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県立魔法専門学校
331 :県立魔法専門学校:2009/01/31(土) 04:17:16 ID:u+ZV36LV
我が校の魔法研究部には天才達がいる。
原稿用紙にガリガリと文法魔法(グラマー)を書き込んでいるのが、我が校の筆頭文士、字
文章(あざな ふみあき)先輩。
先の“文法上の戦争”で、当時中学生でありながら、敵方の論客を64人も失語症にまで
追い込んだ“歩く論理爆弾”。
文章(あざな ふみあき)先輩。
先の“文法上の戦争”で、当時中学生でありながら、敵方の論客を64人も失語症にまで
追い込んだ“歩く論理爆弾”。
一方、部室の隅でICレコーダに延々と語りかけている三つ編みの女の子は、演算魔法(
マスマティカ)の産んだ鬼子、数 一二三(かぞえ ひふみ)。
僕と同じ一年生だけど、彼女の演算魔法は狂気の域に達している。
彼女の親は、彼女が12歳になるまで完全に監禁し、演算魔法のみを学ばせた。そして
13歳の誕生日、彼女の目を抉った。
しかし彼女はその常軌を逸した教育のおかげで、喋るように歩くように、呼吸をするよ
うに演算魔法を紡げるようになっていた。
彼女がICレコーダに吹き込んでいるのは演算式で、あとは再生しながら魔力さえ注げ
ば、魔法が発動する。
彼女の演算は精緻を極め、先の戦争でも彼女の演算を複製した演算兵器がたくさんつく
られた。
マスマティカ)の産んだ鬼子、数 一二三(かぞえ ひふみ)。
僕と同じ一年生だけど、彼女の演算魔法は狂気の域に達している。
彼女の親は、彼女が12歳になるまで完全に監禁し、演算魔法のみを学ばせた。そして
13歳の誕生日、彼女の目を抉った。
しかし彼女はその常軌を逸した教育のおかげで、喋るように歩くように、呼吸をするよ
うに演算魔法を紡げるようになっていた。
彼女がICレコーダに吹き込んでいるのは演算式で、あとは再生しながら魔力さえ注げ
ば、魔法が発動する。
彼女の演算は精緻を極め、先の戦争でも彼女の演算を複製した演算兵器がたくさんつく
られた。
そして携帯音楽プレイヤーにごっついヘッドセットを繋いで音楽を聞いているのが、響
呼歌(ひびき こうた)先輩。
響先輩は言語兵器の中でも特に強力な歌唱兵器の、その中でも頭抜けて優秀な者だけが
成れるソリストとして育てられ、“文法上の戦争”では街を一つ蒸発させたと言われてい
る。
あまり戦争の話はしたがらないから、あくまで人伝に聞いた話だけど。
呼歌(ひびき こうた)先輩。
響先輩は言語兵器の中でも特に強力な歌唱兵器の、その中でも頭抜けて優秀な者だけが
成れるソリストとして育てられ、“文法上の戦争”では街を一つ蒸発させたと言われてい
る。
あまり戦争の話はしたがらないから、あくまで人伝に聞いた話だけど。
そして僕は機械言語魔法士──スクリプターの機器 大好(きき だいすけ)。
彼らの生み出した流麗な文章や精緻な数式や優雅な歌を、パソコンで編集して扱う。
マクロ造りや動画編集くらいしかできない僕は彼らより少し……大分、凡人である。
彼らの生み出した流麗な文章や精緻な数式や優雅な歌を、パソコンで編集して扱う。
マクロ造りや動画編集くらいしかできない僕は彼らより少し……大分、凡人である。
「完成だあああああっっっ!!!」
突如、字先輩が雄叫びをあげる。
先輩が立った勢いでイスが部室の壁までぶっ飛んで跳ね返り、バウンドしながら轟音を
立てる。
字先輩は力み過ぎて真ん中でへし折れ2本になってしまった鉛筆を器用に2本ともペン
回ししながら叫んだ。
「諸君!只今から魔法律使役訓練を始める!実践形式のガチンコ勝負だ!負ければ全員分
の昼食を奢って貰う!では始め!!」
字先輩は枡の埋まった原稿用紙を一枚取り上げた。
それと同時、字先輩によって苛烈に注ぎ込まれたマナが赤熱し、原稿に走る文字を煌々
と輝かせ、紙を焼いた。
紙という物体の楔(くさび)から解放された文法魔法が一行の帯となり、部室に居た一人
一人に蛇の様に巻き付く。
誰も抵抗しないのはこれが転送の文法だとわかっているから。
校内の何処かにランダムに転送し、そこから各人を索敵しながら戦うんだ。
巻き付いた帯が解け始めると、そこにあったはずの自分の身体が消えている。
マナで出来た文字の帯がリンゴの皮のようにスルスルと解けるに合わせ、転送先の環境
が肌を通してつたわってくる。
すごく冷たくて寒い。
やば、コレもしかすると外かも。
突如、字先輩が雄叫びをあげる。
先輩が立った勢いでイスが部室の壁までぶっ飛んで跳ね返り、バウンドしながら轟音を
立てる。
字先輩は力み過ぎて真ん中でへし折れ2本になってしまった鉛筆を器用に2本ともペン
回ししながら叫んだ。
「諸君!只今から魔法律使役訓練を始める!実践形式のガチンコ勝負だ!負ければ全員分
の昼食を奢って貰う!では始め!!」
字先輩は枡の埋まった原稿用紙を一枚取り上げた。
それと同時、字先輩によって苛烈に注ぎ込まれたマナが赤熱し、原稿に走る文字を煌々
と輝かせ、紙を焼いた。
紙という物体の楔(くさび)から解放された文法魔法が一行の帯となり、部室に居た一人
一人に蛇の様に巻き付く。
誰も抵抗しないのはこれが転送の文法だとわかっているから。
校内の何処かにランダムに転送し、そこから各人を索敵しながら戦うんだ。
巻き付いた帯が解け始めると、そこにあったはずの自分の身体が消えている。
マナで出来た文字の帯がリンゴの皮のようにスルスルと解けるに合わせ、転送先の環境
が肌を通してつたわってくる。
すごく冷たくて寒い。
やば、コレもしかすると外かも。
「さっむ!」
雨雪がぼそぼそ降っている。
僕の転送先は雪が茣蓙万と積もった屋上だったのだ。
取りあえず校内に……。
雨雪がぼそぼそ降っている。
僕の転送先は雪が茣蓙万と積もった屋上だったのだ。
取りあえず校内に……。
──ガチ
入れなかった。
冬の屋上の扉が開いているわけがない。めんどうだなぁ。
僕は携帯のメールボックスを開き、下書きのフォルダから《解錠:字式》というタイト
ルのメールを開いた。
字先輩が書いた解錠の文法魔法をメモしたものだ。
マナを注げば魔法が発動するのだけど……携帯を燃やすわけにはいかない。
生徒手帳に文面を書写す。
雨雪のせいでビチャビチャのよれよれになった手帳の1ページを千切ってマナを注いだ。
解錠文法特有の持って回った文章は詠み辛く、マナを充てる黙読詠唱(サイレントチャン
ト)が上手くいかない。
紙に書いた文章がうっすら輝いて動き出す。紙は焦げただけで、全然燃えなかった。
ミミズくらいのしょぼい文法魔法が今にも消え入りそうに浮遊して鍵穴に入って行った。
僕は携帯のメールボックスを開き、下書きのフォルダから《解錠:字式》というタイト
ルのメールを開いた。
字先輩が書いた解錠の文法魔法をメモしたものだ。
マナを注げば魔法が発動するのだけど……携帯を燃やすわけにはいかない。
生徒手帳に文面を書写す。
雨雪のせいでビチャビチャのよれよれになった手帳の1ページを千切ってマナを注いだ。
解錠文法特有の持って回った文章は詠み辛く、マナを充てる黙読詠唱(サイレントチャン
ト)が上手くいかない。
紙に書いた文章がうっすら輝いて動き出す。紙は焦げただけで、全然燃えなかった。
ミミズくらいのしょぼい文法魔法が今にも消え入りそうに浮遊して鍵穴に入って行った。
──ガチャ……ガチャ……
頑張れ、負けんな、文法ミミズ。
──ガチャン
解錠の音と共に鍵穴から、ぽふっ、とマナの残滓が吹き出した。
よくやったぞミミズくん。
よくやったぞミミズくん。
屋上と階下を結ぶ階段の踊場で悴む手を擦り合わせながら僕は考えた。
せめてラップトップが無いとチート級魔術師の彼らには敵わない。
目指すは演習室か魔研部部室かコンピ研部室。
魔研部部室にあるマイノートが一番勝手は良い。が、あそこに丸腰で向かうのは自殺行
為すぎる。
別棟の部室棟よりは演習室に向かった方が距離的にも近い。
僕は演習室に向けて駆け出した。
せめてラップトップが無いとチート級魔術師の彼らには敵わない。
目指すは演習室か魔研部部室かコンピ研部室。
魔研部部室にあるマイノートが一番勝手は良い。が、あそこに丸腰で向かうのは自殺行
為すぎる。
別棟の部室棟よりは演習室に向かった方が距離的にも近い。
僕は演習室に向けて駆け出した。
〈了〉