かまくら村の雪合戦
- 発生(前回フェイズ6、強制イベントおよび休息処理後)
イベントスタート
『時限ミッション:かまくら村の雪合戦』を発見しました
今回のイベントミッションの開放期間は2/15(水)~3/4(土)までです
かまくら村の雪合戦
どこもかしこも真っ白で、他の色は見えない。
『かまくら村』と呼ばれるその村は、雪と氷に覆われていた。
村にはちゃんとした名前があるが、外の人間からはその名で呼ばれることはない。
住民でさえ、若い世代ではかまくら村で通っていた。
その名で呼ばれるからにはもちろん、この村には数多くの『かまくら』がある。
というよりも、村のほとんどがそれで構成されている。
この村にある家は全て、雪で作られたかまくらだった。
雪で作った山、その中身をくり抜いたもの。
そのような簡素なものではなく、巨大かつ立派なものである。
出入り口には扉もあって、中も複数の部屋に分かれている。
きちんと家として機能する代物だった。
この村には寒さと雪という大いなる脅威があるが、それだけではない。
明確な敵がいる。それは毎年、冬になると現れる怪物。
雪の巨人だった。
それは夏の台風のように突然現れ、『かまくら』をなぎ倒していくのだ。
彼らの大事な家である。それを一つ残らず踏み潰していくのが雪の巨人だった。
村にも希望がないわけではない。
実際のところ、これまでの勝敗は五分と五分。近年で言えば勝ち越している。
巨人には撃退法があった。
村人たちは、毎年毎年ただ黙ってかまくらを踏み潰されるわけではないのだ。
彼らが見つけた雪の巨人の弱点、それは雪だった。
固めた雪玉を投げつける。そうすることで巨人は倒れるのである。
もちろん、一発二発の話ではない。何十発。何百発。何千発。
途方もない数だが、倒すことができる。それが重要だった。
とにかく数である。雪玉を投げる、その投手を。かまくら村は欲していた。
『マップ:[[かまくら並ぶ合戦地]]』を発見しました
かまくら並ぶ合戦地
『かまくら』というものは、雪で作った家のことである。
家とはいっても、本来は雪のお椀を逆さにしたようなドーム型のもので。
テント代わりに使うぐらいの簡単な作りのものだった。
だがこの村では違う。
昔はそういうものだったが、長い時間をかけて進化していった。
基本的な形がドーム型なのは変わらない。雪を盛って固めて、中をくり抜いた形。
その雪の中に、鉄筋のようにしっかりとした骨組みがあるのが特徴だった。
骨組みの利用により、家は一気に巨大化した。
壁を作って部屋割りをしたり、すぐ近くに作った別のかまくらと雪中の通路で繋いだり。
年中雪深く、解けることがないのも利点だった。
どれだけ立派なものを作っても暖かくなればなくなる、ということがなかったのだ。
だが、試練はやってきた。
雪の巨人が最初に現れたのは50年ほど前だったらしい。
最初の頃は断続的に、それこそ数年に一度の天災のように村を襲った。
進化したかまくらを軒並み踏み潰し、村を平らにしたら満足して去っていった。
ここを去る。その選択肢はあった。
だが彼らはそれを選ばなかった。より強いかまくらを、耐えられるかまくらを作ろうと。
それを巨人は踏み潰した。作っても作っても潰した。潰しても潰しても作った。
そして巨人は毎年来るようになった。
より強固なかまくらを。
それと同時、村人たちは巨人を倒す方法を模索するようになった。
投手たちの競演
村には名だたる『投手』が集結していた。
投げた雪玉が空気との摩擦で相手に届かず解ける、無冠の雪合戦王。
西方の戦争で、手榴弾だけを装備して一個師団を殲滅した兵士。
岩に刺さった聖剣を、投げっぱなしジャーマンで引き抜いた格闘家。
隣村から遠方まで、あらゆる投手がこの村に集まり肩を温めていた。
村では迎撃の準備が整っていた。
雪玉はいちいち作ってはいられないと、3年前に自動製造機を購入した。
村のあちこちに配置し、すでに数百個が用意されている。
新たに作るのも簡単である。そこら中に、いくらでも原料となる雪はあった。
一番の問題は、いつ雪の巨人が来るのか、ということだった。
予告状などが届くわけではない。
遠くから歩いてくる姿が、事前に確認できるわけでもない。
それは突然に、どこからともかく発生するのだ。
だが予測はできる。
それもまた、かまくらの進化や巨人の倒し方とともに研鑽された技術だった。
数日間悪天候が続いた後の、久々の晴天。気温はこの季節にしては高い。
こういう日に現れる。雪の巨人のくせに、それは雪とともには現れないのだった。
天候の予測も、そして巨人襲来の予測も的中した。
準備の整えきった村に、それはついに姿を見せたのだった。
進軍する巨人たち
雲ひとつない空。
雪景色の中では冗談のように晴れ渡った村に、雪の巨人は現れた。
上半身は裸で、腰には布を巻いている。
見せている体は筋骨隆々で、あらゆる意味で巨大だった。
だがその筋肉も腰の布も、全てが雪で作られた彫像である。
寒さなどは感じないだろう。筋肉の大きさにも意味はなかった。
ずしんずしんと歩いてくる、その足元に雪煙が上がっていた。
巨人が雪を蹴り上げ作ったものではない。それは従者を連れていた。
踏み潰されないように離れた位置で。多くの魔物たちが一緒に進軍してきていた。
巨人側もまた、進化していたのだ。
雪玉から身を守る、投手を倒す。そういうものどもを連れてきていた。
雪の巨人と魔物たち。それと投手たちの戦いが始まった。
魔物は投手を狙い、投手は巨人を狙い、巨人はかまくらを狙い、かまくらは耐える。
恋の相関図は複雑だった。
乱戦の中、雪の巨人は村に入ってきていた。
蹴る、踏む。そのように表現されるものではない。
そこに何があるとかないとか関係なく。
歩くという動作の一連の中で、そこにあった『かまくら』を踏み潰していた。
そのまま次のかまくらへと向かう。そして上げた足の下。
そこには、雪の中に半分ほど沈んでしまっていたがかまくらは残っていた。
巨人の一撃に耐えた。これが今の、村の『かまくら』だった。
(PT名)は何もしませんでした (行動ポイント残り1ポイント)
戦闘予告
氷雪の巨人の眷属に遭遇した!
かまくら並ぶ合戦地
巨人の一踏みに耐えた『かまくら』。
だが、そう何度も耐えられるものではない。
おそらくもう一発、まともに踏まれれば骨組みごと潰れてしまうだろう。
連れてきた眷属たちが戦う最中、巨人はかまくらだけを狙っていた。
潰しそこねても激昂したりはしない。執着もしない。
どうせ全部潰すのだ。方法も順番も関係なく。
何かを思うのは、すべて潰し終わった後で充分だった。
巨人の足は止まらない。目についた先から踏んでいく。
強度が足りず、一撃目で潰れてしまうかまくら。
二撃目を受けて潰れてしまうかまくら。二撃目すら耐えしのぐかまくら。
投手たちの雪玉を体に受けながら、それでも巨人の破壊は続いていた。
氷雪の巨人は次のターゲットを決め、それに向けて足を踏み出した。
周囲にある他のものよりも一回り小さい。
それは一撃すら耐えられそうに思えなかった。
容赦なく足を踏み落とす。足の下、雪の中にかまくらが消え。
同時、その足の甲を巨大な杭が貫通して突き出ていた。
それはドーム型のかまくらの中に仕込まれていた罠である。
巨人が踏み潰したものは、囮となる『罠かまくら』だったのだ。
杭には返しがあり、簡単には抜けない。
痛みを感じた様子はなかったが、片足を固定されバランスを崩していた。
自由な方の足を大きく踏み出す。そこに力をぐっと込め。
無理やり杭の刺さった足を引き抜いた結果、足首から先が砕けて粉々になっていた。
白い粉が舞う。それは巨人の体を作っていた雪である。
砕けてばらばらになって、そこだけ元の雪に戻ってしまっていた。
砕けた足で、足首を雪に突き立てる。
それで倒れることはなかったが、動きは止まっていた。
動かない的となる。投擲のチャンスだった。
イベントマップ『かまくら並ぶ合戦地』をクリア!
クリアボーナス
(PC名)はステータスボーナスを△△得た
かまくら村の雪合戦
投手たちの投げた雪玉が、一斉に氷雪の巨人に襲いかかった。
小さな雪玉から大きな雪玉まで。槍のように細長いものもあった。
ありとあらゆる雪の塊が、ここが正念場と四方八方から投げ込まれていた。
体にあたった雪玉は、接着剤でもついているかのようにぴたりと吸い付く。
刺さったりめり込んだりするほどの勢いのないものも同様に。
体の何処かに当たれば、それが離れることはなかった。
巨人の体が膨れ上がっていく。
それでも、砕けた足で再び歩き出そうとしていた。
だが、大きくなり重くなった体はまともな足でさえ支えるのは容易ではない。
足首から先のない足を踏み出すと、そのまま膝のあたりまで崩れた。
前のめりに倒れる。手は防御姿勢を取らず、大きく横に広げていた。
一つでも多くのかまくらを巻き込もうと、そこまで考えてのことかは分からないが。
実際それは左肘のあたりで、村長のかまくらの一部を壊すことに成功していた。
雪の中に倒れ込み、村全体に広がるほどの真っ白な煙幕を巻き上げる。
その半分は下敷きになった雪が舞い上がったもの。
そしてもう半分は、巨人の体が砕けてできたものだった。
粉雪が視界を埋めるなか、少し大きな雪が鳥の羽のようにひらひらと舞っていた。
雪煙が風に流れると、そこには雪の巨人だったものの残骸だけがあり。
あれだけいた眷属たちの姿は一つ残らず消えていた。
なんとなく人型を思わせる雪の塊と、潰れた村長の家のかまくら。
被害はそれなりにありつつも、かまくら村の勝利だった。
上がる歓声と、村長の悲鳴。
村人たちと集まった投手たちは互いに抱き合い、健闘をたたえていた。
祝杯、勝利の宴の時間である。体を温める最も優れたものは酒だった
かまくら村の『雪まつり』が、今年も始まろうとしていた。
巨人はまた、冬の災いとして来年も現れるだろう。
そのときは『罠かまくら』対策に、下駄などをはいているかもしれない。
更に強力な眷属を連れてくる可能性もある。
雪が全て溶けて、巨人ごとなくなってしまうこともあるが。まあ、ないだろう。
無事だったかまくらの中から引っ張り出してきた酒樽の封が開く。
群がる投手たちの一人がそのうちの一つを持ち上げ、頭から浴びながら飲み始めた。
一瞬で凍りつく酒。その男は氷像となり、熱い風呂にぶち込まれるまで死んでいた。
ミッション『かまくら村の雪合戦』をクリア!
クリアボーナス
(PC名)は魂塵を△△Ash得た
(PC名)はSPを1得た
(PC名)は『釜揚げわかさぎ丼』を手に入れた
特別ボーナス
(PC名)は魂片:『かまくら家の氷鍵』を手に入れた
(イベント名)
今回のイベントは終了しました
現在位置、HP、疲労度がイベント開始前の状態に戻りました
卯の刻迎える地獄参り
- 発生(前回フェイズ6、強制イベントおよび休息処理後)
イベントスタート
『時限ミッション:卯の刻迎える地獄参り』を発見しました
今回のイベントミッションの開放期間は4/12(水)~4/29(土)までです
卯の刻迎える地獄参り
卯の年、卯の月、卯の日、卯の刻。
最も『卯』の力が強まる2時間。
卯の方角の空に卯界の扉が開き、すべての卯に力を与えるという。
この時間は家に籠もり、ウサギを買っている人はケージにしっかり鍵をかけ。
それがこの地域にある村々での、『狂卯の2時間』のやり過ごし方だった。
村々。それはある大草原地帯を囲むように点在している。
このあたりで最大のウサギの生息地である、通称『バニーフィールド』。
ウサギの楽園と呼ばれるほどの、平和で長閑な大草原だった。
ここには彼らを襲うような大型の鳥も獣もいない。
だが、緑の草だけは無限にある。まさにここは、彼らにとっての楽園だった。
天敵のいない彼らも、かじられる草たち以外の驚異になることはない。
ウサギの楽園であり、そして多くのものにとっても楽園と言えた。
だがそれも、『狂卯の2時間』においてはすべてが変わる。
どこぞからやってきて、頼んでもないのに押し付けられる力。
それによってバニーフィールドは、楽園から地獄へと一変するのだ。
力を得るのはウサギたちだけではない。
この草原に棲む者たちすべてが、『卯』の力を手にするのだ。
たった2時間。されど2時間。
世界を壊すには足りないが、このあたりを荒らすには充分な時間である。
いくら家の鍵を締めて閉じこもっていても、破壊の限りを尽くされることになる。
数十年に一度訪れる、この狂った2時間で行われる惨劇。
それを止めるには、この地に足を踏みれるしかない。
『卯』の力が支配する楽園。いやすでに地獄か。
そこに直接出向き、彼らの自慢の足。ラビットフットを止めるのだ。
『マップ:[[卯の刻バニーフィールド]]』を発見しました
卯の刻バニーフィールド
平和で長閑な大草原。
目に映る色味はほぼ緑だけで、違いはその濃淡しかない。
遠くに見える、地平線の上に広がる青い空ぐらいが唯一の変化であるが。
そっちもそっちで、やや緑がかった色をしていた。
木々もあるにはあるが低く、幹などは足元の草に隠れている。
頭の部分だけ出して、そこだけ少し盛り上がっているだけで。
見える限り、延々と草が続いているだけにしか見えなかった。
そこにウサギたちの姿は見えない。
だが、おそらくこの中にいるのだろう。
風が吹いてはいたが、それとは関係なしに所々で草葉が揺れている。
その下にいる。ウサギかどうかは置いておいて、何かいるのは確かだった。
『バニーフィールド』。ウサギたちの楽園。
そんな呼ばれ方をしているが、別にここは彼らだけのものではない。
彼らにとって害にも益にもならない、そんな同居者もたくさんいた。
その同居者たちにとっても、楽園とまで言えるかどうかは知らないが。
今は少なくとも、平和を壊すような争いごととは無縁に思えた。
ウサギ追いし草原
卯の年、卯の月、卯の日、卯の刻。
その日その時が迫っていた。
予告状を送りつける怪盗がごとく、時間も場所も分かっている。
それで出し抜かれるのはあまりにマヌケな話だった。
最も安全な対抗手段は、その時その場所にいないことである。
せっかく予告してくれているのだから。律儀に、狙いのものを狙いの時間にそこに置いておく理由はない。
とはいえ、これは一つの宝石が狙われているという話ではない。
このバニーフィールド全体が危険な場所に変わるのだ。
そしてその脅威は周囲にも及ぶ。というより、力の発露の多くは外へ向けられる。
内に向かっての同士討ち、などは期待できなかった。
あたりから逃げるのが最善策ではあるし、実際にそうした者も多いという。
わずか2時間。ちょっと出かけるだけですむ。自身は。だが、村は動かせない。
築き上げてきたものがすべて無に帰す。
家も田畑も何もかも。
我が身が無事ならそれでいいなどとは、当事者以外だからこそ言えることだった。
村を守る必要はない。
彼らを殲滅する必要もない。
制限時間は2時間。ゴールは決まっているのだ。
とにかくその時間、溢れる『力』を内に留めておくことが勝利への道だった。
時刻は深夜。あるいは早朝か。
夜行性ではないウサギたちが目を覚まし、活動を始める時間だった。
卯の年、卯の月、卯の日。そして、今まさに『卯の刻』が訪れようとしている。
葉が揺れる。その音が静かな夜にやけに響いていた。
そこに彼らはいる。それを自ら発していた。
ウサギは何見て跳ねるのか
夜が明けようとしている。
白み始めた空。星は消え、暗い空が薄っすらと青く染まっていく。
東の空から朝日が昇ろうとしている。
その太陽の登場を待たずして明るくなった空に、それは浮かんでいた。
星ではない。月でもない。
東の空に、太陽よりも早く。真っ白の球体が姿を表していた。
見えている大きさは太陽よりも遥かに大きい。
それ自身の実際の大きさについては、太陽と同じく分からなかった。
『卯界の扉』が開くと聞いていたが、扉の形はしていない。
それは真円であり、月や太陽のように模様もない。ひたすらに白いだけの球体だった。
『バニーフィールド』に力が降ってくる。
ヴァルには感じられない『卯』の力。
白い球体を仰ぎ見たところで、何のパワーも感情も湧いては来ない。
分かるのは、それによって地上で起こる変化だった。
地上に降り注いだ『卯』の力。
それはウサギたちに力を与え、狂わせていった。
耳をピンと立て、目を真っ赤に燃やし、鋭い前歯を尖らせる。
力を得た足は驚異的なジャンプ力と、尋常ならざるスピードを生み出す。
そしてその脚力は、すべてのパワーの源だった。
嵐でも来たかのように激しく草が暴れ、大草原全体から羽音のようなノイズが飛ぶ。
そこかしこを動き回る、『卯』の力を得たものたち。
揺らすどころか草木をなぎ倒しながら、溢れる力の行き場を探していた。
そしてその力は、ウサギたち以外のバニーフィールドの住人へも分け与えられる。
すべてのものが狂い出す。
『狂卯の2時間』がついに始まったのだった。
(PT名)は何もしませんでした (行動ポイント残り1ポイント)
戦闘予告
卯の力に目覚めしものに遭遇した!
卯の刻バニーフィールド
ロケットのように、ウサギが天高く打ち上げられる。
ヴァルがふっとばしたわけではない。
『卯』の力を得たウサギ自らが地面を蹴り、その破壊的な力で飛び上がったのだ。
どこまで飛んでいくのか。
しばらく見上げていたが、最後まで見届けることはできなかった。
雲に穴を開けて、その向こうに消える。
いずれ落ちてくるとは思うが、ウサギといえどそこまで追いかける気にはなれなかった。
『卯』の力。それは様々なものに、様々な力を与えた。
分かりやすく、そして効果的に最も強化されたものは脚力だった。
地面を蹴りつけ、異次元のスピードとパワーのどちらをも生み出す。
結果、そこら中でいろんなものが猛スピードでぴょんぴょん跳ね回っていた。
跳ねるのは上に向かってだけではない。
縦横斜め。縦横無尽に、弾丸のように何かが飛び交っている。
ウサギは大きさがあるのでまだいいが、小型のものは本当に銃弾のようである。
飛んで跳ねる。一見楽しげな、狂気の地獄絵図が繰り広げられていた。
どーん。と遠くで音が鳴って土煙が上がる。
隕石が落ちてきたような、クレーターこそできないが衝撃としてはそれに近い。
先程見送ったものと同じかどうかは分からないが。
空に上ったウサギが落ちてきて、着地と同時に地面を蹴り抉っていた。
周囲の草を放射状になぎ倒した土煙の中心で、兎の眼が真っ赤に光る。
雲より高く飛び、蹴りで地面をえぐる脚力。
それは破壊的で、そして自滅的な力だった。
小さな器になだれ込む力を吐き出す。ただそれだけを繰り返す暴走でしかなかった。
舞い上がった土煙が風に飛ばされる。
それはまた、真っ赤な眼の兎が空へと飛び出した衝撃によるものだった。
目的も何もない、ただの狂騒。
それを本当の意味で終わらせることができるのは、時間だけだった。
イベントマップ『卯の刻バニーフィールド』をクリア!
クリアボーナス
(PC名)はステータスボーナスを△△得た
卯の刻迎える地獄参り
すでに明るくなっていた世界に、さらに強い光がさす。
いつのまにか東の空に太陽が昇り、大草原を照らしていた。
東の空。それは卯の方角でもある。
太陽が昇るさらにその先には、『卯界の扉』である白い球体があった。
ゆっくりと太陽が白い球体を飲み込んでいく。
月のように欠けていく。地上へと降り注ぐ力もまた、欠けていった。
『狂卯の2時間』がようやく終わろうとしていた。
とさ、とさ、と草原に色々落ちてくる。
虫やらモグラやらトカゲやらカエルやら。草むらの上にポタポタはねる。
それらもまた空へと大ジャンプを決め込んでいたものたちである。
だがそこに、ウサギたちの姿はなかった。
空に上っていたウサギたちは、残った『卯』の力で卯毛を伸ばしていた。
真っ白の卯毛に包まれた毛玉となって、減速しながら落ちてくる。
そのまま地面に落ちて、ぽーんと跳ねた。
それと同じものがいくつか、何度か地面を跳ねては草の上を転がっていた。
白い球体が完全に太陽と重なり、卯界の扉は閉じる。
このとき、球体の出現からちょうど2時間が経過していた。
頂天に向けて昇り続ける太陽。通り過ぎた後の空には何も残らない。
きれいな青空が広がっていた。
バニーフィールドに風が吹いた。
ウサギたちのふわふわの卯毛が抜け落ちて、一斉に空に広がる。
春の風が吹く暖かな陽気の中、季節外れの雪が舞っているようだった。
後日。草原では、後ろ足に強烈な筋肉痛を抱えたウサギたちが転がる姿が見られた。
腹ばいになってだらりと下肢を伸ばし、その格好のまま届く範囲の草をはむ。
まさに彼らの楽園であればこそ、という状態だった。
その口元には、草の他にニンジンがそっと置かれていたという。
それはもちろん、この草原に自生しているものではない。
周囲の村々の畑で作られ、動けない彼らのために撒かれたものだった。
今回の騒ぎで、空から色々落ちてきて一部で被害も出たとは聞いているが。
怒りや憎しみがバニーフィールドを包み込むことはなかった。
楽園はただそこにあるわけではなく、多くの村の人々が関わってできたものだった。
ミッション『卯の刻迎える地獄参り』をクリア!
クリアボーナス
(PC名)は魂塵を△△Ash得た
(PC名)はSPを1得た
(PC名)は『卯巻き卵焼き』を手に入れた
特別ボーナス
(PC名)は魂片:『脱力寝卯像』を手に入れた
(イベント名)
今回のイベントは終了しました
現在位置、HP、疲労度がイベント開始前の状態に戻りました
寝ても覚めても
- 発生(前回フェイズ6、強制イベントおよび休息処理後)
イベントスタート
『時限ミッション:寝ても覚めても』を発見しました
今回のイベントミッションの開放期間は6/7(水)~6/24(土)までです
寝ても覚めても
蟻人の国。その国は昔からそう名乗り、そう呼ばれていた。
この国の人々は『蟻』の神を信仰し、自らもその血を受け継ぐとしている。
蟻の女神アリアントロッドと人との間に生まれたもの。
その子孫が自分たちであるとし、自らを蟻人と呼んでいた。
そんな彼らではあるが、見た目には人と何ら変わりはない。
人の体に蟻の頭が乗っかっている、なんてことはなかった。
顎と歯が丈夫だとか、腰にしっかりとしたくびれがあるとか。
そんな特徴はあるにはあるが、それが蟻から受け継いだものかは疑問である。
蟻との大きな違いを一つ言えば、彼らには『王』がいない。
母なる神にして現人蟻とされるアリアントロッドを今でも女王としていた。
彼女は議会で銅像となって見守ってくれている。
そのもとで蟻人の国は運営されていた。
6月。この国、そして彼ら国民にとって大事な行事がある。
彼らはこの一月、休み無く働く。
不眠不休、と言ってしまうと大袈裟だが。近い状態で働き続けるものもいるという。
寝る間も惜しんで働く、というのはすべての国民に共通したことだった。
その仕事とは、『蟻造酒』をつくることである。
名前からして蟻を使うのだろうが、詳しい作り方は秘密とされている。
口噛み酒ではない、ということだけは公表していた。
以前にそういう噂が出たことがあり、それは否定された経緯があった。
この蟻造酒づくりには問題がある。
先程も言ったとおり、一月もの長きに渡って全国民がかかりっきりになるのだ。
かかりっきりにしなければ済む話でもあるわけだが。
その儀式も含めて、それが蟻造酒づくりというものらしかった。
そこでこの国では、毎年この期間の臨時国民を募集している。
国としての機能に支障をきたすこの行事を、外に頼ることで成立させていた。
様々な仕事がある。その中には、国を守る兵士も含んでいた。
蟻人の国を襲う脅威から、守ってはくれないだろうか。
『マップ:[[蟻人の国アリアンツランド]]』を発見しました
蟻人の国アリアンツランド
蟻人の国アリアンツランド。
自らを蟻人と称する人々が作った国であり、ここはその中心となる町である。
国はこの町と、他には周囲のいくつかの小さな村々で構成される。
『蟻造酒』づくりの儀式は、町だけでなくそれら村々でも同様に行われていた。
村でも一ヶ月の間は、酒造りのために休まず働くことになる。
だが、ちょっとした役割分担で、この町のように機能不全に陥ることはなかった。
村も酒造りの規模も小さいことが幸いしてなんとかなるらしい。
とはいえ、全ての村人が不眠不休に近い状態で一月を過ごすことにはなる。
大変気が立っており、村に近づくのは避けたほうがいいと町の人には言われていた。
この町でも同じように、というのは理想だがなかなか難しかった。
村とは違って、相当細かい作業分担と連携が必要になり。
それでも、『蟻造酒』づくりに直接携われる時間が少ないものから不満の声は上がる。
さらにそれを一ヶ月続けるというのは現実的ではなかった。
だったら外に頼った方がいい。
その考えは早くから生まれ、今では当たり前の光景となっていた。
町には多くの人がいる。道を散歩し、店を開け、配達が走り、公園で親子が遊んでいる。
普通の町と変わらない。普通の景色。平和な光景。
それら見えるところにいる人々は、そのほとんどが臨時に雇われた外の人間だった。
アリアンツランドの国民、蟻人の人々は酒蔵にいた。
そこで働いている。昼夜をおかず、この月が始まったその時から、今まで。
そしてそれは月末まで続く。全ては『蟻造酒』づくり、そのためだった。
蟻の這い出る隙もなし
きれいな道路が東西南北に伸び、その間を家々が立ち並ぶ。
家は木と土壁で造られており、一つ一つはあまり大きくない。
似たような形のそういった家々が、狭い間隔でいくつも建てられていた。
そしてそれらの中で、はっきりと目につく妙なものがある。
1メートルほどの高さまで積まれた土の塊。土は粘土のようなもので、簡単には崩れそうになかった。
形としては裾が広がった山型ではなく、太さはそこそこにまっすぐ縦に長い。
表面もゴツゴツしており、小さくはないがミニチュアの岩山と言った感じだった。
その表面を、黒く小さなアリが登山家よろしく這っている。
岩山に空いた小さな穴から出入りしながら、何匹ものアリがそれにたかっていた。
そこあったのは立派な蟻塚だった。
同じものが町中に立っている。家々と同じぐらいの数はあるだろうか。
その中には白いアリや、角のあるアリや、羽のあるアリなど様々な蟻塚が存在していた。
町の機能維持のために雇い入れられた人々。それは(PC名)も含む。
一つ、絶対に守らなければならない条件があった。
それはこの町の『蟻』に触れないこと。
誤って踏んでしまうことすらご法度だった。
その対策として、道路や家などは地中から地上までをしっかりした壁で囲われている。
町の周囲にも、ぐるっと一周を完全に取り囲む小さな壁があった。
地上分の高さは10センチほどしかないが、蟻が越えられないようにしているらしく。
それに引っかかって転ばない、というのも条件の一つのようなものだった。
壁はなくとも蟻たちはみな行儀よく、蟻塚の中あるいはその周囲にしかいない。
近づかなければ、踏んだりする心配はなさそうにも思えるが。
何となく、妙な緊張感が常に町中に蔓延していた。
蟻の甘きにつくが如し
最初に訪れたときからそうなのだが。
町全体を、なんとも言えない香りが包み込んでいた。
酸味と甘味の入り混じった匂い。
いい匂いかいやな臭いか。好みが分かれるところだろう。
好きな人は好き。概ねそのような匂いだった。
聞けば、これは蟻造酒をつくるときに出る匂いらしい。
酒そのものの香りというわけではないようだが、似たものにはなる。
だから酒もやはり、通好みのものになるようだった。
今でも結構なものだが、時期が進めばどんどん濃密なものとなり。
最終日には匂いを嗅いでいるだけで酔っ払ってくる。というのは、この町で臨時で働く常連の男の弁だった。
町を包む匂い。それは当然ながら、町の外にも漏れ出していた。
苦情は来ない。周囲の村々でも同じような匂いを放っている。
だが、それを目当てとしたものは匂いにつられて近づいてきていた。
町に現れたのは一匹のアリクイだった。
土煙が舞う中で仁王立ちになり、頭にはカウボーイハットをかぶっていた。
両手を上げて、『降参』のポーズを取っている。
だがそれは、降参ではない。まだ始まってすらいなかった。
振りかぶった両手を、土下座でもするように前方に投げ出す。
それは戦闘開始の合図。後方にいた魔物たちが町になだれ込んでこようとしていた。
そして町の中からは、大量の蟻がどこからともなく湧き出していた。
彼らは大隊を組んで敵へと向かっていく。町を守るグンタイアリたちだった。
だが相手は『アリ殺し』に特化したものたち。初っ端からハンデキャップマッチである。
勝ち目は薄い。ここで、ようやく仕事の始まりだった。
(PT名)は何もしませんでした (行動ポイント残り1ポイント)
戦闘予告
蟻にたかるものどもに遭遇した!
蟻人の国アリアンツランド
甘い、そして酸っぱい匂いに誘われて。
『アリ殺し』のモンスターたちが、わらわらと蟻人の国へと襲いかかる。
彼らの狙いは、町の人達が休み無く蟻造酒をつくり続けている『酒蔵』だった。
匂いに誘われてきた以上、その匂いの発生源を目指すのは当然ではある。
酒蔵は全て、町の中心部にまとめて建てられているた。
その周囲に家々があり、様々な種類の蟻塚があり。
それらが身を挺して壁となり、外敵から守る場所にあった。
迎撃に出動したグンタイアリを始めとしたアリたち。
命令されてそうしているわけではない。訓練もしていない。
彼らの意志で、彼らの国を守るべく戦おうとしているのだった。
この国にあらゆる意味でアリが組み込まれ、その時に町を囲う壁が作られた。
アリには越えられない小さな壁。
それは彼らを閉じ込める牢獄であり、外からの侵入を防ぐ結界でもあった。
以来彼らは独立を保っている。
壁を越えてくるマレビトだけを加えながら、蟻人の国造りを共に行ってきたのだった。
そんな彼らの武器は数である。やられても食われても尽きない圧倒的物量。
次から次へと巣から出てきて、地面を黒く染めながら敵へと群がっていく。
通常の敵であれば、それでなんとかなったかもしれない。
だが、相手はその物量を、むしろご褒美と感じるような連中だった。
アリたちが力により撃退し、ときに腹を満たしてお帰り頂き。
そこに、国を守る兵士として雇われた(PC名)や他の臨時兵士も参戦していた。
力を合わせ、無限の物量を惜しげもなくつぎ込んで。
休み無く続く猛攻を、休み無く耐え続けたのだった。
イベントマップ『蟻人の国アリアンツランド』をクリア!
クリアボーナス
(PC名)はステータスボーナスを△△得た
寝ても覚めても
戦いは休み無く、一月続いた。
などということはもちろん無く、先に音を上げたのは襲撃者たちだった。
全身をアリに噛まれ、泣きながら走り去るオオアリクイ。
腹パンパンになって、ちょっとえずきながら帰っていくアリクイ。
始めてアリを口にして、自分が酸っぱいの苦手と気づいたコアリクイ。
それぞれに、それぞれの結末があったようだが。
少しずつ退いていく敵の群れに、均衡が崩れれば物量は決定的な暴力だった。
アリたちは町を囲む壁を越えない。
逃げる彼らを追いかけるのはそこまで、それ以上の深追いはなかった。
自身の仕事の結末に興味はないと、去っていく背中を見送ることもなく。
仕事を終えた彼らは、彼らの蟻塚や巣へとさっさと戻っていった。
そこに現れたのは、感動の涙を流すこの国の議会の議長を務める男だった。
「感動した!」
泣きながら、シンプルに叫ぶ。
その手には一升瓶が握られ、その中には『蟻造酒』が満タンに入っていた。
今日この日は、ちょうど一ヶ月に及ぶ蟻造酒づくりの中日にあたる。
今期で一番最初の酒が出来上がる日であり、それが彼の持つ一升瓶の中身だった。
戦い終わったアリたちが帰っていく。
その群れの中に、できたばかりの蟻造酒をポタポタと数滴落とした。
地面を黒く染める。議長からの祝杯だった。
近くにいたアリたちはそれを口にしながら、しっかりとした足取りで歩いていった。
この国では『蟻』に触れてはならない。彼らを踏んでも罪に問われる。
彼ら全員が巣に帰るまで、地面から一匹残らずいなくなるまで。
その場にいた者たちは、誰一人動くことはできなかった。
その後、新たな襲撃もなく。半月がたち、不休の蟻造酒づくりは無事終わった。
協力してくれた臨時国民すべてに蟻造酒が振る舞われ、丸一日酒盛りは続いたという。
その酒盛りに本当の国民は参加していない。全員、一滴も飲むことなく爆睡していた。
議会ではある『祝日』の制定が採決された。
一ヶ月に及ぶ儀式のちょうど真ん中、その日を『蟻と人の記念日』としたのだ。
アリも蟻人も、しっかりと休む。『休みの儀式』を行う祝日として。
それは来年から行われることとなり、不休の期間は半月と激減したのだった。
ミッション『寝ても覚めても』をクリア!
クリアボーナス
(PC名)は魂塵を△△Ash得た
(PC名)はSPを1得た
(PC名)は『クリアボーナス食料』を手に入れた
(イベント名)
今回のイベントは終了しました
現在位置、HP、疲労度がイベント開始前の状態に戻りました
イベント挑戦ボーナス
(PC名)はコスチューム『ありんこ』が修得可能になった
山を愛するものたち
- 発生(前回フェイズ6、強制イベントおよび休息処理後)
イベントスタート
『時限ミッション:山を愛するものたち』を発見しました
今回のイベントミッションの開放期間は8/9(水)~8/26(土)までです
山を愛するものたち
コールフレッド山。通称『白帽』。
万年雪を山頂に帽子のように被っていることから、そう呼ばれている。
この山は、登山の名所としても知られていた。
登山口にある村が管理、サポートをしており。
難易度別に、5つの登山ルートが設定されていた。
そのうち一番簡単な『らくらくコース』は、9合目までをロープウェーで登る。
そしてほぼ平坦の最後の1合を歩いてゴールである。
登山と言っていいかは分からないが、ともあれらくらくである。
対して最難関となるのが『やばやばコース』。
難度を上げるために山に手を加えたとしか思えない、やばいルートを通って登る。
この最難関登山コースを使って山頂までたどり着いたものはほとんどいない。
多くは途中リタイアで引き返すか、それもできずに救助を要請するか。
そのような難関コースだからこそ、登頂者は多くの尊敬を集めることになり。
無謀な挑戦者はあとを絶たなかった。
その日もまた、途中リタイア者が出た。
3合目付近から救助が要請され、救助隊が向かった。
だがそこに、要請したはずの被救助者の姿はなかった。
登山者はすべて記録されており、救助ポイントまでの登山跡も確かにあった。
だがその救助を求めた当人だけが消えていた。
登頂もせず、下山の記録もなく。どこに行ってしまったというのか。
周囲の捜索もしたが見つからず、救助隊の疑問と困惑は深まるばかりだった。
そして、この後も同じことが続いたのだ。
真夏の怪談じみてきたが、実際に人が消えている。
『やばやばコース』は一旦閉鎖され、捜索隊が何度も向かったが誰一人見つからない。
何か見落としがあるかもしれない。
捜索隊は新鮮な目を欲している。協力願えないだろうか。
『マップ:[[冠雪の夏山コールフレッド]]』を発見しました
冠雪の夏山コールフレッド
夏のコールフレッド山は、まさに『白帽』と呼ばれるにふさわしい格好だった。
鮮やかな緑に染まった体に、頭の上にちょこんと乗せた雪の帽子。
とはいえこの姿が拝めるのは、あと数ヶ月といったところである。
冬が始まる頃には雪が積もって、すぐに山全体が真っ白になる。
それが春、夏と徐々に下から解けていき、夏真っ盛りのこの季節になってようやく今の姿となるのだ。
頂上付近の雪だけは、夏を経ても解けず残る。
次の季節の初雪まで、コールフレッド山は『白帽』としてそびえ続けるのだった。
登山の名所となるのもこの季節、雪がなくなってからである。
白帽としての姿の美しさもあり、登山家に好まれるというのもあるが。
それ以上に、冬山登山としては単純にキツすぎるのだ。
そのため、冬場はロープウェーつきの『らくらくコース』のみ開放されていた。
待ちに待った夏シーズン。
美しい白帽の姿を今年も拝め、夏山登山を多くの人が楽しんでいた。
まさにそんな折だった。
『やばやばコース』から人が消える。
登頂も下山もしない。となれば、まだこの山の何処かにいるはずである。
気候がいいとはいえ、すでに数日が経過している。
すぐに見つけ出す必要があった。
そこに山があるから
設定された5つの登山ルート。
登山口にある『キールマイヤー村』をスタートし、山頂をゴールとする。
その2地点のみが共通で、それ以外は全く別のルートになっていた。
初心者用の『らくらくコース』に始まり。
第4段階である『きつきつコース』までは、どれも多少なり整備された『道』がある。
最初の『らくらくコース』から、段階的に難易度が上がっていくのだ。
そのように設計され、管理も丁寧に行われていた。
だが、最難関の『やばやばコース』だけは趣旨が違う。
自然のままの道ばかりで、ただの直角の崖をコースとしている場所もある。
管理もせずそのままで、落石や土砂崩れなどでコース変更があるぐらいで。
とにかく『やばい』コース設定だった。
変な話だが、このルートはそもそも挑戦とリタイアがセットになっているのだ。
過度に妨害しているわけではないので、年に数組の登頂者もでるにはでるが。
その大半はリタイアして救助を求めることになるのだった。
リタイアが前提であり、その後のケアも村できちんと用意されている。
その分、登山口にて事前に村からそれなりの料金を取られるわけではあるが。
だから、このような行方不明事件などは起こり得ない。
あってはならないことだった。
千里の山も一合目から
『らくらくコース』のロープウェーが、登山者を乗せてゆっくりと山を上っていく。
それを仰ぎ見ながら、(PC名)は『やばやばコース』への道を進んでいた。
『やばやばコース』は現在閉鎖され、あちこちを救助隊が動き回っていた。
(PC名)も登山口から登っていく救助隊に混ざり、登山を開始する。
彼らは救助のプロであり、登山のプロでもあった。
普段は山岳ガイドを務める村のものも、今回は救助隊に加わってもいた。
危険なコースといえども、細かなルート選びや方法によって難易度は大きく変わる。
彼らのそれは的確であり、それでも楽な道は一つもなかったが。
なんとか登っては行けそうだった。
だが、目的は登山ではない。それに集中することは彼らもできない。
行方不明になった登山客の捜索こそが、ここにいる全ての者のなすべきことだった。
プロである彼らの目でも探しきれなかった、それを見つけなければならない。
要は、『素人の目線』というものが必要とされているわけである。
何しろ行方不明者はみな素人なのだ。常識外、セオリー外れの行動は当たり前。
彼らの思考はむしろ、救助隊とは一番遠いところにあるようなものだった。
気になったことや場所を素直にそのまま伝えながら、登山を続けていく。
3合目を過ぎたあたりで、彼らが示すコースとは別の横道へそれることを提案してみた。
それはちょうど体力的にきつくなってきたところで、ちょうどよく休憩を取れそうな。
そんな魅力的な横道だった。
その道を行くと、すぐに奥まった森に入り。
解け残った雪がちらほらある中に、数多くのきのこが群生していた。
くすんだ色のものから、色鮮やかなものまで。
形も大きさも様々なものが、地面の上や木々の根本、幹などに生えていた。
救助隊の1人が踏んだきのこが潰れ、足の下からぶほっと粉が吹き出る。
すこしほこりっぽいにおいがあたりに広がっていた。
そして、森の中からふらふらと何かが姿を見せた。
それは行方不明になったはずの登山客ではない。この山と森にすむものたちだった。
ただし、その目や表情は通常のものではない。
興奮し、熱に浮かされたような。そのような色に染まっていた。
(PT名)は何もしませんでした (行動ポイント残り1ポイント)
戦闘予告
菌に侵されしものに遭遇した!
冠雪の夏山コールフレッド
獣たちを襲う熱病。
夏がそうさせたわけではない。
山の気温はけして高くはない。夜間となれば、むしろ肌寒いぐらいである。
頭に雪の帽子をかぶる姿を見せるのは伊達ではなかった。
それは3合目から少し上がったぐらいの標高のこの場所でもそうだった。
歩いてきて、汗をかくほどではない。夏らしい熱気はどこにもなかった。
それはこのコールフレッド山が、夏に人気の登山スポットである理由の一つでもあった
熱量は彼らにだけ、その内側にだけ溢れていた。
興奮と熱狂の中で暴れまわる。時折踏みつけたキノコが潰れて、胞子が噴き出すのにも気にした様子はなかった。
こちらは少し気にかかる。
風でも吹いて、淀んだ空気ごと持ち去ってくれるのが待ち遠しかった。
興奮している。それらは明らかに、そうだった。
そこら中にキノコが生えた森。
あまり見たことのない形や色味の野草なども生えている。
彼らのその異様な雰囲気には、この森は妙にマッチしていた。
始めはその空気に圧倒されていたものの。
救助隊の面々も、次第に自分たちの役目とできることを思い出していた。
彼らの仕事には、時に野生動物の対処も含まれる。
まともに戦うことは少ないし、これほどまでに凶暴化していることもない。
それでも、できることはある。それを思い出していた。
動き出した救助隊。それと連動して敵を排除していく。
凶暴化によって、敵たちの間に連携した動きはなくなっている。
動きも単純化しており、冷静に対処すれば彼らだけでも充分だった。
そうして敵の数も減ってきた頃。余裕の出てきた彼らはあるものを見つけていた。
(PC名)の目にはいまいち分からなかったが。
それは人の痕跡。登山者たちと思われるものたちが通った跡のようだった。
イベントマップ『冠雪の夏山コールフレッド』をクリア!
クリアボーナス
(PC名)はステータスボーナスを△△得た
山を愛するものたち
変わった野草やキノコの群生地である森。
そこにいた敵を追っ払い、更に奥へと足を踏み入れる。
行方不明になった登山客たちの足跡を見つけ、それを追ってのものだった。
『やばやばコース』の登山道を離れた横道を、救助隊の先導で進んでいく。
一度見つけた足跡を彼らが見失うことはない。
村への報告や救助後の動きなども確認しながら、ずんずんと突き進んでいった。
木々に隠れた距離的にはほんのわずかな場所に、大きな洞窟が口を開いていた。
救助隊である彼らは互いに顔を突き合わせ、いくつかの言葉を交わす。
先程の群生地もそうだが、この洞窟の存在についても誰も把握してはいなかった。
キノコや野草は最近できたものかもしれないが、この洞窟はそうではないだろう。
入り口が埋まっていたか何かして、以前にはなかったものだった。
彼らも初めて見る光景。当然、捜索も行われてはいなかった。
洞窟の中に入ると、奥からすっと冷気が漂ってくる。
陽の光が入らないぐらいの場所から奥は雪や氷も残っていた。
すでに涼しい山中と比べても、中は数度はゆうに低い気温を維持していた。
それほど奥まで行く必要はなかった。
洞窟に残った雪の上には、(PC名)にもはっきり分かる足跡もついていた。
身を寄せ合い、うずくまっているものたち。
うつろな目をしている登山客たちが、そこに全員揃っていた。
救助隊が彼らに声をかけ、外へと連れ出す。
反応はほとんどない。疲労や怪我というわけではなく、意識が混濁していた。
村へと帰って、彼らの回復には2,3日かかった。その彼らの話を聞くと。
救助を要請してから、それを待つポイントを探して横道にそれて。
いい場所を見つけて、そこでキノコと野草を採って料理をしたところまで覚えていた。
その話を聞いて、あの場所の調査が再度行われた。
見つかったキノコや野草はどれも既存のものに似ていたが、全く新しいものだった。
おそらくこれらのいくつか、あるいは全部か。そこに危険な成分が含まれている。
それを口にした彼らは冷たい洞窟に閉じこもり、意識朦朧としていたのだった。
以降、『やばやばコース』の注意事項に一つ項目が書き足された。
「道に生えているキノコ、野草、その他食材をみだりに口に入れない」
当たり前のことでも、文字にして書いておくことは重要だった。
山ではきのこ狩りや山菜採りなども行われていたが。
これについても、村のガイド全員に周知徹底がなされたという。
そして『やばやばコース』は再開された。
今日も山には登山客が押し寄せ、やばやばコースの救助依頼も押し寄せている。
ちなみに救助依頼はしっかりと有料であり、先の遭難者たちにはなかなかの金額が請求されていた。
救助隊が装備を整え、いつものように村を出る。
コールフレッド山には日常が戻ってこようとしていた。
ミッション『山を愛するものたち』をクリア!
クリアボーナス
(PC名)は魂塵を△△Ash得た
(PC名)はSPを1得た
(PC名)は『やばいキノコと野草のスープ』を手に入れた
特別ボーナス
(PC名)は魂片:『冬登山用ピッケル』を手に入れた
(イベント名)
今回のイベントは終了しました
現在位置、HP、疲労度がイベント開始前の状態に戻りました
イベント挑戦ボーナス
(PC名)はコスチューム『』が修得可能になった
快適な空の旅を
- 発生(前回フェイズ6、強制イベントおよび休息処理後)
イベントスタート
『時限ミッション:快適な空の旅を』を発見しました
今回のイベントミッションの開放期間は10/4(水)~10/21(土)までです
快適な空の旅を
[[気球港リトルハンクス]]。
その街は、空の玄関として知られていた。
知る人ぞ知る、よりは少し広く。
熱気球の愛好家を中心に、こぞって人が集まる街だった。
ここには他ではあまり聞いたことがない、『気球専用』の港があるのだ。
離発着は自在に、そして係留や保管も可能なマリーナの空版と言った感じだった。
港には常に、多くの気球が係留されていた。
地面に立つ支柱にくくりつけたロープが、空に向かってだらりと伸びている。
まるで重力が反転したかのように。その先に、気球が繋がれ浮いていた。
そしてその支柱とロープが、何本も間隔を開けて港中に並んでいた。
ある日、数多くの気球が浮かぶ空を黒い闇が覆った。
雲ひとつない青空を、輝かしい太陽を、何者かがすべて隠す。
そしてそれは、その空に浮かんでいた気球へと襲いかかった。
気球へと突っ込み、そのまま突き破っていく。
穴が空いた体では浮き続けることはできず、気球たちは次々と沈んでいった。
その時に係留中だった熱気球には、人が乗っているものはなかった。
それが幸いではあった。だが、それでも被害は甚大である。
空にあった50を超える気球は全て落ちた。
一つとして残さず。ここはオレたちの場所だと、そう言って空を支配したのは何万という数の鳥たちだった。
鳥たちはそのまま街の上空に居座った。
その後、試しに数機の気球を飛ばしてみたが見事に撃ち落とされてしまった。
このままでは『気球港』としては機能しない。
それどころか、騒音や様々な鳥害に苦しめられることになりそうだった。
気球で空に昇り、居座る鳥どもを追い払う。そんな『空の勇者』を街は求めている。
閉ざされた気球港をこじ開ける手助けをしてくれないだろうか。
『マップ:気球港リトルハンクス』を発見しました
気球港リトルハンクス
空を覆う黒い集団。
黒い翼の鳥たち、というわけではない。
あまりの大群で空を隠してしまい、黒い影でしか見えなくなっていた。
この時期、多くの渡り鳥が街の上を通過する。
それは毎年のことで、不思議なことではなかった。
彼らの目的地は更に南であるため、ここの風を利用するのだ。
ただ、その高度は毎年同じなので、そこを避けて気球を飛ばすのが通例だった。
だが今年はそれに、3つの変化があった。
一つは高度。かなり低い位置を飛んでおり、気球と重なってしまった。
2つ目はその数である。例年の数倍ではきかない。10倍以上の大群だった。
そして最後は、まっすぐ南へ渡ることなくここに留まったということである。
高度が低くとも、そのまま通り抜けてくれれば問題はなかった。
大群であったとしても、そのまま通り抜けてくれれば問題なかった。
留まったとしても、高高度で数も少なければ問題なかった。
絡まりあった結果、このような事態になっていた。
突然の襲撃を受け、街には落下した気球が散乱していた。
いくつかは回収されたが、全てとは行かず多くは残されている。
さらにそこに、彼らのフンや羽根、食べ残しなども落ちてきていた。
そしてそれは、どんどん増える一方だった。
今現在、街を歩くものの姿は殆どない。
頭上から落ちてくるものの被害に合わないためである。
騒音と悪臭が包む街。そんな街に、いつまでもしておくわけには行かなかった。
風のバルーン・エアポート
気球港リトルハンクス。
ここには初めから『港』があった。
特殊な地形から、気球の離発着地として使われるようになり。
それが後に、港から街へと発展していった。
気球を愛するものたちが作った街らしく、常に街の中心には気球があった。
それに乗っての旅行や冒険、そして競技としてのレースなども行われている。
それには乗るものだけでなく、見物客をも街に多く呼び込んでいた。
この街を生むことになった特殊な地形というのは、風に関するものである。
地上付近では常に無風に近く、上空に行くと強い風が吹き抜ける。
風向きにはばらつきがあるが、季節や時間帯である程度一定していた。
高度によって強さを、時間帯によって方向を。
そうやって風をコントロールすることで、『気球港』として機能していた。
真上にプカプカ浮いて景色を楽しむ分には風は不要だが。
推進装置を持たない気球で横移動を行うには、この風が必要不可欠だった。
この風を利用するものは、熱気球だけではない。
空を埋め尽くした渡り鳥たちもまた、長距離を移動するために風を使っていた。
ここは古来から、こういった『風』を必要とするものたちの聖地とも言える場所だった。
空のバルーン・ファイト
巨大な円盤型の気球が、ゆっくりと空に昇っていく。
(PC名)の姿はその気球の上にあった。円盤の上に立って、空へと。
それは天壇気球と呼ばれていた。
通常の気球は、風船部分となる球体の下にカゴをぶら下げて飛ぶ。
対してこの天壇気球は、風船の上に直接乗っかって飛ぶというものだった。
形は球体ではなく、平たく広がった円盤型をしている。
下部には円盤の外周に沿っていくつもの重しが吊り下げられ、それを操作して空中でのバランスをとっていた。
天壇気球は多くのものを同時に乗せて空へ飛ばすことができる。
横方向への移動は想定されていない。
係留したまま真上へ飛ばす、気球と景色を楽しむためだけのものだった。
だが今回はそれで充分である。用事があるのは真上にだけだった。
簡単に鳥たちにやられないための外装補強を施して。
天壇気球は(PC名)を始めとした迎撃部隊を乗せ、空へと舞い上がっていった。
揺れは殆どない。風が一吹きでもすればどうなるか分からないが。
無風状態の低空域では、まっすぐそのまま地面が上昇していくだけの感覚だった。
空が徐々に近づき、その集団の真の姿が少しずつ見えてきていた。
渡り鳥たち、それだけの大群ではなかった。
もちろんそれが大半を占めるが、昆虫や動物、爬虫類などの姿も多く混じっていた。
風に乗って飛行可能なものたち。それらが混ざり合い巨大な集団を作り上げていた。
彼らの目にもこちらの姿がとまる。
以前全て落とした気球が再び戻ってきた。空の覇権を奪回せんと。
その背に乗せた奴らも含めて、撃墜のため滑空を始めようとしていた。
(PT名)は何もしませんでした (行動ポイント残り1ポイント)
戦闘予告
空の覇権を握るものに遭遇した!
気球港リトルハンクス
天壇気球の上。
迫りくる鳥たち、翼を持つものたちを迎え撃つ。
我が物顔で空を飛ぶ。それはそうだろう。
はるか昔より、ずっと空は彼らのものだったのだから。
気球は木の板で全体を覆われ、簡単には刺し貫くことはできなかった。
ダーツのようにくちばしを刺したまま、足をバタつかせている鳥たちが見える。
別の鳥は板を引っ剥がそうと足で掴んで羽ばたくが、それではびくともしなかった。
(PC名)と気球の周囲を飛び回り、戦いながら気球を落とす。
残念ながら、そのどちらもうまくはいっていなかった。
以前までの彼ら、渡り鳥たちははるか上空を北から南へ渡っていった。
その時と違う行動を取っているなら、その時とは違う何かがあるということである。
渡り鳥、それだけの群れでないのも一つだろう。
様々なものが混在している。それは低い高度であることが一因だった。
群れの中に一羽、見慣れない鳥が混じっていた。
それはたった一羽で、同じ種類のものはこの巨大な群れの中にはいない。
目につく羽色をしているわけでもなく。普通にしていれば目にとまるものではなかっ
た。
灰色の地味な鳥。
わずかに青みがかった短い冠羽が頭の後ろに伸び、特徴と言えるのはそれぐらいか
目立つ特徴もなく、目立つ行動もない。
それでもこの群れの中心にいるというのは、全体を見ていれば何となく分かる。
だからこそ、この地味な鳥が目にとまったのだった。
その灰色の鳥は、これほどの高さを飛ぶ鳥ではない。
樹上あたりまでが最大の高さで、そこから地上までの間で暮らす鳥である。
そもそもの話だが、渡り鳥ではない。一つの土地に定着して生きる留鳥だった。
それが一羽だけ混じって、しかも群れの中心にいる。
強くリーダーシップを取るわけではなく、上手く全体をコントロールしていた。
されている側がそれと気づいているかどうか、
地味な羽根色で、その鳥は影に隠れていた。
イベントマップ『気球港リトルハンクス』をクリア!
クリアボーナス
(PC名)はステータスボーナスを△△得た
快適な空の旅を
天壇気球は板で補強されたとはいえ、その隙間に傷が届いたのか。
ごくごくゆっくりと下降を始めていた。
落ちていく気球に、そのままついてくる鳥たち。
高度が下がって、風が徐々に弱まっていく。
飛ぶことに風を利用していたものが、順に脱落して上空へと戻っていった。
大きな群となった彼らは、そもそも高度によって棲み分けされていた。
それが最初に気球が飛んでいた高さに集まっていたのだ
天壇気球の降下とともに、群れの高度も下がって離脱者を生んでいた。
その彼らが戻ることはない。
同じ頃に風向きも変わり始めており、上空の風に乗ってここを離れて行っていた。
群れが小さくなれば、いくら地味な羽色をしていてもおかしな動きは目立つ。
もはや統率は取れない。崩壊は止まらなかった。
それぞれが主戦場とする高度で次々に離脱していく。
地上近くまで気球が降りてきた頃には、小鳥が集まる癒やしの絵面になっていた。
そこにはもう、灰色の地味な鳥の姿はなかった。
彼の空の高さはこのあたりで、残っていてもおかしくはないのだが。
地上に下りることを拒否するがごとく。もっと上空で姿を消した。
のそり、と静かに着地する天壇気球。
空は晴れて、遮るものはない。空を取り戻した、その実感が一杯に広がっていた。
その後。鳥たちの『落し物』にまみれた街の一斉清掃が行われた。
気球の街で、地べたをみなが這いずり回る。
そして、気球は再び空へと上がっていった。
戻った空。その嬉しさからか、街にあった全ての気球が空に舞う。
無数の灯篭を空に飛ばす祭り、カラフルな気球はその光景に似ていた。
街では気球の操縦講習や、熱気球の販売も行っているらしい。
それらについても、清掃が終わると同時に再開していた。
熱気球の講習は優しいが、購入は優しくない。
その文句は有名なのか、明るくなった街なかを歩く先々で耳にした。
記念におひとついかが、と言われた熱気球。
確かに、功労者に対して示されたのは優しさの欠片もない値段だった。
クリアボーナス
(PC名)は魂塵を△△Ash得た
(PC名)はSPを1得た
(PC名)は『灼熱気球小籠包』を手に入れた
特別ボーナス
(PC名)は魂片:『天壇気球の外装板』を手に入れた
快適な空の旅を
今回のイベントは終了しました
現在位置、HP、疲労度がイベント開始前の状態に戻りました
聖なる鈴の音よ響け
- 発生(前回フェイズ6、強制イベントおよび休息処理後)
『時限ミッション:聖なる鈴の音よ響け』を発見しました
今回のイベントミッションの開放期間は12/6(水)~12/23(土)までです
聖なる鈴の音よ響け
リンリンリン、と秋の虫の声のような音が草原に響く。
だが、すでにそんな季節ではない。
虫たちは冬支度を整え、あるいは寿命を終え。
彼らの演奏会には、また来年を待たねばならなかった。
音の主は虫たちではない。
草原に咲く小さな花々。それらが風に揺れて、鈴の音を鳴らしていた。
釣り鐘の形をした花冠。ぶら下がるようにして、皆一様に下を向いている。
薄いピンク色をしたその花が揺れ、広い草原の舞台で静かな大合奏が行われていた。
『ホーリーベルフラワー』。それがこの花の名前である。
寒くなっても枯れずに、一年中花を咲かせる。
そして冬の訪れとともに、鈴の音を響かせ始めるのである。
冬のある朝、この草原の一角が荒らされているのが発見された。
鈴の花が全てなくなり、そのあたりが静寂に包まれてしまっていたのだ。
落ちた散ったということもなく、萼を残して摘み取られている。
その他の茎や葉などに傷はなく、花冠だけが綺麗になくなっていた。
誰かのいたずらか、病気か何かか。
原因がつかめないまま、一週間後、また別の区画から花が消えていた。
二度目は警戒していたのもあって、目撃者がいた。
彼はその日、多くの動く影を見た。それは巨大な角を持った獣たちだったという。
自然の摂理として、多少は仕方がない。
だがこのままでは全滅もしかねない。それぐらいの勢いだった。
この美しい草原をなくしてしまうわけには行かない。
凛となる鈴の音を、守ってはくれないだろうか。
『マップ:[[聖鈴草原ホーリーガーデン]]』を発見しました
聖鈴草原ホーリーガーデン
風音が流れ、その隙間に鈴の音が響く。
一つ一つはけして大きな音ではない。
ごくごく小さな金属音のようなものが、いくつも重なって鳴っていた。
ホーリーベルフラワー。あるいはセイリンソウ。
膝下ぐらいまでの高さに生えた草に、小さな花をいくつも咲かせている。
鈴の花冠はほとんど白に近い、薄いピンク色をしていた。
一面に広がるその中を歩く。
それほど密に咲いているわけでは無く、避けていくのは問題なかった。
草原の周囲にはいくつかの町や村がある。
ヴァルはその一つ、ソルジヤッタという町からここに入った。
町から程なくして花畑は現れ、鈴の音が聞こえ始める。
風に乗ってもたらされるそれは、心躍ると言うよりも落ち着かせてくれるものだった。
鈴の音は風まかせだ。
もちろん柄の部分をつまんで振れば、呼び鈴のように鳴らすこともできる。
だが試してみたが、その音はどうにも味気ないと言うか。
高い音というだけで、確かに澄んだ美しい音ではあるが、それだけでしかなかった。
一音だけで重なりがないから、とも言えるかもしれない。
風に揺れれば、いくつもの鈴が同時に、少しずつズレながら音を響かせる。
それでもやはり違いはあるように思えた。
鳴らすのではない、鳴らされる音。自然が生む音。
風の中に溶けていく。そんな感覚にさせられた。
凛々しき聖鈴
茎から生えた長い柄が上に伸びて、途中でぐにゃりと曲がって下へ向かう。
その先端についた花は頭を垂れる形になり、地面に顔を向けて咲いていた。
釣り鐘の形をしたその花冠の中に、真っ赤な『球』がぶら下がっている。
それが揺れて花びらに触れ、金属や硝子を打ったような音が鳴っていた。
この『ホーリーベルフラワー』は、冬になっても枯れたり閉じたりしない。
枯れないどころか、一年中小さな花を咲かせ続ける。
そしてその花が開いたまま、内側に実をつけるのも一つの特徴だった。
釣り鐘の中にぶら下がった真っ赤な果実。
夏の終わり頃に生った実は、雪が降り始める季節になると縮んで固くなる。
それが花の中で揺れて、リンリンと音を鳴らすのである。
今年は残暑が長く続いて心配されたが、何とか短い秋を駆け抜け。
年の瀬の迫る今、澄んだ鈴音を響かせていた。
やがて実が落ちれば鈴の音も止む。
それは本来、春の訪れを意味するのだ。
まだ失うには早すぎる。冬が始まったばかりで、誰もがそう感じていた。
凛々たる聖角
多くの人々に愛された『聖鈴草原』。
近隣の町や村に住む人だけではない。
遠方からも、この鈴の音を楽しみに人が訪れていた。
聖鈴草原、その一角から音が消えている。
もちろん何も聞こえないわけではない。すぐ近くには花が残っており、そこから音は流れてきていた。
だが、それは酷く物悲しい。
かすかな音が聞こえるせいで、無音よりも余計にそう感じられた。
最初の被害は広範囲に起こっていた。
誰も警戒していない中、ごっそりとやられた感じだった。
二度目の犯行には一週間を挟んだ。
三度目はそれが3日に縮まった。犯行は加速していた。
待ち伏せと言うほどのものではない。何度かの犯行から、次の予測は立てたが。
ただ待っていた、そこに彼らは姿を見せた。
鈴の音を、彼ら自らが響かせながら。
そこにいたのは、それぞれに独自の『角』を生やした獣たちだった。
花だけをちょこんとつまんで切り取られた。
それは間違いないが。同時にそれは、実を奪うものでもあったのだ。
『角』の獣たち。彼らの角にもまた多くの花が咲いていた。
ホーリーベルフラワー。見た目には同じに見える。
それが歩くことで揺れ、リンリンと鈴音を鳴らしていた。
(PT名)は何もしませんでした (行動ポイント残り1ポイント)
戦闘予告
鈴の花を狙うものに遭遇した!
聖鈴草原ホーリーガーデン
鈴の音が響き渡る。
聖鈴草原の花が鳴らしているのか、獣たちの角の花が鳴らしているのか。
風が強くなってきたせいで、そこら中から鈴音が聞こえてきていた。
それぞれの音に区別はつかないし、同じにしか聞こえない。
というか、同じものなのだろう。
彼らはこの草原にある『ホーリーベルフラワー』を頭の角に生やしている。
地面に生えているか、角に生えているか。
違いはそれだけで、響かせる音は同じだった。
この花畑は誰の土地、というわけではない。
だが見たところ手入れはされている。あくまで自然に、最低限にだが。
それを行っているのが、ソルジヤッタの町の住人たちだった。
なるべく自然のままに、それも含めての美しさだと彼らは言う。
そこから生まれる音楽だからこそ価値があると。
だから多少の理不尽は受け入れる。その覚悟はあったのだ。
実際過去にも小規模だが被害はあった。それも彼らだったのだろう。
それは受け入れられた。だが、今回のこれは見過ごせなかった。
彼らは花を食う。目的は中にある実、そして種だった。
それによって自らの角に花を咲かせるのだ。
聖なる鈴の音を、自ら響かせ聞くために。
大きく膨れ上がった群れは、彼らにもコントロール出来てはいない。
花を食い尽くすことは彼らも本意ではないだろう。
だが、それなりで止める意志もない。
むしろ、全てなくなる危機感から我先にと積極性が増してしまっていた。
自分たちでは止められない。
花がなくなるまで。鈴の音が止むまで。
誰かが止めるまで、彼らの咀嚼音も角の鈴も、鳴り止むことはなかった。
イベントマップ『聖鈴草原ホーリーガーデン』をクリア!
クリアボーナス
(PC名)はステータスボーナスを△△得た
聖なる鈴の音よ響け
「『角つき』がいるって聞いたんだが。どこのどいつだ?」
ぞろぞろと、ややガラの悪そうな男たちが草原を歩いてくる。
いかにも荒事が得意そうな、そろって鋭い顔つきで体格もよかった。
「おお、おお。あいつらか」
値踏みするように、花畑に集まった角を持つ獣たちを順番に眺める。
「いいじゃねえか。ちょうど動きも悪くなってるし」
わざと遅れてきた、というわけではないのだろうが。
結果的に、彼らにとっていいタイミングでの登場となっていた。
彼らは町から依頼され、集められた者たちである。
『角つき』を専門に扱う、合法的な荒くれ者たちだった。
「俺たちは角あるものを乗りこなし、客に提供する。そういうプロなのさ」
「結構需要あるんだぜ。角のある乗り物。特にこの時期、赤い服着た爺さんにな」
そんな彼らの噂を何処かで聞き、情報を流すことで見事に掛かった。
町にとっても彼らにとっても、何かと都合のいい話だった。
「人呼んでホーンライダーとはオレたちのことさ」
親指を立て、不自然なまでに真っ白な歯を見せる。
決めポーズなのか他の男達も同様のポーズと表情を見せ、作り物のような白い歯で笑っていた。
「あとは任せな、って偉そうに言うほど仕事は残っちゃいないが」
そう言いながら、後ろの男たちを引き連れて前へと進み出す。
鈴の花を角から生やした獣たちも、残った力で迎え撃とうとしていた。
「行くぞお前ら! 流通革命を起こすのは俺たちだ!」
おおー! と、威勢のいい言葉が力強く返ってきていた。
「今回も乗りこなしてやるぜ」
その目には角しか映っていない。
どう握って、どう組み伏せるか。持ちやすいのか、握り心地はどうか。
そんな事ばかり考えていた。
鈴の音が、悲鳴のようにリンリンと高鳴る。
角に掴まり、ブンブンと振り回され、何人かが飛んでいく。
背にまたがって、ロデオのごとく振り回され、何人かが飛んでいく。
優しい顔で手を伸ばし、あっさり噛まれ、何人かが飛んでいく。
草原の花が揺れて、中の赤い実が落ちる。
それを彼らのうちの一人が拾って、角つきに食べさせた。
それで満足したのか。その一頭は随分と大人しくなっていた。
ミッション『聖なる鈴の音よ響け』をクリア!
クリアボーナス
(PC名)は魂塵を△△Ash得た
(PC名)はSPを1得た
(PC名)は『ベルホーンコロネ』を手に入れた
特別ボーナス
(PC名)は魂片:『クリアボーナス魂片』を手に入れた
(イベント名)
今回のイベントは終了しました
現在位置、HP、疲労度がイベント開始前の状態に戻りました
イベント挑戦ボーナス
(PC名)はコスチューム『ホーンライダー』が修得可能になった
最終更新:2023年12月13日 14:24