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雪が降りしきる谷間。 何度も戦闘が行われたのか木々は根元から荒々しい断片を残し折れ、その周辺には雪で白く化粧された残骸が累々と転がっている。 「なぁ本当にくんのかよ。」 谷底に広がるそんな光景を見下ろしながら灰色のコートに身を包んだ男がぼやく。 銀縁のゴーグルをフードの上にかけ、歳の頃はまだ20に行くか行かないか位の若い青年だった。 「チクショウ、また強くなってきやがった」 革手袋に包まれた手を擦りながら空を見上げる。 青年が羽織っているその灰色コートと同じ色のような曇天はごうごうと音を立てた暴風で吹雪の様相を見せ始めていた。 「いい加減、寒いぜ。」 かれこれ4時間にもなる。 この昼が短いこの地では直に日が暮れる。 それが彼を更に追い立てる。 「なら、中に入ればいいだろう。」 拡声器のような音が鳴り響き後ろの木立から灰色の砲塔を背負ったような三本脚の機動戦闘車両が姿を現す。 「お前が言うからここまで来たんだぞボルヒェルド!」 その操縦席では、外でがなっている青年とは対照的な寡黙そうな黒髪の男が無表情で座っている。 ボルヒェルドと呼ばれたそのパイロットは彼の暴言には慣れっこという様子でコックピットで比較的熱を持ちやすい燃料直結の計器にくくりつけられた、 軍用食の半固形飲料を手に取りストローに吸いつく。 やはり起動間もなくては解凍しきるには至らず、口の中に生温かいビタミン剤特有の甘さが広がった。 「おい、返事しろよ!」 「聞こえてるよ。」 ボルヒェルドは後味悪そうな表情で握りしめられた飲料パックを一瞬見やると計器に乱雑に貼られた手書きの地図と、 その各所に添付されたメモ付きの付箋を確認するように見入った。 「もうすぐさ。もうすぐなんだ・・・」 彼が麓の街で独自に手に入れた情報では古戦場として名高いこの谷間は、隠し経路として敵国の機動甲兵の小隊が通るという話だった。 そこに張って戦果をあげる。 その為に長距離砲撃に長けた彼の愛機と、機動力に優れた戦闘機を駆る彼の相棒を連れてきたのだ。 複数機で身動きの取れない細い谷間をひっかき回すのが彼の相棒エミール・クライドの役目だった。 だが、しかし・・・ 「遅すぎる。」 昨日、今日と連日張っているものの歩兵すら通らない。 「やはり噂は噂なのか・・・!!」 と、同時に警告音が鳴る。 昨晩、遥か遠くに設置した赤外線ポインターが反応したのだ。 「エミール仕事だぞ。」 「待ってました!」 エミールはコートを脱ぎ捨てボルヒェルド機の脇を通り抜け後方に駐機された自分の相棒を起動させる。 ジリジリという排気音と共に立ち上がる鉄の巨人。 その肩にはボルトマークのエンブレムの下に1368 彼らの所属する第1368機動兵団のマークが刻まれていた。 #back(left,text=一つ前に戻る)  ↓ 感想をどうぞ(クリックすると開きます) #region #pcomment(reply) #endregion

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