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みんつく超決戦

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『……ふぇ!! かくごしなこどもたち!!』

負傷したゲオルグたちの前に立ちはだかる金髪幼女。彼女こそ自警団が召喚した最強の助っ人、『再生機関』の誇る人類科学の結晶、HR-500『トエル』だった。
ゲヘナゲートを越え次々と現れる『十二使徒』の姿に、タバサを抱いたポープが嗄れた喘ぎを洩らす…


「…うふふ、絶好調であります…」

監視塔から三つの世界を記録する境灯(さかい あかり)入魂のSS、『みんつく超決戦!!』はすでに三万字を突破していた。
猛烈な創作意欲に駆られるまま碌なプロットも組まずに執筆を始めて丸一昼夜、長らく暖めていた全てのシェアワールドを股にかけるスーパーバトル長編は快調な仕上がりを見せている。
蛇の目エリカの機転で倒されたスティーブ・ビコの亡霊の背後に控えているのは、さらに強力なロリハラハラ・ネルソンの亡霊。彼らは恐るべきベリアル・コンツェルンと禁断の契約を交わしたのだ。
平行して進んでいる別パートはいよいよ桃太郎と三獣の登場を迎えている。その前に、どうしても書きたい『鬼ヶ島』での会食シーンの為、閉鎖都市パートの主要キャラクターを全員異形世界に転移させなければならない…

「よしよし、ここでリリベルバスの出番だね…」

『キャラクターが勝手に動く』とはこういうことを言うのだろうか。憑かれたように筆が進む興奮に、灯は今夜も眠れそうになかった。


「…んにゃ、しまったぁ…」

真夜中の監視塔。ついうとうと居眠りをしてしまった灯の叫びは、執筆中の作品に関する問題点が原因だった。浅い微睡みのなか、ふと重大な事実に気付くのはよくあることだ。

「…夜々重ちゃんとクズハちゃんだ…」

作品内容がややバトル重視に傾き過ぎたため、うっかりこの古参人気ヒロイン二人の見せ場を忘れていたのだ。

前半やたら活躍したヒロインといえばイレアナくらいだった。捕らわれたバステト侍女長を救い出するため、巨大な滝を泳いで登り切るシーンは少し無茶かなとも思ったが、『ギャップ萌え』もまたSSには大事。閉鎖都市内に滝があるのも同様のテクニックだ。

「……そぉだ!! 名アイデア!!」

考えてみれば夜々重とクズハは明確に恋愛対象が決まっているキャラだ。オリジナル作品との整合性を損なうことなくロマンスを描ける訳だった。それもとびきり濃厚で大胆なラブシーンを…

「…うひひ、やはり濡れ場はSSの華だからね…」

慌ただしく三階に降りて栄養補給を済ませた灯は、深夜にもかかわらずさっそく執筆を再開した。あまりベッドシーンが連続するのも野暮だから四人一室がいい。彼らが愛しあうのに相応しい場所は…


『はううううっ!?』

濃密な闇のなか、狂おしく鳴り響く『快楽の鈴』。どこか甘美なその音色に合わせ、隣のベッドでは白銀の尻尾がビクビクと痙攣しながらはしたなく屹立していた。

『…流石は蘆屋の研究施設だな。面白い道具が揃ってやがる…』

『ホントだ…高瀬さんたちも誘えばよかった…』

もはや少女たちの瑞々しい肢体を隠すものは何ひとつない。幼い恥じらいすら無残に剥ぎ取られた二人は湧き上がる衝動のまま、恍惚と未知の昂りに身を委ねていた… 


「…ぬうう…やり過ぎました…」

監視塔の朝。またテーブルに突っ伏した状態で目覚めた灯は、懸命に睡魔と闘いながら昨夜仕上げたテキストを読み返していた。擬音、擬音、また擬音。そして頻繁にまじる奇抜な喘ぎ声。
よくまあこれだけえげつない文章が書けたものだ、と灯はとりあえず自画自賛するが、正直、既に投下を憚られるレベルの過激さに達している。

思い返せば絶頂のテンションで執筆している最中は、まだまだ責めが生ぬるい、と参考の為にいかがわしいサイトを検索したりしたものだ。夜の勢いというものは恐ろしい。
灯は顔を赤らめつつ過激な表現の幾つかを手直しするが、けっきょく匠と祐樹の変態っぷりはもはや修正不能だった。

「…やっぱり、媚薬くらいで止めとけば良かったです…」

人間諦めも肝心。結局この部分は適当にキャラを変えて別スレに投下することに決め、惜しいが大胆な全面カット。良いSSには思いきった省略も必要だ。

「…ええと、『ミケ&ブチ悶絶調教!!』でいいや。男ふたりはテキトーなオリキャラでいいよね…」


ゴゴゴゴゴ…
巨大ロボットに変形した閉鎖都市政庁『ヤコブの梯子』はあっけなく破壊され、轟音と共にゆっくりと崩れ落ちてゆく。膨大な瓦礫が降り注ぐ足元は廃民街だが…抜け目のない神谷とステファンがすでに住民を全て避難させているに違いない。

『…あ、あんたは一体…』

崩壊するロボット政庁の前に立ち竦んでいたアレックスたち三十八人は、突如現れた隻眼の戦士におずおずと問いかけた。

『…鬼、かな…』

たった一太刀で化け物じみた『ヤコブの梯子』ロボを葬った彼はその長い銀髪を掻き上げ、面倒くさそうに答えを返す。

『…俺は双刀鬼闘角。よく知らねーが閻魔大帝の長男らしい。鬱陶しい話だぜ。』

『ま、まさか…噂に過ぎぬと思っていたが…』

居並ぶ一行のなか彼にまつわる伝説を詳しく語り始めたのは、地獄界の生き字引き蒼灯鬼聡角だった。桁外れの力を封印されていたこの非運の鬼皇子が、もし敵だとすれば…


「うう…闘角カッコ良すぎ…」

双刀鬼闘角。可哀想なミケブチを嬲り抜く地獄キャラを考えているうちに生まれた、灯のオリジナルキャラクターである。銀髪で隻眼、そして二刀流の美形。

その出自に灯はいささか悩んだのだがラストではちゃあんと弟に帝位継承権を譲り、人知れずクールに去ってゆくのだ。もちろんキャラ名の微妙なカブりなどに彼女は全然気づいていない。

「…ここに告死天使が集めた二十八人が間一髪で駆けつけて…ファイナルバトルよ!!」

実は超巨大ロボットだった閉鎖都市が立ち上がり、勢揃いしたみんつくキャラたちと雌雄を決する壮大な最終決戦。今度こそ忘れずに神谷とステファンが住民を避難させるシーンを書かなければならない。

「…さてさて、闘角ちゃんの大活躍は…」

別に自キャラを贔屓する訳ではない。しかしやはりここは、新登場の若手キャラを見せ場を与えるべきだろう。クロス作におけるパワーバランスはけっこう難しいのだ。

「…ええと、信太主と藤ノ大姐は閻魔大帝と一緒に氷漬けだった、ということで…」

閉鎖都市ロボ相手に数々の技を披露する筈だった二人の古妖は、あっさりストーリー冒頭まで巻き戻されて出番を失った。
確か全編を通じいくつか彼らの台詞があったが、これは全部てながあしながの発言に置き換えれば万事解決。どうせ大円団ではみんな復活できるのだ。

「…跳ぶ!! 斬る!! そして舞うっ!!」

怒涛のクライマックスに向け、灯の筆は冴えに冴えていた。閉鎖、異形、地獄…全ての世界のキャラクターたちが団結し、強大な敵を打ち破る…

「…あ!! しばらく本業を忘れていました…」

何気なくマウスを操作した灯の手がピタリと止まる。規制その他でやや緩やかなになっていた三つの世界の記録が彼女の仕事だ。しかし…

「…そんな…」

モニタに映る虚無の色。それでも慌ただしくキーボードを叩き続け、しまいには携帯電話まで取り出した灯はやがて崩れ落ち、呆然と呟いた。

「…世界が…なくなってる…」

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