Top > 【シェア】みんなで世界を創るスレ【クロス】 >閉鎖都市・「NEMESIS」 > 第8話 2/2
「わかりました。ケビンさん…でしたね。あなたの弟子にさせてください」
クラウスの答えに満足した様子のケビンは再び微笑み、クラウスと握手し言った。
「決まりじゃの。儂の修業は厳しいがしっかりとついてくるのじゃぞクラウス君。さて、君のお父さんが帰ってきたら話を通しておかねばならんの」
「お前がケビン様の3番目の弟子と言うことになるな。これからよろしく頼む、クラウス」
「私からもよろしく頼むよ、クラウス君。誇り高き君とともに修行することができて光栄に思うよ」
「お前がケビン様の3番目の弟子と言うことになるな。これからよろしく頼む、クラウス」
「私からもよろしく頼むよ、クラウス君。誇り高き君とともに修行することができて光栄に思うよ」
そして、アリーヤ、シオンとも握手を交わすクラウス。それからおよそ30分後、配達業務から戻ってきたカルロスにケビンはこう話した。
「カルロスさん、ここはスラムじゃ。また今日みたいなことが起こらないと断言できん。そこで儂がクラウス君を鍛えて、自分の身を自分で守れるように
してやりたいのじゃが、どうじゃろうか。すでにクラウス君の同意は得ておるでな」
してやりたいのじゃが、どうじゃろうか。すでにクラウス君の同意は得ておるでな」
そのケビンの提案にカルロスもまた考える。修業だって?僕のいない間にそんな話が出来上がってたんだ。修業と言うのだから当然危険な目に遭うことも
あるのだろう。今も眠り続けているアリシアから託されたクラウスをそんな目に遭わせるわけにはいかない、と言いたいところだけど
相手はそのクラウスとセフィリアを危険を顧みず助けてくれた恩人だ。しかもとてもじゃないけど悪い人には見えない。そして何より、
クラウスがやりたいというのなら僕はその意志を尊重するだけだ。
あるのだろう。今も眠り続けているアリシアから託されたクラウスをそんな目に遭わせるわけにはいかない、と言いたいところだけど
相手はそのクラウスとセフィリアを危険を顧みず助けてくれた恩人だ。しかもとてもじゃないけど悪い人には見えない。そして何より、
クラウスがやりたいというのなら僕はその意志を尊重するだけだ。
「わかりました。クラウスを…よろしくお願いします」
「ほほほ、そういってもらえると思っておったよ。それではクラウス君、君さえよければ早速今日からでも稽古をつけてみるかの?」
「はい、お願いできるでしょうか」
「ほほほ、そういってもらえると思っておったよ。それではクラウス君、君さえよければ早速今日からでも稽古をつけてみるかの?」
「はい、お願いできるでしょうか」
では早速準備をということで、アリーヤとシオンを一度自宅へと返し、クラウスに2,3質問する。その内容とは、
1、 どのようなスタイルで戦いたいか。
2、 コミュニケーションは得意か。
3、 好き嫌いはないか。
である。クラウスはその問いに、尊敬するアルバート・サワー選手と同じキックを主体とした戦闘スタイルで戦いたい、
コミュニケーションは、割かし得意なほうである、好き嫌いに関してはそもそもこのスラムで好き嫌いができるほど贅沢はできないと答えた。
1、 どのようなスタイルで戦いたいか。
2、 コミュニケーションは得意か。
3、 好き嫌いはないか。
である。クラウスはその問いに、尊敬するアルバート・サワー選手と同じキックを主体とした戦闘スタイルで戦いたい、
コミュニケーションは、割かし得意なほうである、好き嫌いに関してはそもそもこのスラムで好き嫌いができるほど贅沢はできないと答えた。
「ほほほ、これは愚問であったの。それではクラウス君、儂の道場についてくるがよい。ここから歩いて10分のところにある所じゃ」
そして、クラウスはケビンの道場へ着いてゆくこととなり、これがクラウスとケビンの出会いであった。
着いていった道場には、すでにアリーヤとシオンが制服から私服に着替えて待っていた。アリーヤは、黒い綿生地の長ズボンに黒い長そでのジャケットを身に纏っていた。
一方のシオンは薄水色まで色あせたジーンズに、アリーヤとお揃いの黒いジャケットを羽織っていた。
道場に入ってきたケビンに2人は会釈にて挨拶を交わし、クラウスのほうに目を向け、口を開いた。
着いていった道場には、すでにアリーヤとシオンが制服から私服に着替えて待っていた。アリーヤは、黒い綿生地の長ズボンに黒い長そでのジャケットを身に纏っていた。
一方のシオンは薄水色まで色あせたジーンズに、アリーヤとお揃いの黒いジャケットを羽織っていた。
道場に入ってきたケビンに2人は会釈にて挨拶を交わし、クラウスのほうに目を向け、口を開いた。
「先ほども自己紹介したがこれから先ともに同じ道を歩むのであればお前にも伝えておかねばならないな。アリーヤ・シュトラッサー。このスラムのハイスクールの
2年生だ。戦闘スタイルは剣術。一年前ようやくケビン様から一人前と認められ、授けられたのがこの妖刀『鬼焔』だ」
2年生だ。戦闘スタイルは剣術。一年前ようやくケビン様から一人前と認められ、授けられたのがこの妖刀『鬼焔』だ」
と、彼女は左手に握る漆黒の鞘に納められたその刀身を引き抜く。その刀身は青白く鋭く光り、吸い込まれそうなほど輝くその刃にクラウスは思わず恍惚した。
そして、アリーヤが鬼焔を再び鞘に納めると同時にシオンがクラウスに語りかける。
そして、アリーヤが鬼焔を再び鞘に納めると同時にシオンがクラウスに語りかける。
「さて、私も改めて。シオン・エスタルク。聖ヘスティア学院の1年生だ。戦闘スタイルは暗殺。アリーヤさんと違って私はまだ一人前とは認められていないから
武器はこのような模造の2本のナイフだ。ちなみに私はキリスト教徒でもあるが…これについてはあまり触れないでくれると助かるよ」
武器はこのような模造の2本のナイフだ。ちなみに私はキリスト教徒でもあるが…これについてはあまり触れないでくれると助かるよ」
この閉鎖都市において、宗教等の規制などは一切行われておらず、故に各々がどんな宗教を信仰しようが全くの自由なのだが、なぜシオンは
触れないでくれと言うのだろうか。何か釈然としないものを感じながらもクラウスはそのシオンの言葉を聞き流すのだった。
そして話はいよいよ本題に映るのだった。広さおよそ50畳ほどの道場の中心に腰を下ろし、クラウスの今後について協議を行う。
触れないでくれと言うのだろうか。何か釈然としないものを感じながらもクラウスはそのシオンの言葉を聞き流すのだった。
そして話はいよいよ本題に映るのだった。広さおよそ50畳ほどの道場の中心に腰を下ろし、クラウスの今後について協議を行う。
「さて、クラウス君。先ほどの質問にて君はキックを主体として戦いたいと言っておったが…一度君の腕を見せてもらえるかの。
それによってどのレベルから君を鍛えればよいか判断するでの。シオンさん、相手になってやってくれるかの?」
「承知いたしました。さて、それではクラウス君、どこからでも掛かってくるがいい。私が女だからといって遠慮することは…」
それによってどのレベルから君を鍛えればよいか判断するでの。シオンさん、相手になってやってくれるかの?」
「承知いたしました。さて、それではクラウス君、どこからでも掛かってくるがいい。私が女だからといって遠慮することは…」
シオンが言い終わるよりも先にクラウスは彼女に蹴りかかる。まずは牽制の右ミドルキック。すかさずにシオンはそれを左腕で受け止めて間合いを取る。
その開いた間合いをストライドの大きなワンステップで瞬時に縮め、今度は左ミドルを打ち込む。それを右腕で防ぎ、クラウスが左脚を引いたところに彼の顔めがけて右フックを見舞う。戦闘経験など皆無であろうこの少年に私のパンチが見切れるわけがない。
痛いだろうが許してくれ。シオンはそう思いこのパンチを放った。しかし…クラウスは身をそらすことでそのパンチを見事に回避する。
バカな、と驚愕するシオン。そのフックが空振りし、隙ができたところをすかさずクラウスの上段後ろ回し蹴りがシオンの顔面を捉えた。さらにその回し蹴りに
よる遠心力を利用し、ほとんど間を開けることなく左ハイキックを彼女の顎に命中させる。顎にハイキックの直撃を受けてシオンは大きく態勢を崩して後ろへとよろける。その機を逃さずクラウスは大きく前進し、その勢いのまま右ハイキックを
彼女の顎にクリーンヒットさせる。そして、畳に倒れ伏すシオン。
その開いた間合いをストライドの大きなワンステップで瞬時に縮め、今度は左ミドルを打ち込む。それを右腕で防ぎ、クラウスが左脚を引いたところに彼の顔めがけて右フックを見舞う。戦闘経験など皆無であろうこの少年に私のパンチが見切れるわけがない。
痛いだろうが許してくれ。シオンはそう思いこのパンチを放った。しかし…クラウスは身をそらすことでそのパンチを見事に回避する。
バカな、と驚愕するシオン。そのフックが空振りし、隙ができたところをすかさずクラウスの上段後ろ回し蹴りがシオンの顔面を捉えた。さらにその回し蹴りに
よる遠心力を利用し、ほとんど間を開けることなく左ハイキックを彼女の顎に命中させる。顎にハイキックの直撃を受けてシオンは大きく態勢を崩して後ろへとよろける。その機を逃さずクラウスは大きく前進し、その勢いのまま右ハイキックを
彼女の顎にクリーンヒットさせる。そして、畳に倒れ伏すシオン。
「それまで!」
ケビンが演習を止め、倒れたままのシオンに歩み寄る。クラウスも彼女のことが心配になり、駆け寄った。まさか戦闘経験皆無の自分が先輩をKOしてしまうなど
夢にも思わなかった。当然最後には本気を出して自分をあっけなく組伏すものだとばかり思っていたし、シオンさんもケビンさんもアリーヤさんも
そう思っていただろう。だが、現実は今目の前にある光景がすべてだ。シオンさんは畳の上に倒れ、僕はいまだに立っている。
シオンを介抱するケビンの元へ駆け寄り、彼女の顔を覗き込む。その瞳にはしっかりと光が宿っていた。それを見て、安堵をおぼえるクラウス。
夢にも思わなかった。当然最後には本気を出して自分をあっけなく組伏すものだとばかり思っていたし、シオンさんもケビンさんもアリーヤさんも
そう思っていただろう。だが、現実は今目の前にある光景がすべてだ。シオンさんは畳の上に倒れ、僕はいまだに立っている。
シオンを介抱するケビンの元へ駆け寄り、彼女の顔を覗き込む。その瞳にはしっかりと光が宿っていた。それを見て、安堵をおぼえるクラウス。
「クラウス君、君はもうすでに誰かに格闘技を習っているのではないか…?素人の動きじゃなかったぞ…」
シオンはそういうものの、クラウスは誰かに格闘技を習ったことなど一度もなく、強いて言うならやはりアルバート・サワー選手の試合を録画して何度も観察し、
それを模倣した程度である。それを聞いたシオンはフッと微笑えんで言った。
それを模倣した程度である。それを聞いたシオンはフッと微笑えんで言った。
「なるほどな…君は1を聞いて10を知るというタイプの人間だな。素晴らしい観察力とその呑み込みの速さ、大したものだ…」
クラウスが思っていた通りシオンはやはり手加減していていた。彼のキックを受け止めた後即座に反撃、ないしは彼のキックに合わせてカウンターを
打ち込むこともシオンには十分にできた。だが今回の演習の目的はクラウスの力量を確かめること。故にシオンはそれをせず攻撃をガードしても間合いをとるだけだったのだ。
打ち込むこともシオンには十分にできた。だが今回の演習の目的はクラウスの力量を確かめること。故にシオンはそれをせず攻撃をガードしても間合いをとるだけだったのだ。
だが、ひとつだけ言うならば…所詮模倣は模倣。君のキックには確かにキレがある。それも抜群の。ただ、重さが全くない。今後の課題はそこだろうな」
「ほほほ、これからの目標が定まったようじゃの。さてクラウス君、シオンさんも言っておるようにこれからは君のキックに重さをもたらすために
君の脚を鍛えてゆくことになるの。じゃが身体がまだ未成熟の君にいきなり厳しい筋肉改造を施す訳にはいかんでな。少しずつ、進めて行こう」
「ほほほ、これからの目標が定まったようじゃの。さてクラウス君、シオンさんも言っておるようにこれからは君のキックに重さをもたらすために
君の脚を鍛えてゆくことになるの。じゃが身体がまだ未成熟の君にいきなり厳しい筋肉改造を施す訳にはいかんでな。少しずつ、進めて行こう」
こうして、クラウスの筋肉トレーニングはスタートした。初めのうちはスクワットなどから入り徐々にセット数を上げて行く。ある程度筋肉ができてくると
それだけでは効率が悪くなるので、空気椅子という壁に背をつけて中腰になることで脚だけで全体重を支えることで筋肉を鍛える方法も採用。
さらに、クラウスが修業を始めてから一週間後にはアスナが、一月後にはセオドール、半年後にはシュヴァルツが、一年後にはベルクトが、
そして大きく時間が空いて四年後にはフィオが加入し、クラウスの修業相手もどんどん増えていった。
修業相手が増えるのに正比例して彼の脚力増強計画も効率化されていき、フィオが加入したころにはトップアスリートにも引けをとらない
強靭な脚を持つに至るのだった。ちょうどそのころ、クラウスはケビンからある提案を持ちかけられるのだった。
それだけでは効率が悪くなるので、空気椅子という壁に背をつけて中腰になることで脚だけで全体重を支えることで筋肉を鍛える方法も採用。
さらに、クラウスが修業を始めてから一週間後にはアスナが、一月後にはセオドール、半年後にはシュヴァルツが、一年後にはベルクトが、
そして大きく時間が空いて四年後にはフィオが加入し、クラウスの修業相手もどんどん増えていった。
修業相手が増えるのに正比例して彼の脚力増強計画も効率化されていき、フィオが加入したころにはトップアスリートにも引けをとらない
強靭な脚を持つに至るのだった。ちょうどそのころ、クラウスはケビンからある提案を持ちかけられるのだった。
「クラウス君のその脚も随分と立派になったものじゃな。さて、クラウス君、今日は君に一つの提案をしたいのじゃが…」
ケビンの提案。それはクラウスにカポエイラというキックを専門とした格闘技を習得してはどうかというものだった。
カポエイラにはヘジォナウ(Regional)、アンゴーラ(Angola)という二つの流派があり、
ケビンはその両方を極めていた。
ヘジォナウは激しくアクロバットな動きが特徴、アンゴーラは儀式的でゆったりとした動きが特徴であり、ケビンはクラウスの俊敏さを生かすならば
ヘジォナウ派を会得してはどうかと勧め、彼もそれに同意した。そして貴族粛清のその日までクラウスはカポエイラの修業に明け暮れる。
ジンガというカポエイラの基本的なステップをまず習得し、次いでアウー、マカーコという側転、バク転を一月足らずでマスターした後、
いよいよカポエイラの真骨頂であるキックの修業へと入っていく。アルマーダという回し蹴り、ケイシャーダという顎をめがけたハイキック。
マルテーロという「ハンマー」を意味する上段蹴り。ベンサォンという前方押し蹴り。ケビン曰くカポエイラの最高奥義である「フォーリャ」。
そして2年前の貴族粛清の直前、ケビンが高齢のため入院することになった時には彼にコンソラ・メストーレ(準師範)並みの実力を備えていると
認められるまでに至るのだった。そんな折、ケビンの息子、ジョセフ・ケールズが貴族たちの計画の一端を掴む。
そして、クラウスは貴族たちの大粛清を経るのだが、一方この6年間セフィリアは何をしていたかというと、至って平和な学校生活を送っていた。
宿題を見せたり見せてもらったり、仲のいいクラスメートたちと弁当のおかずを交換したり、中学から高校まで6年間通して活動したオーケストラ部では、
バイオリンを弾き、廃民街内の学校のコンクールで金賞を受賞したりもした。高校では、学校の中で彼女に告白しなかった男子生徒はクラウス以外にいない
という伝説を作り上げたこともある。ちなみに彼女はその全てを断ったのだが、その際の常套句がこれだ。
カポエイラにはヘジォナウ(Regional)、アンゴーラ(Angola)という二つの流派があり、
ケビンはその両方を極めていた。
ヘジォナウは激しくアクロバットな動きが特徴、アンゴーラは儀式的でゆったりとした動きが特徴であり、ケビンはクラウスの俊敏さを生かすならば
ヘジォナウ派を会得してはどうかと勧め、彼もそれに同意した。そして貴族粛清のその日までクラウスはカポエイラの修業に明け暮れる。
ジンガというカポエイラの基本的なステップをまず習得し、次いでアウー、マカーコという側転、バク転を一月足らずでマスターした後、
いよいよカポエイラの真骨頂であるキックの修業へと入っていく。アルマーダという回し蹴り、ケイシャーダという顎をめがけたハイキック。
マルテーロという「ハンマー」を意味する上段蹴り。ベンサォンという前方押し蹴り。ケビン曰くカポエイラの最高奥義である「フォーリャ」。
そして2年前の貴族粛清の直前、ケビンが高齢のため入院することになった時には彼にコンソラ・メストーレ(準師範)並みの実力を備えていると
認められるまでに至るのだった。そんな折、ケビンの息子、ジョセフ・ケールズが貴族たちの計画の一端を掴む。
そして、クラウスは貴族たちの大粛清を経るのだが、一方この6年間セフィリアは何をしていたかというと、至って平和な学校生活を送っていた。
宿題を見せたり見せてもらったり、仲のいいクラスメートたちと弁当のおかずを交換したり、中学から高校まで6年間通して活動したオーケストラ部では、
バイオリンを弾き、廃民街内の学校のコンクールで金賞を受賞したりもした。高校では、学校の中で彼女に告白しなかった男子生徒はクラウス以外にいない
という伝説を作り上げたこともある。ちなみに彼女はその全てを断ったのだが、その際の常套句がこれだ。
「ごめんなさい。あなたの気持はすごく嬉しいのですが…私には好きな人がいるんです…」
彼女の好きな相手が誰であるかは言わずもがなであるとして、そうして高校を卒業し、3年前に酒屋を知人に譲渡し酒場の雇われ店長として働いている
父・カルロスの帰る場所を守り続けていた。しかし、19歳のときにセフィリアをあの時と同じ悪夢が襲う。
父・カルロスの帰る場所を守り続けていた。しかし、19歳のときにセフィリアをあの時と同じ悪夢が襲う。
「ああしまった。ライムとレモンを切らしてた。セフィリア、悪いけどお金を渡すから買ってきてくれないかな」
「うん、わかった。いってくるね、父さん」
「うん、わかった。いってくるね、父さん」
この日クラウスは頭痛のためエスタルク医院に出かけていたため、セフィリアしかいなかった。
二つ返事でそれを引き受け、購入資金を受け取り最寄りの八百屋に足を運ぶのだが…その道中事件は起こる。
二つ返事でそれを引き受け、購入資金を受け取り最寄りの八百屋に足を運ぶのだが…その道中事件は起こる。
7年前クラウスとセフィリアを襲撃したあの3人組と再び鉢合わせしてしまったのだ。24歳になった彼らは7年の歳月を経ても彼らの精神は
少しも成長することはなく、セフィリアの姿を見るなり3人がかりで襲いかかってきた。7年の時を経て背丈の差は埋まったとはいえその筋力には雲泥の差があり、
いとも簡単にセフィリアは薄暗い路地裏に連れ込まれ道路に組み伏せられてしまう。彼女の身に纏う服を引きちぎる役、彼女の手を押さえつける役、
脚を押さえつける役と分担してセフィリアを拘束する。その中の一人、彼女の上着を引きちぎった男が目を血走らせながら言った。
少しも成長することはなく、セフィリアの姿を見るなり3人がかりで襲いかかってきた。7年の時を経て背丈の差は埋まったとはいえその筋力には雲泥の差があり、
いとも簡単にセフィリアは薄暗い路地裏に連れ込まれ道路に組み伏せられてしまう。彼女の身に纏う服を引きちぎる役、彼女の手を押さえつける役、
脚を押さえつける役と分担してセフィリアを拘束する。その中の一人、彼女の上着を引きちぎった男が目を血走らせながら言った。
「お前、どこかで見たことあると思ったら7年前のあのかわい子ちゃんじゃねえか。また会えてうれしいよ。俺らに犯られるためにそんなに綺麗になったのか?
あの時の違ってうざってえお前の兄貴はいねえし、ここなら邪魔も入らねえし思う存分楽しめるってわけだよ。ヒャヒャヒャヒャヒャ!」
「へぇ~、何を楽しもうというのかな?」
あの時の違ってうざってえお前の兄貴はいねえし、ここなら邪魔も入らねえし思う存分楽しめるってわけだよ。ヒャヒャヒャヒャヒャ!」
「へぇ~、何を楽しもうというのかな?」
その刹那、背後から聞きなれない声がし、振り返る不良。しかし、薄れゆく意識のなかセフィリアにはその声によく聞きおぼえがあった。
「ああ~なんだ?痛い目見たくねえならさっさと失せ…」
振り返った3人はそこにいた男の姿を見るなり絶句してしまう。彼らの眼前にはあの告死天使メンバーの一人、クラウス・ブライトが狂気の笑みを浮かべて
立ちつくしていたからだ。その狂気に満ちた笑顔に戦慄する8人。その表情を一切崩すことなく、クラウスは再び口を開く。
立ちつくしていたからだ。その狂気に満ちた笑顔に戦慄する8人。その表情を一切崩すことなく、クラウスは再び口を開く。
「ねえ、質問したんだけど。今から君たち3人はなにを楽しもうっていうのかな?」
「い…いや…あの…その…」
「答えられないのかい、なら当てて見せよう。レイプするつもりだったんだろう?僕の妹を。あの時君が地べたに押さえつけて頭を殴りつけた少年、
さっき君が言ってたうざったい兄貴、それが僕だよ。さて、お手洗いにはもう行った?神様へのお祈りは済ませたかい?
道路の隅でガタガタ震えて命乞いをする心の準備はできたかな?」
「あ……あ……あ……」
「い…いや…あの…その…」
「答えられないのかい、なら当てて見せよう。レイプするつもりだったんだろう?僕の妹を。あの時君が地べたに押さえつけて頭を殴りつけた少年、
さっき君が言ってたうざったい兄貴、それが僕だよ。さて、お手洗いにはもう行った?神様へのお祈りは済ませたかい?
道路の隅でガタガタ震えて命乞いをする心の準備はできたかな?」
「あ……あ……あ……」
恐怖のあまり声も出ない三人。ガチガチと歯を鳴らして腰を抜かして後ろへと後ずさるが、ここは路地裏。行き止まりにぶつかってしまった。
壁に背をつけてガタガタ震える3人のチーマーの前にしゃがみ込み、やはりそのままの表情で語り続ける。
壁に背をつけてガタガタ震える3人のチーマーの前にしゃがみ込み、やはりそのままの表情で語り続ける。
「皮肉なものだよね…7年前僕を蹂躙した君たちがその僕に殺されることになるなんてね。さあ、最期の言葉を聞こうか?」
「あ…頼む…命だけは…た…助けてくれ…」
「うん、当然却下」
「あ…頼む…命だけは…た…助けてくれ…」
「うん、当然却下」
そしておよそ9か月前の聖ヘスティア学園虐殺事件以来となる、告死天使による殺戮劇場の幕が開いた。
身体だけではなく、人間の尊厳をも蹂躙するクラウス。跪く男の頭部めがけて踵を振り下ろし、まるでサッカーボールを蹴るかのごとく
その頭を蹴り飛ばす。首がありえない方向に曲がっていて、たとえ命を取り留めたとしても植物人間化は確実であった。
身体だけではなく、人間の尊厳をも蹂躙するクラウス。跪く男の頭部めがけて踵を振り下ろし、まるでサッカーボールを蹴るかのごとく
その頭を蹴り飛ばす。首がありえない方向に曲がっていて、たとえ命を取り留めたとしても植物人間化は確実であった。
残りの二人も同様の方法で殺害し、その死体を足元にあったマンホールの蓋を開き、ゴミを捨てるかのごとく落としてゆく。
彼らの姿が2度と目撃されることはなかったのはこれが理由であった。マンホールのふたを閉め、クラウスは傍らで気を失っているセフィリアを介抱する。
5分ほど時間が流れただろうか、クラウスの両腕に抱えられたセフィリアがゆっくりとその目を開いた。上着のTシャツは引きちぎられブラジャーが露わとなって
しまっていて、それに気付いたセフィリアはあわてて両腕で胸元を隠す。
彼らの姿が2度と目撃されることはなかったのはこれが理由であった。マンホールのふたを閉め、クラウスは傍らで気を失っているセフィリアを介抱する。
5分ほど時間が流れただろうか、クラウスの両腕に抱えられたセフィリアがゆっくりとその目を開いた。上着のTシャツは引きちぎられブラジャーが露わとなって
しまっていて、それに気付いたセフィリアはあわてて両腕で胸元を隠す。
「兄さん…これは一体?確か私はあの人たちに襲われて…」
「彼らなら僕が御退場願ったよ。もう二度と君の前に姿を現すことはないから安心するといいよ」
「そう…7年前と同じだね…また兄さんに助けてもらったんだね…いつも私は守られてばかり。私も…強くならないと」
「何を言ってるんだい?君はもう十分強いじゃないか。この貧しい廃民街で泣き言も愚痴も言わずに暮らしてる。その心の強さ…それこそが本当の強さだよ」
「ううん…そういう気持の問題じゃなくて、身体的な…」
「セフィリア…」
「彼らなら僕が御退場願ったよ。もう二度と君の前に姿を現すことはないから安心するといいよ」
「そう…7年前と同じだね…また兄さんに助けてもらったんだね…いつも私は守られてばかり。私も…強くならないと」
「何を言ってるんだい?君はもう十分強いじゃないか。この貧しい廃民街で泣き言も愚痴も言わずに暮らしてる。その心の強さ…それこそが本当の強さだよ」
「ううん…そういう気持の問題じゃなくて、身体的な…」
「セフィリア…」
彼女の瞳を見てクラウスは思う。セフィリアの気持ちは本物であると。ならばその強くなりたいという彼女の願いを叶えてやりたいと思う。
しかし…師・ケビンはもうこの世にいない。あれだけ優れた指導者はそうそういるものではない。故にセフィリアを鍛錬するのであれば…
告死天使きっての格闘戦のスぺシャリストであるクラウスとアスナがそれを行うのがベターだろう。ならば…
しかし…師・ケビンはもうこの世にいない。あれだけ優れた指導者はそうそういるものではない。故にセフィリアを鍛錬するのであれば…
告死天使きっての格闘戦のスぺシャリストであるクラウスとアスナがそれを行うのがベターだろう。ならば…
「わかった。君の願いを叶えられるように僕の友人たちと相談してみるよ。それまでは待っていて欲しい」
「うん…ありがとう、兄さん。あ、そういえば父さんからお使いを頼まれてたんだっけ」
「うん…ありがとう、兄さん。あ、そういえば父さんからお使いを頼まれてたんだっけ」
しかし、セフィリアの上半身は下着が露出してしまっているので、クラウスの羽織っていた半袖の上着を借りることになった。
ただ、胸が大きいためその部分だけボタンが取れそうになっていたが。そうしてお使いも済ませ、セフィリアの着替えを取りに家に戻り、
先ほどの騒動で汚れてしまった髪を洗うために大衆浴場へと行き、それから夕食の準備に取り掛かるまでにおよそ3時間、クラウスは自室の
ところどころカバーが破れたベッドに仰向けになりながら天井を見上げ、セフィリアの言葉を反芻していた。
(強くなりたい…君の口からそんな言葉が出てくるなんて…ケビンさん、僕はどうしたらいいんでしょうか?)
ただ、胸が大きいためその部分だけボタンが取れそうになっていたが。そうしてお使いも済ませ、セフィリアの着替えを取りに家に戻り、
先ほどの騒動で汚れてしまった髪を洗うために大衆浴場へと行き、それから夕食の準備に取り掛かるまでにおよそ3時間、クラウスは自室の
ところどころカバーが破れたベッドに仰向けになりながら天井を見上げ、セフィリアの言葉を反芻していた。
(強くなりたい…君の口からそんな言葉が出てくるなんて…ケビンさん、僕はどうしたらいいんでしょうか?)
そして目を閉じる。今は亡きケビンに問うが、もちろん答えが返ってくることなど…
(ホホホ…君が思った通りにすればいいんじゃよ。君はいつだってそうして行動してきたじゃろう?)
耳元でケビンの声が聞こえた気がし、目を開いてあわてて起き上がるが、広さ4畳ほどの狭い自室には彼以外にだれもいなかった。
気のせいか…と一つため息をついて、腰を起したまま再び考える。そんな時だった。
気のせいか…と一つため息をついて、腰を起したまま再び考える。そんな時だった。
「兄さん、いる?」
唐突に扉の向こうからセフィリアの声が聞こえた。何の用だろうと思いつつも、クラウスは返事をした。
「入ってもいいかな?」
「もちろんだよ」
「もちろんだよ」
そして扉を開いてクラウスの部屋へと入ってくるセフィリア。彼の腰掛けるベッド、その隣に彼女も腰を下ろす。そして、微笑みを浮かべてクラウスの顔を直視する。
「どうしたのセフィリア。僕の顔に何かついてる?」
「ううん、兄さんの顔はいつもと同じ素敵な顔よ。今日はありがとう。ところで…ねえ、兄さんは…私のこと…どう思っているのかな…?」
「どう思うって、僕の双子の妹としてかけがえのない大切な存在だと思っているよ」
「うん、ありがとう…でもね…私は違うんだ…私は兄さんのことを…愛しているの…兄としてではなく…一人の男性として…」
「えっ、ちょ、ちょっと待ってセフィリア。話がつかめないんだけど」
「だから…私は兄さんのその優しい瞳…その身体…その心…兄さんの全てを私のものにしたいの…だから兄さん…私を受け止めて!」
「ううん、兄さんの顔はいつもと同じ素敵な顔よ。今日はありがとう。ところで…ねえ、兄さんは…私のこと…どう思っているのかな…?」
「どう思うって、僕の双子の妹としてかけがえのない大切な存在だと思っているよ」
「うん、ありがとう…でもね…私は違うんだ…私は兄さんのことを…愛しているの…兄としてではなく…一人の男性として…」
「えっ、ちょ、ちょっと待ってセフィリア。話がつかめないんだけど」
「だから…私は兄さんのその優しい瞳…その身体…その心…兄さんの全てを私のものにしたいの…だから兄さん…私を受け止めて!」
そんな彼女の告白に話しの流れが全くつかめていないクラウスをベッドに押し倒すセフィリア。そして、クラウスと唇を重ねる。
一分ほどの口づけの後、セフィリアはゆっくりと唇を離してにっこりと笑う。かたや戸惑いと混乱の表情を浮かべるクラウス。
一分ほどの口づけの後、セフィリアはゆっくりと唇を離してにっこりと笑う。かたや戸惑いと混乱の表情を浮かべるクラウス。
「セフィリア…これは何の真似だい?」
「言ったでしょう?兄さんの全てを私のものにしたいって。だから私を…」
「言ったでしょう?兄さんの全てを私のものにしたいって。だから私を…」
その先彼女が言おうとしている意味は彼にもよくわかっていた。しかしそれを行うことは究極の背徳に他ならなかった。
しかし、セフィリアがクラウスを想うようにクラウスもセフィリアを異性としてみたことは何回かあった。
兄としての理性、男としての欲望、それが彼の心の中で渦を巻き葛藤する。そしてその後、二人はその身体を交わらせることになるのだった…
しかし、セフィリアがクラウスを想うようにクラウスもセフィリアを異性としてみたことは何回かあった。
兄としての理性、男としての欲望、それが彼の心の中で渦を巻き葛藤する。そしてその後、二人はその身体を交わらせることになるのだった…
「兄さん…愛してる…」
「僕もだよ、セフィリア…」
「僕もだよ、セフィリア…」
そしてそれから一年後、父・カルロスがマフィア同士の抗争に巻き込まれて命を落とし、自分たちは父親を殺したマフィアに復讐をする、
ということをゲオルグに伝えるのだった。しかし、話を聞き終えたゲオルグの顔はどこか青白かった。心配したセフィリアがゲオルグに声をかける。
ということをゲオルグに伝えるのだった。しかし、話を聞き終えたゲオルグの顔はどこか青白かった。心配したセフィリアがゲオルグに声をかける。
「あの、ゲオルグさん。顔色が悪いですが…大丈夫ですか?」
「きっと孤児院での仕事で疲れがたまっているんだよセフィリア。シオンを呼んできますから、ちょっと待っていてくださいね」
「きっと孤児院での仕事で疲れがたまっているんだよセフィリア。シオンを呼んできますから、ちょっと待っていてくださいね」
そういいつつ、クラウスは先ほどのホールでポープと談笑していたシオンを呼びに行った。しかし、その心の中では何故か釈然としないものを抱えていた。
ゲオルグは、カルロスが殺された話題になった途端顔色を悪くしたからだ。ゲオルグのような心優しい男があの事件に関与しているはずがない、
いや、していてはいけないのだが…そしてシオンの診察の結果、やや疲労がたまり気味であるが特に健康には問題はないという診断が下ったあとも
クラウスの心のもやは晴れないままであった。
ゲオルグは、カルロスが殺された話題になった途端顔色を悪くしたからだ。ゲオルグのような心優しい男があの事件に関与しているはずがない、
いや、していてはいけないのだが…そしてシオンの診察の結果、やや疲労がたまり気味であるが特に健康には問題はないという診断が下ったあとも
クラウスの心のもやは晴れないままであった。