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&sizex(3){[[Top>トップページ]] > [[ボーイズラブ・やおい創作総合]] > [[ボーイズラブ・やおい創作総合 投下作品まとめページ]] > 2-011 「-英国に吹く風-」} *「-英国に吹く風-」 11 :-英国に吹く風-:2010/09/19(日) 01:22:41 ID:wWoTADDb スレ復活記念&即死回避記念ということで、王道の英国寄宿学校モノ これから投下します。 12 :-英国に吹く風-:2010/09/19(日) 01:24:46 ID:wWoTADDb 「神様」  僕は、自分一人しか居なくなった、この部屋で、ただ、その一言だけを口にした。  どうして僕は、奴を好きになってしまったのだろう。  今、考えても、もう、そのきっかけなど思い出せないのだけれど。  此処は英国内に数有る寄宿学校でも最も特殊な学校の1つだ。  この学園は、生徒の数も少なく、世間にあまり知られた存在ではない。 だが、此処で学ぶ生徒は、世界でも屈指の名門財閥や王族の子弟に限られている。  おまけに、此処は男子校だから、此処で学ぶのは、必然的に世界の名だたる名門財閥や企業、果ては、国家 の後継者になることを目された者ばかり、ということになる。  皆、この学園に、世間一般で言うところの学問のみだけでなく、帝王学を学ぶために、籍を置いているのだ。  まあ、そんな学園に籍を置いている僕自身も、当然、それなりの家柄に属してはいるのだけれど。  そんな中でも、僕、ヴィットーレ・ディ・イエッリと、奴、リオン・ライオット・ヴァン・トーガは、少し 毛色が違う。  僕らは、ある意味、金で買われて、この学園に籍を置いているのだ。  そう、僕らの家よりも更に世界に名だたる名家 - 世界でも5本の指に入る位の実業家の後継者として、そ の地位を継ぐ立場に在る者 - ミカエル・レアン・ダイ・ク - 彼の為の専属シークレットサービスとして、 法外な金を積まれて雇われているからだ。  僕は小さな頃から、自分が誰か - 世界に名だたる者の側近となるべく、育てられているのだということを 自覚はしていた。  それは、僕の実家、イタリアのイエッリ家が、代々、そういう稼業を生業にしてきたからなのだけれども。  僕自身の一見、16,7歳の少年らしく、華奢にさえ見える身体つきや、プラチナというよりは、シルバー に近い、短く整えられた髪と、アイスブルーの瞳を備えた容姿……年齢よりも若干……いや、ほんの少しだが、 確実に16歳という実年齢よりも1歳程度は、幼く見えるこの姿からは、そんなことを推測する奴はまず居な いと思うが……僕自身が、既にどこかの小国の大統領付きSPを軽く凌ぐ程の護衛としての能力と、名門大学 出身の一流企業の役員クラスに匹敵する程の知力と判断力を兼ね備えた、スペシャルハイクラスのSPなのだ。  奴、トーガにしたって、それは同じだ。  更に、僕等の護衛対象たるミカエルに至っては、彼の持つその英知は、僕やトーガを軽く凌ぐものだ。 おまけに、彼、ミカエルの風になびき、波打つようなプラチナゴールドの髪と、蒼天の空を思わせる深みを 帯びたブルーアイズに彩られている、その誰の人目をも引かずにはおかない、類まれなる端正な容姿は、正に 宗教画の天使のようだった。  何においても、並はずれた力量を持つ彼にとっては、今さら、この学園での寮生活を送る必要など、本来な ら無かった。  まあ、それでも、彼が普通の学園生活を送りたいと願った、その望みを叶えるために、僕等の雇い主でもあ る、ミカエルの父上は、彼が本来籍を置く必要など、全く無い、この学園への入学を許可したのだけれども。  そのお陰で、僕等は今、自分達が置かれている身の上を考慮すれば、本来なら送ることなど出来ない、僕等 にとっては、これでも最大限に普通の生活に近い、この学園での生活を送っている。 「……全く、なんでこうなったんだか……」  僕は一人きりになった学生寮の自室で、ベッドの上に座ったまま、更に盛大に溜息をついた。  僕と居室を共にしているトーガは、18歳で、一応、僕の先輩にあたる。  この学園では、入学してから1、2年の間は、先輩と居室を共にするのが習わしだったので、その前までは、 ミカエルと奴が同室だったのだが、今では、奴と僕が居室を共にしている状況にあった。  そのために、僕がこの学園に入学してきてから、ミカエルはこの隣の部屋に、ルームメイトの居ないままで、 実質、特例に近い形になってしまってはいるが、一人での生活を送っている。  僕等の主、ミカエルは、1年間の期限付きとはいえ、その生活が気に入ったらしく、このところ、いたく上 機嫌だ。  問題は、僕自身の方だ。  なんで、よりによって、同室の……奴を……トーガを好きだとか、意識するようになっちゃったのか、自分 でも、自分のこの気持ちの意味が解らない。  僕はそう思いながら、この部屋の天井を見上げてから、再び大きな溜息をついた。  トーガは、一昔前に、何処かの国で流行った、少女向けのアニメーションに登場する王子様みたいな、スカ イブルーの澄んだ瞳と、ストレートのプラチナブロンドの長い髪を後ろで一束に結った、その人目を引く容姿 の割には、僕なんかよりも断然、大人の男という形容詞が相応しい体躯をしている。  ミカエルには、負けるものの、トーガは、かなり流麗な容姿をしてはいる。  が、奴は、どこから、どう見ても男だ。  おまけに、腕っ節も僕よりも遥かに強く、僕自身が弱い訳では、決してないが……僕は奴に勝ったことが、 一度も無い。  「あいつが……俺に対して、過剰な介抱をするからだ……」  僕は小声でそう言いながら、制服を着たその姿のまま、今まで座っていたトーガのベッドへと身を投げ出し た。  確かにあの時、俺は……不覚にも40℃近い熱を出していて……不覚にも寒いとか言って、震えていたし、 意識も朦朧としていたけど……朝まで、添い寝をして欲しいなんて、頼んだ覚えは無い! 全く無い!!  そんなことを思いながら、僕は無意識に、自らの身体を横たえていたトーガのベッドを自分の拳で思い切り 強く叩いていた。  僕がトーガのベッドを思い切り叩き終えた、その次の瞬間、いや、叩き終えたとほぼ同時に、この部屋のド アを開ける音がした。  全くもって、またも、有るまじき不覚を取ったとしか言いようが無いが、僕はその瞬間まで、ドアの外に人 が立っていたことに気付いていなかったのだ。  僕はそのドアが開く音がしたのと同時に、瞬時にベッドから身体を起こして、ドアの方へと振り返った。 そして、そのドアの先に立っていたのは、もちろん、トーガである。  奴は、僕のそんな様子を目に留めて、したり顔で微笑むと、僕に対して少々意地の悪い言葉を投げかける。 「おや、ヴィー、俺のベッドで、何をしてるの? ひょっとして、俺の温もりが恋しくなった?」 「ばっ、何言ってんの! 僕がそんなもの恋しがる訳ないだろう! 少し疲れてただけだ!!」  自分でも馬鹿だとは思うが、咄嗟の事だった所為もあったのか、僕はトーガのその言葉に対して、少々、過 剰に反応していた気がする。  僕がこういう過剰な反応をすると、いつもトーガから舐めた真似をされるのだと、常日頃から解っているの にも拘わらずに、だ。  案の定、トーガは、にっこりと微笑みながら、この部屋のドアを閉めると、僕が座っていたベッドの端へと やってきた。  それから、トーガは自らもベッドの端へと腰を掛けると、奴とは反対に、ベッドから立ち去ろうとしていた 僕の手をやや強引に引いた。  僕はトーガの強い腕の力の所為で、自らの手を引かれて、あっけなくバランスを崩し、再びベッドへと座り 込んだ。  トーガはそれから更に、僕の手をぐっと引き込むと、自らの元に僕を引き寄せるようにして力を入れる。 「っあ! 馬鹿、トーガっ! 何しやがる!」  トーガにこんな風にされて、僕が声を上げるのも最近では、毎度のことだ。  いつも悔しいとは思うが、僕よりも圧倒的に力の強いトーガに対して、上手いこと抵抗する術が今のところ 見つからない。  トーガは僕の手首を握ったそのままの姿勢で、ほんの少しの間、僕をじっと見つめるようにした後、まるで いつもの決められた儀式をするかのように、僕の唇へと、軽いキスを贈る。  それから、ほんの一瞬の、その口付けを解いた後に、今、僕の手首を握っているのとは、逆側の腕を伸ばし て、僕の背中へと手を廻し、更に強く僕を抱きしめるようにして、引き寄せた。  そして、トーガは僕を抱きしめながら、僕の耳元で、いつもの言葉を、まるで、祈るかのうように、囁くよ うして呟く。 「ヴィー、愛している。 頼むから……いつまでも俺の親友でいてくれ……」 「トーガ……解ったから……もう、解ってるから……さっさと、この腕を解きやがれ!!」  こうして僕は毎回、精一杯の強がりを言ってから、トーガの腕を振り解く。  そう、これも、もう、毎回のことだ。  恐らく、トーガが本気になれば、僕が奴の腕を振りほどくことなど、出来はしないだろう。  そう、多分、これは、お互いがお互いのことを理解した上での儀式なのだ。  この先へと、その一線を越える、情愛を伴う、あの行為さえしなければ、  僕とトーガは、唯一無二の親友のままでいられる。  それだけは、確かなのだ。  それは、互いに解っている。  トーガ、多分、俺の方が、本気で貴方を愛しているよ……  僕はそう思いながら、自分自身の、この鼓動の速さが、唯一無二の、目の前にいる親友に、届かないよ うにと願う。  そして、これも、いつものことだが、少し勢いをつけてから、その大切な、僕自身を、暖かな心地良さ にも似た優しい気持ちへと、導いてくれる、大切な親友の強い腕を振り解くのだ。 ―― 君との関係の永遠を祈りながら ―― 【END】 BLものは初めて書いたんですが、やっぱ、難しいですね。 機会があればまた投下したいです。どうぞよろしく。 ---- &link_up(ページ最上部へ) ----
&sizex(3){[[Top>トップページ]] > [[ボーイズラブ・やおい創作総合]] > [[ボーイズラブ・やおい創作総合 投下作品まとめページ]] > 2-011 「-英国に吹く風-」} *「-英国に吹く風-」 11 :-英国に吹く風-:2010/09/19(日) 01:22:41 ID:wWoTADDb スレ復活記念&即死回避記念ということで、王道の英国寄宿学校モノ これから投下します。 12 :-英国に吹く風-:2010/09/19(日) 01:24:46 ID:wWoTADDb 「神様」  僕は、自分一人しか居なくなった、この部屋で、ただ、その一言だけを口にした。  どうして僕は、奴を好きになってしまったのだろう。  今、考えても、もう、そのきっかけなど思い出せないのだけれど。  此処は英国内に数有る寄宿学校でも最も特殊な学校の1つだ。  この学園は、生徒の数も少なく、世間にあまり知られた存在ではない。 だが、此処で学ぶ生徒は、世界でも屈指の名門財閥や王族の子弟に限られている。  おまけに、此処は男子校だから、此処で学ぶのは、必然的に世界の名だたる名門財閥や企業、果ては、国家 の後継者になることを目された者ばかり、ということになる。  皆、この学園に、世間一般で言うところの学問のみだけでなく、帝王学を学ぶために、籍を置いているのだ。  まあ、そんな学園に籍を置いている僕自身も、当然、それなりの家柄に属してはいるのだけれど。  そんな中でも、僕、ヴィットーレ・ディ・イエッリと、奴、リオン・ライオット・ヴァン・トーガは、少し 毛色が違う。  僕らは、ある意味、金で買われて、この学園に籍を置いているのだ。  そう、僕らの家よりも更に世界に名だたる名家 - 世界でも5本の指に入る位の実業家の後継者として、そ の地位を継ぐ立場に在る者 - ミカエル・レアン・ダイ・ク - 彼の為の専属シークレットサービスとして、 法外な金を積まれて雇われているからだ。  僕は小さな頃から、自分が誰か - 世界に名だたる者の側近となるべく、育てられているのだということを 自覚はしていた。  それは、僕の実家、イタリアのイエッリ家が、代々、そういう稼業を生業にしてきたからなのだけれども。  僕自身の一見、16,7歳の少年らしく、華奢にさえ見える身体つきや、プラチナというよりは、シルバー に近い、短く整えられた髪と、アイスブルーの瞳を備えた容姿……年齢よりも若干……いや、ほんの少しだが、 確実に16歳という実年齢よりも1歳程度は、幼く見えるこの姿からは、そんなことを推測する奴はまず居な いと思うが……僕自身が、既にどこかの小国の大統領付きSPを軽く凌ぐ程の護衛としての能力と、名門大学 出身の一流企業の役員クラスに匹敵する程の知力と判断力を兼ね備えた、スペシャルハイクラスのSPなのだ。  奴、トーガにしたって、それは同じだ。  更に、僕等の護衛対象たるミカエルに至っては、彼の持つその英知は、僕やトーガを軽く凌ぐものだ。 おまけに、彼、ミカエルの風になびき、波打つようなプラチナゴールドの髪と、蒼天の空を思わせる深みを 帯びたブルーアイズに彩られている、その誰の人目をも引かずにはおかない、類まれなる端正な容姿は、正に 宗教画の天使のようだった。  何においても、並はずれた力量を持つ彼にとっては、今さら、この学園での寮生活を送る必要など、本来な ら無かった。  まあ、それでも、彼が普通の学園生活を送りたいと願った、その望みを叶えるために、僕等の雇い主でもあ る、ミカエルの父上は、彼が本来籍を置く必要など、全く無い、この学園への入学を許可したのだけれども。  そのお陰で、僕等は今、自分達が置かれている身の上を考慮すれば、本来なら送ることなど出来ない、僕等 にとっては、これでも最大限に普通の生活に近い、この学園での生活を送っている。 「……全く、なんでこうなったんだか……」  僕は一人きりになった学生寮の自室で、ベッドの上に座ったまま、更に盛大に溜息をついた。  僕と居室を共にしているトーガは、18歳で、一応、僕の先輩にあたる。  この学園では、入学してから1、2年の間は、先輩と居室を共にするのが習わしだったので、その前までは、 ミカエルと奴が同室だったのだが、今では、奴と僕が居室を共にしている状況にあった。  そのために、僕がこの学園に入学してきてから、ミカエルはこの隣の部屋に、ルームメイトの居ないままで、 実質、特例に近い形になってしまってはいるが、一人での生活を送っている。  僕等の主、ミカエルは、1年間の期限付きとはいえ、その生活が気に入ったらしく、このところ、いたく上 機嫌だ。  問題は、僕自身の方だ。  なんで、よりによって、同室の……奴を……トーガを好きだとか、意識するようになっちゃったのか、自分 でも、自分のこの気持ちの意味が解らない。  僕はそう思いながら、この部屋の天井を見上げてから、再び大きな溜息をついた。  トーガは、一昔前に、何処かの国で流行った、少女向けのアニメーションに登場する王子様みたいな、スカ イブルーの澄んだ瞳と、ストレートのプラチナブロンドの長い髪を後ろで一束に結った、その人目を引く容姿 の割には、僕なんかよりも断然、大人の男という形容詞が相応しい体躯をしている。  ミカエルには、負けるものの、トーガは、かなり流麗な容姿をしてはいる。  が、奴は、どこから、どう見ても男だ。  おまけに、腕っ節も僕よりも遥かに強く、僕自身が弱い訳では、決してないが……僕は奴に勝ったことが、 一度も無い。  「あいつが……俺に対して、過剰な介抱をするからだ……」  僕は小声でそう言いながら、制服を着たその姿のまま、今まで座っていたトーガのベッドへと身を投げ出し た。  確かにあの時、俺は……不覚にも40℃近い熱を出していて……不覚にも寒いとか言って、震えていたし、 意識も朦朧としていたけど……朝まで、添い寝をして欲しいなんて、頼んだ覚えは無い! 全く無い!!  そんなことを思いながら、僕は無意識に、自らの身体を横たえていたトーガのベッドを自分の拳で思い切り 強く叩いていた。  僕がトーガのベッドを思い切り叩き終えた、その次の瞬間、いや、叩き終えたとほぼ同時に、この部屋のド アを開ける音がした。  全くもって、またも、有るまじき不覚を取ったとしか言いようが無いが、僕はその瞬間まで、ドアの外に人 が立っていたことに気付いていなかったのだ。  僕はそのドアが開く音がしたのと同時に、瞬時にベッドから身体を起こして、ドアの方へと振り返った。 そして、そのドアの先に立っていたのは、もちろん、トーガである。  奴は、僕のそんな様子を目に留めて、したり顔で微笑むと、僕に対して少々意地の悪い言葉を投げかける。 「おや、ヴィー、俺のベッドで、何をしてるの? ひょっとして、俺の温もりが恋しくなった?」 「ばっ、何言ってんの! 僕がそんなもの恋しがる訳ないだろう! 少し疲れてただけだ!!」  自分でも馬鹿だとは思うが、咄嗟の事だった所為もあったのか、僕はトーガのその言葉に対して、少々、過 剰に反応していた気がする。  僕がこういう過剰な反応をすると、いつもトーガから舐めた真似をされるのだと、常日頃から解っているの にも拘わらずに、だ。  案の定、トーガは、にっこりと微笑みながら、この部屋のドアを閉めると、僕が座っていたベッドの端へと やってきた。  それから、トーガは自らもベッドの端へと腰を掛けると、奴とは反対に、ベッドから立ち去ろうとしていた 僕の手をやや強引に引いた。  僕はトーガの強い腕の力の所為で、自らの手を引かれて、あっけなくバランスを崩し、再びベッドへと座り 込んだ。  トーガはそれから更に、僕の手をぐっと引き込むと、自らの元に僕を引き寄せるようにして力を入れる。 「っあ! 馬鹿、トーガっ! 何しやがる!」  トーガにこんな風にされて、僕が声を上げるのも最近では、毎度のことだ。  いつも悔しいとは思うが、僕よりも圧倒的に力の強いトーガに対して、上手いこと抵抗する術が今のところ 見つからない。  トーガは僕の手首を握ったそのままの姿勢で、ほんの少しの間、僕をじっと見つめるようにした後、まるで いつもの決められた儀式をするかのように、僕の唇へと、軽いキスを贈る。  それから、ほんの一瞬の、その口付けを解いた後に、今、僕の手首を握っているのとは、逆側の腕を伸ばし て、僕の背中へと手を廻し、更に強く僕を抱きしめるようにして、引き寄せた。  そして、トーガは僕を抱きしめながら、僕の耳元で、いつもの言葉を、まるで、祈るかのうように、囁くよ うして呟く。 「ヴィー、愛している。 頼むから……いつまでも俺の親友でいてくれ……」 「トーガ……解ったから……もう、解ってるから……さっさと、この腕を解きやがれ!!」  こうして僕は毎回、精一杯の強がりを言ってから、トーガの腕を振り解く。  そう、これも、もう、毎回のことだ。  恐らく、トーガが本気になれば、僕が奴の腕を振りほどくことなど、出来はしないだろう。  そう、多分、これは、お互いがお互いのことを理解した上での儀式なのだ。  この先へと、その一線を越える、情愛を伴う、あの行為さえしなければ、  僕とトーガは、唯一無二の親友のままでいられる。  それだけは、確かなのだ。  それは、互いに解っている。  トーガ、多分、俺の方が、本気で貴方を愛しているよ……  僕はそう思いながら、自分自身の、この鼓動の速さが、唯一無二の、目の前にいる親友に、届かないよ うにと願う。  そして、これも、いつものことだが、少し勢いをつけてから、その大切な、僕自身を、暖かな心地良さ にも似た優しい気持ちへと、導いてくれる、大切な親友の強い腕を振り解くのだ。 ―― 君との関係の永遠を祈りながら ―― 【END】 BLものは初めて書いたんですが、やっぱ、難しいですね。 機会があればまた投下したいです。どうぞよろしく。 ※続きは、[[2-072>BL-2-072]] ---- &link_up(ページ最上部へ) ----

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