめかみに命中して跳ね返されたものが落ちていた。
潰れて変形した頭に、茶色の塗料のようなものがこびりついている。
男はそれを拾い、塗料のついた部分を指の腹で擦った。
乾いていたが、何度か繰り返すと指に移る。それに鼻を寄せて、嗅ぐ。甘い匂いがした。
「……チョレート。こいつはチョコレートじゃないか?」
甘いカカオの香り。森に漂うだだ甘いものとは違う。
弾丸にこびりついた茶色い塗料は、確かにチョコレートだった。
チョコレート・ファウンテン
それは幸運なことだったのか。あるいは仕組まれたのか。
茶色の獣たちに出会うことなく、(PC名)はその泉にまで辿り着いていた。
先程立ち止まった場所から、さらに森の奥である。
それを『泉』と呼ぶべきかは、正直迷うところだった。
中に溜まっているのは、茶色く濁ったどろどろの液体である。
泥の沼と呼ぶほうが適していそうだった。
泉と呼んだのは、先導してくれたハンターがそう言ったからである。
彼の記憶では、ここにあったのは美しく澄んだ水の泉だったのだ。
それが泥の沼となり、浮かんできた気泡が水面で弾けポコポコと沸き立っている。
そして、森全体に及ぶ猛烈な甘い匂いをこの泉が放っていた。
いきなり、どーんと泉が爆発して巨大な泥の柱が噴き立った。
ベチャベチャと泥が周囲の地面に巻き散らかされる。
こちらよりも泉に近い位置にいたハンターの老人がその泥をかぶり。
「ああ! あまい! あまい! すごいあまい!」
毒だったり、そういうことは幸いなかったらしい。
顔にかかって口にも入ったのか、その甘さに驚きそのままの言葉を叫んでいた。
「あまい! うまい! こいつぁチョコレートだ!」
弾丸にこびりついていたチョコレート。あれは茶色い獣から移ったものだった。
そして今、泥の泉が噴き出して受けたこれも、やはりチョコレートだった。
茶色い獣も泉の水も全て、甘い匂いを漂わせるチョコレートでできていた。
泉の中からチョコレートの泥に混じって、大きな塊が吹き上がった。
ドサリと重たい音を立てて地面に落ちる。そして、ゆっくりと塊が立ち上がる。
狼のようなしなやかな体と鋭い牙を持つ、全身にチョコレートをかぶった獣だった
見るからに雰囲気がおかしい。異常な興奮状態で、いきなり攻撃性を見せていた。
まあ、あんな場所から飛び出せば、そうなるのも分からなくはないが。
警戒しているとか、怒っているとか、そういうレベルではない。
鼻息荒々しく、気温がぐっと下がっている中で蒸気のように白い息を吹き出していた。
匂いの変化が、そのまま状況の変化を伝えてくれる。
周囲から押し寄せてくる甘い匂い。森にいたチョコレートの獣たちが集まってきていた。
(PT名)は何もしませんでした (行動ポイント残り1ポイント)
戦闘予告
チョコレートクリーチャーに遭遇した!
熱狂のスイートフォレスト
チョコレートの獣たちが集まってきて、茶色の泉の周りでの戦闘となる。
ますますあたりには甘ったるい匂いが強く立ち込めていた。
「くらえ!」
ハンターの老人が、泉の側にいた獣に向かって銃を撃つ。
銃弾は弾かれることなく、後肢に吸い込まれた。
貫通して、その向こうにあったもう一本の脚を吹き飛ばす。
砕けて破片が飛び散った。明らかにそれは、強度を落としていた。
バランスを失って、そのまま泉に向かって倒れ込む。
どろどろのチョコレートの中に落ちて沈んでいく。そしてしばらくして、爆発した。
異物を吐き出す。当たり前の機能のように、落ちた獣を空に打ち上げていた。
地面に落ちる塊。だがそれはもう動かない。
じわりじわりと血溜まりのように茶色い液体が広がって、それは溶けていた。
骨も皮も残らない。溶けていく。茶色い液体に戻っていく。
それはチョコレートを塗りたくった獣ではなく、チョコレートそのものだった。
泉に落ちる前から、以前に落ちてチョコレートまみれになった時からそうだったのか。
吹き飛んだ脚の欠片が残っているが、ただのチョコレート片にしか見えない。
おそらく、そうだったのだろう。
その強度が落ちているのは、チョコレートの体が溶けてきているからだった。
チョコレートの泉は水面がポコポコと沸き立っている。
沸騰しているわけではないが、それなりに温かいのは確かだった。
木々が多く風があまり流れないことで、この周囲は森の中では気温が数度高い。
もしかしたら、獣自身も激しく動くことで発熱しているのかもしれない。
彼らの体はもう、このあたりの温度に耐えられるものではなくなってしまっていた。
ハンターの老人は走った。
街に、他のハンター仲間たちに伝える必要があった。
奴らの弱点が分かった。倒し方が分かった。
『熱』こそが、チョコレートの弱点だったのだ。
イベントマップ『熱狂のスイートフォレスト』をクリア!
クリアボーナス
(PC名)はステータスボーナスを△△得た
甘い香りのけものの森
ハンターたちはそれぞれ『火炎放射器』と『放水銃』のいずれかを選び、手にとった。
炎でチョコレート溶かし、そしてその炎から森を守るためのものである。
放火と放水のコンビネーション。
2つの部隊に分かれた、それは完璧なフォーメーションだった。
やつらを探すのに、高性能なレーダー装置などは必要ない。
鼻を利かせばいい。自ら甘い匂いを放ち、喧伝しているようなものだった。
森全体を水浸しにしながら、見つけた茶色の獣に炎を向ける。
後には溶けた焼きチョコレートの残骸が広がるのみだった。
そうやって、ハンターたちは森に潜むチョコレートの獣を溶かしていった。
溶かし残しがあっても、それも時間の問題だろう。
もう一月もたたず、この森にも春がやってくるのだ。
チョコレートを充分に溶かしきる熱が、春とともに訪れるはずだった。
チョコレートの泉の周りに警備をつけ、森は再び開放された。
間違って落ちるものがいないように。
それでも何かあったときのため、火炎放射器と放水器を持った二人が警備についていた。
森は彼らに任せ、街は少し騒がしくなっていた。
街の広場。これだけの人が集まるのは、祭りの時ぐらいだろう。
その真ん中で、巨大な鉄鍋がグツグツと煮られている。漂う甘い匂い。
入っているのは茶色い液体で、それはあの泉から汲んできたチョコレートだった。
泉のチョコレートはどこから来たのか。
地面の下に巨大な塊が元々あり、溶けて染み出したのか。
誰かが想いと呪いを込めて投げ込んだ小さな欠片が、大きく育って膨れ上がったのか。
いずれにせよチョコレートはチョコレート。みんな大好きチョコレートである。
それが無限に湧いて出る、かどうかは分からないが、利用しない手はなかった。
そこで、試食会である。
集まった人々はみな手に柄の長いフォークを持ち、先っぽに食材を刺していた。
イチゴ、バナナ、マシュマロ、パン。
それぞれが思い思いの、チョコレートに合いそうなものを選んで準備していた。
鉄鍋に溶けたチョコレートに、食材付きのフォークを突っ込む。
イチゴやバナナにたっぷりと付けて、それを口に運んだ。
口々に、美味い甘い美味い甘いと絶賛の声が飛び交う。
試食会の終わりを待つ必要はない。会議を開くまでもない。決を採る意味もない。
泉は残し、管理し。泉のチョコレートは食べることに決まった。
チョコレートの泉は『フォン・デュー・チュアン』と名付けられ。
以降、多くの街の人や旅行者を楽しませたという。
甘くて苦いチョコレート。それは森の恵みとして、街を大いに潤したのだった。
ミッション『甘い香りのけものの森』をクリア!
クリアボーナス
(PC名)は魂塵を△△Ash得た
(PC名)はSPを1得た
(PC名)は『チョコフォンデュ串』を手に入れた
- フェイズ5
- フェイズ6
- 当日夜(休息処理後に表示)
甘い香りのけものの森
イベントは終了しました
現在位置、HP、疲労度がイベント開始前の状態に戻りました
イベント挑戦ボーナス
(PC名)はコスチューム『チョコレート』が修得可能になった
卵獲!エッグハンター
- 発生(前回フェイズ6、強制イベントおよび休息処理後)
イベントスタート
『時限ミッション:卵獲!エッグハンター』を発見しました
今回のイベントミッションの開放期間は4/14(水)~5/1(土)までです
卵獲!エッグハンター
エッグハンターとは名誉ある称号である。
誰しもが名乗ることはできる。
何の資格もいらない。権利もいらない。手を上げて、そうだと言えばそれでいい。
だが、それでエッグハンターと認められることはない。
名乗っても、相手にされず一笑に付されるだけである。
認められるには示さねばならない。
力を、腕を、知識を。名乗るに足る存在であると、大会で結果を出さねばならないのだ。
卵獲大会『エッグハント』にて、見せつけるのである。
エッグハンターたちの街『イースタンシェル』。
その目の前には、『[[カンブリア大爆野]]』と呼ばれる平原が広がっている。
見渡す限りの新緑の野っ原に、穏やかな川が流れ小さな湖なども点在している。
一年を通じて温暖な気候は今日も優しく、角のない丸い風が草花を撫でていた。
ただしそれは、1つの季節を除いてのこととなる。
狂騒の春。ただひたすらに慌ただしい、それは爆誕の季節だった。
動植物にとって天国と言える環境は、真なる天国を創り出しはしなかった。
爆発的に生まれ出る多くの命、過剰すぎるその数は混乱と争いを招く。
過酷で大規模な生存競争は、もはや戦争にも近い。
それはこの平原の中だけでなく、ときには周囲にも大きな影響を与えていた。
秩序のためにはコントロールが必要だった。
そこで始まったのがエッグハントであり、エッグハンターたちの誕生だった。
彼らは街を作り、ハンターズギルドを作り。
そして大会を作ったのだ。
今年も狂騒の春を迎えたカンブリア大爆野は爆発寸前である。
歴戦のエッグハンターたちとともに、エッグハントに参加してはどうだろうか。
人手はいくらあっても困らない。困らないぐらいに、『卵』は獲り放題である。
『マップ:カンブリア大爆野』を発見しました
カンブリア大爆野
穏やかな風が吹く。
僅かな湿気を含み、眠気を誘う温もりをはらみ。
新緑の草原をさわさわと揺らしながら、風がさわやかに駆け抜けていた。
ここには平和しかない。そう思わせる、優しさに包まれた世界だった。
だがそれも終わる。そんなインチキな世界は長くは続かないのだ。
バランスが崩れる。世界が壊れる。その瞬間は目の前だった。
『爆誕』と、エッグハンターたちは表現する。
爆発的な一斉孵化。
平原の至るところに産み落とされたタマゴが、ほとんど同時に孵るのだ。
そして、そこから土地と食料の奪い合いが始まるのである。
この器には到底収まりきらない量を一度に抱えることになる。
そうなれば需要が大きく供給を上回り、平原はパンクするしかない。
当然ながら、賄える量には物理的な限界があるのだ。
生き残りをかけた戦いになり、タマゴたちはふるいにかけられる。
だがそれだけなら、この土地でだけの話ならばまだよかった。
器を越えたものは、ふるいにかけられる前に溢れ出てしまう。
それらは近隣へと押し寄せ、そこでまた奪い合いが広がっていくのだ。
過去、それが最も大規模に起こった時。
この大平原だけを残し、周囲の環境は一変し数年間は生き物のいない土地になった。
ふるいが正しく機能し、戦いの勝者だけが生き残るこの場所はバランスを取り戻す。
だから今もこうやって『爆誕』の聖地となっているのである。
だが、周囲は限りなく破壊されてしまう。
敗北したものたちによる蹂躙。そこに秩序はなく、勝者の慈悲もなかった。
防ぐには減らすしかない。器の中に収まる程度に、コントロールするしかないのだ。
暁のエッグハンター
ニワトリの鳴き声が街中に響く。
一箇所からではない。街全体から、各家々から。
鬨の声のように、タマゴを産んだニワトリたちが夜明けを告げていた。
エッグハンターの朝は早い。
朝はニワトリ小屋でのタマゴの収穫から始まる。
ニワトリ小屋つき一戸建てがスタンダードである彼らの家では、当たり前のようにニワトリが飼われていた。
当たり前のように、ではない。当たり前なのだ。
エッグハンターがニワトリを飼わない道理はなかった。
そして朝食である。メニューは当然、タマゴ料理だ。
生でも焼いても茹でても煮ても良し。無限の可能性、無限の栄養。
それがタマゴであり、それを毎日食べているのがエッグハンターだった。
朝食が終われば、彼らは家を出て一所に集まってくる。
この街『イースタンシェル』を作り、管理運営しているエッグハンターズギルド。
その本部、通称『宮殿』と呼ばれる巨大な建物の前にある広場である。
ギルド長、ベネディクト・E・スコッチ。
見事なタマゴ頭を披露するこの男の前に、エッグハンターたちは一堂に会していた。
「行け! ハンターたちよ! カンブリアに秩序をもたらすのだ!」
ベネディクトの声が高らかに響く。
呼応する声はない。集まってすぐ言われて文句を言うものもいない。
静かな闘志だけを燃やし。彼らは『カンブリア大爆野』へと向かっていった。
卵々の黄昏
いよいよ爆誕が始まる。
その始まりを、『一番卵』という。
それを目にしたハンターは一年は卵に困らないというが、見たものはいない。
伝説のハンター、エディ・グレゴリオ・ガンドロフは見たと言い張ったが。
その年の正月にゆで卵を喉につまらせて死んだ。真偽は謎のままである。
今年もどれが『一番卵』か分からないまま。
気づいたときには爆誕が始まっていた。
実のところこの時点ですでに、多くのエッグハントは行われている。
産卵から孵化の間で、これまでにも毎日のように狩ってきているのだ。
だがそれでも足りない。そもそも数が膨大で、狩りきれないというのもあるが。
あらゆる場所にタマゴが隠されているのだ。
ハントされないように、産み増やす側も必死である。
しかもそれは年々巧妙になってきており、新しい狩り方の模索なども叫ばれていた。
ここまでで狩りきれなかったものたち、それらが生まれ『爆誕』を果たす。
その影響で、隠されていたタマゴも姿を見せていた。
一斉に生まれるとは言え、細かく見れば時間差はある。
未だタマゴのまま、狩れる個体は数多くあった。
だが、タマゴたちも黙って狩られはしない。
これは戦いなのだ。一方的な蹂躙ではない。生き残りを賭けた戦いだった。
(PT名)は何もしませんでした (行動ポイント残り1ポイント)
戦闘予告
爆誕タマゴに遭遇した!
カンブリア大爆野
『爆誕』を果たすタマゴたち。
その直前、その瞬間を狙って手が伸びる。
『カンブリア大爆野』に散ったエッグハンターたちが、次から次へと狩っていた。
彼らは様々な武器を使用していた。
槍や剣、斧などの近接武器。弓矢や銃などの射撃武器。
投網や長い柄のついた捕獲網などを持ったものもいた。
最もシンプルなのは、素手でカゴに入れていくストロングスタイルだった。
エッグハンターとは、タマゴを狩るものたちである。
孵化を完全に終えたものはハントの対象にならず、それらは『駆除』の対象だった。
自身や周囲に即座に驚異となる場合においてのみ、その範疇となる
その原則のため、彼らは急いで狩りを行う必要があった。
エッグハンターとして、その矜持を全うするために。彼らは戦っていた。
その手を逃れながら、タマゴたちは爆誕を目指す。
彼らハンターも、同じ巣で生まれた兄弟も、資源を取り合うライバルも関係ない。
全ては等しく、自身の生存を脅かす敵である。
生き残るためには、あらゆる敵をも利用しなければならなかった。
ハンターから生き残るために兄弟を、兄弟から生き残るためにライバルを。
そしてライバルから生き残るためにハンターを、その全てを使って生き残る。
同時多発的に起こす爆誕も、彼らなりの生存戦略だった。
持てる全てで殻を破る。それが彼らにとっての1つのゴールだった。
他の全てを犠牲にしても。
叶わず自身が犠牲になったとしても、それでつながる命がある。
全員が残る必要はない。誰かが残れば勝ちなのだ。それが自身であればなお良いが。
そんなことを祈りながら。
タマゴは殻を破り闇の中から光溢れる世界へと、生誕を果たすのだった。
イベントマップ『カンブリア大爆野』をクリア!
クリアボーナス
(PC名)はステータスボーナスを△△得た
卵獲!エッグハンター
大宴会が始まっていた。
ハンターズギルドが定めたエッグハントのルールはいくつかあるが、その代表的なものが1つある。
それは、仕留めたタマゴは全て狩ったものが食べるということである。
もちろん、そのルール通りにハンターが一人でというのは無理な話だ。
エースハンターともなれば、それだけで店を開けるほどの収獲になる。
実際には家族や友人知人、ご近所さんなどの範囲で食べるということであり。
最終的に、狩ったものは残さず食べる、ということだった。
ハンターズギルド本部『宮殿』の前広場で行われる大宴会。
エッグハントに参加したハンターたちはもちろん、その家族や見物客など数多く集まっていた。
調理などはその場で、テントや屋台で行われている。
煙と匂いを撒き散らし、人を集めたり遠ざけたりしていた。
様々なタマゴ料理が皿に盛られ、広場に並べられた机の上を彩っている。
よく口にする定番のものから、見たことのない料理もあった。
さらにはゲテモノに類するものまであり、だがそれももちろん食べるのである。
さらには毒のあるものは、塩漬けにするなど毒抜き処理をして後日食卓へ。
可能な限り、そして不可能は可能にして、全て腹に収めるのだった。
宴会場の一角に、『新作試食会場』というのがあった。
新たな調理方法を試みたものもあるにはあるが、その多くは新たな『食材』である。
『カンブリア大爆野』では、毎年のように新たなタマゴが発見される。
どこからか流れてくるのか、積極的に混血が行われているのか。
毎度見つかるそれらを、何としてでも食べるのがエッグハンターだった。
食える代物か、どうすれば食えるようになるのか。
試行錯誤故に、当たり外れはとても激しい。いや、言い直そう。外れが多い。
それを食えるものにする。レシピの考案も彼らの仕事だった。
チャレンジ精神に溢れ、フロンティア精神を尊び、そして胃腸が丈夫。
それこそが何よりエッグハンターに求められる、三大資質なのだった。
ミッション『卵獲!エッグハンター』をクリア!
クリアボーナス
(PC名)は魂塵を△△Ash得た
(PC名)はSPを1得た
(PC名)は『エッグハンターライス』を手に入れた
特別ボーナス
(PC名)は魂片:『ハンティングエッグ』を手に入れた
卵獲!エッグハンター
今回のイベントは終了しました
現在位置、HP、疲労度がイベント開始前の状態に戻りました
サヨナラジューンブライダー
- 発生(前回フェイズ6、強制イベントおよび休息処理後)
イベントスタート
『時限ミッション:サヨナラジューンブライダー』を発見しました
今回のイベントミッションの開放期間は6/9(水)~6/26(土)までです
サヨナラジューンブライダー
サルジット王国の王太子ロマンシア・オマール。
星慶祭国の皇女カグヤ・イセ。
二人の婚約が決まったのは王太子10歳、皇女11歳のときだった。
これは政略結婚のようなものではない。
二人はとあるパーティで出会い、どちらからともなく幼心に恋に落ちた。
そのまま二人の意思は国主へと伝わり、両国間で縁談が組まれる。
将来を約束された二人の婚約は、あらゆる全てに祝福されていた。
それから十年が経過した。
王太子20歳。皇女21歳。
ついに、結婚の儀を執り行おうかという話が出始めた。
だが、十年という歳月はあまりに長く。
それを長過ぎると心底感じられるほど、十年前の彼らは若かった。
お互いの心変わり、双方合意の破談。
一方的に恥をかかされると言ったこともなく、そもそも婚約自体が大きく発表もされていなかったこともあり。
全く何もモメなかった、ということもありえないが。
比較的スムーズに、結婚は白紙となり婚約も解消になった。気持ちの上では。
婚約解消。それは言葉や、書類一枚で済む話ではない。
『婚約破棄の儀』を行う必要があったのだ。
十年前に行われた『婚約の儀』によって、洞窟奥の祭壇に置かれた『婚約指輪』。
それを破壊しなければならなかった。
かつては子供だった彼らでも行ける場所だったが、今は魔物の巣窟となっている。
だが伝統により、この儀式には両国の関係者は手を貸すことはできないのだ。
若き王太子と皇女の、最初で最後の共同作業。
介添人として、彼と彼女の助力を願えないだろうか。
『マップ:[[縁結びのシャフリーヤ祭洞]]』を発見しました
縁結びのシャフリーヤ祭洞
サルジット王国と星慶祭国の境界。
わずかに星慶祭国に近い場所に洞窟はある。
両国の間には小さな山がそびえ、その麓に入口があった。
山は王国側からは『聖レーア山』と、祭国側からは『星霊臥山』と呼ばれる。
どちらにとっても特別な存在で、両国の縁談に祭場として使われるにはふさわしい場所だった。
2つの国の間で行われる婚姻は、今回が初めてではない。
今回のそれは破談となってしまったが、過去には何度か実際に成婚に至っていた。
存命の人物で言えば、祭国の皇女カグヤの曽祖父はサルジット王国出身であり。
現在のサルジット国王の大叔父に当たる人物だった。
その婚姻の際にも、この洞窟は使われた。
遡れば他にも数度あったという。
皮肉なことに、ではあるが。
両家の親密さ、距離の近さが王太子と皇女の思いつきのような婚約とその破棄をともに可能にしたとも言えた。
『シャフリーヤ祭洞』。
過去に行われた儀式に則り、10年前に彼らはこの洞窟の奥に指輪を納めた。
本来は婚姻時に『結婚指輪』を納めるが、子供だった彼らは『婚約指輪』を用いた。
予定通りなら、それを取りに行って婚姻の儀を執り行い、改めて結婚指輪を納めることになる。
そのはずだったが、ならなかった。
今回彼らが行うのは、使う予定のなくなった『婚約指輪』の破壊だった。
最強だったふたり
実に3年ぶりの顔合わせとなった二人。
事情が事情である。なんとも気まずいものになる、と思いきや。
二人の表情、そして足取りは軽く。なんともサバサバとしたものだった。
「別に、喧嘩別れってわけじゃあないからね」
先頭を歩く、サルジット王国の王太子ロマンシア・オマール。
金色の髪は、薄暗い洞窟の中でも輝いている。
力強い印象はないが、将来的な彼の立場を考えればそれに似合った気品があった。
一方彼女は、こちらを挟んでさらに後方を歩いている。
開いた距離が、そのまま二人の心の距離というわけでもなく。
入り口のところで見送ってくれた両国の兵士たちに見せる、分かりやすいポーズのようなものだった。
喧嘩別れではない。両者に断絶があるわけでもない。
それでも、二人は終わったということを見せつける意味はあった。
そのための3年だったのだ。これは何年も前から二人で進めていた『儀式』だった。
星慶祭国の皇女カグヤ・イセ。
彼女は落ち着いた様子で、全員の最後尾をついて歩いている。
「本人も周りも少し盛り上がりすぎた。というところでしょうね」
「オママゴトで済ませられる立場でもないのにね」
スラリとした体型で、細かな所作も美しく実際の年齢よりも随分と大人びて見える。
声色は冷たいが表情は柔らかい。振り返る王太子に、そう笑顔で返していた。
ヴァージンロード・デストラクション
洞窟の中は話通り、魔物の巣窟と化していた。
とはいえ、単独の種が大量に巣食っているというわけではない。
大抵はつがいとなり、洞窟の中に巣を作っている。
洞窟内の掃除も、頼まれた仕事の1つだった。まあ、ついでというには仕事量が多すぎる気もするが。
洞窟の奥にあるという祭壇まで、それほど距離があるわけではない。
当時10歳だった彼らだけでも、行って帰ってできる程度のものである。
洞窟とは言え道も広く、一本道で迷うこともなかった。
「もうすぐそこだよ」
天井を見上げて、ロマンシア王太子がつぶやく。
そこから先はつららのように、頭の上には鍾乳石が垂れ下がっていた。
奥のそのあたりは鐘楼洞と呼ばれる、左右に少し開けた場所だった。
リィン。と鐘楼洞に鈴の音が鳴る。
道順からは少し外れた空洞の隅あたりで、鍾乳石が落ちて地面で割れた音だった。
石のはずが、割れると綺麗な鈴の音が鳴る。
音階があり、連続していくつか落ちればそれは音楽のようだった。
奏でられる曲。その名前は知らない。
祝福の音か、呪詛の音か。それすら、分からなかった。
(PT名)は何もしませんでした (行動ポイント残り1ポイント)
戦闘予告
つがいなるものに遭遇した!
縁結びのシャフリーヤ祭洞
『シャフリーヤ祭洞』というのは、サルジット王国側からの呼び名である。
星慶祭国はこの場所に名前をつけていない。
それどころか、皇家にとって神聖な契りの地として存在ごと隠されている。
国内の地図には、禁足地として『星霊臥山』と書かれているだけだった。
そんな場所を、管理を怠り『つがいの魔物』たちに占拠されてしまった。
婚約破棄などよりも、こちらのほうが問題だと言うものも皇家内にはいたという。
おそらくそれが、この洞窟に入る際に(PC名)に強く『洞窟内の魔物の掃討』を要望してきたものたちなのだろう。
「お互いの好みがね。変わってしまった、ということなのよ」
道中、皇女カグヤの方からこの破局の端的な理由を語った。
ロマンシア王太子は、仕方ない、と言うように肩をすくめる。
「俺は胸と尻がでかい女が好きなんだ」
「私も大胸筋と大臀筋が大きい男性が好きなので」
お互いに言い合って、笑う。これまで何度も口にした言葉のようだった。
鍾乳石が落ちて砕けるたびに、高らかに響く鐘の音色。
その歌に送られながら、二人は鐘楼洞を進んでいく。
これまでと違い、ここでは二人が横に並んでいた。
王太子が歩幅を縮め、同じ速度で歩く。
(PC名)はその後方をゆっくりと、少しずつ離れながら歩みを進めていた。
奥には祭壇があった。その手前で二人は足を止める。
天然のものを利用して、少しだけ手を加えたものである。
横長に四角く切り出された石の祭壇。それ自体は高さは数センチほどしかない。
その上に、天井からぶら下がっている鍾乳石と同じものが地面から伸びていた。
曲がることなく太ることなく、竹のようにまっすぐ真上に突き立っている。
それらがいくつも、狭い祭壇の上に作られていた。
綺麗に並んでいるわけではないが、ぶつかったり邪魔したりすることなく。
20センチほどに高さも揃えて、その多くに『指輪』が掛けられてた。
細長いそれに掛けられた指輪は、真ん中のあたりで止まっている。
状態やデザインから、作られた年代はそれぞれでかなり幅がありそうだった。
「ここはうちとカグヤんとこの家とで、共同で使ってるんだよ」
「歴代の結婚指輪が全部納められてる。両家の婚姻ってなると、数は少ないがな」
祭壇を前に、王太子が軽く振り返る。
二人見合うように、カグヤも同じ側からこちらに顔を向けた。
「そのうちの一つになるはず、だったのだけれどね」
誰に向けたものかもわからない、少しばかりの皮肉。
それに彼女は自身で思わず笑い、つられて彼も笑っていた。
イベントマップ『縁結びのシャフリーヤ祭洞』をクリア!
クリアボーナス
(PC名)はステータスボーナスを△△得た
サヨナラジューンブライダー
「じゃ、やるか」
ひとしきり、笑い合って。二人は視線を前に、祭壇へと向けた。
祭壇にある、鍾乳石に刺さった指輪を1つ抜き出す。
それは彼と彼女とが、十年前に二人でここに来て置いたものだった。
二人で買った、シルバーのリング。
十年間、誰かが磨き続けたかのようにいまだ美しく輝いている。
それを祭壇の上、鍾乳石のない平らな場所に置いた。
王太子が右手のひらを上にして前に出し、それに皇女が左手を重ねる。
握りはしない。乗せるだけ。受け止めるだけ。それだけのつながりだった。
そして、皇女カグヤの空いた方の手には、打撃面が尖ったハンマーが握られていた。
「いくわよ」
彼に、そして自身に言葉をかけ、彼女はハンマーを指輪に叩きつけた。
ガギッ、と鈍い音がして指輪がわずかに曲がる。
叩き終えた彼女に男が顔を向け、小さな笑みを浮かべながら左手を差し出した。
受け取ったハンマーを、同じように指輪に叩きつける。今度は鋭い金属音が響いた。
最初からそこに切れ目でも入っていたかのように、指輪は二つに割れた。
自慢げな笑みを浮かべながら、王太子はその片方を掴み上げる。
彼女の方もその片割れを拾い、右手に優しく包み込んていた。
「これで、ようやく元通りってことだな」
「そうね。しばらくは、それでも距離は置いておいたほうがいいでしょうけど」
言い合って、手を離す。
彼女のほうが『帰りましょうか』と笑顔でこちらに告げ、来たときと同じように。
王太子を先頭に、(PC名)を挟んで彼女を最後方に帰り道を戻り始めたのだった。
洞窟の外に出ると、いつのまにか夜になっていて月が輝いていた。
満月が赤く染まっている。
それを二人で見上げて瞳に映し、最後に目を合わせ、背を向けて歩きだした。
それぞれの、国の兵士たちが待つ方へ。
どういう反応を、表情をして待っていればいいか分からなかった彼らは。
なんとなくざわつきながら、無駄に大きな声を上げて帰国の行進を始めていた。
ミッション『サヨナラジューンブライダー』をクリア!
クリアボーナス
(PC名)は魂塵を△△Ash得た
(PC名)はSPを1得た
(PC名)は『パラダイスプローン』を手に入れた
特別ボーナス
(PC名)は魂片:『鍾乳指輪石』を手に入れた
- フェイズ5
- フェイズ6
- 当日夜(休息処理後に表示)
サヨナラジューンブライダー
今回のイベントは終了しました
現在位置、HP、疲労度がイベント開始前の状態に戻りました
手向けの花火を打ち上げろ
- 発生(前回フェイズ6、強制イベントおよび休息処理後)
イベントスタート
『時限ミッション:手向けの花火を打ち上げろ』を発見しました
今回のイベントミッションの開放期間は8/4(水)~8/21(土)までです
手向けの花火を打ち上げろ
湖の中に浮かぶ島。
その島には名前はなく、ただ『島』とだけ呼ばれている。
海は遠く、また湖の中に島は一つしかない。
このあたりの人々にとっては、『島』というだけでそれと特定するには充分だった。
湖は東西に4,5キロほどあり、南北にはもう少し長い。
かなり大きい湖であり、島が他にも2つ3つあってもおかしくない程である。
広い湖の唯一の『島』は、中央から南寄りに浮かんでいる。
その目の前となる対岸に、『カムロ村』はあった。
カムロ村はこの湖で魚や貝などを採って暮らす漁村である。
小さな村であるにも関わらず、申し訳ないが不釣り合いと言ってしまうが。
それほどの大きな規模で、夏の夜に花火大会がこの村で行われる。
湖の中の島から空に向かって、1万発以上の花火が打ち上げられるのだ。
日付が変わる頃に一発目が上がり、そこから夜明けまで続く。
音も光も派手ではあるが。それは鎮魂の祈りを込めた、弔いの花火だった。
島に名前がないのには、固有名称が必要ないというのともう一つある。
その島は村にとっての墓地であり、祈りと祀りの場所であり。
聖域として、名付けを避ける意味合いもあった。
弔いのための花火大会。それが今年は未だ行われていない。
村人の多くが隣町のフェスに行ったり、夏祭りを行ったり。
とどめに季節外れの嵐が来たことで、花火の日程が大きく遅れてしまった。
その結果。弔いを無視された死者たちは目を覚まし、島に溢れ出していた。
少し花火が遅れたからと、蘇ってくる方もどうかとは思いながらも。
それを口にする村人はおらず、自分たちの行動を悔いていた。
すべての死者が彷徨い出る前に、そして目覚めた彼らを再び眠りにつかせるために。
島で花火を上げなければならない。
そのためには、まずは島を彼らの手から取り返さなければならなかった。
『マップ:[[トウゲンソウ湖と花火島]]』を発見しました
トウゲンソウ湖と花火島
トウゲンソウ湖。
南北に長い形をしており、中央部では20メートルを超える水深を誇る。
澄んだ水が美しい、数多くの魚が泳ぎ様々な動植物が暮らす湖である。
湖の畔、島を正面に見る場所にカムロ村はあった。
家々の多くは水辺に隣接して建ち、建物の先端は水上に乗り出す形になっている。
家屋の一部がそのまま船着き場となり、木造の小舟が停泊していた。
湖に突き出した部分は、柱が水中に浸かっている。
それはここが湖であるというのが、理由としては大きいのだろう。
海水ではなく淡水であり、また潮汐がなく水面が上下したりはしない。
風の影響で多少の波はあるが、家に浸水するほどのことはまずなかった。
だがその湖のそばに立つ家々のいくつかには、壊れている箇所があった。
湖側に突き出した部分の柱が折れ、一部が水中に没したものや。
係留していた舟が離れた湖上に浮いている家もある。
そして何がどうなったのか、屋根の上に舟を乗せた家が一軒だけあった。
それらはおそらく、先日この辺りを通過した嵐による傷跡だろう。
ただ、村全体の雰囲気としては暗いものではない。
そういう気質なのか、土地柄から慣れたものなのか。
明るく元気に朗らかに、訪れた(PC名)には笑顔を向けてくれていた。
とはいえ人の気質のせいばかりでもなく、修理は全く進んでいない。
その原因は、目の前の湖に浮かぶ島にあった。
生者は祈る
花火で有名な村と聞いて、良く言えば威勢がよく、悪く言えば荒々しい。
そのようなものを想像していたが、実際のところはそうでもなかった。
漁村でもあるので活気は大いにあるのだが。
出迎えてくれた人々は、荒くれ者という印象はなく気のいい感じだった。
「よく来てくれたなあ。今日のために、立派な舟を用意したぜ」
壊れた家々の修復についてはおそらく後回しにして。
(PC名)のために、岸から島へ向かって伸びた桟橋にそれが用意されていた。
シジミ採り名人と名高いらしい彼が案内してくれた桟橋。
それは村に唯一ある桟橋である。そこに、『立派な舟』が泊められていた。
この村に住み居を構える村人は、全員が自前の舟と係留場所を持っている。
だから、基本的に桟橋などは必要ではない。
客用に置いてあるものだが、普段は子どもたちが飛び込み台に使うぐらいだった。
そこに泊められた舟。木製で、彼らが普段漁に使うものよりは一回り以上大きい。
中央部に四角い屋根付きの構造物が乗っかっている。それは神輿のようだった。
飾り付けられた神輿。小さな神殿がそのまま船に乗っているようである
今回のため、夏祭りで使った神輿を用いて特別に作ったものだった。
「こいつで島に乗り込む。祭りだからな!」
バンバン、と神輿の屋根を叩く。罰当たりな気もするが、よそ者が言うことでもない。
何にどのような想いを乗せるかは、彼ら自身が決めることだった。
左右を見ると、自身の家から出航しようと準備をすすめる舟がちらほら見える。
積み込んでいるのは花火である。
(PC名)の出航。それを皮切りに、彼らの弔いが始まろうとしていた。
死者は踊る
トウゲンソウ湖に浮かぶ島。
島の真ん中には慎ましやかな森があり、そこには多くの動物達が暮らしている。
その森を抜けた更に中央に、彼らの作った小さな社と墓地がある。
そこを中心に、島全体が今は姿を大きく変えてしまっていた。
島は死者たちの徘徊する魔窟となっていた。
跋扈している死者は人のものだけではない。
この島で死んだ、あるいは湖で死んだ動物たちの残滓もまた漂っていた。
森に暮らしていた生者たちも、すでに死者へと成り代わっているものもいる。
取り憑かれ、取り込まれ。その一部となってしまっていた。
(PC名)が上陸を果たすと、何を嗅ぎ取ったのかぞろぞろと森から姿を見せ始める。
死者たち。あるいは死者に取り憑かれたものたち。
閉じられた島に現れた新たな生者たちに、彼らは歓喜の声を上げていた。
「お願いします!」
背中に、湖の上から声がかかる。
自分たちの舟でやってきた他の村人たちが見守ってくれている。
彼らは湖上に浮かべた舟の上で、上陸と打ち上げの準備を進めていた。
「じゃあまあ、とりあえず一発かましとくか」
(PC名)の舟の船頭をしてくれた男が、大きな筒を担いで島に降り立った。
自身の身長の半分ほどある竹筒を抱えるように構えて、その砲口を空に向ける。
その口に、火種を放り込んだ。
本物の大砲のように、どーんと爆発音が鳴って。
竹筒から大玉が空に打ち出された。数十メートル上がって、弾ける。
手持ちのものであり、高さも威力もおとなしい。
それでも、まだ明るい時間帯でもあっても、一瞬は見とれてしまう美しい花火だった。
(PT名)は何もしませんでした (行動ポイント残り1ポイント)
戦闘予告
弔火なき死者たちに遭遇した!
トウゲンソウ湖と花火島
彷徨い出た死者たち。
死者としての体を持っていたもの。それすら失っていたもの。
生者の体を借りたもの。奪ったもの。
様々な死者が、逝き損ねた残骸が花火を待ちわび島に溢れ出ていた。
島の中心には社と墓地があり、その周囲には森が広がる。
湖との境界線には小さな砂浜が取り巻き、ほんの僅かな波が寄せていた。
その短い砂浜から、死者たちを森へと追いやった。
そこで、先に上陸していた船頭の男に続き他の舟も砂浜に乗り込んでくる。
肩に大筒を乗せ、別の男は巨大な花火玉を両手に抱えて。舟から島へ、花火師たちは動き出していた。
砂浜に並べられた3つの大筒。
抱えた花火玉がちょうど収まるサイズの、銀色に輝く筒が三分の一ほど砂に埋まった状態で空を向いていた。
その中にそれぞれ花火玉をセットする。
それが先行する彼らが今仕掛けられる、最大のものだった。
「点火ぁ!」
船頭の男が叫んだ。
その声で、花火師たちが並んだ金属の大筒の口に火種をポンポンと放り込んでいく。
そして、いきなり笛を吹かれたビーチフラッグスのように。
彼らは砂浜を走り、頭の中でカウントをして、最後は頭から砂の上に飛び込んだ。
カウントゼロで、花火が打ち上がる。
3つが連続してぽんぽんぽんと、僅かにタイミングをずらして空に上っていった。
トンビの鳴き声のような音につられて、それを目で追ってしまう。
それはおそらく、自分たちだけではなかったのだろう。
この場にいたもの。死者たちも、そしてそれを打ち上げた花火師たちも。
皆が、空へと一直線に駆け上がっていく花火玉を見上げていた。
そして空で花開く。色も形もそれぞれ違う、大輪の三花。
一瞬のことだったはずだが、随分と長い時間見ていたような気もする。
暗く戻った空から視線を下ろすと、それを見ていた者たちのなかで死者たちの姿だけが消えていた。
使っていた体も遺ってはいない。綺麗サッパリ、消えていた。
イベントマップ『トウゲンソウ湖と花火島』をクリア!
クリアボーナス
(PC名)はステータスボーナスを△△得た
手向けの花火を打ち上げろ
砂浜で打ち上げられた3発の打ち上げ花火。
それを手始めに続々と花火が島に持ち込まれ、順に打ち上げられていく。
いつの間にか完全に日も暮れ、夜空を美しい打ち上げ花火が彩っていた。
例年では、日付が変わった辺りから花火大会は始まる。
それがずいぶん早い時間帯から始まることになり、だがその分早くに終わるというわけにはいかなかった。
夜明けまで、日の出まで。夜空を花火で染め続けるのだ。
だからそのために必要な花火の量は、いつもの比ではなかった。
彼らカムロ村の村人はそのほとんどが漁師であり、花火師でもある。
彼らは花火を打ち上げながら、島へどんどん運びながら。
そして、必要量が大幅に増えることになった追加の花火を作っていた。
幸い材料については予備が充分にあった。
秋祭りに使うためのもので、それはそれでいずれ補充はしなければならないが。
作成の時間さえ間に合えば、量を確保することはできそうだった。
村人みんなの力で、それこそ祭りのように、騒いで慌てて。
弔いのための花火大会は始まり、終わりまで彼らの手足は止まりそうになかった。
そんなこんなで、村人の殆どは花火作り、輸送、打ち上げに掛り切りになっており。
実際にこの花火を見ているものは少ない。
(PC名)を除けば、村の子供たちぐらいである。
姿を消した島の死者たちが見ているかどうかは、信じるしかなかった。
村に唯一ある桟橋のところに集まって、島とその真上に上がる花火を眺める。
大きな音と、弾ける光。空の花と、湖に映る花。
それに混じって時折、子供たちが湖に飛び込む音が聞こえていた。
ミッション『手向けの花火を打ち上げろ』をクリア!
クリアボーナス
(PC名)は魂塵を△△Ash得た
(PC名)はSPを1得た
(PC名)は『クリアボーナス食料』を手に入れた
手向けの花火を打ち上げろ
今回のイベントは終了しました
現在位置、HP、疲労度がイベント開始前の状態に戻りました
イベント挑戦ボーナス
(PC名)は『水着チケット2021』を手に入れた。体防具『水着』『魔水着』と1度だけ交換できます
(PC名)はコスチューム『花火師』が修得可能になった
オクトパスフェスティバル
- 発生(前回フェイズ6、強制イベントおよび休息処理後)
イベントスタート
『時限ミッション:オクトパスフェスティバル』を発見しました
今回のイベントミッションの開放期間は9/29(水)~10/16(土)までです
オクトパスフェスティバル
港町『バルトロスト』は海沿いにある大きな街である。
多くの船が絶えず出入りする広い港を抱え、漁業と海運によって栄えていた。
今言った港は街の北側にあるのだが、西側には浅い岩礁地帯が広がっている。
こちらには大きい船は近づくことは出来ないが、小さな漁船にとっては良い漁場である。
座礁の危険はあるものの満潮時には船で、干潮時には剥き出しになった岩礁に陸から渡るなどして。
町では馴染みの漁場として使われていた。
もともと干満の差は激しいのだが、年に数回、強烈なものがこの岩礁に訪れる。
満潮となった状態から、ごく短時間で一気に潮が引くのだ。
それによって出来上がったいくつもの潮だまりに、多くの魚などが取り残される。
それらを捕るには、釣り竿も罠も網も何も必要ない。
バケツだけあればいい。手で拾って入れる、それだけで充分だった。
その年数回ある『超引潮』の1つが、秋口となるこの季節に起こるのである。
そしてそれは他の季節に見られるものとは、潮が引いた後の風景が大きく違っていた。
潮だまりに取り残される魚介類、その種類が極端に少なくなる。
ほぼ、たった1つの種類に。それは『タコ』だった。
普段は様々な種類のものが見られる海だが、なぜだかその時期、その日だけはタコに埋め尽くされる。
一種類とは言ったが、タコの種類そのものは豊富である。
ここでしか見られないような固有種などもあった。
採れ過ぎなぐらいに大量に採れるタコ。
初めそれは、あまりの大漁具合に供養のために始まったとされる。
タコを祀り、感謝と弔意を示して食す。
そしてそれは現在、『オクトパス・フェスティバル』として大きな祭りとなっていた。
『超引潮』の起こる新月の日は近い。
その日にタコの捕獲は行われ、一日掛けてその大量のタコの調理が行われる。
オクトパス・フェスティバルは翌日の開催となり、料理がなくなるまで続く。
年によって数日前後することはあるが、例年通りなら概ね3日ほどの開催期間だった。
フェスティバルを心から楽しむには、やはり捕獲から参加すべきであろう。
それでこそ食の喜びを得られるというものである。
難しい技術はいらない。高性能な道具もいらない。
タコを手づかみできる心と腕の強ささえあれば、その身1つで充分である。
『マップ:[[食べ放題の潮だまり塩湖]]』を発見しました
食べ放題の潮だまり塩湖
港町『バルトロスト』には2つの顔がある。
北側にある港を中心とした、先進的な『港湾都市』としての顔。
そしてもう一つは、それ以外の、特に西側を中心とした『下町』である。
これら2つの顔は、普段は混じり合うことはない。
いがみ合っているということはないが、生活圏として完全に分かれていた。
それが一年に一度一つになり、そしてそれだけで一年分の町の分断をなかったことにしてくれる。
それこそが『オクトパス・フェスティバル』だった。
『超引潮』は新月の夜、その明け方に起こった。
地上を襲う津波、それを逆回しで見ているかのように。
海との境界線が一気に遠ざかり、水位とともに引き下がっていく。
そのままの意味でのあっと言う間に、多くの岩礁が姿を見せていた。
本来なら海に沈んでいるはずの海底が顕になる。
剥き出しの岩礁地帯は数十メートル先まで続き、デコボコの岩の隙間にだけぽつぽつと海水が取り残されていた。
一面に作られた、いくつもの『潮だまり』。
それらは深さこそないが、大きなものではちょっとしたプール程度はあろうか。
明け方、朝日に照らされて。
潮だまりの中を跳ねる、多くの生き物の姿があった。
オクトパス・フェスティバル。その前夜祭。
本祭りに供されるタコたちの、掴み取り大会が始まろうとしていた。
オクトパス・オクトーバー
『海の悪魔』などと、それが呼ばれていたのは昔の話である。
ブヨブヨの体に骨はなく、その殆どが筋肉で出来上がっている。
ズタ袋のような胴体から八本の手足を生やし、それらがウネウネと気味悪く蠢く。
その手足には強力な吸盤がびっしりと並び、張り付かれれば簡単には取れない。
海上で船に抱きつき、そのまま沈められた逸話なども残っているらしかった。
そんな伝説と奇妙な外見とも相まって、『海の悪魔』と呼ばれた要因になっている。
だが、今ではそんな話は信じるものもいない笑い話であり。
かつて悪魔と呼ばれた存在も、いまやただの食材でしかなかった。
恐れは勝利によって取り払われる。
生物同士の勝敗とはつまるところ、取って食うということである。
一度食ってしまえば、食べる相手となれば恐怖することはない。
しかもそれが美味いとなれば、もはや忌避する理由は何もなかった。
夜明けの海岸に、目がタコマークになったような住民が集まっている。
昨夜の新月を見て、彼らには『超引潮』が起こることは分かっていた。
夜明けとともに始まる前夜祭、そして明日は本番である。
そのために、潮だまりに取り残されたタコを獲って採って捕り尽くす。
気合で眠気を吹き飛ばし、ギラつく目つきで剥き出しの岩礁を見つめていた。
いつまでも見つめ、足は進まない。
想像していたものと様子が違っていたからである。
潮だまりを跳ねる生物。それは、タコではなかった。
育った足の数が違うから
夜明けとともに海岸に集まってきていた人々の目に、その光景が飛び込んでくる。
朝日に照らされて、ゆっくりとその全景が明るく広がっていった。
大小様々な潮だまり、そこにいたのはタコではなく。
タコのような、あるいはタコとは程遠い。そのようなものが大量に打ち上がっていた。
「違う! タコじゃない! こいつらタコじゃないぞ!!!!」
身動きができず皆が固まっていたところに、一つの声が轟く。
それを皮切りに、バケツを手に集まっていた人々が一斉に騒ぎ始めていた。
「あ、足が、足が八本じゃない!!!!」
「多い! 多いぞ!」
潮だまりの1つ、そこにいるタコに似た生物を指差す。その足は十本を数え。
「い、い、イカだーーーーーー!!!!」
イカだった。
「おい。あっちは足が八本だぞ。あれはタコじゃないのか」
「いや、よく見ろ! 全身が硬い殻に覆われてるぞ!」
また別の潮だまり、別の住民たちが。
それぞれに見つけたもの、思いついた言葉をそのまま発していた。
「か、か、カニだーーーーーー!!!!」
カニだった。
あちこちで似たようなやり取りが行われ、叫び声が上がっていた。
その声が、一つの声で一旦掻き消される。それは最初に叫んだ男の声だった。
「奥を見ろ! なんだあれは!」
おそらく、それを目にしたのは彼が最初だったわけではないだろう。
目撃して、言葉を失っているものも多くいた。その中で声を上げたのが彼だった。
顕になった岩礁地帯の一番奥に、広いプールのような潮だまりができている。
溜まった海水の深さは膝下ほどしかないが、そこで巨大な塊が蠢いていた。
『ダイオウイカ』と『タイテイダコ』が組んず解れつ。
二匹合わせて十八本の手足を複雑にからませて、戦っているのかそれとも別の何かをしているのか。
とにかく巨大な塊が2つ、潮だまりの中でぶつかっていた。
「急げ! タコを探せ!」
誰かが叫ぶ。それは誰の声だったのか。
我に返ったものから順に動き出す。潮だまりに、数は少ないがタコはいる。
救い出し、バケツに放り込むには邪魔者を排除せねばならなかった。
(PT名)は何もしませんでした (行動ポイント残り1ポイント)
戦闘予告
神無月の略奪者に遭遇した!
食べ放題の潮だまり塩湖
潮だまりに現れた、『タコ』ではない、足の多いだけのものども。
目的はあくまでタコであり、それ以外のものはお呼びではなかった。
お呼びじゃない、と言われても彼らとしても承服はし難いだろうが。
彼らもまた、『超引潮』によって取り残された被害者ではある。
知ってか知らずか沿岸の岩礁地帯に来て、引潮に巻き込まれた。
いや、巻き込まれ損ねた結果、ここでこうして目の敵にされているわけである。
時期を間違えたのが彼らの落ち度だった。
遠くの潮だまりで戦う、二匹の巨大生物。
『ダイオウイカ』と『タイテイダコ』。要はでかいイカとでかいタコである。
合計十八本の触手が絡み合い、矢印のような頭とズタ袋のような頭をぶつけあう。
打撃も絞め技も、お互いに効果はあまりない。
ただスタミナだけを浪費していく。花も実もない、削り合いだった。
その決着は、順当といえば順当な、意外と言えば意外な。
腕が2本多い分イカが有利ということもなく、同時ノックアウトという形で終わった。
絡まっていた腕が解け、両者ゆっくりと後ろに倒れる。
浅い潮だまりの中で小さな水しぶきが上がっていた。
その決着に、大きな歓声が上がった。
集まっていた住人の多くの手はすでに止まり、その戦いの行方を見守っていたのだ。
手に下げたバケツの中には、イカやカニ、エビなどがたっぷり入っている。
数少ないタコはそのまま、潮だまりに残されていた。
来年以降のフェスティバルのため、彼らはリリースされることに決まったらしかった。
そうした事情から、彼らは戦いの行方を見つめ、そして歓声を上げたのだ。
今年の『オクトパス・フェスティバル』、それに供される唯一のタコ。
それが決まった瞬間だった。ついでに、巨大イカも。
イベントマップ『食べ放題の潮だまり塩湖』をクリア!
クリアボーナス
(PC名)はステータスボーナスを△△得た
オクトパスフェスティバル
激闘、その翌日。
ついに『オクトパス・フェスティバル』が始まった。
昨日の早朝に行われた前夜祭の後。
『ダイオウイカ』と『タイテイダコ』の解体、それだけでほとんどその日は終わった。
そこから夜を徹しての食材の調理が行われ、なんとか開催にこじつけたのだった。
想定していたレシピの殆どは無駄になった。
獲れた食材の殆どがタコではなく、イカなどであったからである。
応用の効くものもあったが、多くは考え直しになった
メインディッシュとなるのは『タイテイダコ』を用いた料理。
今年のこの祭りが『オクトパス・フェスティバル』として成立する唯一のものである。
これについては、準備していたレシピそのままにサイズだけが変更となり。
ビッグサイズの『大帝たこ焼き』が、数千個単位で作られることになった。
なお、『ダイオウイカ』は中に飯を詰めて『大王イカめし』に。
十本の足はそれぞれ別の料理に使われていった。
ちなみにだが、この干潮の状態は数日続くという。
その後、一週間以上を掛けてゆっくりと潮が満ちていくのだ。
潮だまりに残されたタコは、『超引潮』で遠ざかった波打ち際まで行きそこで放された。
それで潮だまりが綺麗に、何もいなくなったわけではない。
タコ以外も全て取り尽くすわけではなく、祭りに必要な分以外はそのままにされていた。
これからしばらく続く干潮の間、それらは町の住人にのみ取り放題となる。
取り放題、食べ放題。まあ、フェスティバル後、数日は皆食欲はゼロになるのだが。
主に子どもたちの手により、拾われ持ち帰られる事になるのだった。
今年はなぜタコではなく、イカだったのか。
潮流のせいか、海水温の影響か。理由は1つではなく色々あるだろうが。
来年どうなるか。それは今の段階では誰にも分からなかった。
放したタコが、育って増えて帰ってきてくれるのか。
今回イカやカニを減らしたことが奏功するのか。祈るしかなかった。
フェスティバル、祭りとは本来そのためのものである。
願うため、祈るため。そのために、供物を捧げる。騒ぎ立てることが目的ではない。
イカを捧げ、カニを捧げ、エビを捧げ、『タイテイダコ』を捧げ。
そして未来を祈るだけだった。
どうかタコが帰ってきますように、と。
ミッション『オクトパスフェスティバル』をクリア!
クリアボーナス
(PC名)は魂塵を△△Ash得た
(PC名)はSPを1得た
(PC名)は『イカタコ合掛けカレー』を手に入れた
特別ボーナス
(PC名)は魂片:『ダイオウイカの大嘴』を手に入れた
オクトパスフェスティバル
今回のイベントは終了しました
現在位置、HP、疲労度がイベント開始前の状態に戻りました
秋の終わりの川中の戦い
- 発生(前回フェイズ6、強制イベントおよび休息処理後)
イベントスタート
『時限ミッション:秋の終わりの川中の戦い』を発見しました
今回のイベントミッションの開放期間は11/24(水)~12/11(土)までです
秋の終わりの川中の戦い
秋が終わり、冬が始まる。その境界となる季節。
この時期、『エルミナーレ山』から流れ出る川では特別なものが見られる。
澄んだ清流である『タグレーレ川』が黒く染まるのだ。
それは、水が色づくわけではない。汚れたのではない。
黒い背中が水面に並ぶ、大量の魚たちが川を埋め尽くすのである。
群れをなし、川を降る魚たち。
彼らはここの上流で生まれ育ち、そして大海へと旅立とうとしている。
より大きく、強く育つために。そしてより多く生き残るために群れを作る。
彼らが出会う最初の壁は、川の流れに逆らって駆け上がってくる同族たちだった。
なにも同じタイミングでなくともいいだろう、と言いたくもなるが。
川から海へ彼らが出ようとするのと時期を同じくして。
以前に海へと旅立っていってものたちが、川に戻ってきて上流へと遡っていくのだ。
その里帰りの目的は産卵のためで、彼ら彼女らの最後の仕事だった。
行くものと帰るもの。それらがすれ違い、ぶつかり合うことで川は黒く染まる。
そしてその大混乱に乗じて、彼らを狙う者たちも現れるのである。
外から見れば、それは簡単な狩りだった。
狩りとも呼べない。それは単純で簡単な作業でしかなかった。
それでも得られるものは大きい。そうなれば、集まってくるのも必然だった。
もともとこの川で漁を行っていた近くの村の者も、偉そうに言えた義理ではないが。
大事なことは、秩序と限度である。
新たに現れ、数を増やしていったものたちはそのどちらも持ち合わせていなかった。
このままでは遡上魚も降河魚も、どちらも狩り尽くされる。
秩序も限度も知らないものたちから、川と村の平穏を取り戻して欲しい。
『マップ:[[黒染めのタグレーレ川]]』を発見しました
黒染めのタグレーレ川
高く聳える『エルミナーレ山』を始まりとし、西の海へと向かい流れ出る。
その川はこの地域における、あらゆる生命の根幹をなしていた。
その恩恵は、この『タグレーレ川』の内外に広く及ぶ。
直接的、そして間接的にも多くのものが川とともに暮らしていると言えた。
『クチタラ村』もその1つであるのは間違いない。
エルミナーレ山の麓に位置し、タグレーレ川を眼前に構える。
それら2つの大自然から受ける恵みを糧に、村はこれまで生きてきたのだ。
そのうちの1つが、今や危機に瀕していた。
昔はこれほどではなかったという。
数も少なかったり、遡上と降河のタイミングもずれていたりなどして。
今ほどの混雑ぶりではなかった。
きっかけはおそらく稚魚の放流だろう。
より多くの遡上魚を迎え入れるため、十数年前から村で放流を始めたのだ。
狙い通りそこから年々遡上魚は多くなり、そうなれば降河魚も増え。
そして気がつくと、今の大混雑状況になっていたのだ。
そこから、多くのハンターたちが集まってくるのは早かった。
もともと、ここは遡上魚を狙う狩りの場ではあったのだ。
山に住む獣たちや、村の漁師たち。彼らによる、秩序と限度ある狩りが行われていた。
そこではそれなりにバランスが取れていたのだ。
先にバランスを壊したのは、稚魚の放流による魚の増加ではある。
それを起因として、誘因としてハンターを集めてしまった。
山の外から。村の外から。多くのものが、恵みを求めて集まってきてしまっていた。
終着の河
流れに逆らって川を遡っていく。
海から始まり、その境界となる汽水域を越えて。
エルミナーレ山へとたどり着くまでにはそれほど時間はかからなかった。
この里帰りは郷愁によるものではない。
産卵のため、命を残すため。彼ら彼女らの最後の仕事だった。
だからここで全てを使い果たす。出し惜しみはない。
再び海に戻ることはない、行ったっきりの片道列車だった。
その彼らを追うものたちの姿もあった。
だが、追いかけてはいない。その必要もなかった。
彼らは自らの意思で、逃げ場のない川に入っていくのだ。
だから、追いかける必要もなければ追い立てる必要もない。
ただ後を付いていき、タイミングを見計らうだけで良かった。
その存在を知ってか知らずか。振り向かず、前だけ向いて泳ぐ彼ら。
タグレーレ川を遡り、山を昇って源流へ。自身が生まれたその場所へ。
そして、出会うのだ。それが彼らの最後の壁となる。それはかつての自分たちだった。
旅立ちの河
秋と冬の間。
生命に溢れ色に彩られ活気に満ちた世界から、一気に灰色の世界へと変わっていく。
その僅かな隙間を狙って、彼らは海へと出ようとしていた。
この川で生まれ、育ち。誰に言われるでもなく悟るのだ。ここにいてはいけないと。
ここではないどこか。『海』という言葉も存在も知らない。
だが、知っている。そこに行くのだということだけを知っていた。
流れに乗って、いつも逆らって泳いでいるのをやめるだけのことで。
彼らは勢いよく川を下っていき、そして最初の壁にぶつかることになる。
海から向かって泳いでくる黒い影。
彼らはまだ知らない、彼ら自身の未来の姿だった。
遡河魚と降河魚。本来、彼らは争う必要はない。
すれ違うだけのことで、それぞれの目的が食い合うわけではないのだ。
だが、どちらも道を譲らない。川には信号機も裏道もないのだ。
愚直に正面からぶつかり合う。互いが互いの、最初で最後の障壁だった。
浅い川ではないのだが、魚の量が尋常ではない。
立ちふさがる遡上魚たちと出会う頃にもなれば。
完全にスペースが足りず、時折水面から飛び出してしまうものさえいた。
川から飛び出して、陸に上がる。そこに彼らの生きる場所はない。
ピチピチと跳ねる。それを苦もなく簡単に、おこぼれに与る獣の姿があった。
そうやって待つものだけではない。
釣り糸を垂らすもの、網を投げるもの。自ら川に入り、直接食らいつくもの。
川中の混乱に乗じ、集まったハンターたちが狩りを始めていた。
(PT名)は何もしませんでした (行動ポイント残り1ポイント)
戦闘予告
多すぎる密漁者に遭遇した!
黒染めのタグレーレ川
川面が黒く染まっている。
川を上下に行き交う魚たちで埋め尽くされ、並んだその背中が黒いダイヤのように輝いていた。
遡上してきた魚たちは上流へ。そして降河してきた魚たちは大海原へ。
すれ違い、それぞれの居場所へと帰り、旅立っていく。
彼らにとってはここはただの通過点で、本当の戦いはこれからである。
だから前しか向かず、振り返ることもない。目標に向かって突き進むだけだった。
その背中を、強く水を掻く尾びれを村人たちとともに見送る。
こうやって海へと旅立つものが減れば、無事戻ってこれるものがいなくなる。
川を遡るものが減れば、産卵が行われず次の世代が生まれなくなる。
循環の輪が途切れれば、そこでどちらも終わりである。
それはこの世界においても、あるいはもっと大きい世界でも同じだった。
ハンターたちはすでに、その多くは姿を消していた。
彼らは基本的に、みな外から来たものである。
もしもここに留まることになれば、食料だけではない様々な問題が出てくる。
それぞれにテリトリーというものが必要で、その奪い合いも起こるだろう。
獣たちであればエルミナーレ山を、あるいは混雑のなくなったタグレーレ川を。
人であればどうだろう。村では受け入れない以上、その時点で争いとなるしかない。
そしてそれはおそらく、川で魚を奪い合うどころではなくなる。
同じものを奪い合うのと、互いのものを奪い合うのは全く違う話だった。
来た場所へ帰れ。そして二度と来るな。
言葉が通じるものにも、そうでないものにも。等しく分からせる必要があった。
彼らは大きなリターンを求めて集まってきている。
だが、それ以上に大きいリスクがあるとなれば、留まろうとするものは少ないだろう。
それだけのものを、彼らは見て感じたはずだった。
イベントマップ『黒染めのタグレーレ川』をクリア!
クリアボーナス
(PC名)はステータスボーナスを△△得た
秋の終わりの川中の戦い
再び今回のこういう事態を招かないために。
稚魚の放流は取りやめになった。今後も行われないという。
来年以降、どういう状況になるかは分からないが。
今回の『脅し』が、魚たちの回遊量が落ち着くまで効くことを祈るばかりだった。
クチタラ村のすぐ目の前を流れるタグレーレ川。
その上下流に石を積んで、それぞれに堰が作られている。
ただ、それで完全に水の流れを止めてしまっているわけではなかった。
積んだ石の隙間から、水は流れのままに充分に通り抜けられる。
その中を、閉じ込められた魚たちが元気に泳ぎ回っていた。
すでに魚たちの遡上も降河も、村の前を通るエリアでは終わっており。
そこで泳いでいるのは、普段からこのあたりにいる魚たちのようだった。
川原の石を並べて川を堰き止め、天然の生け簀のようになっている。
それは村の子どもたちのための、手づかみで魚を捕まえられる場所だった。
とはいえ川の中に入って行って、直接捕まえるような季節ではない。
山から流れ出てきたばかりの水は冷たく、刺さるような鋭さを持っている。
にも関わらず、子どもたちはその冷たさも楽しんでいるようで。
きゃっきゃきゃっきゃと騒ぎながら、川中を魚を追って走り回っていた。
大人からすれば、それを見ているだけで寒々しい
どこか心温まる、というにはかなりの盲目的な愛が必要な光景だった。
河原には、焚き火や足湯など色々用意されてはいるが。
(PC名)は外から見ておくだけにして、その焚き火で焼かれている鮎やさつまいもなどが出来上がるのを待つことにした。
この手づかみ漁は、外から人を呼ぶための手だとして考えられた。
その予行演習に子どもたちが利用されている。本人たちは純粋に楽しんでいるが。
人を集めること、その存在自体がああいった連中を遠ざけることになる。
案山子などより、本物を使うのが一番効果があるのは明らかだった。
鮎などの焼き物の味見も頼まれている。これも人集めの一つであるらしい。
最後の仕事を待ちつつ、まだしばらくの間はぼぉっと焚き火を見つめるだけだった。
ミッション『秋の終わりの川中の戦い』をクリア!
クリアボーナス
(PC名)は魂塵を△△Ash得た
(PC名)はSPを1得た
(PC名)は『こぼれイクラうな重』を手に入れた
特別ボーナス
(PC名)は魂片:『尾を喰合う鮭鱒群像』を手に入れた
秋の終わりの川中の戦い
今回のイベントは終了しました
現在位置、HP、疲労度がイベント開始前の状態に戻りました
最終更新:2021年12月01日 14:11